忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。
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北村龍平のおもちゃ箱「ゴジラ FINAL WARS」その1

2004年11月30日 | 作品紹介(映画・ドラマ)

■DVD:「ゴジラ FINAL WARS スタンダード・エディション」


シリーズ開始から50年、ついに「ゴジラ」の歴史に幕が下りることになった。
不死身のゴジラにとどめを刺す大役を東宝から仰せつかったのは、
米・ミラマックス社との契約も済ませ、世界デビューを控えている北村龍平だ。
「VERSUS-ヴァーサス-」「あずみ」「スカイハイ-劇場版-」など、
スピード感のあるアクションには定評のある彼が「ゴジラ」をどう料理したのか、
怪獣映画と北村テイストは合うのか、そんな私の不安は6割的中し、4割外れた。

開始早々、主演の松岡昌宏と同僚役のケイン・コスギとの
アクションシーンが展開するのだが、これがどうにもつまらない。
北村監督の作品は4、5作しか観ていないものの、
どの作品も基本的に同じ演出方法の使い回しばかりで新鮮味に欠けるのだ。
はい吊った~!はい投げた~!はいクルクル回した~!はいマント翻した~!
北村作品のアクションはだいたいこの4つのパーツから構成されており、
パーツを繰り出す順番を入れ替えることで違いを出しているだけに見える。
一般的にはハイスピードアクションこそが北村監督の最大の魅力だと言われているが、
はっきり言おう。私はもう飽きた。

しかし、監督はどうしても人間主体のアクションを撮りたかったらしく、
ゴジラが熱線を出したり、モスラが鱗粉を撒き散らしたりするシーンよりも
ケイン・コスギが飛んだり、北村一輝が回ったり、宝田明が銃を撃ったり、
ドン・フライが刀を振り回すシーンの方が圧倒的に多くなっている。
北村龍平という名にピンと来て劇場に足を運んだファンならいざ知らず、
「ゴジラ」を観に行った子供達はこれでは納得するまい。

監督が怪獣同士の戦いに魅力(愛着)を感じていないことはすぐに分かる。
ほんの数分だけ出てはさっさとやられていく怪獣達、毎回首を切り落とす倒し方、
「松岡と北村が宇宙船内で激しい戦いを繰り広げているその頃『ゴジラ』は?」というか、
CMの時だけチャンネルを合わせてもらえる2番目に観たいテレビ番組のような扱いである。
これでは本末転倒ではないか。「ゴジラ」に出てくる人間達は皆添え物であるべきだ。
軽視しろと言っているわけではない。
しっかりしたストーリーはあって然るべきだが、最終的に美味しいところは
「ゴジラ」が全部持っていかなければ「ゴジラ」ではないと思う。

今回、どうにも笑えて仕方なかったのがケイン・コスギだ。
あまり俊敏ではない(と思えた)松岡だけでは
アクション部分の見映えが悪いと思ったのだろう。
アクション要員としての責務はきちんと全うしているのだが、
台詞回しが完全にアグネス・チャンかルビー・モレノである。
「イイカ、コレダケウァイテオク、オマエノソノアマサガイノチトーリニナルゾ」
など、漢字表記が難しかった頃のファミコンゲームのテキストを
声に出して読んでいるような感じ、とでも言えばわかってもらえるだろうか。
山に登ったりカレーを食べたりするぐらいでは誤魔化せても、映画では通用しない。
しかもケイン、気分が高揚してくると例え相手が怪獣でも英語になるのだ。
昔、早見優が普段は日本語で会話しているが、
大喧嘩になったりすると英語になると言っていたがそんな感じか。
松岡やケインは戦う為に生まれたミュータントという設定なのだが、
ケインだけがアメリカ生まれで日本育ちのミュータントということなのか。よく分からない。

今回の陰の主役は北村一輝(今回の画像は北村のキャラのイメージ画らしい)であろう。
最初のうちは妙なスコープを付けていたので、あの独特の目つきが隠されてしまい
輪郭の似ている大澄賢也と区別がつかなかったのだが、
スコープを外してからはもう大暴走、後半はほとんど彼の独壇場だった。
子供にも伝わる悪役のイメージ(目を背けない程度に残酷でカッコ良い)で、
そして限りなくおちゃめ(私の語彙ではそうとしか言いようがない)なのだ。
北村の芝居はちゃんと「観客の目線」が念頭に置かれていたと思う。

そしてこの「観客の目線」こそが監督には足らない気がする。
どういうことかと言うと、、、続きは次回で。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:ゴジラ FINAL WARS
    配給:東宝
   公開日:2004年12月4日
    監督:北村龍平
   出演者:松岡昌宏、ケイン・コスギ、北村一輝、菊川怜 他
 公式サイト:http://www.godzilla.co.jp/index.php
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
コメント (6)
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