松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「リストウル」

　毎年９月の終わりに、カウンティ・ケリーの北部 Listowelで１週間にわたる競馬フェスが開催されます。リストウル、綴りの最後が「towel」なので、イギリス人はよく「リスタオル」と間違えて発音するんだと、アイルランドのひとたちは苦笑しています。

リストウルのヤギは、石垣の上にいました。泊まってたホリデーハウスにもいたよ。クレアはいいヤギが多い地で、ゴーツチーズのおいしいメーカーもあります。

　今回の滞在中、最後の小旅行でリストウルの競馬フェスに行ってきました。
　初めてセルフケータリングのホリデーハウスを借りて、５日間ほぼ毎日、競馬三昧していました。

　ホテルに泊まるのは便利で快適ですけど、毎日が外食になるので、続くとせっかくのディナーもプレッシャーに変わってきてしまいます。

　セルフケータリングだと食事の調整がきくので、少し長めの旅行にはぴったり。
　今回泊まったのは、ネットで探し出したコテージですが、オーナー夫妻がとてもいいひとたちで、次回は直接電話してね～と言ってくれたので、きっとまた泊まりに行くことになりそう。

　モダンなホリデーハウスが主流になっていますが、今回の宿はオーナーのご主人の実家で、お母さんが住んでいたコテージをゲストハウスに改修したもの。ですから、古い写真が飾ってあったり、食器もセットで購入したようなものではなく、グラスやマグカップもばらばらだったりして、まるで知りあいの家に遊びに来たような気分ですごせました。
　
　庭に出ると、シャノン川をはさんで対岸のクレアをのぞむ、素晴らしい景観。
　お天気に恵まれ、レースのなかった日曜日は１日、庭で陽射しを浴びながらオーナー夫妻の犬たちと遊んだり、ワインを飲んだり。
　夜は満天の星に息をのみ、カントリーサイドの暮らしを満喫してきました。

　９月、アイルランドには夏が戻り、快晴が続きました。
　木々の黄葉も遅く、この時期いつもならそろそろ成長のとまる庭の芝生も、まだまだ芝刈りが必要なほど。気温が高すぎるのか、確か今頃よく見かけるハリネズミの姿もあまりなく。

　それが東京に帰る前の晩、ふと家の前の車寄せを見ると、ハリネズミの姿が！
　こんもりした黒い影は、じーっと動かず、こちらも飽きずにじーっと見ていると、もそもそ、もそもそ・・・と、ゆっくりいざるように進みながら、生垣のなかへと消えていくのでした。

　Hedgehog（ハリネズミ）の名のとおり、Hedge (生垣）の中でじっとしていることが多く、芝刈りしたすぐ後の、短い芝だと「ごちそう」が見つけやすいのか、ディナーしにやってきます。

　まんまるい目は愛嬌があって、出会うとなんだか嬉しくなるの。
　「ごきげんよう」と挨拶に来てくれたような気がして、さらにあたたかい気持ちになったのでした。


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