北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

155mm榴弾砲-2022年の動向【2】中国の翼-主翼を持つWS-35砲弾とアメリカは砲弾にラムジェットエンジン搭載

2022-12-03 20:00:35 | 先端軍事テクノロジー
■射程だけを伸ばす技術と
 そうする他ないのは知っているがまさか本当にそうするとは思わなかった、これが2022年の火砲に関する素朴な印象という。

 アメリカ陸軍は将来火砲用として砲弾にラムジェットエンジンを仕込むという、中国のWS-35砲弾が主翼を持っていた事には驚かされましたが、アメリカは射程を延ばすにはそうする他ないものだろうかという選択肢を採りました、ラムジェット砲弾試験が6月28日にノルウェーのアンドン兵器試験場において実施されたとのことで、どう展開するのか。

 ラムジェット砲弾は砲弾の先端部から空気を吸入しラムジェット燃焼機構を通じて後部から噴出させるというもので構造としては単純であるラムジェットエンジン方式を採用するのですが、従来のRAPロケット補助推進弾よりもエンジンにて加速させることで長射程を実現させるのが狙いとのこと。無理があるよう見えますが、技術的コスト的に可能なのか。

 XM-1155計画としてアメリカ陸軍が進める58口径155mm榴弾砲から投射されるものです。野砲では従来の常識で、射程を延伸させるには初速を高めれば良いのですが、これは同時に猛烈な腔圧が砲身を痛めライフリングと寿命を削る点が難点です、しかし、発射後に加速する方式ならば砲身を痛める心配はありません。いよいよミサイルに近づきましたね。

 ラムジェット推進装置の開発にはノースロップグラマン社やレイセオンテクノロジーズ社などが参加しているとのこと。アメリカ陸軍では2024年までに実用装備まで開発を進めたいとしています。このラムジェット砲弾がどのような射程を見込んでいるのかは未知数ですが、WS-35以外にも100kmの射程を視野に含む装備が、欧米共同で誕生しつつある。

 100kmを越える砲兵戦となれば、誘導砲弾が主力となります。もちろん、理想は現在のM-107砲弾による30km射程にて誤差50mという精度を100kmの射程でも維持することですが、100kmとなりますと地磁気や地球自転の影響だけではなく大気状況の湿度や空気密度が不確定要素となる、AI人工知能などにより弾道計算を行ったとしても厳しくないか。

 エクスカリバー誘導砲弾のようなGPS誘導砲弾か、カパーヘッドやクラスノポールのようなレーザー誘導砲弾というもの、現実的には100km先を狙うならばこうしたものが必要、いや必須、となるように思うのですね。しかし、いま西側でもっとも普及しているエクスカリバーは一発9万ドル、オランダなどへの販売実績の数字ですが、さすがに、安くない。

 効力射のほかに攪乱射撃などが野砲の任務にはありますが、費用を考えるならば当たり前ですが誘導砲弾は使えません、そして問題は、短期決戦、これは指導者が夢見る身勝手な理想像なのですが、これを実現できなかった場合、長期戦を想定するほどに備蓄できるものでもありません、すると長すぎる射程は使い難いという概念も、今後ありえるでしょう。

 39口径砲の用途も実はあるのではないか。ここで留意したいのは、湾岸戦争やイラク戦争のアメリカ軍砲兵です、実は中東戦争の戦訓からイラク軍は砲兵の強化をすすめており、45口径のG-5榴弾砲を装備していました、南アフリカ製の強力な野砲で射程は48kmに達したという、1991年の湾岸戦争の時点で、です。対してアメリカは従来火砲で臨みます。

 M-109自走榴弾砲は39口径に改良を進めていたところですが、射程は24kmであり、砲兵ではイラク軍が優位と考えられていたのです。しかし結果は歴史をごらんの通り、イラク軍の完敗でした。イラクには48km届く野砲はあっても50km先を索敵しリアルタイムで情報共有する能力が欠けていたためです、相手が要塞などならば別なのでしょうが。

 野砲は22口径から30口径を経て39口径となり、スペインと南アフリカが45口径を開発しましたが歴史は一気に39口径から52口径が基本という時代へ進みました。ただ、上記の通り45口径砲が39口径砲に一方的に叩かれる事例もありますので、特に第一線が求める火力支援として、従来型の39口径砲にも一定の需要は残るように思えてならないのです。

 52口径砲となりますと現状で牽引砲はなく、要するにヘリコプターによる空中機動に対応させるには39口径砲しか存在しないのです、それはもちろん60口径砲なども牽引砲は開発の動きはありません、すると機動力、特に戦略機動性の面では39口径火砲というもののポテンシャルは残るもので、勿論火砲以外、120mm重迫撃砲などでは置き換えられません。

 ウクライナ軍は進攻したロシア軍へアメリカから供与されたM-777やイタリアなどから供与されたFH-70で反撃を加えています、自衛隊が装備して見覚え或るFH-70が使われている情景は、一種不思議な思いを受けるのですが、火砲というものは射程も重要なのですが、射程だけではないのかもしれない、そんな事をかんがえさせられる情景に思えたのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都,堀川通りにて急激な寒さに寒いを迎え撃つのはカレー料理

2022-12-03 14:41:46 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 寒いこれは寒いっと叫びたいほどに強烈な寒さがやってきた。

 ラム酒を、余りに寒かったので。グラスに注がれたラム酒はロックで冷たさを強調しているのですが、やや度数の高いラム酒は体を温める、なにかこう暖かいアルコール飲料も体を暖めてくれるのでしょうが、気化したアルコールが変に強調されるようで苦手ではある。

 ラム酒と瓶、お洒落なBARを思い浮かべるのかもしれませんが、ここは京都の中京区でも寺社仏閣の多い一角、すると隠れ家的なBARも確かに多いのですけれども、夜中に散策する際には宵の口に気力を補充する際に、ちょっとお勧めしたいお店ではあるがBARでない。

 タンドリーチキン、スキレットに熱々のまま、気をつけてくださいねという注意とともにテーブルに載せられるのですが、タンドリーチキン切り込みとスパイスは素晴らしく食欲をそそるものの、深紅のスパイスが指つけば辛苦の染みが衣類やバッグに広がってしまう。

 スキレット料理は、好きなのですが実際に自分でスキレットを入手してみますと焼き入れの面倒さや、料理するまでテフロン加工のフライパンになれると面倒ですし、食事の後の手入れも含めて、これは自分で使うよりもお店で、おおっと感激するものなのかもなあ。

 ラム酒は、砂糖で甘みを加えることもあるのですが、個人的にはラムレーズンを筆頭に小さい頃に大人の味といわれた延長線上の香りと風味を楽しむにはそのまま頂くのがおいしいと思う。苦みというか風味は、料理を引き立て、ロックの酒類は料理の熱さも抑える。

 マトンカレー、さて、お洒落なBARのような始まりの写真ですが、ここはカレー屋さん、そして本格派のカレー屋さんは食器一つとって本格的ですし、カレー料理を名乗る分だけカレーライス一杯で終わらないような、小技の利く小皿料理というのが多いので、良い。

 マトンカレー、個人的には煮込み料理のようにお酒の肴として活用しています、これは難しいこと考えずに香辛料好きにはどれも肴となるのですが、実際マトンをスプーンでかき分けて探し、熱い、がお酒とともに口に運ぶと広がる辛みと旨みとそして満足感か何か。

 ジントニックで、マトンカレーを楽しむこととしました。トニックウオーターはなにか、ジンの銘柄はタンカレーの翡翠色か空色のボンベイかはたまた古本色ラベルのゴードンを湛えた透明な瓶か、カレー料理の故郷はイギリス統治時代が長かったので、これも合う。

 ロシア軍ウクライナ侵攻で冬の楽しみ、ウオッカの美味しい季節にロシアのストリチナヤが入手困難となった、こんどプーチンあったらひっぱたいてやろうと思う方は多いと思うが、夏はジンで冬はウオッカと考えていた当方、この冬はラム酒とジンで乗り越えようか。

 ケバブが、机上に新しい彩りを添えます。ケバブはまあツクネの一種と考えれば練り物で蕎麦屋酒を嗜むことも多いものですから。このお店はネパール料理というふれこみですが、ネパールは寺院が多いといい、そして考えればこの一角は本法寺に妙顕寺など寺が多い。

 スパイシーというほどではないのですが、個性はでているのですよね、もちろんスパイスマニア的に調味料専門店を探すまでもなく気の利いた店でそろえられそうなスパイスで構成されている味わいなのですが、この味を個人で再現するには、やはり店でこれは頂く。

 ライスカレーにはすまい、お酒を美味しく頂くのだ、だからこそカレーセットでは注文しなかったのですが、お酒を頂きすぎるのもなにかなあ、とおもい、ライスを注文しました。ナンにすることもできるのですが、ここはお米でしめたい、肴で残ったカレーはこれで。

 シナモンさん、堀川通り沿いの、隣に天神公園があります、お寺は多いが静かな一角です。こう佇むようなお店なのですけれど、カレーをというよりもなにかお酒を別の角度から頂きたい、こう思った日が寒かったならば、暖まれる料理とお酒がまつ、そんなお店です。

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ウクライナへシーキングヘリコプター供与,イギリスの航空機供与はロシア軍地対空ミサイル枯渇の証左か

2022-12-03 07:00:17 | 防衛・安全保障
■臨時情報-ウクライナ情勢
 シーキングヘリコプターはこのあたりですと小松航空博物館あたりで見る事が出来る機体です。

 イギリスがウクライナ軍へシーキングヘリコプターを供与したとのこと。ウクライナへヘリコプターを供与するのは今回が初めて、と発表していましてイギリス軍で輸送ヘリコプターとして長らく運用され退役していたシーキングをイギリス軍の訓練支援によりウクライナへ供与した構図です。機体は既にウクライナ国内で実任務についていると発表された。

 シーキングは海上自衛隊もシーホークヘリコプターの前に運用していた対潜ヘリコプターで、実はこのWeblog北大路機関が運用開始されたことには対潜哨戒ヘリコプターとしての運用は終了していて、救難ヘリコプターや輸送ヘリコプターとして若干数が残っていた程度です。この供与は、実はこの冬の戦いにおいて、ウクライナに有利となる一歩といえる。

 ロシア軍地対空ミサイルは既に相当数が枯渇しているのではないか、シーキングヘリコプターを運用できるということは、特に防弾性能が高いわけでもなく、海上に着水できる機体防水構造は有しているものの設計そのものはかなり古いヘリコプターが供与され運用できているということは、飛べる程度にロシア軍の地対空ミサイル脅威が減少したこと示す。

 バイラクタルTB-2無人機、定期的にウクライナ軍が戦果を発表するトルコ製無人機ですが、昨今発表される画像には前に発表した映像なども編集されるようになりました、ロシア軍も相当数撃墜を発表しウクライナが多数投入した市販無人機も相当数撃墜された。しかし逆にこれらが身を挺してロシア軍地対空ミサイルを射耗させる戦果をあげたのではないか。

 ウクライナへ供与するアメリカの装備備蓄が徐々に余剰物資として少なくなっており、増産体制もとっていないことから先細りとなる可能性が生じていて、アメリカは大量の砲兵部隊を有し砲弾生産能力の高い韓国から155mm砲弾10万発を調達した、という一幕がありました。これは現実として厳しい問題となっていますが、視点を変えるとこうもいえる。

 供与していない装備は減っていない、こうした現実もあります。東欧諸国も代替装備が無い装備については、供与している実例も驚くべき事に幾つもあるのですが、供与していない装備も存在します。すると、アメリカで余剰となっている海兵隊の旧型や陸軍州兵が退役させたAH-1対戦車ヘリコプターなどは、今後供与される可能性が出てきたといえます。

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