hiyamizu's blog

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奥田英朗『ナオミとカナコ』を読む

2015年10月10日 | 読書2

 

奥田英朗著『ナオミとカナコ』(2014年11月10日幻冬舎発行)を読んだ。

 

美術展の仕事をしたいと就職した老舗百貨店で、就職して7年になるのに人事異動も望み薄のまま富裕層相手の外商部で働く、何事にも積極的な直美。親友の専業主婦、加奈子は、対照的におとなしく、夫・達郎のひどい暴力に悩んでいた。

 

離婚も夫の暴力を考えると無理で親にも相談できないとの加奈子の嘆きを聞き、父の母へのDVを見て育った直美が言う。「いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那」
失踪者は年間数万人いるので、警察は死体が見つからなければ動かない。発覚しない殺人計画を立て、実行しようとする2人。

殺人実行までの「ナオミの章」。達郎の妹・陽子の執拗な追及に怯える「カナコの章」。

  

初出:「ポンツーン」の連載に加筆・修正。

 

 

奥田英朗(おくだ・ひでお)
1959年岐阜市出身。雑誌編集者、プランナー、コピーライターを経て、
1997年「ウランバーナの森」で作家デビュー。第2作の「最悪」がベストセラーになる。
2002年「邪魔」で大藪春彦賞
2004年「空中ブランコ」で直木賞
2007年「家日和で柴田錬三郎賞
2009年「「オリンピックの身代金」で吉川英治文学賞受賞
その他、「イン・ザ・プール」「町長選挙」「マドンナ」「ガール」「サウスバウンド」『沈黙の町で』『噂の女』など。

 

 

私の評価としては、★★★★(四つ星:お勧め)(最大は五つ星)

 

438ページの大部だが、読みやすく、一気に読み終える。ミステリ―に詳しくない私でも、厳密なミステリーとしてはなんとなく穴がありそうだが、面白く読める。

殺されるのがひどい男で、殺人を犯すのが普通の、素人(?)の若い女性二人なので、後半は気がつくと二人がバレないか、一緒になってハラハラしながら読み進めてしまう。

 

 

メモ。主な登場人物。

小田直美:葵百貨店外商部で個人顧客担当、勝気で仕切りたがり。

内藤:葵百貨店外商部の課長

服部加奈子:直美の大学の同級生、専業主婦、気が優しく控え目、夫・達郎の暴力に悩む

服部達郎:大手銀行員。内弁慶で、家庭ではちょっとしたことでキレると暴力をふるう。 

李朱美:中国人向けの食料品店とカラオケ店を経営するやり手。37歳

斎藤夫人:79歳の病院院長の未亡人、百貨店の重要顧客、認知症

林竜輝(りんりゅうき):中国人で日本に出稼ぎ、30歳、服部達郎にそっくり。

服部陽子:達郎の妹。29歳、独身。大手不動産会社で企画開発を担当する自信家。

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