大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆奇妙な恐怖小説群
☆ghanayama童話
☆写真絵画鑑賞
☆日々の出来事
☆不条理日記

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

☆分野を選択して、カテゴリーに入って下さい。

A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 6月28日 左手(2)

2023-06-28 21:07:29 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 6月28日 左手(2)






 しばらく沈黙が続いたが、失言に酔いが一気に覚めた俺は、

「 なんか変なこと聞いちゃってスイマセン。」

と、心から詫びた。
その間、リストバンド越しに手首をさすっていたKさんは不意に、

「 君さ、お化けとか幽霊とか、そう言う話信じるタイプ?」

と、意外なことを聞いてきた。
唐突な質問に面食らったが、俺はこう答えた。

「 いや、むしろ好きっすね。
昔、稲川淳二のライブとか行ったことありますよ。」

Kさんは、

「 そうか、好きなんだその手の話が・・・。」

と言うと、ゆっくりと傷跡の由来を語ってくれた。


 Kさんは高校の頃、彼女と肝試しに行ったことがあるそうだ。
肝試しと言っても本格的な心霊スポットではなく町外れの小さな雑木林で、幽霊が出ると噂が流れた程度の場所らしい。
 放課後、彼女と2人で雑木林に来てみたが、それらしい様子は全くない。
肩透かしを食らった気分だったが、少し奥まったところに小さな鳥居と祠を見つけた。
あまりしっかりと管理されていないようで、祠は朽ちかけている。
が、それだけ。
 肝試しに飽きてきたKさんは、彼女に、

「 もう帰ろうぜ。」

と声をかけたが、なぜか彼女は祠の前に行き、あたりまえのように扉を開けた。

「 なにこれ、見て見て!」

中にはお札やら燭台の他に、なぜか三宝の上に石が置いてある。
大きさは拳大で何の変哲もない、そこらに転がっているような石だ。












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 6月22日 左手(1)

2023-06-22 12:17:47 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月22日 左手(1)





 以前勤めていた会社の取引先の営業にKさんって人がいた。
歳は40代で見た目は平凡、仕事もそつなくこなす、いわゆる普通のサラリーマンだ。
変わったところと言えば、常に腕時計の下にリストバンドをしているくらい。
あと、左手が右手より少しだけ長かった。
それは初対面の時から気になってたけど、身体的なことだから特に話題にもせずスルーしていた。
その理由を初めて聞いたのは、一緒に仕事するようになって何年も経ってからだ。

 あるプロジェクトが終わり、俺の会社とKさんの会社で合同の打ち上げが催された。
その席でKさんの隣に座った俺は、仕事の話や雑談に花を咲かせ、楽しい時間を過ごしていた。
 Kさんは俺より二回りも上だけど気さくないい人で、営業だけに話もバツグンにうまい。
小一時間ほど差しつ差されつ杯を重ねていたが、ふとしたタイミングでKさんのリストバンドがズレ、その下がちょっと見えた。
上手く表現できないが、なんとも言えない傷跡がある。
ケロイドのように少し盛り上がっているが、火傷とは違う。
とにかく、なんとも言えない傷跡だ。

「 Kさん、それ、大丈夫っすか?」

酒が入ってたせいもあって、俺は反射的に無神経なことを聞いてしまった。

「 えっ、これ・・・・、別に何でもないよ。」

Kさんリストバンドを直しながら、歯切れ悪く言うとそのまま口をつぐんだ。












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 6月17日 妹の話(2) 

2023-06-17 10:38:41 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 6月17日 妹の話(2) 






 父は気のせいだろと言い、相手にはしてくれませんでしたが、学校が終わり帰ってくると母が青ざめてました。

「 天気いいから窓を開けといたんよ。
そしたら知らない人が縁側に座ってて話しかけてきたんで、近所の人かと思ったらいきなりおかしくなって・・・。」

空中を見上げ突然笑い出し、大声で威嚇されたらしい。

「 変よこの家、もう嫌。」

 母は父に事の顛末を話したが、父は一軒家を買ったのにそんなにすぐに引っ越しできるかといい取り合ってくれませんでした。
しかも、そのあと何度もその変な人が現れたと聞きました。
 そしてこの剥製の家にすんで5年たったある日、夜中に私は目を覚ましました。
チャイム音と窓をたたく音が聞こえるのです。

” ピンピンピンピンピン・・ドンドンドンドン!!バンバンバンガツン!”

ピンポンを最後まで鳴るよりも先に連打していて、手で窓を叩いているかと思ったら足で蹴っ飛ばしてるような音も聞こえ怖くなりました。
 そんな騒音の中、兄は寝たまま起きなかったのです。
肩をゆすっても、声をかけてもただ静かに寝ていました。
 私はリビングに行き、防犯カメラを起動しました。
カメラには何も映ってなかったのです。
でもその間にもピンポンの音、叩く音はなっています。
両親の寝室に行き、電気をつけて声を掛けました。
すると兄とは逆にすぐに起きてくれて、玄関まで走っていきました。
 玄関で父が大声で怒鳴っているので誰かいるのかと思いカメラで確認していたら父が一人で怒鳴っている姿が見えました。
戻ってきた父に誰と話していたのか聞くと、知らないおっさんのホームレスが金か要らないものがないか尋ねてきたというのです。
でもカメラには父しか映っていないのです。
 後で知ったのですがこの剥製の家の前の持ち主が一人暮らしのおじさんで2年くらい前からホームレスをしていたそうです。
その人が、数日前に川の近くで亡くなっていたそうです。

そして、いまだに変な現象に悩まされながら、皆気にせずに暮らしています。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 6月13日 妹の話(1) 

2023-06-13 16:52:07 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月13日 妹の話(1) 





 兄が中学生になるとのことで、家族で近くに家に引っ越しをしたときの話です。
築40年以上の家で古臭い一軒家なのですが、その家に変なものが大量にありました。
カラフルに色付くミラーボールや甲冑、大量の漢字が書かれた札。
そして、大量の剥製でした。
 大きいものは虎から小さいものはネズミまであり、私は親から穢れるから触るなと言われました。
お祓いをし、何度も清めました。
 もうないはずとのことで家に入れてもらえることとなり、落ち着いたときに私が兄と家でかくれんぼをしました。
私が隠れたのは畳の間で押し入れみたいなところの上の部分です。
おとなしくしていると、横に何かがあるのに気が付きました。
這って近寄ると黒いさらさらしたものに触れました。

「 〇〇みーっけ!」

兄に見つかり、襖を開けられ光が入ってくると、全体が見えてきました。
カラスの剥製でした。

「 にいちゃん、カラスいたぁ。」
「 きたねえから触んじゃねぇ。
ババァ剥製まだあんぞ!!」

婆ちゃんが驚いて台所から出て来ました。

「 はぁ?
そこはもう確認したのに、なんでまだでてくんのけ!?」

中に入ってる私にはまだ大量の剥製が見えました。

「 にいちゃん、奥にまだあるよ。」

再度、剥製引き取りの方に来てもらい、業者のお経が唱えられました。
私は汚いから触るなと言われたカラスの剥製を兄に引き離されるまで撫でていたと聞きました。

「 触るなつっとろんが。
カラスに魅入られたのか?」
「 でもさにいちゃん触り心地いいよ。
可愛いし。」

 そして、その日の夜に変なことがおこりました。
ドンドン・パシパシ・ギシギシと家鳴りなのか音が聞こえてくるのです。
庭の砂利を踏む音も聞こえ、話声も聞こえてくるのです。
 兄も不思議がり廊下に出て確認してくれました。
小さく悲鳴を兄が上げた後、急いで子供部屋に戻ってきました。

「 にいちゃんどしたの。
なにぃみえたの。」
「 なにも、なにも見えんかった。
ただ砂利が動いて、こっちに向かって音が聞こえてくるん。」

怖かったので兄と一緒の布団にはいり、朝を迎え両親に伝えました。











童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 6月9日 窓の外

2023-06-09 11:50:59 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月9日 窓の外





 3年ほど前、関東のとある古い大学病院に入院したときのことです。
換気のために病室の窓を開けていると、部屋付きの看護助手のおばちゃんが、

「 ごめんね~。
ここ、閉めさせてね!」

とバタバタ閉めていく。

「 暑いよ~。」

と不満を言うと、おばちゃんは、

「 落ちる人がいるから・・・・。」

みたいなことを言う。
それで、

「 朝、病院に来るとね、この窓の外に患者さんが立っているのよ。
で、下から見上げた私たちと目が合うと、ニッコリ笑ってから飛び降りるの。
そんなことが何回かあってね・・・・。」

同室の人たちは思わず顔を見合わせて沈黙した。

” 何でそんな話をここでする?”

と、こっちの顔に書いてあったのか、おばちゃん、

「 ああ、余計な話をごめんね~。」

と、そそくさと出て行ってしまった。
 その後、手術を受けて別の病棟に移動になったんだけど、ある日の夜中に人の声で目が覚めた。
何だろうと耳を澄ませると、一番窓際のおばあちゃんがベッドに起き上がって窓の外を見ながらお経を唱えてるのがわかった。
 しばらくブツブツと念じて、やがて静かになったんだけど、翌朝は何もなかったかのようにいつも通りの様子だった。
ちなみに、飛び降りの話を聞いた病棟とは、中庭を挟んで対面の病室だった。
単にそれが習慣だった、といえばそれまでだけど、

” 一回寝てからわざわざ起きて念仏唱えるかなあ・・・・。”

と不思議で不気味だった。












童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 6月6日 襖

2023-06-06 12:18:41 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 6月6日 襖






 祖父母の家では、”襖を間違っても逆に閉めるな”という厳しい戒律がある。
というのも、左右逆に閉めた時だけ、その隙間からぼんやりとした人型の白い影が出てくるから。
私は見た事ないけど、子供の頃に面白がって祖父母宅の近所の友人に話したら、友人がやってしまい泡吹いて倒れた。
祖母は見えないけど、祖父や娘である私の母、おば達は見える。
 おばの一人が商売人だからか、やたら縁起を担ぐ人で、お祓いを試した事があった。
神主、お寺さん、仙人のような修験者、皆ダメだった。
 皆、

「 何かもわからない。」
「 祓う事も出来ない。」

と言ったらしい。
 修験者が帰った後、たまたま襖が互い違いのままで、またぼんやり影が出ていた。
その影が頭を何回も下げているのを見て、おばはお祓いをやめたらしい。
で、今もそのまま。
 私が結婚した時は旦那にその旨伝えた。
娘がもう少し大きくなったら、いずれ伝えるつもり。
これって、家の守り神みたいなもんなのかな?
 家族に害はないんです。
不気味だけどまあ放っておくけど。
お供え物を毎日あげなきゃ祟る、なんて面倒なことも要求しなさそうだし。
 ただ出て来るだけ。
襖を張り替えた時は影が濃くなるみたい。
嬉しいんだろうか?
狐につままれたような話なんだけど、一体なんなんだろう。
ちなみに母方は男が育たない女系家族なんだけど、これは関係ないんだろうな。















童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

日々の恐怖 6月2日 キーホルダー(2)

2023-06-02 20:12:18 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月2日 キーホルダー(2)






 閉じ込め事件から数年後。
自分が転職するかしないかで悩んで田中に相談したときのことだ。
 田中から思いっきり罵倒された。
小学校からずっと勉強で苦労したことのないお前がむかついていた。
こっちは結婚もしたし子供もいるし国家資格もとった、お前より人間できてるんだ、勉強で苦労してないんだからもっと苦労しやがれ、大学出た贅沢者の世間知らずが、って感じに延々言われて、縁が切れた。
 田中の家は学歴至上主義の最低でも大卒、理想は博士って考えだった。
俺と田中は幼稚園から高校までずっと同じで、自分は大学、田中は専門学校に進学している。
田中は自分で、好きな科目は夢中になって勉強して学年一位の点数取るけど、嫌いな科目は無視ってタイプだと言っていた。
だから自分の好きなことができる専門に行くって、高校の時に本人から聞いていた。
本当はそうじゃなかったんだ。
 ちょっとググったら、ナザールボンジュウは邪視から守ってくれる古い言い伝えらしい。
人の目は窓で、その人の悪い考えもよい考えも窓から出ていく。
悪い考えが出てきた目=邪視から身を守ってくれるんだって。
 昔からよく田中が言っていたんだが、田中の趣味は人間観察だ。
ドトールとかスタバの窓際に座って、ひたすら人を眺めてはどういう人間なのか行動を観察するのが楽しいそうだ。
身を守ってもらえたかはわからないが、そういう理由もあって、キーホルダーから感じた視線は田中のものと思っている。
あと田中は当時会社管理のアパートに住んでいたんだが、トイレからずっと叫び続けたうえに二日間無断欠勤でも、誰も安否確認にこなかったと聞かされた。








童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。
 大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ


コメント
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

☆童話・恐怖小説・写真絵画MAINページに戻る。

-------大峰正楓の童話・恐怖小説・写真絵画MAINページ-------