碓井広義ブログ

<上智大学教授のメディア時評> 見たり、読んだり、書いたり、話したり、時々考えてみたり・・・

週刊現代で、ベッキー「涙の謝罪」放送についてコメント

2016年05月25日 | メディアでのコメント・論評



発売中の週刊現代で、ベッキー「涙の謝罪」放送についてコメントしました。

以下は抜粋です。

詳しい内容は本誌をご覧ください。


ベッキー「涙の謝罪」
公共の電波を使ってまでやることですか?  

記事では、

 ・TBS「金スマ」で放送された、中居正広との「対話」の内容
 ・結果的に高視聴率獲得
 ・局内が浮かれムードだったこと

などが述べられた後・・・

しかし、ちょっと待ってほしい。常識ある人ならば、「彼らはどこかズレている」と思うのではないだろうか。

上智大学・碓井広義教授が言う。

「考えてみれば、当事者であるベッキー、川谷さん、離婚した彼の元奥さんの3人で話し合えば済む問題。わざわざテレビを使って見せ物にする必要はありませんよね。

結局、関係者は『ベッキーの商品価値が落ちる前に出したい』というビジネス上の都合しか考えていない。そこに『川谷さんの元妻がどう思うか』といった配慮や見識はまったくないわけです」


川谷の元妻は放送後、「ベッキーは、私に謝罪する前に『金スマ』の収録を終え、しかもそのことを謝罪時点で隠していた」という旨を明らかにしている。

確かに、この経緯が事実であれば、「筋が違う」と糾弾されても仕方がないだろう。

さらに、こうした「筋論」以上に強調しておきたいのは、「そもそもこれが、ゴールデンタイムの枠を使って全国民に喧伝すべき映像だったのか」ということである。

ひとりの女性タレントが涙を流す姿を、曲がりなりにも「公共の電波」にのせて大げさに放送することに、いったいどのような社会的意義があったというのか。

「本当にベッキーは『国民的タレント』なのでしょうか。大女優でもなければ、名司会者でもない。厳しい言い方をすれば、『ベッキーをどうしても見たい』という視聴者がどれほどいるのか疑問です」(前出・碓井氏)

――中略――

視聴率を稼ぐのが、テレビ局にとって最大の使命であることは分かる。だが大人の視聴者もいるのだから、モノには限度があるだろう。

(週刊現代 2016.06.04号)



主演女優が光る、今期ドラマ3本

2016年05月24日 | 「ヤフー!ニュース」での連載



今期ドラマが中盤に入ってきている。ドラマというと、いつも視聴率が話題になるが、録画やオンデマンド配信などドラマの見方の多様化で、視聴率だけでは語れない時代に変わっているのも事実。数字が低い=つまらないとは言い切れないのだ。たとえば今期、主演女優が光るドラマ3本を見逃す手はない。


黒木華の『重版出来!』(TBS系)

タイトルの『重版出来!』は、「じゅうはんしゅったい」と読む。本など出版物の増刷がかかることだ。重版となれば、いわばお札(さつ)を印刷するようなもので、出版社が儲けるのはそこからだとも言われている。また重版出来は多くの読者を獲得した証しであり、著者や版元にとって達成感も大きい。

主人公は、コミック誌「週刊バイブス」の新米編集者・黒沢心(黒木華)だ。勤務している大手出版社・興都館(こうとかん)は小学館を思わせる。ならば、「バイブス」は「週刊スピリッツ」で、編集長(松重豊)が最大のライバルだと言う「エンペラー」は「週刊ヤングジャンプ」か、などと想像しながら見るのも楽しい。本物の漫画家たちがドラマのために描く、架空の漫画作品も見どころだ。

心はバリバリの体育会系女子で、ケガをするまでは柔道の日本代表候補だった。その頑健さ、元気、明るさ、さらに相手との絶妙な間合いのとり方や勝負勘も武器になっている。

これまで黒木が映画「小さいおうち」や大河ドラマ「真田丸」などで演じてきた、“和風でおっとり”したキャラクターとは大きく異なるヒロインだが、このドラマではコメディエンヌとしての才能も発揮しながら生き生きと演じているのだ。

また脇を固める編集部の面々がクセ者ぞろいだ。前述の松重のほかに、指導係の先輩がオダギリジョー、編集部員として安田顕や荒川良々、そして社長の高田純次もいる。

彼らが繰り出す芝居の波状攻撃を、黒木は一人で受けて立ち、きっちりと技を返していく。とても連ドラ初主演とは思えない。

漫画家の世界やコミック誌の現場を垣間見せてくれる“お仕事ドラマ”として、また20代女性の“成長物語”として、見てソンのない1本になっている。


前田敦子の『毒島ゆり子のせきらら日記』(TBS系)

あっちゃんが頑張っている。『毒島(ぶすじま)ゆり子のせきらら日記』の前田敦子だ。AKB48を卒業後、何本もの映画やドラマに出演してきたが、今回が“女優・前田敦子”史上最高の出来かもしれない。

ゆり子(前田)は新聞社の政治部記者。仕事は未熟だが、恋愛には積極的だ。ただし父親の不倫で家庭崩壊を経験しており、「男は必ず女を裏切るから、自分が傷つかないよう、先に男を裏切る」が信条となっている。2人の彼氏がいて“二股”にもかかわらず、既婚者であるライバル紙の敏腕記者(新井浩文)にも魅かれて、つまり“三股”になったりする。

普通ならヒンシュクを買いそうなヒロインだが、予想以上に大胆な濡れ場も含め前田が大健闘していて、憎めない。ネタを取るため必死で政治家を追いかける姿は健気だし、男たちの前で見せる、恋する女の湿度の高い表情も悪くない。うーん、あっちゃんもオトナの女性になったもんだ。

仕事とプライベートの両面をテンポよく描くオリジナル脚本(矢島弘一)の牽引力とも相まって、「深夜の昼ドラ」のうたい文句に偽りはない。ゆり子が最後にどうなるのか、見届けたくなる。


石田ゆり子の『コントレール〜罪と恋〜』(NHK)

今期ドラマは中盤戦の真っ最中だが、見逃してはならない1本がある。石田ゆり子主演『コントレール〜罪と恋〜』だ。

通り魔事件に巻き込まれて亡くなった夫。残された妻(石田)は夫に愛人がいたことを知る。事件現場に居合わせた弁護士(井浦新)は犯人と揉み合い、結果的に石田の夫を殺してしまう。井浦はショックで声が出なくなり、弁護士を辞めてトラック運転手となった。

6年後、街道沿いで食堂を営む石田。出会った井浦に魅かれるが、はじめのうちは、その素性を知らない。また井浦は自分が殺めた男の妻だと分かるが、石田へと傾斜していく。しかも、かつて事件を担当した刑事(原田泰造)も石田に思いを寄せていた。さて、3人の運命は・・・というドラマである。

石田が演じる45歳の未亡人が何ともセクシーだ。幼い息子の母親としての自分と、一人の女性としての自分。その葛藤に揺れながらも、あふれ出す情念を抑えきれない。鏡の前で、久しぶりにルージュを手にする石田の表情など絶品だ。

井浦にとっても、会ってはならない女性との危うい恋だ。失声症だった井浦が、ベッドの上で石田の名を呼べた時の戸惑いと喜び。その心情の複雑さも、脚本の大石静がきっちり描いている。

大人の女性のココロとカラダが、今後どう動くのか。鮮やな軌跡を見せ、やがて消えていくコントレール(ひこうき雲)から目が離せない。

(Yahoo!ニュース個人 2016.05.21)


書評した本: 堀埜浩二 『ももクロを聴け!』ほか

2016年05月23日 | 今週の「書評した本」



「週刊新潮」の書評欄に書いたのは、以下の本です。

堀埜浩二 
『ももクロを聴け!〜ももいろクローバーZ 全134曲 完全解説』

ブリコルール・パブリッシング 1,944円

ももクロを知らない人には発見が、知っている人には再発見がある一冊。本人たちやパフォーマンスではなく、ひたすら楽曲を分析。日本の音楽史を踏まえながら、「体裁はポップだが、本質はかなりハードなロック」などと言い切る姿勢が潔い。あとは聴くだけ。


青木圭一郎 『昭和の東京 映画は名画座』 
ワイズ出版 2,376円

学生時代を過ごしたのが昭和で、趣味は映画だという元・若者なら、思わずタイムスリップしてしまうことだろう。新宿名画座ミラノ、渋谷全線座、池袋文芸坐地下などで、当時どんな作品が上映され、雰囲気はどうだったのか。建物の内外やプログラムの写真も貴重だ。


とみさわ昭仁 『無限の本棚 手放す時代の蒐集論』 
アスペクト 1,598円

著者は神保町のマニタ書房店主。元々ライターだった男が、いかにして“古本屋のおやじ”になったのか。少年時代に始まる蒐集遍歴が開陳され、過去への郷愁と未来への好奇心がコレクターの魂だと分かる。その上で、著者が見つけた本とのつき合い方とは?

(週刊新潮 2016年5月19日号)


週刊朝日で、「今期ドラマ」について解説

2016年05月22日 | メディアでのコメント・論評



前田敦子が脱皮、石田ゆり子がエロ過ぎ? 
今期ドラマの明暗

年明けから世間を騒がせている人気タレント、国会議員などの不倫騒動や芸能人カップルの熱愛――。その波がドラマにも押し寄せているのか“ドロドロな恋愛”や“ラブコメディー”が急増している。話題は呼んでいるのに、視聴率は低空飛行。春ドラマは一体どうなっているのか。

「録画やオンデマンド配信などドラマの見方の多様化で視聴率だけでは語れない時代に変わっています。数字が低い=つまらないとは一概には言えないのです」

そう語るのは上智大学の碓井広義教授(メディア論)。


今期は、“豪快に脱いだセクシーシーン”と“濃厚なキスシーン”が満載だ。まずは、前田敦子が“超恋愛体質”で二股交際や不倫におぼれていく政治部記者を演じる「毒島ゆり子のせきらら日記」(TBS系・水曜24時10分)。

AKBのあっちゃんという面影を脱ぎ去り、男性と躊躇(ちゅうちょ)なくキスをしまくり、肌を露出して抱き合う。「深夜の昼ドラ」というキャッチフレーズにもうなずける過激なシーンの連続。こんなあっちゃんを見たくないファンも多いだろうが、

「常に二股していないと不安な政治部記者というキャラクターはおもしろい。普通の女性を演じても『あっちゃん』という感じが強かったが、大胆な濡れ場にも挑戦して女優・前田敦子に脱皮。驚きと共に予想を超える楽しさですね」(碓井教授)

過激さで負けず劣らずなのが「不機嫌な果実」(テレビ朝日系・金曜23時15分)。林真理子原作のベストセラー小説を約20年ぶりに栗山千明主演でドラマ化した。稲垣吾郎演じる夫に満足できない栗山は、元カレと熱い口づけの末に不倫旅行。友人を演じる橋本マナミは、若い愛人とキャンディーを口移ししながら路チュー……。高梨臨演じるもう一人の友人は主人公の夫を寝取るなど、ドロドロすぎる展開が続く。

刺激的なこの作品、実は1997年に石田ゆり子、岡本健一らでドラマ化され大きな話題となった。前作も見ていたコラムニストの桧山珠美さんはこう話す。「稲垣の“潔癖症でマザコン夫”はハマリ役で見応え十分。栗山の“私だけが損している”という心の声など、あるある心理が赤裸々に描かれていて女性は共感しやすいはずです。だけど石田ゆり子版のほうが妖艶(ようえん)でセクシーで生々しかった。栗山らも体を張っていますが、エロスでは石田ゆり子が圧倒的ですね」

そんな石田ゆり子版を懐かしむ人には「コントレール〜罪と恋〜」(NHK・金曜22時)は必見。無差別殺人事件で夫を失った孤独なヒロイン・文(石田)が、犯人を取り押さえる際に過って夫を死なせてしまった元・弁護士(井浦新)と“許されざる恋”に落ちる切ないラブストーリー。「セカンドバージン」を書いた大石静のオリジナル脚本で、<石田ゆり子が麗しすぎる>と評判だ。

「大人の恋愛の描き方が抜群。40代半ばの文が自分の気持ちを抑えながらも、じわじわと情念があふれ出して行動に移すという描写が丁寧に描かれていて、ドキドキします」(碓井教授)

不倫ドラマは、常識的な判断を捨てて情念に走る過程が見どころ。孤独と絶望の淵にいた二人が情念を解き放つからこそ、豊潤な大人のドラマになるという。


(週刊朝日  2016年5月27日号)

日刊ゲンダイで、テレビの「清原報道」についてコメント

2016年05月21日 | メディアでのコメント・論評



日刊ゲンダイで、テレビの「清原報道」についてコメントしました。


初公判で味を占め
民放各局は清原被告で「視聴率荒稼ぎ」

朝刊のラテ欄に〈速報中継〉〈総力生中継〉といったあおり文句を並べただけのことはあったようだ。覚醒剤取締法違反の罪に問われた清原和博被告(48)の初公判。17日朝の傍聴券配布の大行列に始まり、法廷の様子を逐一“総力生放送”した民放各局のワイドショーは、軒並み視聴率をアップさせた。

日本テレビ系「情報ライブ ミヤネ屋」の平均視聴率は10.2%(ビデオリサーチ調べ、関東地区=第1部の数字、以下同)で、前日より2.4ポイント増。続くフジテレビ系「直撃LIVEグッディ!」は1.5ポイント増の4.6%。TBS系「ゴゴスマ」に至っては前日の視聴率が1.7%に対し、4.1%(2.4ポイント増)まで上昇した。

TBSは日頃から高視聴率をマークする昼の情報番組「ひるおび!」からアクセル全開。MCの恵俊彰(51)が「現在の時刻は1時31分31秒です。あと5分ほどはこちら(スタジオ)でつないで……」とカウントダウンしながら裁判所前の記者を待ちうけていた。雨がそぼ降る中、息を弾ませながら法廷内の様子を伝える記者リレーでライブ感を前面に押し出したフジ「グッディ」の演出にも生中継ならではの緊迫感が漂っていた。

こうしたテレビ局の狂騒ぶりは、球界で一時代を築いた人気選手にもかかわらず、クスリに溺れた清原被告への世間の関心の高さを見込んでのこと。それで実際、数字も稼げたとなれば、31日の判決公判も同じような場面が繰り返されるのは明らかである。そして早くも判決後の“復帰”に関するプランが浮上しているというから抜け目がない。

■復帰は「金スマ」が最有力

「犯罪者の起用はCMスポンサーは嫌悪するが、一発勝負でも視聴率が取れるならどこも狙う。『しくじり先生』という声もあるが、それはさすがにおふざけが過ぎる。ベッキーを復帰させたSMAP中居正広の冠番組である“金スマ”の特番が最有力でしょう」(テレビ関係者)

しかし、数字にはやるテレビマンに対して上智大の碓井広義教授(メディア論)はこういう。

「清原被告は顔と名前が広く知られた人物であり、薬物事件の当事者として判決の様子を報じる必要性はあると考えます。ただ今後については、時期や内容、番組のトーンがより問われることになる。薬物問題に迫るドキュメンタリーや検証番組で体験者として出演するならまだしも、清原被告個人が視聴率狙いでフューチャーされたり、面白おかしく演出がなされた場合、それは番組や放送局だけでなく、テレビ界全体の在り方が問われることになりかねません」


他に報じるべきはあれど、高視聴率狙いで清原狂騒曲を繰り広げるテレビ局。数字にむしばまれたテレビマンに節度やモラルを求めるのは八百屋で魚か。

(日刊ゲンダイ 2016.05.20)


サンデー毎日で、ベッキー「金スマ復帰」についてコメント

2016年05月20日 | メディアでのコメント・論評



ベッキー「金スマ復帰」 強行の舞台裏

13日の金曜日、しかも仏滅。そんな夜に“不倫騒動”で休業中のベッキーが「中居正広の金曜日のスマイルたちへ」(TBS系)で約3カ月半ぶりに復帰した。しかし、そこには不穏な空気が流れていたという。

本誌5月22日号で報じた通り、世間の予想より早めの「5月復帰」となったが、TBS関係者は「直前まで(スケジュールは)二転、三転した」と声を潜める。

「5月9日に不倫相手の『ゲスの極み乙女。』の川谷絵音(えのん)が離婚を発表。11日にはベッキーの“金スマ収録”が報じられましたが、実はその日に『13日に放送』と発表する予定だった。ところが、直前に川谷の離婚成立報道が出たうえ、『(復帰は)早すぎる』という内外の声に押され、局内でもいったんは放送日程を再調整することになった。しかし、夜になって予定通りに強行することになったのです」

新聞のラテ欄には〈約束だよベッキー!今日はウソついたらダメだよ〉とアオリ文句もあったが、「反発もあり、番宣は控えた」(同)という。肝心の番組内容は、冒頭にベッキーが中居に「来週、(川谷の)奥様に謝罪できることになったので」と報告。ロケ収録の2日後の5月2日、川谷の元妻と2人で会い、謝罪したことがテロップで流れた。

念願の復帰ながら、上智大学の碓井広義教授(メディア論)は「全体に白々しく感じた」と指摘する。

「私が悪かった、傷つけた、最低だったと言葉を連ねても、番組の収録は(元妻に)謝罪する前。つまり、カメラを前に勝手に芸能活動を再開していたことになる。その段取りの良さに驚いた。相変わらず、全て自分の都合に合わせているなと感じてしまう。金スマという番組に守られながら、一番楽なコースに乗ったようでした。私には中居君がアッコ(和田アキ子)さんに見 得て、まるで“芸能界の庇護(ひご)者”のようでした」


番組終盤、中居の質問に「恋愛関係でした」「不倫だと思います」と涙目で謝罪。「またテレビの仕事をゼロから、マイナスから頑張らせていただきたい」と語ったが、登場前のシーンでは中居がモデルのベックを見る度にベッキーと見間違える“演出”もあった。

「視聴者の予想とは違ったはず。作り込まれた演出で、全てフィクションに見えました。印象的なのが、ベッキーが登場した際、女性の出演者の表情が一様にこわ張ったこと。CMにACジャパンの公共広告が目についたこと。世間の空気を反映しているようでした。こんな形で復帰して、今後も応援してもらえるのか疑問です」(碓井教授)

放送後、ベッキーの所属事務所は今後の活動について「目下、未定」「慎重に詰めたい」と発表。ベッキーと川谷もブログを更新し、改めて謝罪した。

「ベッキー側は、収録時には放送が13日とは知らなかった。放送日についてTBS側に強くは言えなかったようです。今後のことは番組の反響を見て決まるそうです」(芸能関係者)

吉と出るか、凶と出るか―。


ライター:成田璃子

(サンデー毎日2016年5月29日号から)



小池栄子のキャラが際立つ「世界で一番難しい恋」

2016年05月19日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、日本テレビのドラマ「世界で一番難しい恋」について書きました。


日本テレビ系「世界で一番難しい恋」
小池栄子のキャラが立っている

嵐の大野智(35)といえば、すぐ思い浮かぶのが「怪物くん」だ。まさかの実写化。あの怪物くんを誰が演じられるのかと思ったら、なんと大野がピタリとはまってしまった。

あれから6年。その可愛げのある“とっちゃん坊や”ぶりを、いかんなく発揮しているのが「世界一難しい恋」だ。大野は、チェーンホテルの御曹司にして社長。仕事の上では冷酷な判断も平気なヤリ手だが、恋愛に関しては、短気でわがままな、いわば子供っぽい性格が災いして、うまくいったことがない。

そんな若社長が新入社員の波瑠(24)に恋をした。彼女は「正義感の塊で、世話好きな学級委員」みたいなタイプだ。ホテルの仕事に夢と意欲を持っており、大野の気持ちに戸惑うが、その素顔に少しずつひかれていく。

このドラマのスパイスとなっているのが大野への恋愛指南だ。指南役は社長秘書(小池栄子 35)であり、ライバルホテルの社長(北村一輝 46)。特に、ある時は慈母のごとく慰め、またある時は姉のように励ます小池のキャラが立っている。「モテ男は優しさを求めません。与え続けるのです!」といった名言が並ぶのだ。

指南役たちのアドバイスにやや翻弄されながら、すねたり、ふてくされたりする大野がおかしい。波瑠との距離感や関係も丁寧に描かれており、日本テレビの伝統芸の一つである、良質のラブコメディーになっている。

(日刊ゲンダイ 2016.06.18)

【気まぐれ写真館】 真昼の月 2016.05.18

2016年05月19日 | 気まぐれ写真館

毎日新聞で、この春からの「報道番組」についてコメント

2016年05月18日 | メディアでのコメント・論評



春の「新装」報道番組 
あなたなら何点?

政府・与党に批判的と見られたキャスターの交代が相次いだことで「政権の勝ち」との声も上がった春のテレビ番組改編から1カ月半。各局の報道番組はガラリと趣を変えた。放送法4条に記された「政治的公平」を盾に取ったテレビ局への政治介入問題も取りざたされる昨今、あなたの評価は――。【沢田石洋史】


「報道機関の独立性が深刻な脅威にさらされていることを憂慮する」。4月19日、国連人権理事会の特別報告者、デビッド・ケイ氏が東京都内で記者会見し、日本における「報道の自由」の現状に懸念を表明した。国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」は翌20日、各国の報道の自由度ランキングを発表。日本は前年の61位から72位へランクダウンした。なぜか? 「日本政治とメディア」の著書がある駒沢大の逢坂巌専任講師(政治コミュニケーション)は、政府の「圧力」も関係していると見る。

「2012年に誕生した第2次安倍晋三政権はメディア対策を徹底させています。テレビは政治的な問題で、映像やコメントを自由に流す雰囲気ではなくなった。結果として、政権にとってうるさい人が番組から消えた。政権の『完勝』に近い状態です」

確かに、政府・与党はメディアに注文をつけてきた。衆院選前の14年11月、安倍首相はTBSの「NEWS23」に出演中、アベノミクスを批判する街頭インタビュー映像にクレームをつけたり、自民党が在京6局に選挙報道の「公平中立」を要請する文書を渡したりした。高市早苗総務相は放送法4条を根拠に電波停止の可能性に言及した。

一連の動きを逢坂さんは読み解く。「06年発足の第1次安倍政権は1年で倒れました。閣僚不祥事が相次ぎ、『消えた年金問題』もあった。メディアやインターネットでたたかれ続けた初めての首相といっていい。この体験があるからこそ、メディア対策に熱心なのです」

単にニュースを流すだけ

キャスター交代を整理しておこう。テレビ朝日の「報道ステーション」は古舘伊知郎さんから社員アナウンサーの富川悠太さんへ。「NEWS23」はキャスターの膳場貴子さん、アンカーの岸井成格・毎日新聞特別編集委員が外れ、新キャスターには朝日新聞出身の星浩さんが就任した。NHKの「クローズアップ現代」は、23年間出演した国谷裕子さんが降板し、後継の「クローズアップ現代+(プラス)」は自局アナ7人が日替わりで担当する。

番組と政権の「距離感」も変わったのだろうか。作家の雨宮処凛さんに聞いた。「ズバズバものを言う人が少なくなり、単にニュースを流す番組になってしまったと感じます。政権に対し、番組側が勝手に萎縮しているのではないかと思うのは、私だけでしょうか」

特に「報ステ」への評価は厳しい。政治学者の中島岳志・東京工業大教授らコメンテーターの存在も大きかったと指摘し、政権に対する論陣を張った「古舘時代」を懐かしむ。「安全保障関連法と立憲主義との関係など高度な議論が展開されていました。今は当たり障りのないコメントばかりに思えます」

現番組を応援する声もある。TBSの報道キャスターだった下村健一・慶応大特別招へい教授(ジャーナリズム)は「『富川さんは社員だから言いたいことを言えない』と思うかもしれないが、それなりに存在感が出ている。今後、政権に対し建設的な『とがった発言』をしたら視聴者は支持してほしい。私たちが見限れば社員は組織力学に負け、番組は弱体化します」。報道番組の気概を支えるのは、視聴者だと訴える。

評価はさまざまだが、テレビ朝日広報部は取材に「情報を正確、迅速かつ多角的に伝えていく姿勢に変わりはない」と回答した。

当たりの良さを優先か

NHKには「政権寄り」との批判もあり、「クロ現+」の“立ち位置”が注目される。在籍時にプロデューサーとして活躍した永田浩三・武蔵大教授(メディア社会学)は「キャスターは番組の顔のはず。局アナが日替わりで司会をするのは不自然です」と疑問の声を上げる。番組の方向性が変わった一例として挙げたのは、専門家ではなく著名なタレントをゲストに招いた「浅田真央 笑顔の理由」の回。「働く女性層を意識するせいか、口当たりが良く、女性に好感度の高いゲストに依存しすぎる傾向にあります。しかし、視聴者が求め、制作現場が大事にすべきなのは国谷さんの時代から続く、深く掘り下げた調査報道です」と不満を漏らす。

国谷さんが降板した理由の一つと見られているのが、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更について、菅義偉官房長官に問いただした14年7月の番組。局上層部に「政権に批判的だ」と容認しない声があったと指摘する関係者もいるが、広報局は「上層部の意向」を否定する。

一方、国谷さんは雑誌「世界」の5月号に「インタビューという仕事」をテーマに寄稿した。その中で「とりわけ批判的な側面からインタビューをし、そのことによって事実を浮かび上がらせる、それがフェアなインタビューではないだろうか」と記した。永田さんは「民放も含め、政権にこびないキャスターが一斉に代わったのは、理由はどうあれ異常です」と嘆くのだ。

「NEWS23」はどうだろう。上智大の碓井広義教授(メディア論)は「よく言えばソフト路線ですが、ジャーナリズムの側面からは『ぬるさ』が目立つ」と指摘する。「視聴者は、問題の本質に迫るコメントをキャスターに期待します。でもそれが見えてきません。星さんは憲法記念日の番組で『改憲より当面の大事な課題にエネルギーを注いでほしい』との趣旨のコメントをしましたが、それだけでは視聴者の判断材料にならない。アナウンサーとキャスターの違いは、踏み込んだ発言をするか、しないかです」と話す。

半年間ぐらいのスパンで評価を

どのような報道番組にすれば視聴者に受け入れられるのか。雨宮さんは取り組んでいる貧困問題を例に挙げ「ネットカフェ難民やブラックバイトなど、新語が出ないとテレビ局は見向きもしない。地味なテーマでも継続的に取り上げ、構造的な原因が分かる報道を」と注文をつける。

ジャーナリズムの力を信じるのは逢坂さんだ。「今回の改編は報道の原点に戻り、コメントだけでなく取材に基づく『ファクト』で勝負するとの決意の表れと受け止めたい。健全なジャーナリズムがなくなれば社会全体が沈没します」との言葉に力を込める。

下村さんは「番組開始から1〜2カ月はキャスターは不慣れで腰が据わらない。半年のスパンで評価をしてほしい」と語る。

夏には参院選がある。安倍政権は憲法改正に前向きなだけに、国の方向性を左右する重要な選挙だ。報道番組はどう伝えるのか。「報道の自由度を評価するリトマス試験紙」(逢坂さん)になりそうだ。

(毎日新聞 2016年5月17日 東京夕刊)



宮藤官九郎さんと“共演”した話

2016年05月17日 | 「日経MJ」連載中のCMコラム



日経MJ(流通新聞)に連載しているコラム「CM裏表」。

今回は、宮藤官九郎さんと宮崎あおいさんの「キリン 杏露酒」CMについて書きました。


キリン 杏露酒 「ひんやりあんず」

「噂の探偵QAZ(カズ)」という深夜ドラマを制作したことがある。QAZ(故・古尾谷雅人さん)はパソコンを駆使して事件を解決する探偵。その弟分で、のちに裏切り者となるチンピラ役を、若き日の宮藤官九郎さんに依頼した。

闇社会のボスの恫喝(どうかつ)に脅えながらも、薄笑いを浮かべて強がる官九郎さんのチンピラが見ものだった。ちなみにボスを演じたのはプロデューサーの私(笑)。

近年は「あまちゃん」などの脚本家として知られる官九郎さんだが、今も得難い役者の一人だ。本CMでの、妻(宮崎あおいさん)の尻に敷かれた、やや軽めの夫も可笑しい。

料理の味をホメれば、「あんたのママのレシピだよ」と突き放され、恐怖映画を一緒に観ても、「あんたの顔がホラーだわ」と真顔で言われてしまう。ツンデレ妻にいじられるのが嬉しくて仕方ない夫がハマリ役だ。

書いても演じても、そこに現出するのは官九郎ワールド。ほろ酔い気分で楽しみたい。 

(日経MJ 2016.05.16)

オトナが見たくなるドラマ、WOWOW「沈まぬ太陽」に拍手!

2016年05月16日 | テレビ・ラジオ・メディア



日曜の夜、WOWOWで、連ドラ「沈まぬ太陽」を見るという楽しみが増えました。

上川隆也の恩地、渡部篤郎の行天、いい勝負してます。

”オトナが見たくなるドラマ”になっています。

映画はありましたが、あの原作小説を連続ドラマ化というのが嬉しい。

民放地上波では難しい、いや、無理な企画でしょう。

「国民航空」と名前が変えてあっても、やはりこれは「日本航空」ですから。

次回、いよいよ恩地が海外へと放逐されます。

物語のメインはここから。

いやあ、がんばってるなあ、WOWOW。



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臨場感がハンパじゃない、映画「レヴェナント:蘇えりし者」

2016年05月15日 | 映画・ビデオ・映像



レオナルド・ディカプリオ主演の「レヴェナント:蘇えりし者」を観てきました。

監督は、「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」のアレハンドロ・G・イニャリトゥ。

アカデミー賞の主演男優賞、監督賞、撮影賞の3つを獲得しています。

アメリカ西部の原野、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は狩猟の最中に熊の襲撃を受けて瀕死(ひんし)の重傷を負うが、同行していた仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされてしまう。かろうじて死のふちから生還したグラスは、自分を見捨てたフィッツジェラルドにリベンジを果たすべく、大自然の猛威に立ち向かいながらおよそ300キロに及ぶ過酷な道のりを突き進んでいく。

観る前は、「なぜ今、こういう作品を作ったんだろう」といった疑問もあったのですが、作品の圧倒的な迫力で、どこかに吹っ飛んでしまったような・・・。

森の中というか、森の奥というか、自然の凄まじさを背景に、おびただしい暴力、血、死が描かれていきます。

また、極限においてこそ表出する、人間の本質みたいなものも。

これが、結構怖い。

ディカプリオは、とにかく、「よく頑張りました」とホメたくなります。

アカデミー賞、よかったね、です。

それから映像がいい。

撮影監督のエマニュエル・ルベツキは、これを「自然光」で撮ったそうですが、ディカプリオたちのすぐ隣にいるような臨場感がハンパじゃなかったですね。

全体として、「うーん、映画だなあ」と、「映画ならではだなあ」と、思わせてくれる1本でした。

舛添知事追求で、「NEWS23」駒田アナを評価

2016年05月14日 | メディアでのコメント・論評



日刊ゲンダイに、舛添知事が出演した「NEWS23」に関する記事が掲載されました。

この記事の中で、舛添知事を追求した駒田アナについて解説しました。


舛添知事“ナマ糾弾”に賛辞
NEWS23駒田アナの面目躍如

東京都の舛添要一知事が“ナマ言い訳”した9日のTBS系「NEWS23」の番組平均視聴率は4.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。

他の日とほぼ代わり映えしない結果に終わり、番組制作陣はチト物足りなかったろうが、数字以上の“収穫”があった。玉虫色の弁明を繰り返す舛添知事に対し、TBSの駒田健吾アナウンサー(42)が鋭く迫る姿に対して局内外から「やるじゃないか!」という賛辞の声が上がっているのだ。

■星浩キャスターのお株を奪う鋭い切り込み

公用車を利用して湯河原町の別荘を行き来する問題について、“権力チェック”を番組テーゼに掲げるメーンキャスターの星浩氏が「都民としてはやや不安です」とぬるい感想だったのに対し、「48回の回数は多いという印象はお持ちですか」とズバリ。

ロンドン出張での空港貴賓室借り上げ代(37万8455円)については、「実際に打ち合わせはあったのですか」「どういう打ち合わせ?」と畳みかける場面も。パリのガイド費用も「505万円というのはどう考えても多い」とし、飛行機については「ファーストクラスでなければダメでしょうか?」「ご自分の財布から出すとすると二の足を踏むような額だが、税金で足すという感覚は?」とバッサリ。

 機内で熟睡し、「ハツラツと仕事したい」とシドロモドロに答える舛添知事に、「世の中に大変な仕事をもっている方はたくさんいて。我々がグレードアップする時は自腹で行います。知事には自分で払うという感覚はないのですか」と舌鋒鋭くせまり、星キャスターのお株を奪う活躍を視聴者に見せつけたのだ。

上智大の碓井広義教授(メディア論)が言う。

「『NEWS23』が新体制で初めての成果といえるでしょう。弁舌の徒である舛添さんからすれば、イメージ回復の場という計算があったでしょうが、駒田アナの鋭い切り込みがご意見拝聴の場にさせなかった。“社員アナウンサー”の立場でありながらも“金額ではなく感覚の問題”と突っ込んだ言葉のひとつをとっても、庶民の知りたい気持ちをきっちりと代弁。NEWS23に駒田アリという存在感を示したのではないでしょうか」


駒田アナは早大卒業後、TBSに入社して18年。これまで目立った仕事はないが、今年1月、SMAP中居正広(43)の冠バラエティー“金スマ”のどっきり企画で、酒癖の悪さを全国に露呈。酒にのまれて暴言を吐くだけでなく、先輩の安住紳一郎アナが遅刻の常習犯だとマジ切れするVTRも流れ、ネット上には「駒田 性格が悪い」などとディスる書き込みがあふれる事態になり、“酒乱アナ”の印象を与えてしまった。

世間ではダメキャラが浸透しているわけだが、今回は舛添本人を目の前にし、報道キャスター魂を見せつけた格好。酔った勢いでフリー願望も口にしていたが、遅咲きながら「報道のTBS」の看板番組でメーンを出し抜く存在に化ける可能性も出てきた。

(日刊ゲンダイ 2016.05.13)
  


【気まぐれ写真館】 ますます高く・・・ 2016.05.13

2016年05月14日 | 気まぐれ写真館



「毒島ゆり子のせきらら日記」で、“女優・前田敦子”大健闘

2016年05月12日 | 「日刊ゲンダイ」連載中の番組時評



日刊ゲンダイに連載しているコラム「TV見るべきものは!!」。

今週は、前田敦子主演「毒島ゆり子のせきらら日記」(TBS)について書きました。


TBS系「毒島ゆり子のせきらら日記」
「深夜の昼ドラ」の看板に偽りなし!

やるなあ、あっちゃん。「毒島(ブスジマ)ゆり子のせきらら日記」の前田敦子である。AKB48を卒業後、何本もの映画やドラマに出演してきたが、今回が“女優・前田敦子”史上最高の出来かもしれない。

ゆり子は新聞社の政治部記者だ。仕事は未熟だが、恋愛には積極的。ただし父親の不倫で家庭崩壊を経験しており、「男は必ず女を裏切るから、自分が傷つかないよう、先に男を裏切る」が信条だ。すでに2人の彼氏がいるにもかかわらず、既婚者であるライバル紙の敏腕記者(新井浩文)とも“ややこしいこと”になろうとしている。

普通ならヒンシュクを買いそうなヒロインだが、予想以上に大胆な濡れ場も含め前田が大健闘だ。ネタを取るため必死に政治家を追いかける姿は健気だし、男たちの前で見せる、恋する女の湿度の高い表情もいい。仕事とプライベートの両面をテンポよく描くオリジナル脚本(矢島弘一)の牽引力とも相まって、ゆり子が今後どうなっていくのか、見届けたくなる。

先週は、ゆり子の二股を知りながら4年も同棲してきたミュージシャン(朝ドラ「まれ」でも歌っていた渡辺大和)が、第3の男の出現でついに別れると言い出した。また、不倫はご法度という、ゆり子自身が決めたルールも、新井に関してはますます有名無実化していきそうだ。「深夜の昼ドラ」の看板に偽りなし!

(日刊ゲンダイ 2016.05.11)