碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

「ヤッさん」は食ドラマというより人情ドラマ

2016年08月25日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ東京のドラマ「ヤッさん~築地発!おいしい事件簿」について書きました。


ただの食ドラマにあらず
伊原剛志「ヤッさん」が醸す人情

主人公の設定が秀逸だ。テレビ東京系のドラマ「ヤッさん~築地発!おいしい事件簿」である。

ヤッさん(伊原剛志)はホームレスだが、銀座の高級店で賄い飯をごちそうになる。また築地市場の仲買人とも対等だ。食の知識が豊富で料理の腕も一流。築地と銀座を結ぶ隠れコーディネーターのような存在なのだ。

IT企業から落ちこぼれ、宿無しだったタカオ(柄本佑)は、ヤッさんに拾われて弟子になった。このドラマは、異色のホームレス2人が、築地や銀座で起こる事件を解決していく物語だ。個人の洋食店を乗っ取ろうとする悪徳外食グループと戦ったり、世代交代に悩む築地の人たちのために一役買ったりと忙しい。

人としての矜持を持ち、ホームレスという生き方を選んだヤッさん。困っている人を、「ありきたりな身の上話なんか聞きたくねえ」と言って、ある距離感を保ちながら助ける姿勢も好ましい。確かに、「どん底に落ちた人間を救うのは人とうまいメシ」かもしれない。一見、いわゆる食ドラマを思わせるが、実は脚本も含め、丁寧に作られた人情ドラマなのである。

脇役陣も2人をしっかり支えている。ヤッさんを応援するそば屋の主人(里見浩太朗)、ヤッさんを慕う韓国料理店主(板谷由夏)、そば職人を目指す女子高生(堀北真希に似た山本舞香)など、それぞれに適役だ。

(2016.08.24)

「日本民間放送連盟賞」審査会 2018.08.23

2016年08月24日 | テレビ・ラジオ・メディア



紀尾井町の日本民間放送連盟へ。

終日、連盟賞「放送と公共性」部門の最終審査会。

今年もまた、優れた事績が並びました。

結果ですが・・・

発表は後日になります。

テレビ観戦の夏が終わる

2016年08月23日 | 「ヤフー!ニュース」での連載



記憶の中にある、一番古いオリンピックの映像は1964(昭和39)年、小学4年生の時に見た東京大会だ。三波春夫の「東京五輪音頭」は、今でも歌詞を見ないで歌える。次のメキシコ大会はカラーテレビで見た。

それ以降のオリンピックは正確な順番も言えないが、それでも毎回テレビの前にいた。そして今回のリオも、かなりの時間、テレビ画面に目を向けた。

とはいえ、2016年の今、すでに私たちはオリンピックについてさまざまなことを知っている。それは単なるスポーツの祭典ではない。テレビをはじめとするメディアによって、劇的に演出された“メディアスポーツ”である。マーケティング戦略を駆使した”ビッグビジネス”の側面をもつ、“世界最大規模のイベント”だ。

また、トップクラスの選手にもドーピングなど薬物に依存する者がいる。そして、“平和の祭典”であるはずのオリンピック開催中も、世界各地の紛争や戦闘は止むことがない。

しかし、それらを承知の上で、「人はオリンピックに何を見ようとするのか。たぶん、私はスポーツにおける《偉大な瞬間》に遭遇したいと望んでいるのだ」(『冠 OLYMPIC GAMES』)という沢木耕太郎さんの思いは、私たちの胸の内にもある。

4年に1度という舞台に、世界中から選手たちが集まり、全力で走り、投げ、打ち、跳び、泳ぎ、舞う。その姿は、確かに、見る者の何かを揺さぶる大きなチカラをもっていた。

リオのオリンピックが終わる。テレビ観戦の夏が終わろうとしている。

昭和20年8月15日、反乱部隊に抵抗したNHK女子アナ

2016年08月22日 | 本・新聞・雑誌・活字



作家の近藤富枝さんが亡くなったのは、ついひと月ほど前、7月24日のことだ。享年93。

お目にかかったのは80年代末で、当時、制作を進めていた番組のために、明治の鹿鳴館について教えていただいた。

お話がとても明快で、分かりやすかったことを覚えている。

『本郷菊富士ホテル』(中公文庫)、『田端文士村』(同)などで知られる近藤さんは、昭和19年にNHKのアナウンサーになった。

元放送人の、またこの時代を生き抜いた一人の女性の回想録『大本営発表のマイク~私の十五年戦争』(河出書房新社)が出版されたのは3年前だ。

この本の読みどころは、放送に関する話だけではない。第1章が「昭和ノスタルジー」と題されているように、前半部分には著者が少女から大人になる昭和初期の生活が活写されている。

足繁く通った歌舞伎座。女優修行。東京女子大で出会う親友、のちの瀬戸内晴美(寂聴)等々。若い女性である近藤さんにとって、昭和は決して暗いだけの日々ではなかったのだ。

しかし、NHK入局後は、あの大本営発表も読むことになる。その最初が神風特攻隊に関するものだった。

そして昭和20年8月15日、反乱部隊がNHKに押し寄せる。マイクを奪おうとした将校に、決然として抵抗したのは同僚の女子アナだった。これもまた、“当事者”ならではの貴重な証言だ。

【気まぐれ写真館】 台風前の夕暮れ 2016.08.21

2016年08月22日 | 気まぐれ写真館

HTB北海道テレビ「イチオシ!モーニング」 2016.08.20

2016年08月21日 | テレビ・ラジオ・メディア




野球解説の岩本さん


ファイターズガールの谷口さん、安念さん


ニュースの柳田アナ、岩本さん




愛里さん、依田アナ、オクラホマ藤尾さん


今週の「木村愛里さん」

【気まぐれ写真館】 札幌 低気圧接近中 2016.08.20

2016年08月21日 | 気まぐれ写真館

HTB北海道テレビ「イチオシ!」 2016.08.19

2016年08月20日 | テレビ・ラジオ・メディア

オクラホマ藤尾さん、碓井、国井アナ、ヒロさん








和音ちゃん






今週の「国井美佐アナウンサー」

戦後71年8月15日と「昭和」の記憶

2016年08月19日 | 「ヤフー!ニュース」での連載



8月は、どこか忘れかけている「昭和」を、さまざまな形で思い出させてくれる。

15日(月)は、71回目の終戦(正確には敗戦)記念日だった。

71年前といわれると、「ずいぶん前」としか思えないが、私が生まれたのが1955(昭和30)年で、それは1945(昭和20)年の敗戦から、わずか10年後のことだ。

今から10年前なら2006(平成18)年。10年なんて、「ほんの少し前」、「つい昨日のような」と言いたくなるほど近い過去なのだ。

「昭和20年代」には、まだ戦争の時代の面影があるが、わずか10年後に始まる「昭和30年代」となると、戦争や敗戦のイメージは急に薄れる。

だが、それだって2016年という現在から見ての事であり、実際、昭和30年代には、まだ町角で傷痍軍人を見かけたし、デモや社会運動のスローガンとして「戦争反対」「戦争、許すまじ」は十分に生きていた。

そんなことを思うのは、特に今年の「8月15日」が、オリンピックの最中ということもあり、テレビが「終戦記念日特番」を打つわけもなく、靖国神社に政治家の誰が行き、誰が行かないといった報道くらいしか見なかったせいだろう。

●日本のいちばん長い日

そんな中、前日の14日(日)夜、テレビ朝日が原田眞人監督『日本のいちばん長い日』(2015)を放送していた。

力作ではあるし、放送自体は結構なのだが、個人的には、できれば岡本喜八監督の『日本のいちばん長い日』(1967)のほうを流して欲しかった。

岡本版のほうが、「原作」が描いていた“あの日”と、“あの出来事”を、強烈な緊迫感で表現しているからだ。

生前の岡本喜八監督にお目にかかった際も、愛着の深い作品として、『肉弾』(1968)と『日本のいちばん長い日』を挙げていらした。

さて原作だが、私の手元にあるのは、1965(昭和40)年に出版された、並製(ソフトな表紙)の大宅壮一:編『日本のいちばん長い日 運命の八月十五日』(文藝春秋)だ。

現在、入手できるのは、同じ文藝春秋から95年に出た半藤一利『決定版 日本のいちばん長い日 運命の八月十五日』が文庫化された、『決定版 日本のいちばん長い日』(文春文庫)である。著者は「半藤一利」であり、タイトルに「決定版」が入っている。

大宅版の「あとがき」は、「文藝春秋<戦史研究会>」の名義で書かれており、そこに「本文は半藤一利がこれをまとめました」とある。

実は、元々この本を書いたのは半藤さんだったが、当時は文藝春秋新社の社員だったので、「大宅壮一 編」として出版されたという経緯があった。

もちろん営業的にも、大宅壮一のネームバリューは有効だったはずだ。

●昭和の風景と記憶を記録する

昭和は、(1)元年から20年まで、(2)20年代~30年代、(3)40年代、(4)50年代~最後の63年まで、といった具合に、大きく4つのブロックに分けられそうだ。

個人的な感触でいえば、すでに第3ブロックあたりまでが「歴史」の範疇になってしまっているような気がする。

テレビ朝日の原田版『日本のいちばん長い日』を横目で眺めつつ、秋山真志さんの『昭和 失われた風景・人情』(ポプラ社)を読んだ。

フリーランスのライター&エディターである秋山さんには、寄席を支える様々な仕事師たちを取材した『寄席の人たち 現代寄席人物列伝』(創美社)などの著書がある。

この『昭和 失われた風景・人情』のテーマは、昭和30~40年代の、まさに”失われた風景”。主な舞台は東京だ。

手塚治虫、藤子不二雄、石森章太郎、赤塚不二夫といった漫画家が暮らしていた伝説のアパート「トキワ荘」。今は高層ビルが林立する新宿副都心にあった巨大な人工池「淀橋浄水場」。それから「丸ビル」や「玉川電車」も。

秋山さんは、東京の「かつてそれがあった場所」を訪ね、歩き回り、当時を知る人に話を聞いていく。記憶を記録しているのだ。

それだけではない。私のような「地方在住の子ども」にとっても、同じように懐かしい風景も登場する。デパートの屋上にあった楽園「屋上遊園地」。その店先に立つだけでわくわくした「駄菓子屋」などだ。

この本全体は、もちろん懐かしさにあふれているが、単なる懐古趣味ではない。丹念なフィールドワークによって徐々に甦ってくる「昭和の記憶」と「昭和の風景」は、ほとんど消えかけている「街と時代」の貴重な記録なのである。

やはり8月は、忘れかけている「昭和」を思い出させてくれる月だ。


PKO参加の文民警察官は、なぜ“戦死”したのか!?

2016年08月18日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、NHKスペシャル「ある文民警察官の死~カンボジアPKO 23年目の告白~」について書きました。


NHKスペシャル
「ある文民警察官の死
~カンボジアPKO 23年目の告白~」

日本人警官がカンボジアでなぜ“戦死”  
NHKが真相に迫った

先週末、NHKスペシャル「ある文民警察官の死~カンボジアPKO 23年目の告白~」が放送された。扱われていたのは、1993年5月、カンボジアでPKO(国連平和維持活動)に参加していた日本人警察官が殺害された事件だ。

当時、カンボジア内戦の停戦を踏まえ、UNTAC(国際連合カンボジア暫定統治機構)の主導で民主的選挙が実施された。日本政府は自衛隊と警察官を派遣。戦闘は停止されていたはずだった。

しかし、警察官たちはポル・ポト派とみられる武装ゲリラに襲撃され、高田晴行警部補(当時33歳)が命を落としたのだ。

番組では生き残った警察官たちが、23年を経て初めて「何があったのか」を証言していた。彼らが体験したのは、停戦合意も戦闘停止も建前に過ぎず、自分たちが標的となる“戦場”だったのだ。

しかも当時、UNTACも日本政府も、この事件をポル・ポト派の仕業とは認めず、あくまでも「正体不明の武装集団」だとした。また、「要員の撤収も考えない」と。

今回初公開された現地で撮影された映像や警察官の日記も、カンボジアPKOの実態をよく伝えていた。戦うために行ったわけではない高田警部補だが、まさに“戦死”だったのである。

戦後の安全保障政策は、すでに大転換を遂げている。23年前の“真相”から学ぶべきことは多い。

(日刊ゲンダイ 2016.08.17)

【気まぐれ写真館】 残暑の多摩川 2016.08.17

2016年08月18日 | 気まぐれ写真館

遅ればせの「お盆」で、信州へ

2016年08月17日 | 日々



遅ればせの「お盆」で、故郷・信州へ。

実家で父の、そして恩師である浜光雄(童話作家・はまみつを)先生の仏前にお線香。

浜先生がお元気な頃は、毎年のお盆と正月、それぞれ半日、飲みながらの大放談会でした。

今は、手を合わせて、半期の報告です。



先生の奥さまとお嬢さん(クッキングコーディネーター・浜このみさん)と一緒に、先生の写真を囲んで、本日の記念撮影。

このみさんは、NBS長野放送「土曜はこれダネッ!」などで活躍中です。

無類のドラマ愛好家ということもあり、今期のドラマについて、楽しい放談会となりました。


というわけで、浜先生、また半年後に!


JR東日本CM「行くぜ、東北。」の喚起力

2016年08月16日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム



日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。

今回は、JR東日本「行くぜ、東北。」を取り上げました。


JR東日本「行くぜ、東北。」
被災地への関心 さりげなく刺激

CMの効用のひとつに、「思い出す」がある。JR東日本「行くぜ、東北。」シリーズはそんな1本だ。

2011年3月から5年と5ヶ月。被災地に対する「どうしているだろう」の気持ちを、さりげなく刺激してくれる。

新たな旅人は松岡茉優さん。NHK朝ドラ「あまちゃん」の地元アイドル役でブレイクし、昨年の「She」(フジテレビ系)、今年の「水族館ガール」(NHK)と連ドラ主演作が続いている。

どんな役柄も自然に自分のものにしてしまう演技力。またバラエティーでも崩し過ぎない親しみやすさが持ち味だ。

今回、松岡さんが歩くのは宮城県女川町。地震と津波で沿岸部の被害は壊滅的だったが、昨年末にはテナント型商店街「シーパルピア女川」もオープンした。ナレーションの通り、「東北は前へ進んでいる」のだ。

オリンピックと甲子園のテレビ中継から目が離せない今年の夏だが、旅に出るなら、ぜひ東北へ。

(日経MJ 2016.08.15)

【気まぐれ写真館】 曇天の戦後71年8月15日 合掌

2016年08月15日 | 気まぐれ写真館

「SMAP、年末に解散」の報道に触れて

2016年08月15日 | メディアでのコメント・論評

NHK紅白歌合戦2015


「SMAP、年末に解散」の報道がありました。

そうなったんですね。

今年の1月、例の解散騒動があった際、産経新聞の取材に答えたことを、思い出しました。

基本的には、今回も、あの時と同様の感想です。



――中略――

一方、解散を前向きに捉える意見も。

上智大学の碓井広義文学部教授(メディア論)は、「彼らも年齢を重ねた。ファンやメディアは『アイドル』という名目を外し、個々のメンバーが活躍できる場を広げる応援をしてあげてもいいのでは」と語る。

SMAPの活動が結成後約30年に及ぶことに触れ、「こうしたグループは世界的にも数少ない。よくぞここまで続けた」と労った。

(産経新聞 2016年01月14日)