大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 6月30日 お守り(9)

2022-06-30 18:51:56 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 6月30日 お守り(9)






 3人は道々ご当地グルメやら景色を堪能しつつ、順調に我が家へたどり着き、ひとしきり観光名所を回って(私も連れ回されて)、喜色満面で帰路についたのです。
私は、

” あ~、何もなくてよかったァ~。”

と思いながら、母たちの乗ったメタリックブルーのハイブリッド車が交差点を曲がるまで見送って玄関のドアをしめました。
 その後は遊びに行っていた分の家事に勤しみ、テレビをみたり動画をみたりして、母たちから、

” 無事に自宅へ着きました。”

という連絡が来るのをつらつらと待っていました。
けれど結局、その日、母たちから連絡が来ることはありませんでした。


 次の日になって、弟の携帯から連絡がありました。
はっきり言って嫌な予感がしたのを今でも覚えています。
私はおっかなびっくり、電話口に立ちました。

「 もしもし、S(弟)?」
「 うん、姉さん。
え~と、昨日ぶり。」
「 うん。
昨日はアレからどうしたん?
連絡なかったけど・・・・。」
「 ん・・・・、なんていうか。
凄かった。」
「 すご・・・?
はあ・・・??」
「 姉さん、あのさ。
多分あんまり言わない方がいいけど・・・・。
母さん、相性悪いよ、そっちと。
分かってると思うけど、あの人、言って聞かないし・・・。
とにかく車はやめた方がいいよ。
僕はいつでも、一緒に行けるわけじゃないしさ。」
「 え、何・・・?
何かあったの?」
「 ん・・・、多分、母さんがそのうち話すよ。
でも、まだそっとしておいた方が良さそう。
僕もまだ怖い・・・。」

弟の話はチンプンカンプンで、要領を得たような得ないような。
それでもとにかく、3人は無事に身体は無傷で自宅に帰れたようでした。
ことの真相を知ったのは、それから年をまたいだ5月、GWが明けた次の週のことです。










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日々の恐怖 6月25日 お守り(8)

2022-06-25 12:11:24 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月25日 お守り(8)





 その日から、母の平行線をたどっていた病状が急に回復へと向かい、主治医も舌を巻くような回復っぷりで、もしかしたらこのまま一生車椅子生活かもなんて言われていたのに、1週間後には病院内をさっさか歩けるまでになってしまいました。
そして、10月に自宅療養へ移行、11月には見事職場復帰を果たしてしまいました。
 ちなみに、母の感じていた繋がりですが、回復へと向かい始めたあたりから感じなくなった、とのことでした。
やっぱり、あの私の聞いた雷の音のようなものが関係しているのかなあ、なんて思っているのですが、母は信じてくれません。
あと、発症した箇所がまるで火にあぶられて焦げて炭になった肉のようになったのは、母に大吉をくれた女性の神様が火を司る神様にも近しい方でしたし、清めて焼いてくれたんじゃないのかなぁ、なんて思っています。
 そんなわけで一連の騒動は幕を閉じ、いろんな方々に守ってもらったらしい母も、今は隣の寝室でのん気に鼾をかいて寝ています。
ちなみに、原因となった例のキモチワルイ声の主ですが、未だわからずじまいです。
実は私の撮った部屋の写真に、真っ黒いゴリラのようなサルのような形の変なモノが写りこんでいたので、もしかしたらソレが声の主かもしれません。




 その数年後のこと。

 何年前だったかは忘れましたが、おそらく結婚してから2年は経った頃だったと思います。
前々からこちらに遊びに来たがっていた母が、とうとう我慢出来なくなったのか、

「 母方の祖父と秋の国内旅行する。」

という名目で2泊予定で遊びに来ることになりました。
 もうね、当初は全力で拒否しました。
特定疾患の関係で体の怪しい母(趣味は旅行と登山)と、昭和初期ぐらい生まれの祖父(趣味は旅行と一眼レフでの風景撮影)が、車で来るって言うんです。
車ですよ、車。
私、言ってやりました。

「 アンタついこの前、肋膜炎の場所が特殊すぎてカテーテル入れられなくて大手術になっただの、蜂巣炎で左足壊死寸前切断一歩手前だの、SLEで指先が動かないだの、あったばっかりでしょ!!!
おじいちゃんの方がよっぽど元気だわ!!
だいたい、〇〇山のお膝元からここまで高速で何時間かかると思ってるんですか!!!
公共交通機関使いなさいよ!!!
何・・・・、高速のSA巡りもやりたいから車できたい?
バカタレッッ!!」

と言っても聞かないので、4つ年の離れた弟(母は弟くん可愛い可愛いなので、無理はしなくなるだろうと・・・・。)も連れてくる事を条件に、車で来ることを許可しました。











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日々の恐怖 6月20日 お守り(7)

2022-06-20 11:07:16 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月20日 お守り(7)





 本当に、信心深いと言うか家にはお守りがたくさんあるのです。
まあ現状、趣味と言うより、昔からの我が家代々の慣わしといったところです。
 どうやら母は、その中で天狗様を持ってくるのだと思っていたらしいです。
ちなみに、天狗様のお面をお借りしてくることも考えましたが、私は背が低くて神棚に祭ってあるお面に手が届かなかったので、今回はこれでという経緯があります。
 なんやかんや世間話をしてる中、ずっとお狐様を乗せておき、そろそろ帰ろうと思い立って、お狐様を持ち上げた瞬間に、

” ゴロゴロゴロ・・・・、ドォオオオン・・・・!”

っていう感じで雷が落ち、鳴り響きました。
 びっくりして窓の外を見ましたが、雲ひとつない快晴です。

「 あれ?いま、雷落ちたよね?」

と母を振り返りましたが、母はキョトンとして、

「 え?別に?何いってんの・・・・・?」

確かにあの時、私はゴロゴロゴロという地響きのような音と、バリバリバリともドォオオンともピシャアアアンとも聞こえるような、あの雷がものすごい近くに落ちたときの音を聞いたというのに、何を言ってるんだと、腑に落ちないながら、それでも、

” あ・・・、たぶん、これ、うまくいったかも・・・。”

とも思ったので、お狐様を胸抱え込んで、お狐様の頭を2,3回撫でてからバッグにしまいこんで、帰宅しました。










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日々の恐怖 6月12日 お守り(6)

2022-06-12 19:23:53 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月12日 お守り(6)





 実際に、母はあれだけの劇症にもかかわらず、左足を切断せずにすみました。
しかし発症した箇所は、まるで火にあぶられて焦げて炭になった肉のようになってしまいました。
とは言っても病状は平行線をたどり、3週間の入院が1ヶ月に伸び、2ヶ月に伸び、夏だった気候は、とうとう秋になってしまいました。
 その間にもいろいろと原因となってる菌の解析は進んでいましたが、どうにもこうにも決定打がなく、原因不明のままでした。
どれが効いているのかもわからない抗生剤を3種類、24時間点滴する生活が続いていました。
 そんな、どうにもおかしい状態が続いたある日のことです。
入院生活にめちゃくちゃ飽き飽きしていた母が、

「 なんかねえ、どうにもあれさぁ、繋がってる感じがあるんだよ。」

と、愚痴でもこぼすかのようにつぶやきました。
曰く、

「 例のあのキモチワルイ叫び声の主と、限りなく細い糸で繋がってる感じがする。」

と言うのです。
 なんとなく私も、あのキモチワルイ叫び声の主が一連の原因なんじゃないかなあとは思っていたので、

「 ああ、そっかあ・・・・。」

と頷きました。
 頷いたところで、知り合いに対処法に強い人なんていないし、どうすることもできないのです。
考え抜いた末に、私は私自身が最強だと思っているのお守りを持っていくことにしました。
 何かとお世話になっているお狐様を、母の病室に持っていくことにしたのです。
といってもこのお狐様、社に入っているようなお狐様ではなく、私が物心つくころから20ウン年間大事にしている、亡くなった祖母から貰った狐のぬいぐるみなんです。
このお狐様関連の不思議なお話は結構あります。
ちなみに屋敷守としてのお狐様も家にはいますが、今回はその方ではありません。
 とにかくその日、お狐様に、

「 母さんが良くなりますように。」

とよくよくお願いしてから、お狐様をバッグの中に入れて母の病室に行き、おもむろにお狐様を取り出して、

「 はい!」

と、布団の上から母の左ひざの上に乗せました。
 母は、

「 その子、持ってきたの・・・・?」

となにやら苦笑していました。










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日々の恐怖 6月8日 お守り(5)

2022-06-08 22:26:55 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 6月8日 お守り(5)





 実家に帰ってきて2日後、勤め先の病院で母が倒れました。
左足の膝から下が2倍以上に膨れ上がり、歩くことはおろか、立ち上がることすら出来なくなってしまったのです。
病名は蜂巣炎です。
それも早期発見したのにもかかわらずの劇症で、即日入院してしまいました。
 入院して次の日、父と私は主治医に呼び出されました。

「 K(母)さんのことですが、あまり芳しくありません。
原因がわからないんです。」
「 え・・、あの、病原菌とか、検査結果は・・・・?」
「 出てきた膿をシャーレで培養してみましたけど、死滅したものばかりでした。
ちなみに、Kさんは最近転んだり傷をつくったりしませんでしたか?」

そう言われて、

” そういえば、引越しの手伝いに来たときに玄関でスッ転んでたっけ・・・。”

と思い至りました。
 きっとそれだと思って主治医に言うと、

「 恐らくそのときできた傷口から病原体が入り込んだのでしょう。
病原体は不明ですが。」

とのことでした。
 それから入院の日程が未定なことや、これからの治療法などを話し、最後に、先生は大変言いづらそうな顔で言いました。

「 このまま劇症が続くようなら、左足を切断します。」

めったに泣かない父が泣きました。
 その横で私は、あの女性の神様が祭られているお社で母が引いた、あのお御籤を思い出していました。

”大病は治る”

そう書いてあるのを思い出したんです。
 妙な確信の元に父を慰めた私は、主治医にその切断の話は母にするのかと聞きました。
すると主治医は苦笑いをしながら、

「 したんですけど・・・・。」

と、なにやら歯切れの悪い言い回しをしました。

「 現実味のない話ですからアレなんでしょうけど、Kさん、

『 あ、そうなんですか。
まあでも、たぶん大丈夫です。』

なんて言うんですよ。」

私は、

” あ・・、これは、母も治るという妙な確信をもってるな・・・。”

と思いました。










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日々の恐怖 6月2日 お守り(4)

2022-06-02 20:00:23 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 6月2日 お守り(4)





 朝起きて一番に、昨日感じた変な気配のことと、何があったのかを聞きました。
母は苦く笑いながら、

「 写真撮ってたときに・・・・。」

と口を開きました。

「 完全に日の沈んだ後、海を撮ったの。
そしたら、

『 ギャアアアアアアアアア・・・・!!』

って、なんか動物が絞め殺されるような、地を這うような変な声が聞こえちゃって、なんか怖くなって・・・・。
お母さんのお守り全部車の中に置いて来ちゃってたから、Mさんの借りちゃった。」

思い出すと鳥肌が立つと言って、母は私に腕を見せてくれました。
 紛うことなきチキン肌がそこにありました。
その時撮った写真は怖くてデータが消せない、とのことだったのでそのままにしてありますが、何のことはない真っ暗な水面の写真です。
特に何か写っているということはありませんでした。
 このときにその写真を祓うか何かすれば、もしかしたら何か変わっていたのかもしれません。
けれど私も母も、このときはまさかこんな大事になるなんて思っても見なかったのです。
 少し怖い体験をしましたが、日も完全に昇って朝飯を食べてしまえば、もうすでにその話題は笑い話になってしまい、私たちは一路那智大社周辺のお社様めぐりへと向かいました。
といっても、今日は実家に帰らないといけないので、どうしても母が行きたがった、女性の神様が祭られているお社へ赴きました。
併設してお狐様も祭られていたので、何かとお狐様にはいつも助けてもらっているので、挨拶もかねてそちらも行きました。
 女性の神様が祭られているお社は、早い時間だったからなのか神主さんも巫女さんもおらず、お守り処も閉まってましたが、とにかく中へ入りお参りへ行ってきました。
真っ白い石が敷き詰めれた不思議なところで、お供えされた色とりどりの花が綺麗な空間でした。
 そこでお御籤を引くと母は大吉で、”大病は治る”と書かれてました。
ちなみに私は末吉で、騒ぐんじゃない、もっとしっかりしろ、とお叱りを受けました。
 きっと特定疾患のことだなと思って、

「 よかったね~!」

と言いながら一路実家へ向かい、無事実家へたどり着くことができました。









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