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松井ゆみ子のアイルランド・キッチン・ダイアリー「パイとタルト」

2006-04-03 02:58:19 | 松井ゆみ子のキッチン・ダイアリー
 パイとタルト、この違いってご存知でしたか?

 アイルランドでとてもポピュラーな、アップル・タルト。アップル・パイとよばれることもありますが、実は同じものでした。タルトは、ペイストリー生地(小麦粉とバター、水)でつくったケースの中に具をつめて焼いたもの。タルト(Tart)は、フランス語のTarteからきている料理用語です。アイルランドの発音では、タルトよりも“タート”というのが、ちかい気がします。

デリーで食べたビーフ・パイ。
シェパーズ・パイ。
 パイというのは俗称で、マグパイ(カササギ)からきているのだそうです。マグパイは、アイルランドでよく見かける大きな鳥ですが、なんでもかんでも巣に持ちこんでしまいます。その様子が、具だくさんの“パイ”に似ていると、ちょっと蔑視しながら形容したのが始まりだったようです。

 アイルランドのアップル・タルトは、ペイストリー生地でケースをつくってリンゴをつめた後、さらにペイストリー生地でフタをして焼きます。本来のタルトは、フタなしでケースにつめただけが基本なので、パイとよぶ方が正しいのかもしれませんが、細かいことにこだわらないアイルランド人は、パイといったりタルトといったり、気まぐれなところがいいですね。

 りんごのかわりにルバーブを入れたものもポピュラーですが、これもフタつきですが、ルバーブ・タルトといいます。ルバーブ・パイって聞かないもんなぁ。ちなみにアメリカで人気のピーカン・パイ。ペカン・パイともいいますが、これはフタなしの正しいタルトですが、パイってよぶのですよね。

 パイ、としかよばない料理もあります。肉や魚の上にマッシュドポテトをのせてオーブン焼きした、シェパーズ・パイや、フィッシュ・パイ。これらは、いかにも”マグパイ”の巣を連想するような具だくさんのパイです。

 アイルランドでアップル・タルトなど、お菓子に使われるペイストリー生地は、バター分の多くないビスケットっぽい感じのものが主流です。バターをたっぷり使ったサクサクの生地はパフ・ペイストリーとよばれ、家でつくるのはむずかしいので、冷凍ものが使われます。これがなかなか優れもので、私もお菓子づくりではなく、ごちそう感を出したいときに利用しています。気に入っているのは、生サケとドライド・カラントをパフ・ペイストリーでくるんでオーブン焼きにした、サーモン・パイ。

 いちばん有名なパイは、クリスマスに食べるミンス・パイかな。木の実や干した果物に、バター、砂糖、お酒、スパイスをまぜこんだミンスミートをペイストリー生地に包んでオーブン焼きしたお菓子ですが、もともとは挽肉(ミンスミート)を入れて焼いたものだったようです。

 今ひとつ、パイとタルトってきちんと定義づけができない感じ。ひとつ言えるのは、私が好きなものはパイってよばれるものの方に多いかも。


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