アシリアペ    「アシリアペ」とはアイヌ語で「新しい火」。住所は茨城県常陸太田市大中町3486-2

営業日等:土日の10:00~17:00 臨時営業もあり。天然酵母パンやオーガニックの食材などを取り扱う。

「パンケーキを毒見する」 内山雄人(うちやまたけと)監督 ○ 配給スターサンズ

2021-09-22 14:20:36 | 映画評


菅政権が終わるからと言って過去の映画ではありません。この国の政治状況を考える上で多くの人に観てほしい映画です。
只今、「あまや座」で上映中。連日満席状態です。

「パンケーキを毒見する」 内山雄人(うちやまたけと)監督 ○ 配給スターサンズ

 「新聞記者」の制作チームがいても立ってもいられず制作した作品です。
主役は第99代日本国総理大臣菅義偉です。本人には直接インタビューができるわけもなく周囲からも取材拒否の対応が続くなか、それでも自民党内にも取材に応じる人もいて国会中継という誰でもが見られる場面やニュース映像にアニメーション(べんぴねこ)を組み合わせ楽しみながら勉強する「政治バラエティ映画」に仕上げました。
政治家では自民党からは石破茂、村上誠一郎、立憲民主党の江田憲司、共産党の小池晃などが登場しメディアからは元朝日新聞の記者やしんぶん赤旗の記者などが登場します。

噛み合わない国会答弁は見れば見るほど国民はなめられているなと腹が立ってきます。もうすぐ「過去の人」になってしまいますが、この作品のおかげで「菅総理の時代」がいつまでも語り継がれることは映画冥利につきるのではないでしょうか。
パンケーキをごちそうになって「いつもごくろうさん」と労われるとそれだけで追求する気が失せてしまうという人間の弱さみたいなことも描かれます。「タダ飯を食うな!」という戒めです。

タバコは、なし。無煙です。2021年無煙映画賞特別賞候補です。


「琉球警察」 伊東潤著

2021-09-19 11:22:06 | 本棚


<アシリアペ店長の書評>
沖縄では最近退任した沖縄平和運動センターの山城博治さんを始めとして現在も反基地闘争が力強く続けられていますが、その発端となった戦後のアメリカ統治下の警察組織の内幕が描かれています。瀬長亀次郎に心酔する純粋な若者を利用して人民党の内部情報を聞き出そうとする徳之島出身の主人公東貞吉を主人公に米軍の非人道的な横暴さも掘り起こされます。
「琉球警察」を読むことで一人でも多くの人びとが沖縄の歴史と現実に目を向けるきっかけになってほしいものです。
2018年の「宝島」(真藤順丈著)に続き沖縄出身者ではない作家の作品は一般にも受け入れやすいのではないかと期待します。
それにしても瀬長亀次郎さんは偉大で稀有な政治家でした。彼の思想は「共産主義者」ではなく「民族主義者」であったということも明らかにされています。
ただ、気になるのは「しんせい」というタバコが度々登場し、非喫煙者だった東がいつのまにかタバコを覚え、「ああうまい」と言わせるまでのニコチン依存症にするのはいかがなものでしょうか。現在もなぜか沖縄では安いタバコが売られている真の理由も考えてほしいですね。