一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

三浦九段の竜王戦不出場に思うこと

2016-10-14 22:31:51 | 将棋雑考
将棋ブロガーとして、このことを避けて通るわけにはいかない。
三浦弘行九段が将棋ソフトカンニング疑惑により年末まで出場停止になり、15日からの竜王戦七番勝負が自動的に不出場になった。
先日たまたま片上大輔六段のブログを読んだのだが、奥歯にモノの挟まった物言いが気になった。それはこのことを言っていたようだ。タイトル戦第1局の3日前に挑戦者が代わるなど前代未聞。棋士の不正、という意味でも最大級の不祥事といえよう。
そこで改めて思い返すと、竜王戦の準決勝・久保利明九段戦、決勝三番勝負第3局・丸山忠久九段戦は、三浦九段の神懸かり的な勝ち方だった。
対久保九段戦では、苦戦と思われた将棋を△6七歩成と踏み込んで、驚異の一手勝ちを収めた。
また丸山九段戦では△8六歩の突き捨てを放置して▲5四歩と踏み込み、これも鮮やかな勝利。まさに鬼神のような強さで、これがプロの将棋か、と私は唸ったものである。
ところがどっこい、これらがソフトの推奨手だった可能性がでてきたわけだ。
ちなみに先日のA級順位戦・渡辺明竜王との一戦も、三浦九段の快勝だったという。これもソフト使用が疑われている。
三浦疑惑の柱の一つに、対局中の頻繁な離席、があったらしい。終盤の難しい局面でも、盤の前に20~30分いなかったという。
指し手の確認はスマホで行ったとされるが、そもそもスマホに将棋ソフトがインストールできることを私は知らなかったし、それが棋士並みの強さであることも私には驚異だった。
話を戻すが、私は盤の前から人がいなくなるのを好まない。かつてLPSA芝浦サロンで石橋幸緒女流四段(当時)に指導対局を受けた時、石橋女流四段があまりにも頻繁に席を外すので、気分を害したことがあった。
また数か月前の大野教室でも、やる気が感じられない小学生に気分を害したことがあった。私はけっこう短気である。
やっぱり将棋を指す時は、それなりの態度で臨まなければいけないと思うのだ。1手ごとに席を離れるなんて、ましてや終盤の緊迫した局面で席を離れるなんて、将棋を指す健全な姿勢ではないと思う。
ちなみに石橋女流四段との将棋は、終盤で石橋女流四段に妙手を指され、私は痛い負け。相手は全然盤の前におらず、私はその間ウンウン考えていたのに、軽くひねられたわけだ。二重の意味でカリカリきた。
私のとはレヴェルが違うが、渡辺竜王や久保九段も、似たような心境だったのではなかろうか。相手が目の前にいないのに、戻ってきたら妙手を指される。これで負かされたら憤懣やるかたない。
もう一つ驚くべきは、将棋ソフトの信頼性である。仮に三浦九段がカンニングをしたとしても、その手が正着でなければ、指す意味がない。しかしソフトの推奨手は、ことごとく正着だったようである。
もはや将棋ソフトは、ここまで強くなっているのだ。ひょっとしたら渡辺竜王らは、図らずもソフト相手に対戦したことになるのかもしれない。
それにしても分からないのは三浦九段だ。三浦九段は20年前、羽生善治七冠の一角を崩し棋聖を獲得、一躍時の人となった。そして現在も順位戦A級と竜王戦1組に所属する一流棋士である。ソフトに頼らなくたって、読みの入った手は指せるだろう。
これが私の手だ、と天下に知らしめるのが醍醐味なのに、それを放棄したら棋士が指す意味がない。第一、カンニングして指していても、おもしろくないだろう。
三浦九段が「クロ」と確定したわけではないが、連盟だって何の証拠もなく三浦九段を追及したりしないだろう。三浦九段には悪いが、やっぱりカンニングはあったんじゃないか、と疑わざるを得ない。
規定通りなら、三浦九段は来年から復帰する。三浦九段が疑惑を払拭したいなら、三浦九段らしい将棋で白星を重ねていくしかない。
コメント (19)
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