ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

花の雨の吟行会ー「其中庵」

2017年04月12日 | 俳句

 今日は久し振りのお日様、これもまた有り難いですが、でもこれで桜は終りかも?

    昨日の吟行会のつづきです。

 第二目的地、山口市小郡下郷矢足にある「其中庵(ごちゅうあん)」へ。

 私たちは車で行きましたが、新山口駅(北口)から歩けば20分ぐらいの所です。

 もう知らぬ人はいないでしょうから、行乞流転の自由律俳人・山頭火(種田正一・1882~1940)の説明は省きますが、彼が昭和7年の50歳の時から昭和13年まで、約6年間を過ごした所です。

 法華経の「普門品」(ふもんぽん)にある「其中一人作是唱言」(ごちゅういちにんさくぜしょうげん)という語から、「其中一人」を自分に置き換えて、名付けた庵だそうです。

 意味は、災難や苦痛に遭ったとき、その中の一人が「南無観世音菩薩」と唱えると、観音菩薩はすぐに救いの手を差し伸べられて皆を救われ、悩みから解き放たれるということ。

 山頭火は、この庵が余りにも傷んで住めなくなったので、ここを出た後、松山市の「一草庵」に移り、2年足らずで亡くなります。享年58歳でした。

 この其中庵が、彼が一番長く落ち着いて充実した文学生活を送れたところで、その後57歳のとき、今までの集大成として出版した句集『草木塔』はここで原型が出来たのです。

 この庵は当時の間取図を基に、平成4年に復元されたもので、無料開放されているのも有り難いです。

 横には四阿(あずまや)や句碑、奥には山頭火が使っていた井戸などがありました。

 この庵の句碑〈春風の鉢の子一つ〉〈いつしか明けてゐる茶の花〉休憩所に〈へうへうとして水を味ふ

           

           

 入口の戸を開けると土間になっていて竈などがあり、部屋に上がると文机、壁には行乞時の笠と墨衣、それに仏壇がありました。位牌が二つ、一つは山頭火のようです。もう一つは旅に出た時いつも持ち歩いていたという、お母さん(10歳の時自殺)の位牌でしょうか?

 床には〈空へ若竹のなやみなし〉の山頭火染筆の軸です。

 勿論コピーでしょうが、他にもある山頭火の筆跡はみな繊細で女性のような字でしたね。

 やはり、あまりにも優しすぎて、世の中に、いや人間に、ひいては自分に堪えられず、このような生き方をしてしまったのかなあ~などと、字を眺めながら思ったことでした。

 庵の傍には、これも嬉しい無料休憩所があって、昼間は解放されていますので、誰でも使えます。

 庭には水琴窟、和室は21畳もあって、机から座布団まで用意されています。アリガタァ~イ!

 ここで、昼食を取り、 いよいよ句会の開始です。

 今回の最高点は、次の句、

    踊子草濡れて出番のなかりけり

 まだ始めて1年足らず、吟行も2回目で、この句をものにしたとはなんと素晴らしい!

 窯元に行く途中、余りにも綺麗に咲いている踊子草を見て、みんな感動していたのにね。

 同じ句材の句がありましたが、この句の「出番なし」がよかった!

 原句は〈踊子草スカート濡れて出番なし〉でしたが、ここで「スカート」まで言うと、折角の踊子草の品が下がります。言わなくても十分わかりますし、省いた方が却って雨に濡れてこんなに色が美しいのに…と、踊子草を愛おしく見つめる     作者の眼を感じますよね。ましてや実際に見ているから余計に。

 やっぱり雨の吟行会が良かったでしょうと言うと、みなウン!ウン!

 ここでまた、一つ面白いこと。

 〈旧家跡の雨の沼尻蛙かな〉の句、季語は蛙で春です。

 確かにあの木梨堤で蛙が鳴いていましたので、誰もが目を付けていたでしょう。

 それをこう詠まれてはみな採りますよね。

 この句、「沼尻」が良かった、咄嗟によく思い付きましたねぇ~と褒めると、「だって、この前プレバトの最高点の句にそれが使ってあったんですよ」と。ウゥン~見てない‼ 

 見た人はと聞くと、半分以上が挙手。「東国原さんのでしたよ。名人昇格だったかな?」などと賑やか。

 ちょっと乗り遅れた感じ…「でもこれは盗作にはならないですよね」と作者。

 どんな句かと聞くと、〈のら犬の吠える沼尻花筏〉だったんですって。やられましたね~

 でも、今日も有意義な吟行会でした。初めての2人も「これからは吟行ばかりしましょうよ」と。

 「雨が降ろうと、槍が降ろうと、ほらやみつきになるでしょ!」と私。

 帰るときはすっかり雨も上がって、「花曇」に「花冷え」、またまたそれもよし…。

 もう一つこれだけは伝えたいことがあるんですが、…ではまた次回にしますね。           

             

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする