感染症診療の原則

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「救急医療においてもHIV診療と研修医教育は重要」(旭中央病院)

2008-11-27 | 毎日いんふぇくしょん(編集部)
青木編集長が定期的に感染症カンファレンスを担当している千葉の旭中央病から今回の日本エイズ学会(大阪)に出されている口演に「救急医療においてもHIV診療と研修医教育は重要である」という演題があります。

28日(金)に予定されています。発表者は後期研修医です。
(指導医の中村先生が若い医師の演題発表をいろいろな学会に向けて支援をされています)

旭中央病院といえば、銚子市立病院の廃院の影響を受け、救急搬送が増えてたいへんなことになっていると雑誌などにも報じられていますが、院救急センター(1-3次)で年間6.2万人をケアしているそうです。

そして、その診療の多くは研修医が主体(指導医のもとです)。
今回発表される演題によりますと、「AIDS症例の救急外来での初診医の7割は研修医」とのことです。

旭中央病院は千葉県内におけるエイズ診療拠点病院でありその実績もすばらしいものがありますが、エイズ発症患者の半数は救急外来が初診(182名中72名:1990-2008年5月)。

救急外来で初診日に診断(すばらしい!)されたAIDS患者は、ニューモシスチス肺炎・トキソプラズマ脳症・結核性髄膜炎。

初診時にAIDS診断が困難であったのはトキソプラズマ脳症・クリプトコッカス髄膜炎・ニューモシスチス肺炎・粟粒結核(どういう難しさがあったのでしょうね)。

「日本の救急医療が若定医師によって担われていることから今後も研修医に対するHIV/AIDS診療の教育が重要である」と言う指摘は、

今回の多数ある演題の中で、他の医療関係者・医療機関への教訓となるすばらしい演題と思われ注目しています。

編集部でも感染症関連の教育計画を立てるときに、年に1度はHIV感染症を入れることをおすすめしています。講師を紹介してほしい場合はぜひお問い合わせください(実際、青木編集長へのHIV感染症や日和見感染症についての講義依頼は大変増えています)。

今回の学会では、旭中央病院からもうひとつポスター演題で、日本におけるOpt-out検査(入院時に全員にHIV検査)で早期に診断に結びついていることについて発表がありました。

JR旭駅周辺はのどかですが、問題への切り込みはワシントンDCの中心部病院なみのするどさがあります・・。

(写真は旭中央病院ならぬ、沖縄中部病院救急室。寺沢先生の監督の下、救急診療に励む編集長)
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