碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

「あなたのことはそれほど」 共感できないヒロインに興味 

2017年06月25日 | 「毎日新聞」連載中のテレビ評



毎日新聞のリレーコラム「週刊テレビ評」。

今回は、ドラマ「あなたのことはそれほど」について書きました。


「あなたのことはそれほど」 
共感できないヒロインに興味

今期は、「小さな巨人」(TBS系)、「緊急取調室」(テレビ朝日系)、「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」(フジテレビ系)など刑事ドラマが林立していた。おかげで目立ったのが、今週最終回を迎えた「あなたのことはそれほど」(TBS系)である。

ヒロインは、優しい夫・涼太(東出昌大)との2人暮らしに物足りなさを感じていた美都(波瑠)。中学時代に憧れていた同級生・有島(鈴木伸之)と出会い、不倫関係に陥る。原動力は美都がこの再会を「運命」と感じたことだ。一方の有島は妻・麗華(仲里依紗、好演)の出産という、実にわかりやすいタイミングだった。

このドラマが異色なのは、主な登場人物である4人の誰にも「共感」できない、もしくはしづらいことだ。何よりヒロインである美都のキャラクターが乱暴で、既婚者意識や倫理観どころか、躊躇(ちゅうちょ)という文字さえほとんどない。

また不自然な笑顔で美都への愛情を主張する涼太。美都にとっては「運命の人」かもしれないが、夫としても愛人としても軽過ぎる有島。そして、じわじわと怖くなっていく麗華。いわゆる「共感」とは距離のある人物ばかりである。

美都の暴走や涼太の狂気には息苦しいコンプライアンス社会からの無意識の脱出、逃走という要素があったのかもしれない。結果的に多くの視聴者の関心を集め、特に若者たちの間で話題になった。

大学の二つの授業で、学生たちに「見ている人は?」と聞いてみて驚いた。ある授業では、なんと約60%の学生が、そして別の授業でも約50%の学生が手を挙げたのだ。過去20年、同様の“教室内視聴率調査”を行ってきたが、この数字はとびぬけて高い。同じ枠の「逃げるは恥だが役に立つ」や「カルテット」も遠く及ばない。

視聴理由については、「縛られないヒロインの行く末」「正常な人がいないドラマ」「罪悪感のない妻とサイコパスな夫」「普通に見えた人が徐々に変わっていく怖さ」などが並んだ。

全体として、ヒロインに対して一般的な「共感」を抱いているわけではなく、また単純な「反感」でもない。自分たちとは大きく異なるがゆえに気になる。むしろ共感できないからこそ見たい。いわば、のぞき見感覚で4人の様子を観察していたようだ。また制作側によるフェイスブックやツイッターなどSNSを活用した情報発信も有効だった。

若者のテレビ離れ、ドラマ離れがずっと言われてきた。今回の局地的調査によれば、「あなたのことはそれほど」は、この20年間で「大学生に最も見られたドラマ」ということになったのだ。

(毎日新聞 2017年6月23日)



産経新聞で、放送10周年の「和風総本家」についてコメント

2017年06月24日 | メディアでのコメント・論評



テレ東系「和風総本家」放送10年
「日本の良さ」丹念に発掘

伝統文化や最新技術を取り上げて日本の良さを再発見するテレビ番組が人気だ。その元祖ともいえるのが、放送開始から10年を迎えたテレビ東京系のクイズバラエティー番組「和風総本家」(木曜午後9時)。当初は内容が時流になじまない面もあり苦戦したが、今や他局も追随する一大ジャンルとして確立した。転機はどこにあったのか、番組の歩みを検証する。 【三宅令】

放送開始は平成20年。それ以前は、TBS系バラエティー番組「ここがヘンだよ日本人」など外国人が日本のおかしなところを指摘して討論する内容などが主流で、「和風-」の開始時にもそうした風潮が残っていた。

「当初は苦戦しました」と番組の庄田真人プロデューサー(テレビ大阪)は振り返る。

転機となったのは、23年の東日本大震災だ。「がんばろう日本」という復興の合言葉に象徴されるように、日本らしさが見直され、再評価されるようになった。さらに25年、2020年東京五輪の開催が決まり、和食がユネスコ無形文化遺産に登録されたことで機運も高まった。

「和風-」の視聴占拠率(テレビをつけていた世帯のうち、その番組を見ていた割合)を見ると、震災前の平均8・7%が、震災後には11・8%と大幅に伸びた。現在も11%台と高水準を保っている。

上智大の碓井広義教授(メディア文化論)は「当時の日本は、長く続く不景気とともにグローバル化という名の欧米ナイズを強いられて疲弊していた。震災が追い打ちをかけ、日本ならではのものが世界に通用することを示し、『日本はダメじゃない』と励ましてくれる番組が受けた」と指摘する。

番組内の企画「世界で見つけた Made in Japan(メード・イン・ジャパン)」は特に大きな反響を呼んだ。25年末に放送された回では、イタリアで楽器修復職人が愛用するミニのこぎりに着目。それを作った廃業寸前の新潟県の職人技術に光を当てた。放送後、注文が殺到し、伝統技術存続のきっかけを生んだ。

同番組の成功後、他局でも、「とっておき日本~外国人が見つけた素晴らしい日本の街~」(TBS系)、「世界が驚いたニッポン!スゴ~イデスネ!!視察団」(テレビ朝日系)など日本の良さを再発見する番組が目立つように。「和風-」の庄田プロデューサーは「長く続いた番組ならではのテーマの深掘りと発見感を今後も大事にしていきたい」と話している。

(産経新聞 2017.06.20)

「アメトーーク!」 偏愛芸人が教える豊かな人生のヒント

2017年06月23日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、テレビ朝日系「アメトーーク!」について書きました。


テレビ朝日系「アメトーーク!」
偏愛は生きる支えとなる

オトナの男が見たいと思うバラエティー番組はそう多くない。その意味で、「アメトーーク!」は貴重な一本だ。放送開始から14年。立派な長寿番組だが、がぜん面白くなってきたのは「○○芸人」という“鉱脈”を掘り当ててからだろう。

たとえば、つい商品を買いたくなってしまう、土田晃之などの「家電芸人」。細部へのこだわりに驚かされる、品川祐たち「ガンダム芸人」。また再現度がハンパじゃなかったのが、劇団ひとりや博多華丸の「海外ドラマ『24』芸人」だ。

「○○が好きだ!」という偏愛宣言と、「○○のここがスゴイ!」というウンチク披露。何より、いかにそれが好きかを語る彼らの偏愛は本物感に満ちている。しかもビジネスのためではない。好きなものと真摯に向き合い、突き詰めているのだ。

番組で語っているので、結果的にはビジネスになっているが、その本質は“無償の愛”だ。喜々として「○○愛」を語る彼らを見ていると、偏愛は人生を豊かにするだけでなく、時には生きる支えとなることがわかる。

物や趣味への偏愛ならば、自分だけの価値観で行動できる。また愛する対象から不当に傷つけられることもない。「○○芸人」はもちろん、「○○ビジネスマン」や「○○女子高生」も大いに結構。偏愛の井戸を深掘りすれば、人生はより楽しくなるはずだ。

(日刊ゲンダイ 2017.06.21)

産経WESTで、出演者の「番組降板&出演自粛」について解説

2017年06月22日 | メディアでのコメント・論評



【豊田昌継の甘辛テレビ】
“小出恵介問題”とどこが違う? 
番組降板&出演自粛の境界線は…
「ぷいぷい」だけじゃない放送業界のモヤモヤ感


“文春砲”も小出騒動の影に隠れ…

MBSテレビの看板番組「ちちんぷいぷい」(月~金曜午後1時55分)でニュース解説を担当する、同局の“ニュースのおっちゃん”こと石田英司さん(57)が、5億円の私的流用を国税局から指摘されたNPO法人会長への過度な取材便宜や不倫を、8日発売の「週刊文春」で報じられました。

MBSは同日放送分で便宜を否定。石田さんは不倫に関しては「不徳の致すところです」と、事実上認め謝罪したものの、番組降板などはなく、現在も出演し続けています。

このニュース、関西ローカルで、しかも、俳優の小出恵介さんの未成年女性との飲酒&淫行で無期限活動停止という話題と日が重なったこともあり、メディアで取り上げられることはほとんどありませんでした。今でも多くの人が「そんなことがあったの?」といった感じでしょう。

ただ、知っている人の中には「えっ、謝罪だけ?」と違和感を持った人もいるのではないでしょうか。実際、ネット上には〈降板すべき〉など批判の声が一時は少なからず寄せられたようです。そこで、今回は寝かかっている子を起こすようなテーマ「番組降板&出演自粛の境界線」について触れたいと思います。

あの人も、この人も

今回、NPO団体会長への便宜については同局の社内調査の結果を尊重したいと思います。ただ、降板などにならなかった点に関して内外で聞いた話を総合すると、こんな背景が浮かび上がってきました。

〈昨年6月、元MBSアナウンサーで、同ラジオの情報番組のメインパーソナリティーを務める子守康範さんが週刊誌で「不倫」が報じられたが、番組打ち切りは免れた〉

さらに-。

〈平成24年には、読売テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」の司会を務める宮根誠司さんがやはり週刊誌で「隠し子」が報じられたが、このときもほぼ無傷で乗り切った〉

だから-。

いささか強引かもしれませんが、前例からそう筋立てても決して不思議ではないと思います。

僕はあの日、豪快なキャラクターの石田さんなら思い切った発言があるかもしれないと注目していただけに非常に残念でした。ただ一方で、こうして指摘・批判して降板や出演自粛に追い込むだけでいいのか。そんなモヤモヤ感も僕の中には充満しています。

そこで、小欄でもおなじみ、元MBSプロデューサーの影山貴彦同志社女子大教授(メディアエンターテインメント論)を直撃しました。

身内に甘い放送業界

影山教授は「報道に携わる者だけに、局が降板させるべき」としたうえで、「不祥事の対応は以前よりも迅速になったが、事件ならアウトで、それ以外なら謝罪と反省で一丁上がりみたいな風潮はやがて組織の信用を失う。外へ出てよく分かるが、放送業界は身内に甘い体質がある。一方で視聴者の業界を見る眼は日々厳しくなっている。襟を正すことはやはり大事だと思う」。

非常に厳しい意見で、古巣への思い入れの強さが伝わってきます。

もう一人、碓井広義上智大教授(メディア文化論)にも意見を聞きました。東京から俯瞰(ふかん)で見ていただきたいと思ったのです。

碓井教授は、降板や出演自粛の境界線として、(1)その人が何をしたか(犯罪や反社会的行為から、今回のような倫理観、さらに人としての失敗に至るまで)(2)当事者の人物像やランク付け、キャラクターなど複合的要素でジャッジされる-としたうえで、こんな見解を示してくれました。

いろんな矢が飛んでくる“1億総文句言い”時代

「以前なら、それらをメディアが自分たちで判断していました。ところが、現代のような『1億総文句言い』の時代になると、降板させるさせないのどちらに判断してもいろんな矢が飛んでくる。なかなかきれいに裁けない。となると、最も影響力のある『ネット世論』を横目に、あいまいなままおずおずと模様眺めするしかない。でも、それはメディアだけではなく、政界や経済界でも同じことが言えます。豊田さんがいわれる『モヤモヤ感』とは、そんなところじゃないでしょうか」


なるほど。見事に言い当ててくれました。「ぷいぷい」は4年前の小欄スタートの際、いの一番に取材した、僕にとっても思い入れのある番組。「聖人君子たれ」と奇麗事は言いませんが、報道の世界に身を置く以上、覚悟を持って仕事に臨みたいものです。自戒も込めて。【豊田昌継】

(産経WEST 2017.6.19)

「アンアン」で、『アメトーーク!』が愛される理由について解説

2017年06月21日 | メディアでのコメント・論評



『アメトーーク!』には、
“とくめく人を見る喜び”が溢れてる。

なんとanan総研内視聴率70%超え!の人気バラエティ番組『アメトーーク!』。特に人気が高いのが、“何かを大好き”な人たちが登場し、その“偏愛ぶり”を語る通称<◯◯大好き芸人>の回。物事に熱い気持ちを抱くことを肯定した、この番組の魅力を、『アメトーーク!』演出、ゼネラルプロデューサー・加地倫三さん、上智大学教授・碓井広義さん、心理カウンセラー・塚越友子さんが解説する。

14年前の深夜に始まったこの番組。毎週異なるテーマの中で、何かを愛する芸人たちがその思いを熱く語る<◯◯大好き芸人>というシリーズは、“ときめく気持ち”が溢れる夢のような企画だ。スタートは、’06年に放送された<フリスク芸人>だった。

「ある収録のとき、スタジオの横にある前室にいた芸人たちが、揃ってフリスクを食べていて。ミントのタブレットが人気だったこと、そして“◯◯芸人”という言葉が出始めた時期だったこともあり、彼らを見て、“みんな、フリスク芸人じゃん”なんて話になったんです。その前から、一つのテーマについてしゃべる“くくりトーク”という形で番組を作ると、おもしろいし評判がいいという手応えはあったので、ならば“フリスクが好き”くくりで1回やる? ってことになり、制作してみたのが最初です。深夜にもかかわらず、10%を超える視聴率を獲りました。驚きましたね」(『アメトーーク!』演出、ゼネラルプロデューサー・加地倫三さん)

そこから始まった<◯◯大好き芸人>という切り口。以降、芸人たちからの“愛を語らせて!”というプレゼン企画を経て、ガンダム、BOOWY、家電、ドラえもん、キングダムなど様々な偏愛が語られ、いずれも高い視聴率を獲得。上智大学教授でメディア文化論が専門の碓井広義さんは、“恋愛以外の愛”を世間が肯定しだしたのは、この番組がきっかけだと語る。

「『アメトーーク!』に登場し、いかにそれが好きかを語る皆さんの“愛”は、本物感が強く、しかも“ビジネスとしての偏愛”が一人も登場しない。好きなものと真摯に向き合い、突き詰める。番組で語っているので結果的にはビジネスになってはいますが、その本質は“無償の愛”。それを楽しそうに語る彼らを見ていると、偏愛は、人生を楽しく豊かにしてくれ、人によっては、生きる支えになっていることがわかります。“何かを好きになるって、素敵だ”と、心の底から思うことができる」(碓井さん)


人は、好きなことについて思い切り語ることで達成感が満たされ、加えて聞き手が興味を持って聞いてくれることで、称賛欲求も満たされる、と言うのは、心理カウンセラーの塚越友子さん。

「偏愛について語る芸人の高揚感は、ある意味、ゾーンに入ったスポーツ選手と同じ。白熱した素晴らしい試合に観客が興奮するのと同じように、ゾーン状態の芸人さんを見るのは、視聴者にとっても非常に気持ちがいい体験です」

偏愛が素敵。世間の意識が変化する、そのトリガーを引く要因の一つは確かにこの番組だった。しかしそこには、時代の流れも大きく関わっていたのでは? 塚越さんと碓井さんはそう分析する。

「時代によって価値観は変わります。カウンセリングに来る人たちの悩みの傾向から見ると、恋や友情という“誰かと一緒にいること”に悩むくらいなら、個人主義であることを支持する、という人が増えつつあります」(塚越さん)

「恋愛は他者との関係の中で成り立つもの。だからこそ、相手と価値観をすり合わせる中で、ストレスや敗北感を感じることも。でも物や趣味への偏愛ならば、自分だけの価値観で行動でき、さらに人と自分を比べることもなく、極端に言えば愛する対象から傷つけられることもない」(碓井さん)

学生と向き合う中で碓井さんは、現在は恋愛よりも偏愛の時代なのでは、と感じるという。

「かつては好き=恋愛でしたが、今はそうは言い切れません。恋が終わったというわけではないのでしょうが、それだけにうつつを抜かすのはダサい、という空気は感じます。何かを好きになり極めていけば、知識も広まり深まり、さらには新しい付加価値が身につき、それが魅力となる。逆に言えば、ただルックスがいい、優しいだけではダメで、もう一つ“意外な才能”=何かを偏愛している、ということがないと、恋愛においても魅力的だと思われない時代になってきているのかもしれません。“何も好きじゃない人は、寂しい人”という価値観の広がりと言ってもいいでしょう」(碓井さん)


「“追求する力”“こだわって何かを成し遂げる力”を持つ人が評価され、成功する時代になってきたこともある。わかりやすい例で言えば、アップルの創業者であるスティーブ・ジョブズなどがそう。彼のアップルに対する強い愛、こだわりは、会社を成功させただけではなく、世界をも変えた。今の世の中においては、自分もそんな力を持ちたい、そういう人になりたい、という憧れを抱く人が多い。偏愛を語る人がたくさん登場するこの番組に支持が集まる理由は、そんなところにもあるような気がします」(塚越さん)


かぢ・りんぞう テレビ朝日社員。他に『金曜★ロンドンハーツ』や『チェンジ3』でゼネラルプロデューサーを務める。

うすい・ひろよし 制作会社「テレビマンユニオン」での番組制作を経て、’94年より教鞭を。好きな回は<ガンダム芸人>と<家電芸人>。

つかこし・ともこ 「東京中央カウンセリング」代表。雑誌やテレビなどで幅広く活躍中。<宅配芸人><ガラスの仮面芸人>の回が好き。

【取材、文・河野友紀】

(anan 2017年6月21日号)

あと数回となった“幸福な一人飯” 「孤独のグルメ」を味わい尽くしたい!?

2017年06月20日 | 「ヤフー!ニュース」連載中のコラム



今年上半期のテレビ界、あちこちで“食ドラマ”を目にしました。「ホクサイと飯さえあれば」(TBS系)、 「野武士のグルメ」(ネットフリックス)、 「ワカコ酒」(BSジャパン )、「幕末グルメ ブシメシ!」(NHK)などです。

しかし個人的には、あと数回を残すのみとなった「孤独のグルメ Season6」(テレビ東京系)が、最もフィットする食ドラマです。


定番の味「孤独のグルメ」

開始から5年。「孤独のグルメ」はシリーズも6を数え、すっかり深夜の人気定食、いえ人気の定番となりました。

何がいいかと言えば、「変わらないこと」ですね(笑)。主人公の井之頭五郎(松重豊)が、出かけた先の町で早々に仕事を済ませ、食べもの屋に入るというパターンは、ずっと変わっていません。

今期も、新宿は淀橋市場の豚バラ生姜焼き定食を、世田谷区太子堂の回転寿司を、また千葉県富津のアジフライ定食を、どれもうまそうに食べています。しかも、このドラマの名物である五郎のモノローグというか、心の中の声がよりパワーアップしているのです。

たとえば渋谷道玄坂の「長崎飯店」。皿うどんに入っていた、たくさんのイカやアサリに、五郎は心の中で「皿の中の有明海は、豊漁だあ~」と感激です。また春巻きのパリパリした食感について、「口の中で、スプリングトルネードが巻き起こる」と熱い実況中継を展開します。

さらに追加注文の特上ちゃんぽんに、長崎ソースをドバドバかけて食べながら、「胃ぶくろの中が『長崎くんち』だ。麺が蛇踊りし、特上の具材が舞い、スープが盛り上げる。最高のちゃんぽん祭りだ!」と、驚いちゃうほどの大絶賛です。

もしもこれを情報番組などで、若手の食リポーターが語っていたら噴飯ものでしょう。きっと「オーバーなこと言ってんじゃないよ!」と笑われてしまいます。

しかし、我らが五郎の言葉には、“一人飯(ひとりめし)のプロ”としての説得力があります。「食への好奇心」、「食への感謝の気持ち」、そして「食に対する遊び心」の3つが、過去のシリーズ以上に“増量”されているからです。


最近の「食ドラマ」

そういえば、「孤独のグルメ」をはじめ、最近の食ドラマは主役1人で成立させているものが多いですね。

かつて「一人飯」は「ぼっち飯」などとも言われ、マイナスイメージが強かった。でも、いまどきは未婚や晩婚に加え、離婚も増えたりして、個の自由を大切にする考えが広まり、「一人飯」が共感を呼ぶようになったのではないでしょうか。

しかも、最近の食ドラマに出てくるのは、高級店や高級食材ではなく、普通の食堂や食材が中心です。デフレが日常化する中で、無理をしなくても手が届く幸せを、じんわりと肯定してくれているのです。

あと数回の幸福な一人飯「孤独のグルメ」。その“定番の味”を、まさに味わい尽くしたいと思います。


ヤフー!ニュース「碓井広義のわからないことだらけ」
https://news.yahoo.co.jp/byline/usuihiroyoshi/


【気まぐれ写真館】 セミナーで、幕張 2017.06.19

2017年06月20日 | 気まぐれ写真館

【気まぐれ写真館】 新木場から見る東京スカイツリー 2017.06.19

2017年06月20日 | 気まぐれ写真館

【気まぐれ写真館】 東京12大学フェア in 福岡 2017.06.18

2017年06月19日 | 気まぐれ写真館



















【気まぐれ写真館】 現在、福岡出張中 2017.06.17

2017年06月18日 | 気まぐれ写真館

福岡・天神にて


福岡の喫茶店では、コーヒーと一緒に生クリームが出てきます!


ブレンドが美味しい庵道(あんどう)珈琲店。豆、買っちゃいました。



毎日新聞で、「食ドラマ」について解説

2017年06月18日 | メディアでのコメント・論評



「食ドラマ」花盛り
「孤独のグルメ」「宮沢賢治の食卓・・
多様な内容、手の届く幸せの肯定

食べ物を題材にした「食ドラマ」が花盛りだ。4月スタートのドラマでは、このジャンルを確立したとされるテレビ東京系「孤独のグルメ」のシーズン6(金曜深夜0時12分)や、女性の1人酒を描いたBSジャパンの「ワカコ酒」のシーズン3(同午後11時半)が放送中。今月17日にはWOWOWの「宮沢賢治の食卓」(土曜午後10時)がスタートするなど、各局が競い合い、内容が多様化している。その人気の秘密を探った。【犬飼直幸】

「孤独のグルメ」は、松重豊演じる中年の輸入雑貨商の井之頭五郎が、仕事先でふらっと店に入り、好きな物を食べる様子をひたすら映す番組。2012年1月に第1弾が始まるとファンが増え、シリーズ化した。

「ドラマ」といっても、五郎の過去や深い人間関係は、ほとんど出てこない。番組の企画から関わってきた吉見健士プロデューサー(共同テレビ)は「そういったドラマ性は削った。ストーリーを追う必要がなく、視聴者は入りやすい」と語る。

「ある種のドキュメンタリー」というように、五郎が実在する店に入って注文し、思うがまま食べ、つかの間の自由を感じて帰って行くのが定番パターン。その間のセリフは、五郎の頭の中のモノローグ(独白)が大半で、視聴者を飽きさせない松重の食べっぷりと存在感に加え、焼き肉を食べながら「俺はまるで人間火力発電所だ」と優越感に浸るといった名セリフも魅力だ。「1人めしを描きたかった。僕も昼ご飯は1人が気楽。そこで人って会社などから離れて自由になれるんだと、視聴者に感じてもらえているのではないか」

最近の食ドラマブームの先駆けは、09年10月放送の「深夜食堂」(TBS系)と言われる。東京・新宿でマスター(小林薫)が深夜に営む居酒屋を舞台に、「ワケ有り」の客たちの思いが、料理の一品を通じて描かれる人情ドラマで、吉見プロデューサーもリスペクトしている。

食ドラマは「深夜食堂」以降、「孤独のグルメ」のほか、若い女性1人を主人公にしたり、刑事やヤクザ、武士を登場させたり、文豪の食事情をテーマにしたりと、さまざまに枝分かれしてきた。放送は深夜枠が多く、仕事で疲れて帰宅した後、気楽に見られる番組を求める視聴者にぴったりだったといえる。「深夜食堂」「孤独のグルメ」など漫画原作のドラマ化が多いのも特徴で、「食漫画」の繁栄と並行して発展してきた。

「宮沢賢治の食卓」も漫画が原作だが、「孤独のグルメ」とは対照的にドラマ性重視だ。宮沢賢治(鈴木亮平)の知られざる青年時代に焦点を当て、コロッケや焼きリンゴ、鶏南蛮そばなど賢治の好物を通じて、最愛の妹トシ(石橋杏奈)や恋人、教師を務めた農学校の生徒らと「幸(さいわい)」を分かち合う姿を描く。

武田吉孝チーフプロデューサーは「『食』は人間にとって不可欠であるとともに、一番ささやかに幸せを味わえる行為。だからこそいろんな食ドラマが存在してきた。その中で、賢治が提供する料理を媒介としながら、どのように隣人を愛し、悩んだかを伝えたい」と話す。

上智大学の碓井広義教授(メディア文化論)は、「孤独のグルメ」などを例に、最近の食ドラマは主役が1人であることが多いことを指摘。「かつては『1人めし』などにはマイナスイメージが強かったが、未婚や晩婚が増えたりして個の自由を大切にする考えが広まり、共感を呼ぶようになった」と分析する。その上で「出てくるのは、高級店や高級食材ではなく、普通の食堂や食材ばかり。デフレが長引く中で、1人でも手が届く幸せを肯定してくれた」と強調する。
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 ■今年の主な「食ドラマ」

<1月開始>
「ホクサイと飯さえあれば」 TBS系
<3月開始>
「野武士のグルメ」     ネットフリックス
<4月開始>
「孤独のグルメ」シーズン6 テレビ東京系
「ワカコ酒」 シーズン3  BSジャパン
<6月開始>
「幕末グルメ ブシメシ!」 NHK総合
「宮沢賢治の食卓」     WOWOW
「孤食ロボット」      日本テレビ系
<7月開始>
「居酒屋ふじ」       テレビ東京系
「さぼリーマン甘太朗」   テレビ東京系

(毎日新聞夕刊 2017.06.16)

書評した本: 石川結貴 『スマホ廃人』ほか

2017年06月17日 | 今週の「書評した本」



「週刊新潮」に、以下の書評を寄稿しました。

石川結貴 『スマホ廃人』
文春新書 799円

実はツイッターやフェイスブックどころか、携帯メールもやっていない。携帯電話はガラケーを愛用しており、スマホへの変更予定もない。それで不便なく生活し、仕事もしている。

理屈ではなく感覚的にというか本能的にというか、スマホを持つことで増えそうなストレスを回避してきたのだと思う。石川結貴『スマホ廃人』を読むと、そんな選択があながち間違っていなかったと分かる。

まず中高生とLINEやツイッターの関係が心配だ。連絡を取り合うには便利だが、時間や状況にかかわらずつながってしまう「常時フォロー」の負担が大きい。また、「学年LINE」など“招待制”のシステムでは、仲間はずれになることへの不安だけでなく、所属するグループのランクもプレッシャーになるという。

本書では大人たちの実例も豊富だ。手軽で、身体感覚にマッチし、刺激も得られるスマホは無自覚な依存に陥りやすい。特に子供だけでなく大人も引き込むスマホゲームは一兆円産業に近づく勢いだ。巨大ビジネスが導く、「廃人」への道に著者は警鐘を鳴らす。

それに対し、「スマホは単なる道具。リスクと対処法を知れば怖くない」と説くのが小木曽健『大人を黙らせるインターネットの歩き方』(ちくまプリマ―新書)だ。著者はネットゲーム会社「グリー」の安心安全チームマネージャー。時間を奪うからとネットやスマホをやめるのではなく、どのように使い方を改善するかを提案している。


土方明司ほか:著 
『リアル(写実)のゆくえ~高橋由一、岸田劉生、そして現代につなぐもの』

主婦の友社 3240円

人はなぜ、「写実絵画」に魅了されるのか。信じられないほど精緻な描写の背後に、作者の“狂気”ともいえる執念を見るのかもしれない。明治期から戦後までの名作を通じて写実表現の世界を探る本書は、今年、全国各地を巡回する同名美術展の公式図録でもある。


数多久遠 『半島へ 陸自山岳連隊』
祥伝社 1728円

北朝鮮で内部崩壊が始まった。自衛隊は生物兵器の奪取作戦と拉致被害者救出作戦を同時に決行する。小説とはいえ自衛隊、政府、マスコミ、北朝鮮軍、それぞれの動きは緊迫感に満ちてリアルだ。著者は元自衛官。新聞記者が秘密保護法違反容疑で拘束される場面も。  

(週刊新潮 2017.06.15号)


【気まぐれ写真館】 四谷夕景 2017.06.15

2017年06月16日 | 気まぐれ写真館

1960(昭和35)年6月15日に・・・

2017年06月15日 | 本・新聞・雑誌・活字
当時の新聞紙面


安保改定阻止を叫ぶ全学連主流派学生約2万人が国会正門前で集会の後ジグザグデモ、国会構内で抗議集会を行おうと衆院南通用門に押しかけた。これを阻止しようと警官隊は放水で応戦したが約1000人の学生が構内に突入。衝突した際に、東大生、樺美智子さん(22歳)が死亡した。負傷した学生406人が病院に収容され、175人が逮捕された。警官隊175人も負傷した。「6.15事件」と呼ばれる。

(毎日新聞 昭和のニュースより)


・・・樺美智子さんが亡くなってから、57年目の6月15日。

もしも生きていらしたら、今年の秋に80歳になっていたはずです。

合掌。

深夜ドラマ「怪獣俱楽部」が醸しだす“秘密結社的”な楽しさ

2017年06月15日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、深夜ドラマ「怪獣倶楽部~空想特撮青春記」について書きました。


毎日放送制作「怪獣倶楽部~空想特撮青春記」
同好の士と語り合う、秘密結社的な楽しさ

深夜ドラマ「怪獣倶楽部~空想特撮青春記」(毎日放送制作)がスタートした。

舞台は1970年代。主人公の大学生・リョウタ(本郷奏多)は、特撮怪獣好きの仲間たちと同人誌を作っている。そこに掲載する内容をめぐって、喫茶店で交わされる熱い議論がこのドラマのキモだ。

第1回に登場したのは、実相寺昭雄監督が演出した「ウルトラセブン」4本のうちの1本、「狙われた街」だった。地球侵略をもくろむメトロン星人が、吸引すると凶暴になる薬を自販機のたばこに仕込み、社会を混乱させるという物語だ。

狙いは人間同士の“信頼感”を破壊することにあった。古いアパートの四畳半で、セブンとメトロン星人がちゃぶ台をはさんで向かい合う、実相寺監督らしいシュールな設定で知られる異色作だ。

リョウタたちは、この作品のテーマや実相寺監督と脚本の金城哲夫の組み合わせ、作曲家・冬木透による音楽などについてマニアックなやりとりを展開していく。

大人が特撮怪獣好きを公言するのが、やや恥ずかしかった時代だ。同好の士と好きなものについて思いきり語り合う、秘密結社的な楽しさがここにある。

「狙われた街」が放送されたのは67年の秋だ。今年は放送50周年、そして10年前に没した実相寺監督の生誕80年にあたる。

はるか星のかなた、“怪獣墓場”あたりで監督が苦笑いしているかもしれない。

(日刊ゲンダイ 2017.06.14)