アイルランド生活ブログ - 生活・料理・留学の情報満載 -

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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「妖精の話」

2008-03-31 01:02:46 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 先日、アイルランド政府観光庁が企画した「デスカバー・アイルランド・セミナー」第1回目で、食の話をさせていただきました。

 お喋りが長くなり、用意していった写真(スライド)100点の半分しかご覧いただけなかったので、また続きをやらせていただくことになりました。

 まだ、いつになるかは未定ですが、決まりましたらお知らせしますね。
 今回いらしてくださった方たち、ありがとうございました。また今回いらっしゃらなかった方は、次回ぜひ!

 セミナーは、これから、アイルランドをよく知るいろんな方たちをゲストに開催されていくそうなので、観光庁のHPでチェックしてみてください。わたしもお話うかがうほうでも参加したい~

 会場になった新橋のパブ「アイリッシュタイムス」には初めて行ったのですが、道に面した1階にあって、明るく気持ちのいいお店です。

 店長さんがダブリンにいらしたとき、いちばん印象の強かったパブというのが「グラスネヴィン・セメタリーの近くにある古い店」とうかがって、ええ~っ、あの店まだあのままでした??と、すっかり盛り上がっちゃいました。

 お店の名前がいっつも覚えられないわたし。ちゃんとご説明できなくて申しわけないのですが、墓地のわきにあるパブはそこだけなので、ぜひいらしてね。強烈です。

 アンジェラのB&Bに滞在している頃から、ときどき寄っていたのですが、長らく立ち寄ることがなくて、どうなっているかなぁと思っていたところ。

 変化の激しいダブリンで、かわらずにあるパブは貴重です。
 店の名前も確かそのまま、墓を掘る人たちが一服するためのパブなんです。
 90年はじめの頃、友人たちとよく行ったのがその店。ギネス飲みながら、今はもうすっかりやめましたけど、巻き煙草なんかを吸いながら、ダーツで遊んだっけ。青春ですね。

 さて、本日のお題は妖精です。
 92年に初めてアイルランドをぐるっと1周したときのこと。

 スライゴーの宿に泊ったのは1月でした。輝くという意味のギル湖まで貸し自転車で走れる距離にあり、イエイツカントリーの不思議パワーは、なぁんとなく感じておりました。そして夜。

 夜中にふっと目が覚めると、ベッドのまわりを走るこどもの足音が・・・。

「なんで、わたしの部屋にこどもがいるかな」今ひとつ事態をつかめないまま。

 ぺたぺた、ぺたぺた・・小さなこどもが裸足で、木の床の上を走りまわっている様子。「あれ?床は絨毯だったよね?」と、だんだん頭がさえてきて、誰がいるのか見ようと起きるつもりが「え!?金縛り??」まったく身動きがとれず。そんなの高校生のとき以来のできごとです。

 ひ~、ちょっとコワイ。叫んだような気もします。じたばたとベッドの上であがくうち、幸いまた眠りに落ちていきました。

 朝になって目がさめてくると、夜中の出来事が鮮やかに思い出されてきます。
 何だったんだろう??

 朝食をとる部屋に降りていくと、ビジネスで来てる風の男性がひとり。
 あいさつをして、ちょっと天気の話なんかをして。でも、なんか居心地悪そう。

 朝食を終えると、そそくさって感じで席を離れていきました。あー、きっと、わたし、夜中に叫んだんだろうね。不気味な客だったんだ、すみません。

 つい先日、日本の座敷わらしの話を新聞で読んだのですが、わたしの体験にそっくりで驚きました。寝床のまわりをきゃはは、きゃははと笑いながら、こどもがぐるぐる走りまわるんだって。日本の妖精なんだな、座敷わらし。

 悪ささえしなければ、妖精も、座敷わらしも大好きです。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「のりのつくだに」

2008-03-24 00:34:19 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 終わったばかりですが、イースターに欠かせないイベントが、アイリッシュ・グランドナショナルです。

オカルトな写真ですみません。これが天然岩海苔。かわいく撮るのは、むずかしいですね。でも、おいしいのよ。
 ダブリンの北西12マイル、カウウティ・ミースにあるフェアリーハウス競馬場で1870年からずっとイースター・マンデー(バンクホリデーで国民休日)に開催されてきた歴史あるイベントです。

 世界一過酷な障害競馬といわれるイングリッシュ・グランドナショナルのアイルランド版で、ローカルな感じがするかもしれませんが、さにあらず。エイントリーで開催されるイングリッシュGに出走させられるジャンプ・ホースはほんとうに限りがあるので、アイルランドの馬たちは地元開催のアイリッシュGを目指すケースが多く、盛り上がりはかなりなものです。

 それが証拠に1916年、アイルランドの独立の幕開けとなる「イースター蜂起」が決行されたのは、英国軍の兵士たちの多くがフェアリーハウス競馬場に出かけて手うすになることを見込んだからなのだそうです。

 知らなかった!そんな話は、少なくとも、わたしが日本で読んだアイルランドの歴史関連書には、書いてなかったなぁ。

 ご存知のようにイースターは毎年日が異なります。今年と去年では1ヵ月近くちがいますから、調整する厩舎はたいへんで、スケジュールを固定したい意見もあるのだそうです。でも、それはむずかしいだろうなぁというマークに、わたしが、どうして?とたずねたときに聞いたエピソードです。

 ついつい前ふりが長くなっちゃいました。
 本日のお題は「海苔の佃煮」です。

 スライゴーの海岸で、天然の岩海苔をとりに行きました。
 海岸近くでは、潮の満ち引きの時間表を持っている家がよくあります。

 乗馬厩舎でも見かけました。「お、そろそろlow tideだ」とかいって、砂浜へ馬と繰り出します。
 海藻のオソリティ、プラニーの家にももちろんあって「ユミコ、12時半にロウ・タイドになるから、出かけるわよ!」と、せかされて海岸に行ってみると、潮が引いたばかりの砂浜に、むき出しに岩にびっしり海苔がくっついています。

 あー、これが岩海苔なのね、となんだかカンゲキ。
 家に持ち帰って、さっそく佃煮にしてみることに。
 砂を落とすのがちょっとたいへんですが、しっかりした海苔は磯の香り満点。

 きょうびアイルランドでも、みりんは手に入りますが、お高いので甘みはお砂糖で。ボウルにてんこもりの海苔をざく切りに。なべに水1カップ、粉末のだしの素小さじ1、しょうゆ大さじ2、砂糖小さじ2、塩ひとつまみを入れて沸騰させてあと、水気をきった海苔を入れて弱火で1時間。おいしい海苔の佃煮ができました。

 すっかり気に入った様子のプラニーが、後日、仰天の報告をくれました。
 バリマルーハウスにゲスト講師で招かれたプラニーが、海藻料理のレクチャーの最中に、佃煮のレシピを披露したのだそう。たまたま日本の方が受講してらして、たいそう驚かれたようです。

 はるばるバリマルーでお料理習われているところに、わたしが舌をたよりにありあわせでこしらえた海苔の佃煮レシピが登場して、仰天されたことでしょう。
 失礼いたしました。

 自然の恵みが食卓に並ぶのは、ほんとうにしあわせな気分にしてくれます。
 昆布などは、根をとらないように、など収穫しすぎて根絶しないよう気をつけたり、ルールもあるので、少しずつ勉強中です。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「春の祭り」

2008-03-17 00:36:23 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 今年は、セント・パトリックデー(17日)と、イースター(23日)が同じ週にあって、おめでたいムードですね。

イースター・エッグ。たくさんのタマゴは豊かな気分にしてくれます。
 イースターのごちそうラム肉は、ちゃんと育っているかしら?
 日本でも、すっかり定着してきたセント・パディデー。わがホームタウン西荻にもかつてアイリッシュパブがあったのですが、いつのまにかアメリカンダイナーに改装されていてがっくり。でもドラフトギネスは飲めるんです。それにセント・パディデーの飾りつけもされているじゃあないですか。西荻窪にもアイリッシュ色が、と嬉しくなりました。

 毎年決まった日でなく、満月に左右される春の祝日イースターは、いかにも自然のなかで生まれたお祭りという感じがして、わたしはクリスマスより好きだな。祝日を比べるっていうのもナンですが。
 イースターに欠かせないタマゴ。キリストの新たな生の象徴といわれますが、春先はニワトリがたくさんタマゴを産む季節。友人がこどもの頃は、庭じゅう走りまわって、あちこちに産み落とされたタマゴを集めて回ったそうです。

 今では、イースターの朝に、親が隠したタマゴをこどもたちが見つけるゲームとなって残っているのだとか。そんな遊びも、もう田舎でしか見られないようですが。

 ちょっと話しはそれますが、初めてダブリンを訪れたとき、靴屋さんの多い町だなぁと感じました。グラフトンストリートなんか、何軒かに一軒は靴屋さんでしょう?

 1週間ほど滞在したときに、はたと気づいたのは、靴の傷み方が激しいこと。
 石畳が多いせいもありますし、公共交通機関があまり機能してなくて結局歩くしかないし、おまけに雨も降るしで、靴は一気にくたびれた様相になっていきます。

 去年、1週間の行程でアイルランド取材に出かけたとき、うっかり新しい靴を履いて行ってしまいました。そうしたら、アラン島イニシュモアの、ダンエンガスまでの石の階段で、あっという間にキズだらけ。

 ポルトガルに旅行したとき、道ゆく人の靴がぴかぴかなのに驚きました。空港などでも靴みがきの職人さんが目立ったし。からっと晴れた国では、靴をきれいに保つのは、それほどむずかしいことではないのでしょう。アイルランドでは不可能だ。

 靴の需要が高い町なんだ、と納得していたのですが、理由はどうもそれだけではないらしい、と最近気づいたことがあります。

 そう、アイルランドを代表するレプリコーンたち。ダンスを踊って靴をだめにする妖精と靴直しの妖精。昔っから、アイルランドでは靴の消費が速く、靴屋さんが多いのも伝統だったのね。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「アイルランドの海の幸」

2008-03-10 22:25:46 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 ニュースです。
 アイルランドの牡蠣が日本に輸入されることになったのですって。早ければ、セント・パディデーの前に初入荷されるとか。アイリッシュパブや、オイスターバーなどで味わえるチャンスがありそうです。

粉末のドルスを見つけました。スープやサラダにふりかけます。卓上に欠かせなくなりました。写真は暗くて、すみません。
 先日、輸入のための調印式に合わせて、アイルランドの農業・漁業・食糧大臣のメアリー・コックランさんが来日されました。まだ43歳の若手でしかも女性の大臣。

 主婦でもあり、こどももふたりという、いかにもアイルランド流のパワフルな女性です。その記者会見に参加させていただきました。

 アイルランドから今回初めて日本向けに輸出するドニゴールで牡蠣を養殖している会社のギャラハーさんもいらしてて、日本のジャーナリストから質問を受けました。「アイルランドの牡蠣の特徴は?」

 ギャラハーさん、頭をかきながら「え~、牡蠣は育つ場所によって、いろんな個性があるので、え~」と困った様子。へぇ、そんなに種類があるなんて知らなかった。

 そういえば、今回のドニゴール産は、こぶりできゅっと身のしまった感じ。まだ見ぬゴールウェイ産はおおぶりと聞いてますが、ほんと?

 テンプルバーに来るのはクレア産で、ぷりんとしてた気が・・
 これは、あちこちで食べくらべする価値がありそうですね。

 ギャラハーさんが続けます。「うちだけじゃなくて、アイルランドの他の牡蠣もどんどん日本に入ってくるようになるといいなと願っています」って、独占を望まず、ライバル社歓迎、というよりアイルランドはみな家族。そういう意識がいいんだよなぁ。「ぜひギネスをあわせて召し上がってください」と強調されてました。合うんですよね。新しい生牡蠣の楽しみ方として流行ってくれるといいなと願うものです。

 写真にあるのは、ゲール語でDillisk(デリスク)、英語ではDuls(ドルス)という海藻を粉末にしたもの。デリスクは、赤みがかったというか紫がかった色をした、かためのワカメというか、やわらかめの昆布というか、ひらひらとカーリーな海藻です。ひとくちサイズになったパック入りは見たことあったけど、袋入りの粉末は初めて見つけました。これはサンディコーヴのデリで買ったもの。

 けっこう塩気があるので、塩のかわりにスープにぱらぱらとふりかけて食べるといい感じ。サンドウィッチの具にもちょっとふりかけたりと、調味料として万能です。

 パンやスコーンづくりにも役立っています。
 前にSea Spiceの瓶詰めのことを書きましたが、こういう海藻粉末が手軽に買えるようになって、味つけの幅が増えてきました。

 アイルランドの海の幸、これからもどんどん日本で手に入るようになるといいですね。そうそう、日本に輸入されるヨーロッパの牡蠣は、アイルランド産のものが初めてなのですって。

 アイルランドの牡蠣は、牡蠣大好きなフランスにもたくさん輸出されているそうで、そのお味のよさは立証ずみです。


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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「貸し別荘」

2008-03-03 00:29:43 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 去年の夏、マークの姉ふたりがカウンティ・ケリーにある町ケンメアの郊外に1週間、ホリデーハウス(貸し別荘)を借りたので遊びに行きました。

お庭ではゴルフの練習ができます。見晴らす景色は素晴らしい。近くのパブへは懐中電灯を持って、真っ暗な山道を歩いていきました。
ケンメアの町中の朝市。魚の加工品はダブリン界隈とだいぶ趣きがちがっています。
 ケンメアはマークの母親の故郷で、ヌーナン家のこどもたちは、たくさんの夏をそこで過ごした思い出深い場所です。

 特にヌーナン家の姉妹たちは、母が亡くなった後も、夏にはケンメアに集合します。ケリー周辺には長期滞在型のホリデーハウスがたくさんあるので、宿には困りません。去年、わたしたちが訪ねた貸し別荘は、ゆったりしたベッドルームが3つあり、6~7人は充分に滞在できる、なかなかの家でした。広々したキッチンとダイニングに続いて、眺めのいいサンルーム。夜はここでキャンドルをともして、星空を見ながらワイン片手にえんえんとお喋りを楽しみました。

 お値段はいろいろですが、1週間で7~8万円くらい。今や宿泊費はひとり1泊1万円は軽くするので、複数で泊るのなら貸し別荘は絶対におトクです。

 キッチンには、食器はもちろん、調味料もけっこういろいろ常備してあり、パンやパスタ、生鮮食材などを買い足すくらいですみます。

 姉さんたちは状況がわからず、車いっぱいに、ものすごい量の買い物をしてきたそうな。「こどもの頃、夏にケンメアですごすとき、キャンピングカーにたっくさんの食料と、われわれこどもたちを、母さんはどうやって全部積み込むんだろうって不思議だったわよねー」けらけらと姉さんたちが思い出し笑いします。

 姉さんたちの借りた家には、かわるがわる兄弟たちが家族を連れて訪れ、マークとわたしは最後の数日を姉さんたちとすごしました。

 アクティブなヌーナン家の姉さんたちは、ウォーキングに行こう!とはりきっていますが、わたしはひろびろキッチンで料理がしたくてうずうず。ひとりで留守番です。朝市で買った野菜はチーズを並べて、きれいな陽射しの中で写真を撮ったり、珍しいサケのソーセージをどう調理しようか迷ったり、楽しい楽しい。

 あいにく途中でシャワー(にわか雨)に当たったウォーキング組が、ずぶぬれで帰ってきたときに、あつあつのスープを出してあげて感謝されたりするのは嬉しいものです。

 ケンメアは夏の観光地として昔から人気があり、小さいながらも町は充実しています。レストランも多いし、気のきいた雑貨やアイルランドらしいウール製品やクラフツなど、買い物好きを飽きさせません。

 オーガニックの食材屋さんや高級系のデリもあるし、朝市も充実です。
 マークがこどもの頃、父親と一緒に来たことがあるという古いパブは、地元のひとたちが集まる庶民的な店で、わたしはいちばん気に入ってる場所。おしゃれな店と、フツーの店がまざりあっているのもケンメアのいいところ。

 いつか、わたしたちも一大フンパツしてホリデーハウスを借りたいものです。たまには言ってみたいじゃないですか「ケンメアにいるからいつでも遊びにきて。ゲストルームはいっぱいあるから」って。

 なによりも、近くで釣りを楽しんで、釣れた魚をすぐ料理できたらいいなぁ。
 セルフケータリングの貸し別荘は、アイルランド国内にたくさんあり、インターネットにリストがあるそうです。滞在型の旅を楽しめるので、機会があったらぜひお試しください。たいてい、少し町から離れてるので「車を使わなかったら、買い物などは?」とご心配かな。買い物は最初にどかんとしておいて、そのときはタクシーを。

 あとは、歩いたり、貸し自転車を利用したり、と車がなくても(あれば便利ですが)なんとかまかなえると思います。


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