直心是道場

障がい者施設に勤務しています。
障がいのことはもちろん、映画や音楽の話も…
日々想うことを書き記します

福祉の仕事に就く人に絶対に読んでほしい55の言葉 / 阿部美樹雄

2016年12月22日 | 本の力
12月22日
曇り空の一日。
夜になって、風も出てきました。
明日からは少し荒れ模様…

町田福祉園 統括施設長 阿部美樹雄さんの著書。
「福祉の仕事に就く人に絶対に読んでほしい55の言葉」

タイトルが少し長いです… (^_^;)

「55の言葉」、、 言葉も多いですか…

一つひとつのメッセージは、500字というという制約の中で書かれた短いメッセージ。

しかし、その一つひとつには、著者である阿部さんが職員の育成に苦悩しながらも、一人ひとりの職員に想いを寄せてきた実践と気持ちを感じる一冊です。

この本は、町田福祉園を訪れる機会があり、たまたま出会った名前も知らない職員さんの自然で温かな挨拶に嬉しくなって、購入しました。
一気に読んでしまいましたが、その後もこの本はいつも私の机にあって、気になることがあると手に取って読み返しています。

・・・
本の一番初めのメッセージ。

「みんな“よくならなければ”ならないのです」

・・
そうなんです。
ダメではなくて、、
よくなるためにはどうすれば良いのか…
考えて、考えて、考え抜かなければならない。
それが私の役目です。

阿部さんはこのようにまとめています。

「自分が欲せられ、必要とされ、真価が認められていると感ずるようにしなさい…(中略)」

一人ひとりが大切な職員さん。
みんなで頑張っているから、これだけのことが出来ている。
一人ひとりが、今以上に自信を持って、自分が必要とされていると感じることが出来たら、、
もっともっと、たくさんのことが出来るようになる。

みんなが幸せに生きる社会に近づいていく…
きっと、実現できる…

・・・
人財育成…
このところ考え込んでいたのです、、、

「みんながよくなる」

何をすべきか再確認、、、
元気が出てきました。

若い職員さんはもちろん、管理職の方々にもお薦めの一冊です。
ぜひ一度、お読みください。


本の力 ~ 銀河鉄道の夜 / 宮沢賢治

2016年02月08日 | 本の力
2月8日
午前中、支援協会50周年記念誌作成の話し合いに参加しました。
草創期は、どの施設も慈善事業から始まり、建物も決して立派とは言えませんが、「困っている人たちのために…」という気持ちが人の心を動かし、行政を動かす運動につながっていきました。
私が勤めている羽島学園も同様です。
過去を理解し、現在を見つめ、未来を創造する記念誌が出来るといいなぁと思います。

また、4月オープンを目指して準備を進めている放課後等ディサービスは、予定した人数を超える応募をいただきました。
ありがたいことですが、すべてのニーズに応えきれない状況に複雑な心境です。

・・
本の力 ~ 銀河鉄道の夜 / 宮沢賢治

子ども時代に一度は手にとって読まれた方が多いかと思います。
主人公のジョバンニが友人カンパネルラと一緒に銀河鉄道に乗って旅をするお話ですが、この列車に乗っている人たちは天上(天国)に行く人たち…
お話の中で、何度も「幸せ」について語る場面があります。

・・家庭教師の青年が乗っていた客船が氷山にぶつかって沈み、教え子だった姉弟を助けることが出来ずに、3人で銀河鉄道に乗ってくる場面。
(中略)
それでもわたくしは、どうしてもこの子たちをお助けするのが私の義務だと思いましたから、前にいる子供らを押しのけようとしました。けれどもまた、そんなにして助けてあげるよりはこのまま神のお前にみんなで行く方が、ほんとうにこのかたたちの幸福だとも思いました。
それから、またその神にそむく罪はわたくしひとりでしょってぜひとも助けてあげようと思いました。
けれども、どうしても見ているとそれができないのでした。
(中略)

灯台守が言います。
「何がしあわせかわからないです。
本当にどんなに辛いことでも、それが正しい道を進む中の出来事なら、
峠の上りも下りもみんな本当の幸福に近づく一足づつですから。」

青年が答えます。
「ああそうです。ただ一番のさいわいに至るために、いろいろな悲しみもみんなおぼしめしです。」

子どもの頃は、意味が分かったようで分からない…そんな感じでした。
ただ、福祉の仕事に就いてからは、時々このフレーズに触れたくなる時があるのです。
今日もそういう気分で、もう一度読み返してみた「銀河鉄道の夜」…

「銀河鉄道の夜」は、私の机にいつも置いてある大切な本のひとつです。


生きる… 谷川俊太郎さんの詩より

2016年02月02日 | 本の力
2月2日
午後から、放課後等ディサービスを見学させていただくため、各務原市まで行ってきました。
夕方、体調を崩して入院されている利用者さんのお見舞いに行きました。

・・
放課後等ディサービスとは、
学校通学中の障害児が、放課後や夏休み等の長期休暇中において、生活能力向上のための訓練等を継続的に提供することにより、学校教育と相まって障害児の自立を促進するとともに、放課後等の居場所づくりを行う福祉サービスです。
(WAM NETより引用)

私たちの法人では、今年の4月から放課後等ディサービス事業をスタートすることにしており、その準備を進めています。
これまで幾つかの放課後等ディサービスの事業所を見学させていただきましたが、どこも同じなのは子どもたちの明るく元気な声。
そしてよく動く、動く!

今日も、見学させていただいている間に、何人もの子どもたちがニコニコしながら私にも関わってきてくれました。
とても愛くるしい笑顔…
ちょっといるだけで楽しくなってきます。
遊びたい気持ちをこらえて、一緒に見学に行った職員とともに、関わり方や安全への配慮など、色々と勉強させていただきました。

・・
谷川俊太郎 「生きる」

生きているということ
いま生きているということ
それはのどがかわくということ
木漏れ日がまぶしいということ
(中略)
あなたと手をつなぐこと

(中略)
泣けるということ
笑えるということ

(中略)
人は愛するということ

あなたの手のぬくみ
いのちということ

・・
本当は中略なして紹介したいのですが… 申し訳ありません。m(_ _)m
とてもステキな詩です。
是非一度、谷川俊太郎さんの本を読んでみてくださいね。
今日は、この詩を思い出す一日でした。

・ いま生きているということ
・ あなたと手をつなぐこと
・ 人は愛するということ
・ あなたの手のぬくみ いのちということ

大切にします…

本の力 ~ 福祉の思想 / 糸賀一雄

2015年09月22日 | 本の力
9月22日
連休も後半となりました。
羽島学園やグループホームの職員さんは、今日もそれぞれのポジションを支えてくれています。
仕事と言ってしまえばそれまでですが、現場の支援員として働いていた頃を思い出すと、常にコンディションを整えてシフトに穴を開けないように働くことは、本当に大変なことです。
職員さんの頑張りに感謝です。

久しぶりに紹介する、私に影響を与えた本の力。
福祉の思想 / 糸賀一雄

あまりにも有名な「福祉の思想」
私が、糸賀先生の本を読むようになったのは、大学4年生になってからです。

大学1年の時に、大学で学ぶことに挫折を感じた私。
その後は、別の道を模索しながら“仕方なく”大学に通う日々でした。
私にとって「糸賀一雄」は、単位を取るために憶えた勉強のひとつでしかありませんでした。

大学4年の夏休みに、なんとなく参加した自主実習。
滋賀県のとある福祉施設での実習が、私の“福祉の思想”を大きく変えました。

実習の合間に「学習の時間」を作っていただき、所長さんや職員さんが入れ替わり立ち替わり、私たち学生に「障がい者福祉」について熱く語ってくれました。
この経験は、私の原点でもあります。
糸賀先生の「福祉の思想」に根ざした福祉実践を、しっかり教えていただきました。

☆福祉の思想(発達保障の考え方)
 この子らが不幸なものとして世の片隅、山峡の谷間に日の目もみずに放置されてきたことを訴えるばかりではいけない。
 この子らはどんなに重い障害をもっていても、だれととりかえることもできない個性的な自己実現をしているものなのである。その自己実現こそが創造であり、生産である。
 私たちのねがいは、重症な障害をもったこの子たちも、立派な生産者であるということを、認めあえる社会をつくろうということである。
 「この子らに世の光を」あててやろうというあわれみの政策をもとめているのではなく、この子らが自ら輝く素材そのものであるから、いよいよみがきをかけて輝かそうというのである。「この子らを世の光に」である。
 この子らがうまれながらにしてもっている人格発達の権利を徹底的に保障せねばならぬということなのである。

あまりにも、有名な「この子らを世の光に」のフレーズ。
発達保障の原点になるこのフレーズを導き出すまでには、20数年にわたる近江学園職員のたゆまぬ実践と、不断の研究がありました。
今でもこのフレーズは色あせることなく、私たちの心に響いてきます。
私は、現場の支援で行き詰ったとき、あるいは新たな発想を考えるときなど、様々な機会にこのフレーズを読み返してきました。

糸賀先生がお亡くなりになった昭和43年は、当法人が設立した年です。
あれから40数年。
私がこの仕事に就いてからもうすぐ30年になろうとしています。
自分の実践で、“これだ!”と伝えられるようなフレーズを残してきただろうか…
反省しきりです。

しかし、法人は40数年にわたって脈々と障がい者支援を担ってきましたし、諸先輩方の実践、誇れる実績もあります。
今日も職員さんは、一生懸命現場で頑張っています。
ただ、社会福祉法人経営者協会の磯会長が仰るように、私たちの実践は慎ましく(悪く言えば内向きに)行われていて、社会にアピールすることの弱さがあるように思います。

☆福祉の思想(専門職の設置)
 社協の地域活動というのは、とりもなおさず住民のものであるが、それは放置しておいて自然に育つといったものではあるまい。
 その中に課題を見出し、より高い次元の社会形成をめざすようなはたらきを、誰かが担当しなければならない。いうなれば自覚者が責任者である。

自覚者が責任者である…
とても示唆に富んだ言葉です。
実践をしっかりと振り返り、課題を見出して展望を開くこと。
自分たちの“福祉の思想”を、社会にアピールして、より高い次元の社会形成に関わることは、私たちの責任だと思います。

そのためにも“日々の実践”の積み重ねは、とても大切です。
皆さん、よろしくお願いします。

本の力 ~ 角田識之著 「心があたたまる12の奇跡」

2015年04月12日 | 本の力
4月12日
春らしい陽気。隣の畑のイチョウの芽吹きがとても愛らしいです。
明日からは、また雨模様のようですが、花粉症の方々にとってはありがたい雨なのかもしれませんね。

1月の末に「本の力」ということで、感銘を受けた本を紹介することにしていましたが、2ヶ月以上が経ってしまい、ブログも気がついたら100日を越えていました!(^o^)
最近は仕事が片付いた後や寝る前に、一日を振り返りながらブログを書くことが生活の一部になりつつあります~♪
読んでいただいている皆さまには心から感謝し、励みにしています。

実はこのブログが100回続けられたら、紹介させていただこうと思っていた方がみえます。
ブログを始めるきっかけをくださった、感動経営コンサルタントの臥龍先生こと、角田識之先生です。

昨年の秋から冬にかけて、先生が主宰される「企業進化講座」を受講しました。
福祉分野の制度やスキルの研修しか知らなかった私にとってはすべてが新鮮で、「自分とは何か、自分の目指したい本当のこと(福祉)とは何か、自分の使命とは何か」に向き合い、「絶対にやり抜こう!」という決意を固めることが出来た講座でした。

講座の最後に、先生と受講した仲間の前で「やり抜く目標」を述べるのですが、そこで私が掲げた目標が、「毎日ブログ書くこと」でした。
自分で決めたというだけでなく、先生と受講仲間との約束は果たさなければ…という想いがあったから続けられていると思います。
改めて先生と仲間に感謝します。

さて、本の話に戻ります。
今回お勧めしたい本は、
角田識之先生の著書「小さな会社で生まれた 心があたたまる12の奇跡」です。

私が角田先生に直接お会いしたのは、3年ほど前です。この本の出版記念講演でした。
心ある企業が「感動経営」を大切にして日々努力していることを知り、今日の福祉施設の経営感覚について、恥ずかしく感じたことを覚えています。

奈良の小さなホテルで起きた感動物語や、本物の介護を求めて地位を捨てて起業するお話。業務に追われる会社から人を大切にする会社に生まれ変わるお話。
思わず心があたたかくなる、感動ストーリー満載の本です。

この本の出会いと、先生のご講演がきっかけとなって、私も感動物語を作ってみようという気持ちになり、コンテストに出場させていただき、多くの友人を得ることができ、自分の発想を大きく転換することが出来ました。

私の中に奇跡を起こした大切な一冊です!