アシリアペ    「アシリアペ」とはアイヌ語で「新しい火」。住所は茨城県常陸太田市大中町3486-2

営業日等:土日の10:00~17:00 臨時営業もあり。天然酵母パンやオーガニックの食材などを取り扱う。

2022年無煙映画賞

2023-05-31 15:15:00 | 映画評
5月31日は「World No Tobacco Day (世界禁煙デー)」です。
毎年日本禁煙学会で選考されている無煙映画賞の各賞を紹介します。

**2022年無煙映画賞各賞と推薦理由**

<作品賞> 「土を喰らう十二ヵ月」 中江裕司監督

 水上勉のエッセイ集「土を喰ふ日々 わが精進十二ヶ月」を原案に監督自身のオリジナル作品として、白馬を舞台に実写映画化しました。
 小説家のツトム(沢田研二)は雪を被った山脈がみえる古民家に暮らし畑を耕し山菜を取り子どもの頃育った禅宗の寺で教えられたように丁寧に精進料理を作り来客に振る舞っています。身近な人の死をきっかけに人生を問い直します。
 今日一日を大切に生きよう、と思わせてくれる秀作です。

<主演俳優賞> 岸井ゆきの 「ケイコ 目を澄ませて」三宅唱監督

 聴覚に障害がある元プロボクサーの自伝を映画化しました。セリフが「ううっ」と「はい」が1回で、笑顔もほとんど見せない表情で演技する困難な役を岸井が好演しました。
 音楽がなく映画の形態としても独特な表現をしています。

<東日本大震災追悼賞> 「天間荘の三姉妹」 北村龍平監督

 天界と地上の間にある三ツ瀬街の旅館天間荘。新たに宿泊客たまえ(のん)が到着します。彼女は実は現世で交通事故にあい臨死状態だったのです。
徐々に天間荘や三ツ瀬街の人々の謎が明らかになっていく脚本(嶋田くれ葉)がたくみで「生きるとは」「人生とは」「孤独とは」そして家族について哲学的なセリフがさりげなくかわされ観客はいつのまにか自身の問題として考え共感していきます。生きていることの素晴らしさを再確認させてくれる秀作です。 

<特別賞> 「テレビで会えない芸人」 四元良隆・牧祐樹監督 

 芸人松元ヒロの姿を出身地の鹿児島テレビがドキュメンタリー映画にしました。
 名作「憲法くん」はじめ現在のテレビでは忖度され決して演じられない政治ネタで笑わせながら痛烈に社会批判をしています。とともに松元自身の人間性がさまざまな場面に現れています。

<ファミリー賞>「桜色の風が咲く」 松本准平監督 

 世界で初めて盲ろう者で大学の教授になった福島智さんと母親の令子さん親子の実話を基に映画化した作品です。視覚だけでなく聴覚までなくし絶望の智さんを令子さんが指点字という新たなコミュニケーションツールを編み出しそれが希望となり人生の困難を家族で乗り越える姿を描きました。

<アニメ映画賞> 「犬王」 湯浅政明監督 

 古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」を長編ミュージカルアニメとして描きました。
 南北朝から室町にかけ活躍した「犬王」と呼ばれる能楽師が主人公です。
四条河原を舞台にダイナミックな音楽と奇抜な演出、犬王の人間とは思えない舞、アニメーションだからできる表現です。
 文字で残されたものしか歴史としては残らない、権力者の都合のいいものしか文字にならない。つまりは歴史にはならない、今に通じる内容でした。


<外国語映画賞> 「ベイビーブローカー」 是枝裕和監督 韓国 

 「万引き家族」の是枝監督が韓国で制作し、ソン ガンホが第75回カンヌ国際映画祭で「主演男優賞」を獲得した作品です。
 捨てられた赤ちゃんを売るためにオンボロ車でブローカーと母親たちが旅をするうちに何故かチームのようになっていく気持ちの変化を俳優たちの名演技が見どころです。
 韓国と日本の映画人が協力して一つの作品を完成させる行為そのこと自体にも拍手です。
 それにしても男の子は1000万ウォン、女の子は800万ウォンが相場ってひどいですよね。


*汚れた灰皿賞(モクモク賞)
・「マイ・ブロークン・マリコ」(タナダユキ監督 ハピネットファントムスタジオ)
・「とんび」(瀬々敬久監督 KADOKAWA)
・「宮松と山下」(関友太郎、平瀬健太郎、佐藤雅彦監督 ビターズ・エンド)

本棚本の貸出

2023-05-30 19:41:43 | 本棚
アシリアペはブックカフェでもあります。
これまで紹介している本は一部を除いて無料で貸出をしていますのでご利用ください。
すでに貸出中もありますが読みたい本があればカフェで読むのもよし、自宅へ持ち帰るも良しです。

「宮本常一 歴史は庶民がつくる」 畑中章宏著

2023-05-30 19:40:46 | 本棚


「宮本常一 歴史は庶民がつくる」 畑中章宏著

宮本の民俗学は、私たちの生活が「大きな歴史」に絡めとられようとしている現在、見直されるべき重要な仕事だと私は考える。これほど生活に密着し、生活の変遷を追った仕事は、日本の近現代でほかにはみられないからだ。宮本は庶民の歴史を探求する中で、村落共同体が決して共同性に囚われてきただけでなく、「世間」という外側と絶えず行き来し流動的な生活文化をつくってきたことも明らかにする。そしてそれは、公共性への道が開かれていたと解釈することができるのだ。また近代を基準にみたとき、さまざまな面で遅れているとされてきた共同体の生活、あるいは習慣のなかに、民主主義的な取り決めをはじめ、民俗的な合理性があったことも裏づける。(「はじめに」より)


「カルト権力 公安、軍事、宗教侵蝕の果に」 青木理著

2023-05-30 19:39:34 | 本棚


「カルト権力 公安、軍事、宗教侵蝕の果に」 青木理著

本書を最後まで通読すれば、カルト宗教に深々と侵蝕されていた為政者の長期政権化、この国の政治が治安機関や軍事偏重へと異様に傾倒し、それを推し進めた政権自体が一種のカルト臭さえ帯びた危険な復古性、反動性に蝕まれていたことが浮かびあがってくるはずである。本書のタイトルには、そんな含意が込められている。(「序章 あの事件の前と後」より)
 

わらび座公演

2023-05-28 11:11:02 | イベント情報
わらび座公演「ミュージカル いつだって青空 ブルマー先生の夢」のお知らせ
日時 6月10日(土) 14:30開演 上演時間90分
会場 ゆうゆう十王・Jホール(日立市十王総合健康福祉センター)
料金 一般 4000円  高校生以下 2000円
*劇団わらび座は1951年に創立。普段は本拠地である秋田県仙北市の「あきた芸術村」のわらび劇場で活動。日本の民族伝統をベースに、多彩な表現で現代の心を描く日本のミュージカルを多数制作上演している。