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映画 静かなる男(1952)アイルランドの誇りを感じさせます

2018年08月11日 | 映画(さ行)
 よくアイリッシュ魂という言葉を聞くが、実は俺には何のことを言うのかよくわからない。しかし、本作を観れば何となくだがアイリッシュ魂を感じれることができる。だいたいアメリカ合衆国においても警察や消防隊で活躍するのはアイルランド系アメリカ人が比較的多い。なぜならケルト民族でありゲール語という語源を持っている彼らは体がデカくて、心が広い。そして本作に登場するアイルランド人はバーに通って酒やビールを呑み、歌をよく歌い、よそ者にも気さくに話しかけてくる。それでいて古いしきたりに拘ような頑固な部分も持ち合わせている。そしてこれは本当なのかどうか殴り合いが好き。本作でもそのようなアイルランド人の特徴が描かれているが、そこにはジョン・フォード監督らしい人情劇に仕立てて、全体的に詩情豊かに描かれているのが本作の特徴だ。

 アイルランドの緑豊かな風景が綺麗でありノスタルジックを感じさせ、それでいてアイルランド人の誇りを感じることができるストーリーの紹介を。
 アメリカからショーン(ジョン・ウェイン)が幼少期を過ごしたアイルランドのイニスフリー村に帰ってきた。彼は人手に渡っていた生家を買い取ろうとするのだが、地主の粗暴なレッド(ヴィクター・マクラグレン)もこの家を買い取ろうとしていたので2人の間には険悪な雰囲気が流れる。
 ある日のこと、ショーンは赤毛の女性メアリー(モーリン・オハラ)に一目惚れ。彼女もショーンのことを好きになるのには時間は掛からなかったが、実は彼女はレッドの妹。もちろんレッドが妹のメアリーとショーンの結婚を許すわけがないが、今や村中の人気者であるショーンは村人達のおかげもあり、ショーンとメアリーは結婚することになる。しかし、アイルランドでは奥さんになる方は持参金を持って嫁入りするという風習があるのだが、兄のレッドは持参金をメアリーに持たさなかった。アメリカの生活になれたショーンは持参金なんかどうでも良かったのだが、メアリーにとっては一大事。メアリーはショーンに兄のレッドから力づくで持参金を奪うように背中をおすのだが、ショーンはある事件を切っ掛けに二度と拳を使わないことを決めていたのだ。
メアリーはショーンが意気地なしだと思い、列車に乗ってダブリンへ行こうとする。それを見てショーンはついに意を決してレッドに殴り合いの喧嘩を挑むのだが・・・

 自然の豊かさに目が行き勝ちだが、ショーンとレッドが殴り合うシーンが素晴らしい。アイルランドの野原から小川を超えての怒涛の殴り合い。男同士のプライドを賭けた殴り合いが本当に気持ち良い。しかし、この殴り合いのシーンを女性が見たらきっと阿保らしいと思われないかちょっと心配。世の中の風潮として殴り合いの喧嘩なんて問題外なんて言う人が多いだろう。しかし、男のプライドを賭けた殴り合いは時に真の友情を育むことがある。
 しかし、こんなシーンを撮れる監督はもう居ないな。ジョン・フォード監督の人情、ユーモア、抒情詩的な部分が最も活かされた映画であり、彼の数多い名作群の中では個人的に最も好きな映画が本作。観終わった後の爽快感は本当に良い映画を観た気分にさせてくれる。
 ジョン・フォード監督の作品は西部劇しか観たことが無い人、アイルランドに興味がある人、男ってやっぱり馬鹿だと思ってる人、人情喜劇のような映画が観たい人、男にとって一番大事なのは命よりもプライドだと信じている人・・・等に今回は静かなる男を紹介しておこう。


静かなる男 [DVD] FRT-190
フランシス・フォード/ウォード・ボンド/ジョン・ウェイン/ヴィクター・マクラグレン/モーリン・オハラ
ファーストトレーディング



 監督は前述した西部劇の神様と呼ばれるジョン・フォード。多くの傑作を世に遺した実績はまさにハリウッドの大巨人。西部劇の代表作駅馬車、スタインベックの原作の同名タイトルの怒りの葡萄、本作以上に詩情豊かな我が谷は緑なりきを今回はお勧め映画として挙げておこう。





 



 

 


 

 

 

 
 



 





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