ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)。






▼甘い牢獄。映画「ゴーンガール」



「インターステラー」(169分)、「6才のボクが、大人になるまで。」(165分)
「フューリー」(135分)、「0.5ミリ」(196分)・・・
どうしたことか、今年の映画賞に絡んくる作品は洋邦問わずに長い。
2時間オーバーは当たり前、安藤桃子の「0.5ミリ」に至っては3時間オーバー。
潰瘍性大腸炎を患っている私にはハードルの高い作品ばかりだ。
(映画で中座したくない派なので)
今週末より公開される作品も「ホビット 決戦のゆくえ」(144分)があり
今回紹介する「ゴーンガール」も149分。どうしたんだ映画界。
なるべく2時間にまとめてくれ。

というわけで「ゴーンガール」に話を戻そう。
ギリアン・フリンの同名ベストセラーを映画化したのは
「ゾディアック」「ソーシャル・ネットワーク」デヴィッド・フィンチャー。
主演は「アルゴ」のベン・アフレック、共演は「アウトロー」のロザムンド・パイク。

結婚して今年で5年目を迎えるニックとエイミーは誰もが羨む理想のカップル。
しかし、ニックの親を介護するためミズーリ州の田舎町に引っ越した時から歯車が狂い始める。
5年目の結婚記念日の朝、突然エイミーが姿を消してしまったのだ。
部屋には争った痕跡があり、キッチンからルミノール反応が認められたことから
警察は失踪と他殺の両面で捜査を開始する。
田舎町に不釣り合いなセンセーショナルな事件は瞬く間に話題沸騰となり
全米中からマスコミが殺到する。
最初のうちは愛する妻を奪われた不憫な夫と見られていたニックだったが
捜査が進むうちに不可解な言動や証拠が次々と発見される。
憐れみの視線はやがて疑惑に変わり、ニックは窮地に立たされる。
果たしてエイミーはどこに行ってしまったのか。


地道な捜査活動と、少しずつ明らかになる裏の顔。
起伏の少ない、しかしリズミカルに進む展開の上手さは
さすが「ソーシャル・ネットワーク」や「ゾディアック」のフィンチャー。
「ソーシャル~」ほど早口でもなく「ゾディアック」よりも明快なストーリーのため、
まるで観ている自分までがミズーリの住人のように錯覚し、目が離せなくなる。
本当に近所で発生していれば井戸端会議レベルの事件を
これほどの吸引力でスクリーンに惹き付ける手腕は相当なものだ。

ここ日本でも、結婚とは牢獄だと言われることがある。
出会った頃は多少の粗にも目をつむり、喧嘩すらスパイスに変換させることが出来たが
2年経ち、3年経ち、5年も経った頃にはもうお互いの正体は見えていて、
居ることが当たり前になったスウィートホームは、耳鳴りがするほど静寂な空間へと変わる。
念のために断っておくと私がそうだと言っているわけではないぞ。
酒場で聞かされる愚痴あるあるの上位である。

世の女性はニック(ベン・アフレック)のだらしなさに激怒するだろうが
私はどちらかと言うとニックに同情してしまう。
つま先が震えるほどの背伸びをして、何とか手が届いた高嶺の花(エイミー)。
手に入れた瞬間は嬉しくとも、その後は永遠に身の丈以上の人生を強いられる。
疲れ果てたとき、手身近にあった小さな花が美しく映ったとして誰が責められよう。
田舎町に越してきたことで、思い描いていた理想の生活に影が挿した妻と
故郷に戻り友人や妹もいてどんどん腑抜けになる夫。
この二人の行く末は、是非とも劇場で確かめていただきたい。

見ている最中の熱中度は今年公開のサスペンスでも
トップクラスではあるが、その分だけ抜けも早い。
観賞後もじわじわと胸に残るのは、先日紹介した「デビルズ・ノット」の方が上。
2時間半近くかけて「うん、やっぱり結婚は牢獄だな」と思わされる映画でもあるので
結婚間近のカップルにはお薦めしない。
逆にこれを見てプロポーズするぐらいの覚悟がある夫婦なら上手くいくに違いない。

映画「ゴーンガール」は12月12日公開。(明日11日の夜先行上映もあり)



<デヴィッド・フィンチャー監督作品>


発売中■Blu-ray:「ソーシャル・ネットワーク」
発売中■Blu-ray:「ゾディアック ディレクターズカット」

発売中■Blu-ray:「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」
発売中■Blu-ray:「ドラゴン・タトゥーの女」

発売中■Blu-ray:「セブン」
発売中■Blu-ray:「ファイト・クラブ」




コメント(0)Trackback(0)




パンズ・ラビリンス
(C)2006 ESTUDIOS PICASSO,TEQUILA GANG Y ESPERANTO FILMOJ

【紹介記事】ギレルモ・デル・トロ最新作「パンズ・ラビリンス」

上の記事をアップしたのが今年の1月8日のことなので
海外で話題騒然となってから日本での公開までに9ヶ月もかかってしまった。
今回紹介する「パンズ・ラビリンス」は、
今最も注目する監督のひとりであるギレルモ・デル・トロの最新作である。

【あらすじ】

1944年、内戦終結後も混乱が続くスペインの山間部では
政権に反発する人々がゲリラ闘争を繰り広げていた。
そんな戦禍の真っ直中に、ひと組の母娘がやって来る。
少女オフェリアは、臨月の母親を気遣う一方で
母の再婚したゲリラ鎮圧部隊を指揮する義父が
極めて冷酷かつ残忍な人間であったため、恐怖と共に憎悪の念を抱いていた。

到着の夜、オフェリアは虫の姿をした不思議な妖精を発見する。
誘われるままに辿り着いた迷宮にはパンと名乗る守護神が待っていた。
パンは、オフェリアが地底にある「魔法の国」のプリンセスの生まれ変わりで、
満月の夜までに3つの試練を乗り越えれば、
無事「魔法の国」に帰ることが出来るのだと告げる。
元よりおとぎ話が大好きだったオフェリアは、戸惑いつつもパンの言葉を信じ、
3つの試練に立ち向かう決意をするのだが・・・。

監督は、「デビルズ・バックボーン」「ブレイド2」のギレルモ・デル・トロ。
製作は「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」
「トゥモロー・ワールド」のアルフォンソ・キュアロン。
音楽は「デビルズ・バックボーン」「dot the i」のハビエル・ナバレテ。


ストーリー的な繋がりは無いのだが、本作はデル・トロ監督が
2004年に発表した「デビルズ・バックボーン」の流れを汲む作品である。
(日本での公開が2004年、本国では2001年公開)
スペイン内戦を舞台にしているという時代背景だけでなく
「大人達の起こした悲劇と、そんな世界で生き抜く子供達の姿」という点を
「戦争+ホラー」として作ったのが「デビルズ・バックボーン」であり、
「戦争+ファンタジー」として作ったのが「パンズ・ラビリンス」なのだ。

小さな少女が主人公のファンタジー映画で
このポスター(画像)と来れば、「ナルニア国物語」や「ライラの冒険」のような
冒険活劇風のファンタジーを思い浮かべる方もいるかも知れないが、
スペイン内戦による「救いのない現実」を徹底的なリアリズムで描き、
そこから逃れるための術としてファンタジー世界に救いを求めた
少女の物語であり、軽さや楽しさは微塵も存在していない。
(個人的には怪物達の造形は大いに楽しめたが、決して万人向けではない)
まずこの点を抑えておかなければ、軽めのファンタジーだと勘違いして
うっかりデートムービーにセレクトしてしまうと
エンドロール後の空気が大変重苦しくなること請け合いなので注意が必要だ。

しかし、一度その味を覚えてしまえば、生半な似非ファンタジーでは
物足りなくなるほど濃厚なデル・トロ節を堪能出来る作品でもある。
清く正しく楽しいだけが「ファンタジー」ではない、という
認識のある方なら強烈にお勧め。

オフェリアが辿り着いた「魔法の国」は、
彼女が夢見たように輝きに満ちているのであろうか。
観た方の解釈によって意見が大きく分かれるところであろうが、
私は、溢れんばかりの輝きと春の暖かさに満ちた国であると思いたい。

余談。
デル・トロ監督が大の日本産アニメ(特にジブリ)のファンであることは
映画ファンの間では知られており、本作からも「千と千尋の神隠し」や
「もののけ姫」を意識したと思われる箇所がいくつか見受けられる。
オフェリアを演じたイバナ・バケロも、そう言えばどことなくジブリテイストだ。
もちろん、仕上がりはジブリテイストとは全く違うのだが
その辺りをチェックしてみるのも面白い。

余談の余談。
ここ最近、メキシコ人監督が大活躍していることにお気づきであろうか。
「トゥモロー・ワールド」のアルフォンソ・キュアロン、本作のギレルモ・デル・トロ、
そして「バベル」「21g」のアレハンドロ・ゴンザレス・イリャニトゥ。
皆素晴らしい作品を次々に送り出している。
この3監督の作品には今後も注目していきたい。


■DVD:「デビルズ・バックボーン スペシャル・エディション」
■DVD:「バベル スタンダードエディション」
■DVD:「トゥモロー・ワールド」

【紹介記事】ギレルモ・デル・トロ最新作「パンズ・ラビリンス」
【紹介記事】原作ファンが安堵する貴重な成功例「サイレントヒル」

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:パンズ・ラビリンス/PAN'S LABYRINTH
    配給:CKエンタテインメント
   公開日:2007年10月6日
    監督:ギレルモ・デル・トロ
    出演:イバナ・バケロ、セルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、他
 公式サイト:http://www.panslabyrinth.jp/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

コメント(0)Trackback(0)




めがね

観光や買い物目的で旅をするのはもう止めよう。
私がそう考え始めたのは、もう散々遊び尽くした後のことなので、
今が遊びたい盛りの方や、まだまだ遊び足りない方、
一生アクティブな旅を楽しみたい方などには、この映画はピンと来ないかも知れない。
しかし、気持ちをリセットするために
「何もない場所」を求めて旅したことのある方ならきっと分かる。
荻上直子監督の最新作「めがね」は、そんな映画である。

その島は、美しい海と砂浜以外は何もない島だった。
到着に合わせて空港まで迎えに来るはずのスタッフは、30分待っても現れなかった。
宿泊した部屋に風呂はなく、生温いシャワーのみだった。
夜明け前に砂浜に出て、ぼんやりと日の出を待っていると
何人もの島民達がマラソンしながら目の前を横切っていく。
純血種など1匹もいなさそうな野良犬達が堂々とホテルの敷地内を徘徊し、
レストランに行けば、おこぼれを狙う野鳥や野良猫がどこからかやって来た。
昼間から酒をあおり、カードに興じるスタッフ達。
友人宅に寄りたいからと、運転手はあっさりバスの進路を変更し、
島を案内してくれるはずのスタッフは、約束の時間に1時間遅れて現れた。
缶ビールを持って浜辺に腰を下ろし、夕方まで海を眺めた。
日が沈むと、もうそこは満天の星と波音だけの世界。
分単位のズレも許されない「日本時間」が次第に薄れていき、
島での生活が3日目に入った頃には、時間も曜日も気にならなくなっていた。
「めがね」を観ている間の私は、あの時の私と似ていたような気がする。

都会から(束の間)逃げ出したいという欲求は
都会から(完全に)撤退したいという気持ちとイコールではない。
何もない田舎の暮らしに憧れながら、物の溢れた都会の暮らしも捨てきれない。
旅行はしたいが、まとまった休みが取れない。
そんな気持ちを抱いている方なら、「めがね」はきっと心に響く作品だ。

惜しいのは、「かもめ食堂」でも感じた言葉選びの稚拙さと
演出過多な部分がいくつか見受けられたこと。
「何が自由か、知っている。」(キャッチコピー)というなら、
「たそがれる」ことを良しとする考え方そのものが押し付けがましいし
「メルシー体操」もコミカル過ぎてかえって不自然。
もっと振りを地味にするか、いっそただのラジオ体操でも良かったように思う。

キャスト(全員)、景色(与論島)、食べ物(特にロブスター)は文句なし。
音楽(金子隆博)、主題歌(大貫妙子)は最強。
唯一足らないものが監督の力量というのは何とも皮肉ではあるが
恵まれた環境ですくすく育つ、荻上監督の今後に期待したい。


■CD:「めがね オリジナル・サウンドトラック/金子隆博」

大貫妙子の主題歌も収録したサントラCD。
こちらで全曲試聴可能。


■DVD:「かもめ食堂」

当BLOGで過去に何度も取り上げた作品。
単独紹介はしていないのだが、こちらに少しだけ書いている。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:めがね
    配給:日活
   公開日:2007年9月22日
    監督:荻上直子
    出演:小林聡美、もたいまさこ、市川実日子、加瀬亮、光石研
 公式サイト:http://www.megane-movie.com/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

コメント(0)Trackback(0)




ワルボロ 松田翔太 新垣結衣
(C)2007「ワルボロ」製作委員会

9月7日公開の邦画は面白い。
東宝は、フジテレビとのタッグで邦画界の新記録樹立を狙う「HERO」を、
松竹は、今作で20周年を迎える安定感抜群の「釣りバカ日誌18」を、
そして東映は、ハンパ者をヒーローに仕立てる得意技で
2007年の世にリーゼントとツッパリを復活させた。
今回は、興行的には3作中最も苦戦するであろう「ワルボロ」を紹介する。

【あらすじ】

1980年代前半の東京都立川市。
受験を控えた中学3年生のコーちゃん(松田翔太)は
憧れのクラスメイト・山田(新垣結衣)の気を引くために今日もガリ勉中。
ある日、些細なきっかけで幼なじみのヤッコ(福士誠治)相手に
キレてしまった日を境にコーちゃんの人生が一変、リーゼントとボンタン、
鉄板入りのカバンで街を闊歩するツッパリになってしまった。
ワルになったコーちゃんに激怒する母(戸田恵子)、
逆に歓迎する叔父(仲村トオル)、冷ややかな視線を送る山田・・・
周囲の反応は様々だったが、走り出したコーちゃんは、
もう誰にも止められない。

コーちゃんには「花より男子」「ライアー・ゲーム」
「女帝」と現在大活躍中の松田翔太。
ヒロイン山田には「マイ★ボス マイ★ヒーロー」の新垣結衣。
コーちゃんの仲間達には福士誠治、木村了、城田優といった
若手の期待株が勢揃いしている。
主題歌は甲本ヒロトと真島昌利の
ザ・クロマニヨンズの3rdシングル「ギリギリガガンガン」。


初めに断っておくと、私はゲッツ板谷の小説もコミックも未読なので
あくまでも映画だけを観ての感想である。

原作はゲッツ板谷の自叙伝的なエッセイらしいので
そういう意図は無かったと思うが、映画版のスタッフが狙っているのは
まさしく「ビーバップ・ハイスクール」、それも最近作られたドラマ版ではなく、
80年代に一世を風靡した劇場版シリーズであろう。
映画化の手法としては、下手に現代風の手法を取り入れず
ドラマ版のテイストを尊重していた「スクール・ウォーズ」に良く似ている。

ストーリーは、「ビーバップ・ハイスクール」的なキャラクター設定に
「花のあすか組!」的な「ガキの世界の勢力争い」をプラスしたもので、
「花のあすか組!」読者ならば「戦23の男子版のようなもの」と言えば
一番伝わり易いのではないか。
立派な大人(劇中では戸田恵子演じるコーちゃんの母親)から見れば
下らないガキ同士の喧嘩でも、当人達にとっては
生きるか死ぬかの大勝負なのだ、という温度差も含めて
実に上手く描かれており、この辺のテイストを楽しめるのは、
新垣結衣や松田翔太を目当てに劇場に足を運ぶ若い方々ではなく、
ペシャンコに潰した鞄を満足そうに眺めるコーちゃんに
「そうそう」と頷くことの出来る私のようなジジィ連中かも知れない。

「ガリ勉上がりのツッパリ」という役柄が上手くマッチしている松田翔太、
ある意味一番オイシいポジションのヤッコを演じる福士誠治、
ひとり逃げ回る気弱な役柄を好演している城田優など、
錦組のメンバーは皆違和感なく「古めかしいツッパリ」になっていた。
「ビーバップ」出身の仲村トオルが
武闘派のヤクザを嬉々として演じているのも微笑ましい。

唯一の難点は、ヒロイン役の新垣結衣だけが
2007年を感じさせるヒロインである、ということ。
劇中には聖子ちゃんカットの女生徒も登場しているので
余計に新垣結衣だけがポッカリと浮いているように感じるのだ。
これは演技力の問題ではなく、服装や髪型の問題であろう。
出演者全員が中学3年生に見えない、というのもあるが、
それはまぁ、目をつぶることとしよう。

「HERO」よりは確実に映画らしい映画に仕上がっているので
「HERO」を観に行ったものの残念ながら満席、といった場合には
思い切って「ワルボロ」に鞍替えしてみるのも手だ。


■CD:「ギリギリガガンガン DVD付き/ザ・クロマニヨンズ」
■CD:「ギリギリガガンガン/ザ・クロマニヨンズ」

さすがというか、映画のイメージに良く合っていた。
ジャケットは、劇中にも「女優」として登場する西原理恵子氏。


■Book:「ワルボロ/ゲッツ板谷」
■Book:「ワルボロ 1/ゲッツ板谷、花岡暁生」
■Book:「ワルボロ 2/ゲッツ板谷、花岡暁生」

原作小説とコミック。


■DVD:「スクール・ウォーズ HERO」

山下真司のドラマ版をどうやって2時間にまとめるのかと
思っていたが、意外なほど良く出来ている。
泣き虫先生を演じる照英のオーバーアクションな喜怒哀楽が
映画のベタな空気と絶妙にマッチし、とどめは大黒摩季の「HERO」。
「ワルボロ」を観る前のリトマス試験紙として。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:ワルボロ
    配給:東映
   公開日:2007年9月8日
    監督:隅田靖
    出演:松田翔太、新垣結衣、福士誠治、木村了、城田優、他
 公式サイト:http://www.waruboro.jp/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

コメント(0)Trackback(0)




伝染歌

「8章まで続く」と壮大な構想をぶち上げた「着信アリ」が
3作目にしてあっさり「FINAL」を迎えてしまったためか
秋元康は「呪いの携帯」を捨て、「呪いの歌」に手を出した。

【あらすじ】

ある日、女子高生の夏野あんず(大島優子)は
同級生の香奈(前田敦子)が自殺する現場に遭遇してしまう。
マスコミはいじめが原因ではと報道するが
あんずには気になることがあった。
それは、香奈が自殺する直前に歌っていた「歌」だ。
同じ頃、都市伝説やゴシップばかりを扱う雑誌
「月刊MASAKA」の編集部に勤める陸(松田龍平)も
「歌うと死ぬ歌」の噂を耳にしていた。
香奈の死に疑問を抱いたあんずは友人の松田朱里(秋元才加)と、
噂に興味を持った陸は編集部の先輩である太一(伊勢谷友介)と共に
伝染歌の真相を追い始める。

企画・原案は「着信アリ」の秋元康。
監督は「 おニャン子・ザ・ムービー 危機イッパツ!」から
「 突入せよ!「あさま山荘」事件」まで幅広く手掛ける原田眞人。


「呪いが伝染する」というアイディア自体、
「リング」の亜流でしかないわけで、携帯を歌に変えたところで
今さら目新しさが出るはずもなく、秋元がプロデュースしている
AKB48を起用して、少しでも目先を変えたいという意図は分かる。
分かるが、これはどう見ても出来の悪いアイドル映画である。

「着信アリ」と本作には共通した欠点がある。
それは、思いつきのアイディアを煮詰めることなく
勢いだけで映画化していることだ。
「未来の自分から着信が入ったら怖いんじゃね?」
「歌ったら死ぬ歌とかいいんじゃね?」という「核」に
都市伝説やAKB48といった流行のワードを取り入れれば
はい一丁上がり、という秋元流のレシピには
食材の吟味も、丁寧な下ごしらえも、隠し味も存在しない。

原田眞人監督は「着信アリ」とは違うテイストを出すべく
努力しているし、松田龍平と伊勢谷友介のコンビは
他の作品でもう一度観たくなるほど良い味を出している。
いっそこの2人が都市伝説を追う連続ドラマを制作した方が
良かったのではと思うほどに良い。
しかし、あまりに安普請な土台とAKB48の破壊力の前に
彼等の努力がすっかり相殺されてしまっているのだ。

ホラー映画の苦手なAKB48ファンには安心であろうが
本当に、全く、1ミリも怖くないので、AKB48に特別な思い入れのない
ホラー映画ファンは素直に避けた方が良い。
今年の夏は「ブラッド」「怪談」といった良作もある。
それはそれで怖すぎるというなら、
ハローバイバイの本でも読めば良い。

後半、秋葉原の電気店でAKB48のメンバーがこんな会話をしていた。
「ねーねー、こーゆー時ってやっぱり靖国で会おうって言うのかな?」
「いーんじゃない、それで」
「ヤスクニってなーに?スーパーか何か?」
今にして思えば、このシーンが一番怖くて寒かった。


■DVD:「口裂け女 スペシャル・エディション」

「私、キレイ?」で一世を風靡した
あの「口裂け女」が27年振りの復活。
水野美紀の熱演は買うが、オチも含めてアラが山のようにあり
消化不良な印象だけが残る惜しい作品。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:伝染歌
    配給:松竹
   公開日:2007年8月25日
    監督:原田眞人
    出演:松田龍平、伊勢谷友介、AKB48、他
 公式サイト:http://www.densen-uta.jp/index_p.html
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

コメント(0)Trackback(0)




トランスフォーマー

【あらすじ】

「それ」は突然やって来た。
高度な知能を持ち、車、ラジカセ、携帯電話など
あらゆるテクノロジー機器に姿を変えることが出来る謎の金属生命体。
彼等は探しているものがあった。
ロボットに変身(トランスフォーム)した彼等が辿り着いたのは、
探検家を祖先に持つ高校生、サムの家。
サムの祖父が遺したある物に、人類の未来を左右する
重大な秘密が隠されているらしい。

そんな事も知らないサムは、マイカーを手に入れるため
祖父の遺品をオークションに出品して小銭を稼いでいた。
念願のマイカーは中古のオンボロだったが、不思議な魅力があった。
ある夜、オンボロカーが勝手に自宅を飛び出してしまう。
慌てて追ったサムの目の前に現れたものは、巨大なロボットであった。

製作総指揮はスティーヴン・スピルバーグ、監督はマイケル・ベイ。
主人公サムを演じるのは、海外版「風の谷のナウシカ」で
アスベル役を演じていたシャイア・ラブーフ。
現在、最も将来を期待されている若手俳優のひとりである。


「トランスフォーマー」に関しては
ファミコン版「コンボイの謎」をプレイした程度の知識しか
持っていない私なので、キャラクターに対する思い入れなどは
特にないのだが、それでもこれはアツい。
ハリウッドらしい(良い意味での)力任せの演出と
ウィットのあるシナリオに、日本のヒーローモノらしいお約束が融合し
良質な和洋折衷のSFアクションに仕上がっている。

本作からヒシヒシと感じるのは、
マイケル・ベイの映画人としてのサービス精神と誇り。
ルーカスやスピルバーグが「もう大作は撮らない」と公言し
ゲーム機の表現能力が映画と並んだと言われる中、
「ハリウッドらしい、万人が楽しめる大作を誰かが残さなければならない」
「ゲームが進化するなら、映画は常にその先に行くのだ」という
ベイの執念がスクリーンから滲み出ている。
もともと分かり易い大作ばかりを手掛けて来たベイだが
本作は「パールハーバー」のように
公開エリアによって物議を醸すような題材でもなく、
まさに全世界・全世代がターゲットである。
ハリウッド史上最高のオープニング記録を打ち立てたのも納得だ。

気になったのは、「アルマゲドン」や
「アイランド」でも見られたカメラワークの雑さ。
特に後半、数十分間に渡り延々と戦闘が続くシーンでは
激しさのあまり肝心のトランスフォームや
機体の華麗なアクションを堪能することが出来ず
ストレスが溜まってしまった。
時折挿入されるスローモーションは
あれ以上増やすとテンポが悪くなろうし、難しい問題ではあるのだが
何とかクリアしてもう一段階上に行って欲しい。

「日本製に違いない」「eBayで見つけた」など
あちこちに仕込まれた脚本の「お遊び」も楽しい。
「トランスフォーマー」世代のジジィはもちろん、
ファンタジー作品に押されて減少傾向にある
SFアクション映画のファンにも是非お勧めしてみたい。

それにしても「ハッピータイム」とは・・・「踊るヒット賞」モノの表現だな。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:トランスフォーマー
    配給:UIP
   公開日:2007年8月4日
    監督:マイケル・ベイ
    出演:シャイア・ラブーフ、タイリース・ギブソン、他
 公式サイト:http://www.unltd-media.jp/tf/top.html
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

コメント(0)Trackback(0)




河童のクゥと夏休み

5月頃であったか、
「男の子向けの少女マンガ誌」という奇妙なターゲットを想定した
「コミックエール!」なる雑誌が芳文社より創刊された。
今回紹介する「河童のクゥと夏休み」を
「コミックエール!」風の売り文句で説明するなら
「大人向けの子供用映画」である。

【あらすじ】

もうすぐ待ちに待った夏休み。
ある日、小学生の康一は学校帰りの川辺で不思議な石を拾った。
水で洗ってみると、それはどんどん生気を取り戻し
人の言葉を操る不思議な河童の子供となった。
河童は康一によって「クゥ」と名付けられ、康一の家族と共に暮らし始める。
しかし、現代社会に突如として現れた河童を世間が放っておくはずもなく、
クゥの噂はやがて日本中へと波及していく・・・


原作が児童文学ということで、観る前は「となりのトトロ」のような
話かと思っていたのだが、全く違った。
「河童のクゥと夏休み」は、「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」で
実績を積んで来た原恵一監督の集大成であり、
子供向け劇場用アニメの元祖である
「ドラえもん のび太の恐竜」(1980年公開)に対する
原監督からの回答なのではないか。
後半の展開にSF的な要素が絡んでくるか・こないかの違いこそあれ、
「河童のクゥと夏休み」と「のび太の恐竜」は驚くほどストーリーが似ている。
似ているからパクりだ、という話ではなく、大筋を似せることで
「2007年に私が作るならこうだ」という監督のメッセージを
より強く前面に押し出しているように感じた。

主人公の家庭が野原家と全く同じ家族構成であったり、
劇中に東京タワーが登場したりと、
「クレヨンしんちゃん」で培ったテクニックやアイディアも多用されているが、
「ドラえもん」や「クレヨンしんちゃん」などの作品では決して許されない
血なまぐささや人間の薄汚れた部分もストレートに表現されている。
何の予備知識も持っていなかったので、開始5分ほどで起きる
ある出来事には心底驚いた。

環境問題、いじめ、マスコミの過熱報道・・・
現代社会の抱える問題をいくつも盛り込んでいながら
決して説教臭くなることなく、必要以上に泣かせようともしない。
嬉しいことも哀しいことも、全てがさらさらと流れていく。
せめてハッピーエンドかと言われれば、それも判断が難しい。
「ドラえもん」でも「クレヨンしんちゃん」でもない以上、
物語の結末が必ずしも大団円である必要がないからだろう。
「あー面白かった」という気持ちと同じか、
もしかするとそれ以上の「お土産」を、観客は持って帰らされることになる。
そしてこの「お土産」をどう受け止めるかによって、
評価は大きく割れそうな予感がする。

本作はいたるところで「水」が登場する。
クゥを拾った近所の川であったり、学校のプールであったり、
片田舎の清流であったり、海であったり、大雨であったり、
汗であったり、涙であったり。
本作の真の主役は「水」なのではと思うほど、
どの場面も「水」の表現には相当力が入っている。
河童は水なしでは生きられない。
人もまた、水なしでは生きられないのだ。


■DVD:「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲」
■DVD:「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」

原恵一監督の名を一気に広めた大傑作2本。
当BLOGでも何度も紹介しているので
既にご覧になった方も多いと思うが、まだならば今からでも遅くない。
明日にでもレンタルショップに走るべし。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:河童のクゥと夏休み
    配給:松竹
   公開日:2007年7月28日
    監督:原恵一
    出演:田中直樹、西田尚美、ゴリ(ガレッジセール)、他
 公式サイト:http://www.kappa-coo.com/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

コメント(0)Trackback(0)




キサラギ
■DVD:「キサラギ プレミアム・エディション」
■DVD:「キサラギ スタンダード・エディション」

2006年の国内劇映画興行収入は
21年振りに邦画の興行収入が洋画を上回る快挙となった。
しかし、邦画の好調を支えているのは
ベストセラー書籍やTVドラマの映画化が中心で
次世代の邦画を担うほどの逸材は
なかなか登場していないのも事実である。
そんな中、2005年に観た「サマータイムマシンブルース」以来
久々に「これは来た!」と胸が躍る作品が登場した。

キサラギバナー

今回紹介する「キサラギ」は、脚本家、戯曲家、イラストレーターという
3つの顔を持つ古沢良太が、劇団「48BLUES」の為に書き下ろした原作を
映画向けに大幅に加筆・改稿し、
「古畑任三郎」「僕の生きる道」「WATER BOYS」などの
ヒットドラマを手掛けた佐藤祐市が映画化した作品である。
ワンシチュエーションドラマが好きだと言う古沢氏が
時間をかけて練り込んだ脚本は文句無しの面白さで、
「2007年度最高のコメディ」と言って間違いなかろう。

【あらすじ】

B級にすら程遠い、C級グラビアアイドルの如月ミキが自殺して1年。
彼女のファンサイトを運営していた「家元」(小栗旬)は、
常連である「オダ・ユージ」(ユースケ・サンタマリア)の勧めで
「如月ミキ1周忌追悼会」を兼ねたオフ会を計画する。
追悼会に集まったのは、
カッコつけでお調子者の「スネーク」(小出恵介)
お菓子作りが趣味の大男「安男」(塚地武雅)
オフ会参加者の最高齢にして無職の「いちご娘」(香川照之)
そして家元とオダ・ユージの5人。
自分こそが誰よりも如月ミキを愛していると自負する彼等は
会の序盤こそ想い出話に花を咲かせていたのだが、
オダ・ユージが突然切り出した

「如月ミキは自殺ではなく、他殺なのでは」

との発言を境に急展開、隠されていた秘密が
次から次へと明るみになっていく。
如月ミキは本当に他殺なのか?それとも・・・


如月ミキの死の真相に迫るミステリーを縦糸に、
芸達者達が繰り広げる小気味良い会話の応酬を横糸に
織り上げられた密室劇は、ジャンル分けが困難なほど
スリルと笑いに満ちた108分に仕上がっている。
剥いても剥いてもまだまだ出て来る
「隠された真実」のマトリョーシュカ構造も上手いが、
追悼会の幹事である家元を演じた小栗旬以下、
5人のキャストが、まるで当て書きでもされたかのように
役にぴったりハマっているのも驚いた。

出演者の履歴を意識したと思われる遊び心が
ふんだんに盛り込まれているのも楽しかった。
家元の職業が実は●●だった、というのは
実写版「●●●●●●」で主人公を演じた小栗旬ならば納得出来るし、
織田裕二に憧れる「オダ・ユージ」を「踊る」シリーズの
スピンオフ企画で主演したユースケに演じさせ、
かの名台詞を吐かせるのもファンならば思わずニヤリとするはずだ。

「ALWAYS 三丁目の夕日」の脚本も手掛けた古沢氏らしい
感動・感涙のエンディングも含めて、
いわゆる「オタク」な人々が抱く突き抜けたファン心理を
これほど上手く映画に落とし込んだ作品は過去に無かったように思う。

一点だけ不満点を挙げるとすれば
伏線の張り方が露骨過ぎる箇所が多いこと。
観客を置いてきぼりにするほどの難解な伏線も困るが
張られた瞬間にあっさり読めてしまうのもつまらないもので、
残念ながら本作の伏線は途中で見えてしまうものが多い。
しかし、最近は難解な物語に拒絶反応を起こす観客が
(特に若年層に)多いらしいので、これぐらい分かり易い方が
万人に楽しめるのかも知れない。

「サマータイムマシンブルース」の時にも感じたのだが、
「知る人ぞ知る作品」として終わらせるには惜しい作品なので、
少しでも興味を持った方は、是非劇場でご覧頂きたい。
私は公開終了までにあと2回は観に行く予定だ。


■DVD:「12人の優しい日本人」

古沢氏が好きな作品として挙げている
三谷幸喜の初期を代表する密室劇。
裁判員制度の開始を意識してか、2005年に舞台で再演された。
映画版はまだ三谷氏が監督業に進出する前の作品なので
現在の三谷テイストとは若干異なるが、これはこれで楽しめる。


■DVD:「笑の大学」

こちらも舞台が原作の三谷幸喜作品。
登場人物は「キサラギ」よりさらに少なく
作家と検閲官の二人だけで展開する密室劇。
稲垣吾郎が予想以上に健闘するも
役所広司との二人芝居はさすがに酷だったか。


■DVD:「サマータイムマシン・ブルース」

【紹介記事】新世代作家の誕生「サマータイムマシンブルース」

以前、当BLOGでも紹介したことのある
傑作”なんちゃって”SF映画。
「キサラギ」鑑賞後の爽快感がとても似ているので挙げてみた。


■CD:「キサラギ オリジナル・サウンド・トラック/佐藤直紀」

如月ミキこと酒井香奈子が歌う
破壊力抜群のエンディング曲も収録した貴重なサントラ。
今聞いても5人のヲタ芸が脳裏をよぎる。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:キサラギ
    配給:ショウゲート
   公開日:2007年6月16日
    監督:佐藤祐市
    出演:小栗旬、小出恵介、ユースケ・サンタマリア、他
 公式サイト:キサラギバナー
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

コメント(0)Trackback(0)






■DVD:「世界最速のインディアン ゴッド・オブ・スピード・エディション」

■DVD:「世界最速のインディアン スタンダード・エディション」

2007年もまだ4ヶ月しか済んでいない時点で
断言するのは早計かとも思うのだが、
今年観た映画のベスト3には必ず入るであろう作品なので
DVD発売決定を記念して紹介することとする。

「世界最速のインディアン」は、インディアン・スカウトをこよなく愛し、
63歳にして一念発起、アメリカのボンヌヴィル塩平原(ソルトフラッツ)で
毎年行われているスピードレースへの出場を果たした
実在の人物、バート・マンローを描いた作品である。

監督は「13デイズ」「リクルート」のロジャー・ドナルドソン。
主演は「日の名残り」「白いカラス」「ボビー」などの紳士役から
「羊たちの沈黙」「ハンニバル」「レッド・ドラゴン」の
ハンニバル・レクター役まで幅広くこなく名優アンソニー・ホプキンス。
本作が、ホプキンス卿の新たな魅力を引き出した
晩年の代表作になることはまず間違いあるまい。



■DVD:「紅の豚」


「飛ばない豚は、ただの豚だ」

の名台詞を吐いたのは
「紅の豚」の主人公、ポルコ・ロッソであったが
「世界最速のインディアン」の主人公、バート・マンローも

「夢を追わない奴は野菜と同じだ」

という言葉を劇中で披露している。
ポルコ・ロッソとバート・マンロー。
二人に共通しているのは
「男が痺れる、最高にシブい男」ということだ。

最新技術には目もくれず、傍目には鉄屑にしか映らない
インディアン・スカウトを愛し続け、
「スピード」という名の神に一生を捧げた男の生き様と
そんな彼に差し伸べられた多くの「愛の手」に
心を揺さぶられ続けた2時間であった。

ロジャー・ドナルドソンが今の地位にいて、
アンソニー・ホプキンスが今の年齢でなければ成立しない、
「タイミング」という名の奇跡が生んだ傑作。
年齢性別を問わず広くお勧めで出来るが、
心身ともに疲れ気味の男性諸氏は特に必見。
「ユ●ケル」より「リポ●タン」より「ウ●ンの力」より
1000倍の効果が得られることを保証する。



■DVD:「ストレイト・ストーリー」


バート・マンローが「世界最速」なら
こちらは「世界最低速」のロードムービー。
敬愛するデヴィッド・リンチ作品の中でも特に好きな作品。
病床に倒れた兄に会うため、73歳になる足の悪い弟が
時速8キロのオンボロトラクターに乗って出かけるお話。
こちらもかなりお勧め。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:世界最速のインディアン
    配給:ソニー・ピクチャーズ
   公開日:2007年2月3日
   発売日:7月27日
    監督:ロジャー・ドナルドソン
    出演:アンソニー・ホプキンス、他
 公式サイト:http://www.sonypictures.jp/movies/theworldsfastestindian/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

コメント(0)Trackback(0)






■DVD:「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」


既にスペシャルドラマ1本、連続ドラマ1シリーズの
2度にわたり映像化されている「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」。
トリを飾る劇場版は、抑えの利いた演出が光る良作に仕上がっている。

【あらすじ】

1960年代、ボク(オダギリジョー)とオカン(樹木希林)は
娯楽のない筑豊で、そこそこ幸せに暮らしていた。
1980年代、高校を卒業したボクは上京し、晴れて美大生になった。
しかし、大都会に呑み込まれたボクは
オカンの仕送りを麻雀や酒に変えるだけの
自堕落な生活に浸り切ってしまう。
大学卒業後、イラストレーターとして少しずつ
仕事が軌道に乗り始めた矢先、
オカンが癌に冒されていることを知ったボクは
東京で一緒に暮らそうと話を持ち掛けるのだが・・・

監督は「アカシアの道」「さよなら、クロ」の松岡錠司。
脚本は「恋の門」「ユメ十夜」の松尾スズキ。
共演は、ボクの彼女に松たか子、オトンに小林薫。
若い頃のオカンを樹木希林の実の娘である内田也哉子が演じている。


監督の松岡錠司は、邦画界の中でもかなり好きな監督なので
贔屓目もあるとは思うのだが、目に見える形で
「さぁ泣け」と言わんばかりのドラマ版とは別物と言って良い。
ありふれた風景と飾らない言葉を使って
観客の心を惹き付ける手法は
「さよなら、クロ」や「アカシアの道」と全く同じだ。

物語は、日本男児のDNAには少なからず含まれているであろう
母親への思慕の念がベースになっている。
オダギリジョー演じるボクが辿る「親の心、子知らず」な青春時代が
私のそれとかなりダブることもあり、
チクチクと胸が痛みつつの鑑賞となった。

リリー・フランキーと少なからず縁のある
松尾スズキも福山雅治も、素晴らしい仕事ぶり。
松尾スズキは、現在と過去を上手く行き来しながら
ともすれば「泣かせ」一辺倒になりがちな物語に
「笑い」を滑り込ませて、よりリアルな親子関係を描くことに成功し、
福山雅治も、夢を抱いて上京した者ならば
共感せずにいられない「男泣き」の名曲を用意した。

樹木希林の上手さは本作でも健在。
いつも前向きで、時折少女のような愛らしさを見せる
オカンを好演している。
内田也哉子との母娘連携プレーもお見事と言うしかない。
オダギリジョーや小林薫、
友人役の勝地涼や伊藤歩、祖母役の渡辺美佐子もいい。
松たか子の存在が、ボクとの関係も含め
若干説明不足な点が気になった以外はキャストもほぼ文句無し。

関係者全てが作品をこよなく愛しているのだろう、と感じる映画には、
海外の作品も含め、年にそう何本もは出会えない。
原作、脚本、音楽、演出、
「東京タワー」には、隅々まで愛が詰まっている。
30代以上で、親元を離れ都会で頑張っている男性諸氏は必見。
カップルで観に行くと、男の方が泣いてしまう可能性もあるので
出来れば一人で、こっそり観に行くことをお勧めしておこう。

ただし、オカンとボクの関係を
「甘過ぎて付いて行けない」と感じる方が
(男女共に)一定数いるであろうことは否定しない。



■Book:「アカシアの道/近藤ようこ」

■Book:「ホライズンブルー/近藤ようこ」

DVD化されていないようなので原作を紹介。
日本でも5本の指に入る漫画家だと思っている
近藤ようこの原作を、松岡錠司が2000年に映画化した。
厳格な母親がアルツハイマーを発症し、
介護をせざるを得なくなった女性の物語。
娘役は夏川結衣、母親役は渡辺美佐子。
救いのない話ではあるが、この原作も含め素晴らしい作品。
なお、映画化されていないが「アカシアの道」には
「ホライズン・ブルー」という関連作も存在する。



■DVD:「さよなら、クロ 世界一幸せな犬の物語」


2003年度公開の松岡錠司作品。
長野県の高校に住み着いた野良犬、クロの生涯を
当時世話をしていた人物の青春も交えて描いた作品。
「東京タワー」と同じく、いくらでも泣かせられる話でありながら
あえて一歩引いた演出に心が洗われる。
主演は妻夫木聡、友人役には伊藤歩、新井浩文、金井勇太。
渡辺美佐子がここでも校長役で出演している。
「クイール」の100倍は良いので未見ならば是非。



■CD:「東京にもあったんだ DVD付/福山雅治」


コブクロのファンには申し訳ないが、
ドラマ版の主題歌になっていた「蕾」より
「東京タワー」という作品の世界や
東京で暮らす地方出身者の心情をうまく表現している。
4月11日発売。
初回10万枚のみ、ビデオクリップを収録したDVD付き。

★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★
  タイトル:東京タワーオカンとボクと、時々、オトン
    配給:松竹
   公開日:2007年4月14日
    監督:松岡錠司
    出演:オダギリジョー、樹木希林、小林薫、他
 公式サイト:http://www.tokyotower-movie.jp/
★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★

コメント(0)Trackback(0)



« 前ページ   


?