hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

林真理子訳「P.S.アイラブユー」を読む

2008年08月10日 | 読書2


セシリア・アハーン著、林真理子訳「P.S.アイラブユー」2004年7月小学館発行を読んだ。

著者のセシリア・アハーンは1981年生まれの26歳。父はアイルランドの現首相。大学院で映画を専攻中に初めて書いた小説がこの小説で、28カ国で刊行されている。

宣伝文句はこうだ。
「幸福な人生」を信じて疑わなかったホリーに、突然襲いかかった夫の死。絶望にうちひしがれる彼女のもとに、ある日「ザ・リスト」と書かれた10通の封書が届いた。悲観にくれる妻が立ち直れるように、彼が遺していた手紙だった。愛に満ちた手紙のラストにはいつも「P.S. アイラヴユー」と。
最愛の人を失った悲しみと、最愛の人に出会えた幸せをかみしめながら、徐々に生きる力を取り戻していくホリー。林真理子翻訳で贈る、愛する人との永遠の別れと再出発を描いた感動作。


妻を亡くした夫はみるみるしょぼくれて、寿命を短くする。しかし、夫を亡くした妻は一年位は落ち込むが、その時期を過ぎるとやたらと元気になると良く聞く(昔は未亡人と言ったのに)。私にはそんなことが頭にあるので、読んでいても、主人公の深い悲しみは突き放して考えてしまう。
さらに、いまさらというか、もともとというか、お嬢様芸の純愛物など私が読んでどうするのかと思った。

しかし、一応手にとって読んでみると、出てくる人物も良くかけているし、話の展開も多少無駄なところはあるが、読者を飽きさせずに良くできている。
林真理子さんの訳文は読みやすいし、読んでいくうちに、3月から12月まで、月初めに開ける手紙が待ち遠しくなってしまった。

私の評価としては、★★☆☆☆(二つ星:読めば)

純愛ものが好きな人にはお勧めだ。私は、ハーレクインなど読んだことはないが、話として良くできているし、人物も魅力的だ。冗長なところはあり、外国TVのやたら笑うコメディーのように多少付いていけないところはあるが、全体として軽く、面白く読める。

林真理子さんの訳者あとがきから、簡単化して、ぬきがきする。

ピュアーなラブストーリー。処女作だから、冗長なところが目に付き、会話など重複が多く、シロウトくさい。しかし、登場人物のキャラクターがいきいきして素晴らしい。

主人公の亡き人にたいするせつせつたる思いに、涙する。どうしても立ち直ることができない彼女に声援をおくりながら、同時に、「それでいい、そのままでいいのよ。忘れられないから苦しむんだもの」とうなずいている自分がいる。

さらに、林さんはこう語る。

桜内篤子さんがしっかりした翻訳をしてくださったので、私の仕事はこれに手を加え、小説を短く刈り込んだり、つけ足したりすることだと心を決めた。しかし、作品の持っているういういしさ、純なところは損なわないように極力努力したつもりだ。

はっきり実翻訳者の名を出したり、通常の翻訳ではそこまだしないと思われる編集までしているとは。

林真理子の略歴と既読本リスト

 

コメント
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