ちょっと前の話で恐縮ですが、ダブリンで歴史に残るであろう出来事があったので、まずその話から。
新聞でお読みになった方もいらっしゃるかもしれません。
2月24日、ダブリンにある国技(ハーリングとゲーリックフットボール)専用のスタジアム「Croke Park」で、アイルランド対イングランドのラグビーの試合がありました。
このスタジアムは、1920年11月に英国軍が発砲し、ゲーリックフットボールを観戦していた市民に多数の死傷者を出した「ブラディ・サンデー」の現場です。
映画「マイケル・コリンズ」でご覧になった方も多いでしょう。
この惨劇以来、クロークパーク・スタジアムでは、英国発祥のスポーツであるサッカーとラグビーの試合をすることは、ご法度になっていました。
それが近年、北アイルランド問題も終結に向かい、イギリス的なものを排除するという強行路線を続ける必要がなくなって、アイルランドでもっとも状態のいいスタジアムで、サッカーの試合をと望む声が大きくなり、ついに使用許可がおりたのです。
ナイター設備もととのい、拡張工事をしたスタジアムのキャパシティは、8万人強。
24日の試合では、アイルランドの圧勝で、イングランドを下しました。
すごく極端なことをいえば、日本において、相撲の土俵でボクシングの試合をするような感じかしら。個人的には、クロークパークはゲーリックとハーリングだけでいいじゃんって思っていたのですが、アイルランドはサッカーはもとより、ラグビーも強いっていうことを広く知ってもらうきっかけにはなるのかな、と期待しています。
さて、日本でも、ずいぶん「3月17日のセント・パトリック・デー」を知る人が増えました。
「アイルランドのセント・パトリックデーのイベントは、さぞかし華やかなのでしょう?」と、よく聞かれます。
近年は、観光の目玉でもあるので、ダブリンでのパレードも派手になってきていますが、この祝日は本来「アイルランドを離れた移民たちが、故郷をしのぶお祭り」なので、本国よりもむしろアメリカやオーストラリアなどの方が、大がかりなお祭り行事を催しているようです。
パレードはアイルランド各地で開催されますが、たいていは午前中からお昼すぎくらいまでで、そのあとはパブでの大飲み会になだれこんでいくパターン。
クリスマスと同じように、よその国へ働きに出ていたアイリッシュは大挙して故郷に戻ってくるので、セント・パトリックデー前日の16日のアイルランド行き飛行機はすべて満席の勢いです。
おととしになりますが、初めて地元ニューブリッジのパレードを見物しに出かけました。
ニューブリッジのメインストリートは道幅も広く、まっすぐに町をつっきっておりパレードにはぴったりの条件です。
行進するのは、地元の幼稚園の園児やら、消防隊やら、実にローカルなグループ。
なかには知っている顔もあったりして、そうか、町内の運動会みたいな楽しみ方なのねとナットク。
アイリッシュダンスのクラブの女の子たちが、おそろいの鮮やかな衣装で登場したときは、へぇー、この町にアイリッシュダンスの教室があったんだ!と、びっくり。
沿道には、パレードの関係者一族を含む見物客で、かなり混雑してますけど、ダブリンほどじゃないので、カメラをぶらさげて歩くのも容易です。
結婚して町を離れていた友人夫妻に、ばったり会って歓声をあげたり。
地元のお祭りは、懐かしい顔に合う場として存在しているのを実感した瞬間です。
ニューブリッジのパレードは、1時間ほどで、わりあいとあっけなく終了しちゃいました。店の外まで人があふれているパブに立ち寄るのはオソロシイので、うわさに聞く緑に色づけされたギネスは、まだ味わったことのないままです。
長くなりついでに、もうひとつ「海岸競馬」の話を。
読者の方からお問い合せがありました。ダブリン近郊のレイタウンで開催される海岸競馬に行ってみたいと計画されているのだそうです。
で、今年の開催日ですが、9月6日(木)。時間は、直前にならないと告知されないのがアイルランドっぽいところなのですが。
当日、RACING POSTという競馬新聞(朝、ニュースエージェントなどで買えます。大きめのホテルに宿泊されてたら、前日にフロントに伝えておけば部屋に届けてくれますよ)に、プログラムがすべて掲載されるので、ここで確認するのが確かです。
干潮にあわせてなので、毎年異なり、早いときは2時前ですし、3時頃ということもあります。近くにパブなどもあるし、コースの設営も面白いので、1時くらいを目安に現地に行かれれば安心かと思います。
ちなみに翌7日(金)は、キルベガンという小さな集落の小さなトラックでジャンプレースが開催されるので、ぜひご覧になってほしいなー
Kilbeggan Racecourse
Kilbeggan,
Co.Westmeath
ご質問は、お気軽にお寄せくださいねっ!
追記:お知らせです。
3月15日(木)発売の週刊新潮の巻末グラビアに、アイルランドの海藻料理の記事を書きました。ご覧くださいませ!
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ニューブリッジのパレード。参加者も見物客も知り合いだらけで、いかにも“ご近所”のイベントって感じが楽しい。 |
2月24日、ダブリンにある国技(ハーリングとゲーリックフットボール)専用のスタジアム「Croke Park」で、アイルランド対イングランドのラグビーの試合がありました。
このスタジアムは、1920年11月に英国軍が発砲し、ゲーリックフットボールを観戦していた市民に多数の死傷者を出した「ブラディ・サンデー」の現場です。
映画「マイケル・コリンズ」でご覧になった方も多いでしょう。
この惨劇以来、クロークパーク・スタジアムでは、英国発祥のスポーツであるサッカーとラグビーの試合をすることは、ご法度になっていました。
それが近年、北アイルランド問題も終結に向かい、イギリス的なものを排除するという強行路線を続ける必要がなくなって、アイルランドでもっとも状態のいいスタジアムで、サッカーの試合をと望む声が大きくなり、ついに使用許可がおりたのです。
ナイター設備もととのい、拡張工事をしたスタジアムのキャパシティは、8万人強。
24日の試合では、アイルランドの圧勝で、イングランドを下しました。
すごく極端なことをいえば、日本において、相撲の土俵でボクシングの試合をするような感じかしら。個人的には、クロークパークはゲーリックとハーリングだけでいいじゃんって思っていたのですが、アイルランドはサッカーはもとより、ラグビーも強いっていうことを広く知ってもらうきっかけにはなるのかな、と期待しています。
さて、日本でも、ずいぶん「3月17日のセント・パトリック・デー」を知る人が増えました。
「アイルランドのセント・パトリックデーのイベントは、さぞかし華やかなのでしょう?」と、よく聞かれます。
近年は、観光の目玉でもあるので、ダブリンでのパレードも派手になってきていますが、この祝日は本来「アイルランドを離れた移民たちが、故郷をしのぶお祭り」なので、本国よりもむしろアメリカやオーストラリアなどの方が、大がかりなお祭り行事を催しているようです。
パレードはアイルランド各地で開催されますが、たいていは午前中からお昼すぎくらいまでで、そのあとはパブでの大飲み会になだれこんでいくパターン。
クリスマスと同じように、よその国へ働きに出ていたアイリッシュは大挙して故郷に戻ってくるので、セント・パトリックデー前日の16日のアイルランド行き飛行機はすべて満席の勢いです。
おととしになりますが、初めて地元ニューブリッジのパレードを見物しに出かけました。
ニューブリッジのメインストリートは道幅も広く、まっすぐに町をつっきっておりパレードにはぴったりの条件です。
行進するのは、地元の幼稚園の園児やら、消防隊やら、実にローカルなグループ。
なかには知っている顔もあったりして、そうか、町内の運動会みたいな楽しみ方なのねとナットク。
アイリッシュダンスのクラブの女の子たちが、おそろいの鮮やかな衣装で登場したときは、へぇー、この町にアイリッシュダンスの教室があったんだ!と、びっくり。
沿道には、パレードの関係者一族を含む見物客で、かなり混雑してますけど、ダブリンほどじゃないので、カメラをぶらさげて歩くのも容易です。
結婚して町を離れていた友人夫妻に、ばったり会って歓声をあげたり。
地元のお祭りは、懐かしい顔に合う場として存在しているのを実感した瞬間です。
ニューブリッジのパレードは、1時間ほどで、わりあいとあっけなく終了しちゃいました。店の外まで人があふれているパブに立ち寄るのはオソロシイので、うわさに聞く緑に色づけされたギネスは、まだ味わったことのないままです。
長くなりついでに、もうひとつ「海岸競馬」の話を。
読者の方からお問い合せがありました。ダブリン近郊のレイタウンで開催される海岸競馬に行ってみたいと計画されているのだそうです。
で、今年の開催日ですが、9月6日(木)。時間は、直前にならないと告知されないのがアイルランドっぽいところなのですが。
当日、RACING POSTという競馬新聞(朝、ニュースエージェントなどで買えます。大きめのホテルに宿泊されてたら、前日にフロントに伝えておけば部屋に届けてくれますよ)に、プログラムがすべて掲載されるので、ここで確認するのが確かです。
干潮にあわせてなので、毎年異なり、早いときは2時前ですし、3時頃ということもあります。近くにパブなどもあるし、コースの設営も面白いので、1時くらいを目安に現地に行かれれば安心かと思います。
ちなみに翌7日(金)は、キルベガンという小さな集落の小さなトラックでジャンプレースが開催されるので、ぜひご覧になってほしいなー
Kilbeggan Racecourse
Kilbeggan,
Co.Westmeath
ご質問は、お気軽にお寄せくださいねっ!
追記:お知らせです。
3月15日(木)発売の週刊新潮の巻末グラビアに、アイルランドの海藻料理の記事を書きました。ご覧くださいませ!
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