大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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A,日々の出来事

☆( 1年間366日分の日々の出来事  )

B,日々の恐怖

☆( 日々の恐怖 )

C,奇妙小説

☆(  しづめばこ P574 )                          

日々の恐怖 7月29日 叩く音

2017-07-29 18:22:54 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月29日 叩く音




 小さい頃、5階建ての団地の2階に住んでて、玄関近くで壁を隔てて階段がある部屋で寝てたんだけど、ある夜、下の階の家の玄関の戸を叩く音が聞こえてきた。
 1つの階で階段を挟んで2軒の家が向かい合う形の団地で、下の階の2軒の戸を叩く音が聞こえた後、向かいの家の戸を叩く音が聞こえた。

“ 次はうちに来るのかな?”

と思っていたら、案の定うちの戸を叩く音が聞こえてきた。
 足音は聞こえないのに戸を叩く音だけが聞こえるので不思議に思っていると、上の階の家の戸を叩く音が聞こえてきた。
 その後も戸を叩く音は上にあがっていき、5階の家の戸を叩く音が聞こえてきたところで新聞配達が来た。

“ 配達の人が、戸を叩く音の主と鉢合わせになるんじゃないか・・・・。”

と思っていたけど、新聞配達をしている間は戸を叩く音が聞こえず、階段を駆け上がる音と新聞を投函する音だけが聞こえていた。
 新聞の配達を終えた配達の人が帰った後、また5階から戸を叩く音が聞こえてきた。
音が下がってきたので、

“ まさか、また全部叩いていくのか・・・・?”

と思っていると、うちの番になったとき、なぜか戸を叩く音は聞こえてこなかった。

“ なんで・・・・?”

と怖くなりドキドキしていると、しばらく経ってから向かいの家の戸を叩く音が聞こえてきた。
呆然としてるうちに下の階から戸を叩く音が聞こえ、それ以降はなにも聞こえてこなかった。
 朝、起きたときに夢だったのかと思い、同じ部屋で寝ていた姉に聞くと、姉も戸を叩く音が聞こえていたらしい。
その後、引っ越すまで同じようなことはなく、他に怖い思いをすることはなかった。












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日々の恐怖 7月26日 猫

2017-07-26 18:46:25 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月26日 猫




 猫の話です。
俺は生まれてこのかた猫と暮らしてる。
途切れたことが無くて、拾ったり貰ったりで、今五匹目だ。
 そんな猫たち、どうも俺を猫扱いする。
俺以外に二人兄弟がいるが、俺にだけ生きのいいネズミをプレゼントしてきた。
 どうも、

“ これで狩りの練習をしろ!”

ということらしい。
 俺が髪を梳かしていると、猫は母にブラッシングの催促して張り合ってくる。
他の兄弟は、そんなことはまったくない。
この間なんて、野良猫にエサを譲られた。

 そういう話を友人とメシ食いに行ってるとき話したら、坊さんになったヤツが笑いながらこう言った。

「 お前、多分魂が猫なんだよ。
前世は畜生道で猫やってて、人間道にランクアップしたわけだ。」

そして、

「 滅多にいないだろうけど、輪廻の中で畜生道から人間道に上がるヤツもいるだろ。
逆は多いがな。」

“ 魂が猫って・・・。”

と他のヤツらが笑っていると、その友人の坊さんは、

「 この世も捨てたもんじゃないな。
お前が坊さんになれば、名前を残せるくらいになったかもしれないよ。」

と嬉しそうに言っていた。
 どうやら俺は猫らしい。
不思議な話だ、まったく。











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日々の恐怖 7月24日 音楽堂

2017-07-24 20:27:21 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月24日 音楽堂




 建築系の友人から聞いた話です。。
もう20年くらい前の秋の出来事です。
横浜のあるお嬢様大学の音楽堂の改修工事の時、現場で仲良くなった監督と職人5人でいつもツルんでました。
音楽堂は2階建で、1Fはホール、2Fはグランドピアノが置いてある練習場です。
 ある日、監督が2Fで測量するってんで、皆でゾロゾロついて行きました。
まあ、測量は一人でやれるんで、監督以外は後ろでくっちゃべってました。
 測量を始めて10分くらいして、監督が、

「 あ、横切らないで・・・・。」

とか

「 そこに立たないで・・・・。」

とか言い始めました。
 みんなは、

「 なんのこっちゃ?」

とポカンとしています。
 そのうち、

「 あ~、もう・・・!」

と測量器から目を離してこちらを向いて、

「 邪魔しないでよ~。」

と、ご機嫌斜めになってしまいました。

僕ら「 みんな後ろにいたよ。」
監督「 嘘だぁ、何度も誰か横切ったよ。」
僕ら「 疲れてんだよ、毎日残業だもん。」

なんて会話をしてたら、学校に常駐してる警備員さんがやってきて開口一番、

「 困りますよ、監督さん!」

とお怒りモードです。

監督「 何かありました?」
警備「 夜間は職人さんに、やたら校内を歩かないように言ってあるじゃないですか!」
監督「 は、はぁ・・・・。」
警備「 噴水の方からこちらに白い服を着た職人みたいな人が歩いていたんで、追いかけてきたんですよ。」
監督「 は、はぁ・・・・。」
警備「 とにかく、頼みますよ!」

と、まくし立ててお帰りになりました。
 学校の中を簡単に説明すると、敷地は長方形で、校門、噴水、音楽堂、校舎、こんな感じに並んでました。
 時間は21時です。
しっかりしたゼネコンだから、変な作業員はいないし、噴水の方には行かないようにみんな注意してたし、残業届け出してたのは音楽堂にいる5人だけでした。
白い作業着なんて誰も着てません。
 これはマズいなと感じ始め、誰ともなく帰ろうよと道具を片付けて、2Fから1Fへの階段の踊り場まで降りたとき、

“ ポロン・・・・。”

と、ピアノの音が誰の耳にも届く大きさで聞こえました。
 因みにピアノの蓋には鍵がかかってます。
全員ビクッとしたのは言うまでもなし。

「 聞こえた?」
「 うん・・・。」
「 白い作業着?」
「 うん・・・。」
「 や・・、止めよう・・。」
「 後ろ見ちゃダメだよ。」

駐車場まで小走り、みな無言で車に乗り込み、逃げるように帰りました。
 その次の日からは残業は避け、定時で上がるようにして、現場はほどなく完了しました。
あれは、今でも思い出す奇妙な出来事でした。












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しづめばこ 7月23日 P500

2017-07-23 18:32:20 | C,しづめばこ



 しづめばこ 7月23日 P500  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
下記のリンクに入ってください。
小説“しづめばこ”



大峰正楓の小説書庫です。
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日々の恐怖 7月20日 認知症と幻覚(3~8)

2017-07-20 20:20:35 | B,日々の恐怖






  日々の恐怖 7月20日 認知症と幻覚(3~8)






(3)

 うちの祖母も要介護で幻視のあるタイプの認知症なんだが、

「 廊下を魚が泳いでいる。」

とかいうのは、幻だってわかる。
そういう時は、だいたい母がホウキ持ってきて、

「 はいはい、掃除したからいませんよ~。」

といなしている。

「 仏壇から女の人が出てきた。」
「 布団の回りに人がたくさん立っている。」

というのは、真剣に言われると、

“ まじに視えてるの・・・・?”

と勘ぐってしまう。




(4)

 介護施設で働いてるけど認知症の人って幻覚だけじゃなくマジに視えてることもあると思う。
 新しく入居したド認知の利用者が、

「 ここに知らない人がいる!」

って騒ぐもんだから特徴聞いたら、前に入居してて亡くなった利用者そのままだったってことがあった。
 その人が入居する前に亡くなってるので、当然、面識は無い。
認知症になると、何かロックが外れやすいのかなって考えてます。




(5)

 私の母は認知症ではなくて精神疾患だけど、母がある歌のサビを繰り返し歌っていて、でもワンフレーズだけ歌詞が抜けてララララ〜になってしまっていた。
 よくあることだから特に何も言わず放置してたら、突然歌うのやめて何もない空中に向かって、

「 あ、はい、わかりました。
ありがとう。」

とお辞儀して、次に歌い出した時にはララララ〜だった部分の歌詞が正確に歌えていて驚いた。
やっぱり、幻じゃない何かが見えていたのかもしれない。




(6)

 一時期、認知症の祖母の寝つきが悪い時に自分が寝付くまで付き添ってたんだけれど、

「 あそこの窓から男が覗いてる!」

とか、

「 そこの廊下に女が!」

とか、

「 重なった顔が!」

って言いまくってて、ホント怖かった。
 窓には壁と同じような白い紙貼ったり、廊下は猫の為に半端に開けてたけど締めて回ったり、話に乗ってるといつの間にか言わなくなった。
 築100年越えの家と新しい家を繋いでる家で、新しい方に祖母が寝てて、何かいるって言う方向が古い家の方ばかりだった。
今そっちに自分の部屋貰って寝てるけど、何か不安がある。




(7)

 親戚がアルツハイマーで施設に入所してるんだけど、会いに行くとよく通路の鏡に向かって話している。
 映ってる自分に喋ってるのかと思ったら、鏡の中に人がたくさんいるから一緒にご飯食べようって呼んでるんだと言うことだった。
 それで、

「 ちょっと、来てみて・・・。」

と言うもんだからついて行って見てみたが、

「 ほら!」

の声に反して、当人以外誰も映ってない鏡だった。




(8)

 施設の仕事をしています。
先日、幻覚系の認知のおばあちゃんが、慌てて職員を呼んでいた。
 駆けつけた職員に、おばあちゃんは、

「 大変!トイレを流したら小さな人が一緒に流れてしまったの!
下に行って助けてあげて!」

と、困った様子で訴えた。

「 あら、じゃあすぐ下に行って助けてくるから安心してね。」

と、職員さんが答えると、おばあちゃんは安心して、すぐそのことは忘れていた。
 そのやり取りは微笑ましくて思わず笑ってしまったが、戻ってきたその職員さんと、

「 案外本当にいるかもねぇ~。」

なんて笑いながら話すのは、よくあることです。














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日々の恐怖 7月18日 認知症と幻覚(2)

2017-07-18 19:57:36 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月18日 認知症と幻覚(2)




 数年前、無職でとうとう愛車まで売って生活してた頃、昼間嫁の車で就職活動をして、嫁を仕事先まで送り迎えしていた。
 嫁は介護士で、仕事先は隣町のグループホームだった。
夜は幼い娘と嫁を迎えに行ってたが、ある夜、嫁が施設から出てきて、駐車場にいる俺らの所まで来ているのが見えたとき、娘が、

「 ネコちゃんがいるよ。」

と言う。
 何気に、

「 ん?どこに?」

って聞くと、

「 ママのとこ。」

と答えた。
 聞けば嫁の足下に戯れるように黒猫が絡み付いていたが、話してるうちにいなくなったそうだ。
俺は見ていない。
 嫁はいつも車に乗って来るなり夕飯のこととかマシンガントークが始まるので、娘のネコの話はそれっきりだった。
 それで、その夜娘を寝かしつけた後に嫁と話していると、

「 今日二人の利用者のお婆さんに、ネコがいるって言われた。」

とグループホームでの話があった。
 一人(かなり認知が進んだお婆さん)には、歓談室で嫁の足下に向かって、

「 まおまおまお・・・・。」

と言われ、ネコを呼ぶような仕草をされて、もう一人(軽い認知のお婆さん)には、

「 あら、かわいい猫ちゃん連れてるのね。」

と話し掛けられた、
別々の時間帯に言われたそうだ。
 嫁が、

「 ネコでも憑いてたのかしら?」

なんて言うから、嫁が車に乗る前の娘の話をした。
 利用者さんに見えてたネコも黒猫だそうで、多分二人の利用者さんと娘には本当に黒猫が見えてたんじゃないだろうか。
幻覚と決めるのもどうかと思う。














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日々の恐怖 7月16日 認知症と幻覚(1)

2017-07-16 18:46:56 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 7月16日 認知症と幻覚(1)




 認知症によっては、本人にはハッキリとした幻覚が見えるらしい。
誰もいない部屋の隅を指差して、

「 子どもがいる。」
「 動物がいる。」
「 トイレに知らない女の顔がある。」
「 (何十年も前に亡くなった)親や友達がそこにいる。」

とか言い続けたりする。
それでも、全くの幻覚ではない場合もある。
 ある施設でセンサーとかまだ無い時代、認知症のお婆さんが、

「 夜になるとお雛様が来る。」

と毎日訴えるので、幻覚なのかどうか確かめようと、スタッフが夜勤の見回り時間以外に監視していた。
 すると見回りが終わって少し経った時刻に、別の部屋のお婆さんが起きだして、あちらこちらの部屋に行って、ベッドで寝ている別のお婆さんたちを覗き込んでいた。
派手な模様の毛布を羽織っていたから、お雛様みたいな衣装に見えたようだ。














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日々の恐怖 7月13日 歯医者

2017-07-13 19:13:34 | B,日々の恐怖





  日々の恐怖 7月13日 歯医者





 前に、歯医者に行ったときの話です。
その日は仕事の徹夜明けで、ボケ~っとしたまま歯医者に行った。
親知らずの抜歯のために最初に麻酔して、麻酔が効くまでの少しの時間ウトウト寝てしまった。
 すると突然、顔に、

“ ベチャッ!”

と冷たいものが乗ってきて、驚いて反射的にそれを掴んでしまった。
 感覚的に明らかに人の手だった。
子供とか女の人みたいな小さくて華奢な感じだった。
 歯科助手のお姉さんの手だと思って、

「 あ!すいません!」

ってパッと離して体を起こしたら、誰も周りにいなかった。
 俺の声に驚いたのか、隣の衝立から歯科助手のお姉さんが出てきて、

「 どうされました?!」

と聞いてきた。
 困っていると先生までやって来て、

「 大丈夫?」

と聞いて来た。

「 すいません。
ちょっと寝ちゃって。
寝ぼけたみたいです。」

と返したら、2人とも、

「 何だあ・・・・・。」

と笑っていた。
 それから一ヶ月経った。
最後の通院日に、帰る時に歯科助手のお姉さんが、

「 じゃあ次は半年後の定期検診ですね、お大事に。」

と言われ、

「 はい、ありがとうございました。」

と返事したところで、急に顔を寄せて来て、耳元で、

「 前に大きな声を出されたときに、寝ぼけたとおっしゃってましたけど、本当は見たんですよね?」

と言ってきた。

「 え・・・。」

と困っていると、

「 ちょっと見た目は怖いですけど、害は無いので、また来てくださいね。」

と笑顔で言われた。

“ 見てはないんだよな・・・。”












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日々の恐怖 7月11日 お財布(2)

2017-07-11 19:59:05 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月11日 お財布(2)




 まず、中に入れてたお金は無事だった。
それどころかむしろ増えていた、不自然に。
それからやたら小さく小さく折り畳んだメモみたいなのが何枚か。
 中には、合格祈願みたいな内容や、独立したいとか、店がどうとか、なんかよくわからない個人名だかあだ名だかが書いてあるだけのものとか、とりとめがない。
なんというか、公衆トイレの落書きとか宿泊施設にある交流ノートのノリに近いかもしれない、もしくは神社の絵馬のような。

“ もしかしたら、この小銭入れはお賽銭箱みたいな役目をさせられてたんだろうか?
でも、なんのために?
どうしてそんなことに?”

経緯がまったくわからない。

“ まさか何人もの手を渡ってきた?
どうやって?”

幸いなことに、自分に関係しそうな内容とか、恨みとか物騒な要素はなさそうだった。
それだけは本当に安心した。
 でも、やっぱり気持ち悪い。
メンタル弱すぎかもしれないが気分が悪い。
 こんなの、少し自分で手を入れてるとはいえ、ただの既製品の小銭入れだ。
そんな願掛けだかなんだか念みたいなもの込められても、ほんと分不相応なんで勘弁してください、許してください。
これ、ほんとにどうしたらいいんだろう。











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日々の恐怖 7月10日 お財布(1)

2017-07-10 20:50:53 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月10日 お財布(1)




 今日、耳鼻科クリニックに行ってきたのだが、受付の人に、

「 これ、Sさんのお財布じゃないですか?」

と小銭入れを見せられた。
どうやら落とし物で届けられたらしい。
 それは間違いなく自分の物だった。

「 お会計の時持っていたのを覚えていたので・・・・。」

ちょっと特徴のあるデザインだったからそのせいだろうと、お礼を言って受け取ってきたんだが、よくよく考えるとおかしい。
 この財布をなくしたのは正月だった。
一緒にいた友達や兄弟も自分が小銭入れから金を出し入れしているのを見ている。
そしてなくしたことに気づき、みんなで探し回ったが、結局見つからなかった。
 正月に医者なんか開いてるはずないんだ。
当然来た覚えなんかもない。

“ 実は上着やらのポケットに入れていたのを失念してなくしたと思いこみ、そのまま忘れてここに来て落とした・・・?”

とも思ったが、そもそも服装が全く違う。
 とにかく腑に落ちなくて中を見てみたんだけど、せめて家族かだれか近くにいるときに開ければ良かった。










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しづめばこ 7月9日 P499

2017-07-09 19:56:27 | C,しづめばこ



 しづめばこ 7月9日 P499  、大峰正楓の小説書庫で再開しました。


小説“しづめばこ”は読み易いようにbook形式になっています。
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日々の恐怖 7月7日 お茶漬け専門店

2017-07-07 18:23:49 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月7日 お茶漬け専門店




 俺はお茶漬け専門店なんてニッチなお店で働いている。
ホール希望だったけど夜勤に回された。
 専門店のお茶漬けすべてに言えることだと思うけど、お茶漬けの米ってカビをつける作業がある。
夜中に室温の管理しながらダメなカビが発生してないかを監視するっていう、ちょっと変な仕事内容だ。
 ガラスのフタを覗いて、ダメなカビがあったらそのタライの米は全部捨てる。
ちゃんと発酵してるものは、カビを綺麗な水で洗い流して店に出す。
 この工程のおかげで1杯2000円でも売れる。
サラサラっと胃に流し込んでしまえちゃういい米になる。
 洗い流す工程の時に異変に気付いた。
エプロンの結び目を解かれたり、頭のタオルを落とされたりする。
それが何日も続くもんで、大将(社長)に相談した。

「 そりゃ狐やろ、この辺は昔は山やったからな、狐くらいおるわな。」
「 え~?
でも、音もしませんでしたし・・・?」
「 生きとるもんじゃないからな、うまくやれ。
台所に、お揚げさん置いといてやるわ。」
「 えぇ・・・、それだけ・・・?」
「 騙された思うて1週間頑張ってみ。
あんまり気になるならホール任せる。
ほんまは、ホールは女がええけどな。」

 次の日から、パタリとイタズラが無くなった。
でも、お揚げさんが減ってる様子も無く、

“ もったいないな・・・・・。”

と思って社長に聞いたら、

「 食ってもいい。」

と言われた。
それで、毎日味噌汁に入れて食べている。
 そのときはイタズラの被害者は俺だけだったが、店を立ち上げた当初から、そういうのがあったらしい。
 社長の母親がやって来て、

「 食べ物供えないと、なかなかどっか行かないよ。」

って言われた。
 俺が、

「 狐って、食べ物貰うと、すぐどっか行くんか・・・・。」

と呟くと、

「 でも、また、すぐ戻って来るけどね。」
「 えっ、住み着いてるんですか・・・?」
「 うん、そんな気もする・・・、知らんけど・・・・。」

と返事があった。










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日々の恐怖 7月5日 くだらねえこと

2017-07-05 20:06:43 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月5日 くだらねえこと




 俺、廃棄物処理場で働いてるんだけど、そこに細かい金属屑が流れる配管がある。
その配管は4系統あって、それぞれ3か所点検口があって、定期的に点検する。
 たまに詰まることがあって、詰まると復旧が非常にめんどくさい。
だけど、一か所だけ誰も開けない点検口があって、先輩に訊いたら、

「 そこは見なくていい。」

ってだけ言われて、機嫌悪くなっちゃって教えてくれない。
 でも、やっぱり気になる。
それで、職場の飲み会の後で酔っ払った別の先輩に訊いたら、

「 あそこは絶対に詰まらないから大丈夫。
詳しいことはAさんに訊いてくれ。」

と言われた。
 Aさんってのは古株のオッサンで、あんまり接点が無いんで訊きづらいんだけど、どうしても気になったからいきなりだけど訊いてみた。
 Aさん曰く、

「 あそこの点検口は、開けると青白い手が出てくんだよ。」

と言われた。

“ なんだか安っぽい怪談だなぁ・・・。”

と思いつつ、

“ でも、じゃあなんで詰まらないのよ?”

なんて考えてたら続きがあって、

「 みんな気味悪がって点検しないから、頻繁に詰まる様になって困ってたんで、しかたなくBさんに頼んで一緒に点検しに行ったんだよ。」

BさんってのはAさんの元上司で、俺が入った時はもう定年で退職していた。

「 開けたらやっぱり手が出てきてあせってたら、Bさんいきなりハンマーで手をぶん殴って怒鳴ったんだよ、

『 くだらねえことしてねえで、詰まらねえ様に見張っておけ!』

ってさ。
 なんだか笑いばなしになってきたけど、実際にその辺りが詰まったのはその後一回だけだ。」

って言われた。
 その一回詰まった時も、Bさんが配管をプラハンでバコバコぶったたいて、

『 てめぇ、サボってんじゃねえぞ!
今度詰まったらぶっ飛ばすぞ!』

って怒鳴ったら詰まらなくなった。
で、Bさんの命令であそこは見なくてイイってことになった。
 配管の造りは4系統皆同じなので、そこだけ詰まらない理由が分からないが、それって嘘くさい話だけど、確かにその点検口の辺りだけは詰まったことはないし、みんなそこに行くの嫌がってるのが分かるんで、本当なのかなぁと思いつつある。












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日々の恐怖 7月3日 101回目のプロポーズ

2017-07-03 21:02:31 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月3日 101回目のプロポーズ




 大学生の頃、夜10時くらいに歩いて帰ってたら、自分の後ろを携帯で話してる男がずっと歩いてきてた。
 自分のアパートの近くまで来たときにまだ後ろにいたんだけど、

「 お前だよ!お前!…さっきから…!(聞き取れない)…!」

と声を荒げ始めたから、びびって初めて振り向いてその男を見たら、そいつ携帯なんか持ってなかった。
ずっと自分に話しかけながらついてきてたみたいだった。
 襲いかかっては来なかったし距離が10メートル程はあったので、気づいていないふりをして、街灯がない暗い分かれ道のところでしれっと物陰に隠れたら、運良くやり過ごせました。
 直後、そいつは突然叫び出して走り去っていきました
なんでそんな時間に1人でうろついてたのかはわからない。
振り返って、101回目のプロポーズの、ウェディングドレスで夜中の町を走ってこられるのなんか見たら、まず悲鳴ものだと思う。










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日々の恐怖 7月2日 歪み(3)

2017-07-02 18:42:26 | B,日々の恐怖




  日々の恐怖 7月2日 歪み(3)




 最初の虐待の原因になったのは、妹が熱を出して学校を休んだ時だ。
当時兄は小6で妹は小1だった。
 妹が熱を出す一週間くらい前に爺さんが来てて、みんなで焼肉へ行った。
それから一週間くらい経過してから妹が熱を出して学校を休んだ。
 症状が出てから3日くらいして兄が父に猛抗議した。
ほどなくして、

「 あれ明らかに中毒症状やろが!
病院連れてけ言うてんねん、ハゲ!」

と兄が怒鳴ったのを今でも覚えている。
 父はそれに対して、

「 病院もタダとちゃうねん!
ただの風邪や!
寝とったら治るわ。
それと誰が金払うねんや、あぁん?」

と言い返していた。
 結局、兄が救急車を呼んで妹を病院に連れて行った。
放っといても治るカンピロなんとかいう病気だったと思う。
当時O-157が流行っていたから、大事なくてよかった。
 ほんとに中毒という指摘があっていたから、父からしてみれば恥をかかされた気分だったんだと思う。
大人よりも知識があったから、家族の信用が兄に移ったと勘違いしたのかも知れない。
父の許可も無く家の電話を使用した事とか、救急車が大げさで近所に恥かいたとか、そんな理由で病院から帰った兄はボコスカ殴られてた。
 これが虐待の始まりで、兄はここから父を無視し続けた。
殴られようが何をしようが、まるで父がそこにいないかのように振る舞っていた。
 怖いとは思わなかった。
殴られた事はないけど、兄が殴り返さない気持ちもわかった。
何もわからないうちから殴られてたら、あんな父でも怖いと思ったかもしれない、
ある程度大きくなると、殴り返すほどの労力や時間を費やすのがもったいないってそう思う。
でも兄がいなければ、俺がターゲットだったかもしれないとも考えられる。










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