大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 4月25日 川遊び

2014-04-25 18:55:03 | B,日々の恐怖



    日々の恐怖 4月25日 川遊び



 うちの母親が小学6年生の時の話です。
ある土曜日、学校の同級生に帰りがけ遊びに誘われたらしい。

「 川に遊びに行かない?」

でも、そこの川は木が鬱蒼と茂っていてあまり雰囲気は良くなかったし、その子は隣の集落の子であんまり親しくなくて、何をして遊んだらいいかわからないから適当に理由をつけて断った。
 昼間は家にいて本を読んで、母の家はお店を昔やってたから、夕方は手伝いをしていて忙しかった。
 夜8時くらいに、ジリリリとベルを鳴らして人がやってきた。
やってきた大人が言うには、隣の集落の家で子供が失踪したらしい。
それで、こちらの集落まで探しに来たんだと。
 ひょっとして、と思ったんだけど、いなくなったのは母と同じ学校の2歳年下の子。
母は殆どその子と面識がなかったから勿論知らなかった。
母の父親は、協力するということで探しに出て行った。
 結局、子供は見つからなかった。
母は父親が帰ってくる前に寝てしまった。


 あくる朝、川に係留されていた転覆したボートの下から、子供の水死体が見つかった。
母はその話を聞いて昨日同級生に、川に行こうと誘われたことを思い出した。
その川は、一緒に行こうと誘われた川だった。
でも、母は怖くてそのことを誰にも言い出せなかった。
結局その子は、一人でボートで遊んでいて死んだということになった。


 翌々日は、学校で朝礼があった。
4年生のクラスの子供が事故で死んだってことを先生が言って、もし何か知ってることが少しでもあったら言ってください、とも言われた。
 母は、その同級生と顔を合わせられなかった。
そしたら休み時間、その子が近づいてきて、母が何か言おうとしたら、

「 結局私も行かなかったの。
あんなことが起こるなんて、行かなくて良かったよね。」

と言われたんだそうだ。
 あと何か言っていたらしいけど覚えていない。
でもその子のなんともいえない、少し弾んだような声、無邪気な顔は一生忘れられないと母は言っていた。
母はそれから体調を崩して3日休んだ。
 その後はその子をなんとなく避けてすごしたらしい。
結局、中学1年生の時、その子は家庭の事情で引っ越してしまった。













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しづめばこ 4月25日 P287

2014-04-25 18:54:39 | C,しづめばこ
しづめばこ 4月25日 P287  、大峰正楓の小説部屋で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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小説“しづめばこ”



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