山浦清美のお気楽トーク

省エネ、農業、飛行機、ボウリングのことなどテーマ限定なしのお気楽トークができればと思っております。

「ミミズの農業改革」~無肥料栽培の理解に繋がるか!?

2024-03-12 | 農業
 自然農に取組んできて、どうしてもまだ納得のいかないことがあります。それは「自然農について」、「慣行農法と自然農、自然栽培、・・・」、「無肥料栽培について」その他で書いておりますように無肥料栽培をどう理解するかということです。
 これまでは実践者が書かれた書物を読んできましたが、やはり納得のいく答えは得られておりません。それらの中には非科学的な内容で説明されているものも多く見受けられます。

 そんな時に文藝春秋の著者は語るのコーナーで、金子信博著「ミミズの農業改革」が紹介されておりました。著者は土壌生態学者であり、本書は不耕起農法を主に取り扱ったものであるようでしたので興味をそそられ、ネットで目次を調べてみると「無肥料でどこまで育つ?」「暗中模索する人々」といったものがあり、もしや答えが得られるのでないかといった一縷の望みに賭けて取り寄せてみました。
 早速、途中をすっ飛ばして当該箇所を読んでみました。やはり私の考えは凡そ正しかったようです。炭素の循環については元々理解していた内容と同じでしたが、窒素、リン、カリの循環については新たな知見を得ることが出来ました。更には、今までは根圏微生物との関連だけで考えていたことが、土壌に生息する微生物食性動物などの土壌生態系の多様性が重要であることなどを知ることが出来ました。例えば、害虫とされているセンチュウですが、微生物だけの土壌と微生物+センチュウの土壌で栽培した比較実験ではセンチュウがいる土壌の方が2倍くらい植物が大きくなるという意外な結果に目から鱗が落ちたような思いです。
 話は逸れますが、以前「EM菌で除染?」で触れておりますように私はEM菌に対して漠然とした違和感を持っておりました。本書ではEM菌の除染効果について明確に否定されており、更にはEM菌を畑に撒いた栽培試験で効果がないことも紹介されております。

 話を本書に戻しますと、著者の専門である土壌生態系が重要な役割を果たしており、そしてまだまだ未知のことが多く存在しているようです。ですから私が無肥料栽培が理解できないのは当たり前のことであったのです。本書を全て読み終わったとき、私にとって新たなテーマを与えてくれるかも知れません。本書の一部分しか読んでおりませんが、それ位のインパクトはあるものと思います。

 さて、慣行農法と自然農法と対立しているように言われておりますが、私自身の中では両立しえるものであると思っております。昨年から稲作は止めましたが、以前は慣行農法でやっておりました。畑作は自然農という具合に棲み分けておりました。これも多様性の一種ではないかと思います。栽培方法の多様性は言うに及ばず「なぜ兼業農家を続けるのか(6)」でも書いておりますように農業の主体の多様性も大切なことだと思います。
 太古より農業は循環型でやってきました。化学肥料の登場が農業のあり方を一変させました。生産量を飛躍的に増加させたのです。慣行農法がただでさえ低い日本の食料自給率を支えていることも厳然たる事実です。しかし、慣行農法と言えども高々百年程度の歴史しかありません。このまま続けられるのか、何か問題は起こらないのか誰にも分かりません。しかし、そこに多様性があれば希望が見いだせるでしょう。ですからお互いの立場を尊重し合っててやっていくのが正しいあり方だと考えます。




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