大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 8月29日 オッサンの家(4)

2023-08-29 09:21:15 | _HOMEページ_





 日々の恐怖 8月29日 オッサンの家(4)





 そんな状況がしばらく続き、兄が小学生高学年になった年に奥さんはその部屋で死んでいた。
自殺した形跡もなく、ただ動かなくなってたと兄は言った。
(実際に警察も来たが心筋梗塞と言われたらしい)
その時点で自分も正直、母親のバカさ加減が原因とはいえなんでこんな家で暮らさなきゃいけないのか分からなくなったし、
それとオッサンがこの家を離れないのも疑問に思った。
 で、兄に聞いた。

「 なんでそれでもこの家に住んでるの?」

すると兄は、

「 ここ離れたらお袋が出るんだってよ、鬼の形相で。」

と言った。
 俺の疑問を感じ取ったのか、兄は話を続けた。
葬儀を終わらせて、オッサンの実家に休養を兼ねて行ったらしいんだが、オッサンは毎夜、
亡くなった奥さんが動かない赤ちゃんを抱いてオッサンに縋りつく夢を見たらしい。
夜中に何度も目覚め狼狽しているオッサンを見て、親族は疲れてるんだろうと同情こそすれノータッチだったそうだ。
 オッサンは兄にその事を何度も話して同意を求めたらしいが、兄は自分で見てないので曖昧に相槌を打ってたらしい。
そして何故か家に帰るとその夢を見ることも無く、オッサンはだんだん元に戻っていった。










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日々の恐怖 8月25日 オッサンの家(3)

2023-08-25 13:48:53 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 8月25日 オッサンの家(3)






 そんな状況でもなんとか第二志望の高校に合格できて、中学最後の春休みになった。
たまたま自分一人が家にいた時に兄が帰ってきた。

「 探し物しにきただけだから。」

と言う兄に、半年ほど起こってる異音と泣き声について話してみた。
 兄はまじめに聞いてくれて、

「 ちょっと待ってろ。」

と言って居間の棚から知らない鍵を持ってきた。
そして、

「 誰にも言うなよ。」

と言って、2階の入ってはいけない部屋の前に連れてきてくれた。
 そして鍵を開けて入った。
俺はてっきり御札だらけとかの怖い部屋を想像してたんだが、いたって普通の和室だった。
ただ、襖の後ろに張られた1枚ずつの御札と、仏壇と異様なほどに供えられた人形を除いては。
人形の数は30~50ぐらいだったと思う。
 兄に、

「 誰の仏壇?」

と聞くと、

「 俺の姉らしい。」

と答えた。

「 らしい?」

って聞くと、

「 生後数ヶ月で死んだ。」

と答えた。
 それからの兄の話を要約すると、オッサンの最初の子供で早々に亡くなった事について最初の奥さん(兄の母)は、さんざん責められイジメられたらしい。
そして2年後に兄が生まれたのだが、娘が欲しかったオッサンは奥さんをさらにイジメたそうだ。
 イジメの内容は端折るが、奥さんは次第に仏壇のある部屋に篭るようになった。
普通に家事はするが和室に篭る時間が増えていく奥さんを、オッサンはさらに暴力と言葉でさんざん嬲り、それはヒドイ状況だったそうだ。
兄は自分に構ってくれず修羅場を続ける2人を、他人事のように眺めてたそうだ。











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日々の恐怖 8月22日 オッサンの家(2)

2023-08-22 08:41:48 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 8月22日 オッサンの家(2)





 オレ達が家に入ると、入れ替わるようにオッサンの息子(義理の兄)が家を出て行った。
兄は俺達兄妹に優しかったから、

” 自分達のせいで出て行ったのかな?”

と思うと兄に凄く申し訳なかった。
 その後もオッサンに虐待されるでもなく無事に過ごしていたのだが、俺が中3の夏に奇妙な事が起こり始めた。
それは、家族で居間にいると2階から異音が鳴り始めた。
今で言うと壁ドンみたいな音が。
居間の真上の2階の部屋は、

” 仕事道具があるから。”

という理由で立ち入りを禁じられ、鍵がかかってて入る事は出来なかったから、最初は

” 荷物が崩れたんだろう。”

ぐらいにしか思ってなかった。
 オッサンもネズミかなんかだと言ってたので気にしないようにしてたが、だんだん異音が鳴る頻度が増え、仕舞いには赤ちゃんの鳴き声が聞こえ始めるようになった。
オッサンに聞いても何も返事をせず、母も黙ったままだった。
結局、家族はバラバラに部屋で食事を取るようにして異音を聞かない様にしていた。








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日々の恐怖 8月20日 オッサンの家(1)

2023-08-20 11:31:34 | B,日々の恐怖




 日々の恐怖 8月20日 オッサンの家(1)





 お嬢様育ちで世間知らずな母が、俺と弟と妹を連れて父と離婚したのは俺が小学校低学年の時だった。
母の実家が地方都市のそこそこの名家っだったんで、自由で裕福な暮らしが出来ると思ったらしい。
 しかし祖父母は激怒し1年足らずで絶縁状態となり家を追い出され、地元でも評判の悪い土建屋のオッサンと再婚した。
オッサンはいかにも成金で趣味の悪い男だったが、両親に絶縁され頼る者が無かった母からすれば最高の男だったんだと思う。
 しばらくのホテル暮らしのあと、オッサンの家に引っ越す事になった。
オッサンの家は無理に増改築をしたのか、大きいのだが和風の家にプレハブ小屋みたいのを足した感じで、歪な感じだった。
しかしガキで何も知らないオレ達は、無邪気にデカイ家を見て喜んでいた。






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日々の恐怖 8月13日 故郷

2023-08-13 10:16:43 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 8月13日 故郷






 小学2年の夏休みだった。
8月の始めに一人でおじいちゃんの家に行った。
1週間くらい遊んで、お盆に母と弟が合流して帰るという方法だった。
 夏休みなので朝はラジオ体操があるわけだが、地元の子たちに混じってやるのがなんか恥ずかしい。
知らないやつらだし、スタンプだって違うだろうし。
 でも、いざ行ってみると、別に普通に受け入れられた。

「 スタンプカード違う!」

とかって最初に話しかけてくれたのが、5年生のお兄ちゃん。
そのお兄ちゃんとは帰るまでの間、ラジオ体操をやる家に集合してから開始までに結構話した。
 最後の日は、

「 来年もくる?」

って言ってくれた。
 結局その年以降は、おじいちゃんの家にお盆に行っても日帰りという方法になり会えなかったんだけど、
この間おじいちゃんの家に行ったときに、従兄弟と犬の散歩をしてたら、同じく犬の散歩をしている近所の姉妹が話しかけてきた。
 従兄弟と話してて、

「 隣の人は?」
「 従兄の兄さん」
「 昔ラジオ体操さ来てねがった?」

という流れになったので、

「 はい。」

って答えて、ちょっと話してお兄ちゃんの事を聞いてみたら、

「 誰だば?」
「 あの年、男一人だいな?」

 従兄弟や近所の姉妹のラジオ体操範囲だと、従兄弟が小学校にあがる年まで男の子がいなかったらしい。
期間限定とはいえ、

「 あなたの参戦が初の男の子だから覚えじゃーよ。」

と言われた。
 従兄弟も、

「 確かにうちの範囲ならんだよな。」

って。
 もう少し上の学年ならいるが、年が一致しないみたい。
姉妹が他の人たちに電話したり、ちょっとした騒ぎになった。
 俺と同じく、夏休みにおじいちゃんの家に来てた他の家の男の子なのでは?という説を俺が出したが、

「 男いねがったんだって!絶対!」

と一蹴。
 女の子を男だと勘違いしたのでは?という説が出るも、髪はみんな伸ばしてたそう。
そのまま回答が見つからずに解散し、従兄弟に、

「 ま、記憶ってアテにならね~はんでな。」

とからかわれた。
 近隣で鬼の子の伝承があるわけでもない。
近くの川で亡くなった子もいるがもっと小さい子だし。
周りが女の子ばっかで俺が生み出した幻だったのか?
スタンプ貰ってたけど。









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日々の恐怖 8月7日 異国の悪魔(2)

2023-08-07 11:20:51 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 8月7日 異国の悪魔(2)






 親父は、

” これは身ぐるみはがされるかな・・・・・。”

と思ってたらしいんだが、(インドネシアに限らず、日本製の物とか日本人が不用意に持ち歩く多額の現金目当ての奴らなんかはいっぱいいる)仲間の大事には変えられないんで了承した。
 別室に連れて行かれ、ポケットの中身を全部出させられた。
あ、この時点で親父は雨と泥でめちゃくちゃになったスーツは既に脱いで手に持ってる状態、本人は下着だけだったらしく、オマケで掘られるかもとかビクビクしてた。
 結局そんなことはなかったんだが、シャーマンの目にとまったのが定期入れ。
日本で通勤してる時に使ってる定期しか入ってないんで、おかしいなと思ったそうだが、中身を見せろと言われたので見せた。
 そしたら、シャーマンは定期の後ろに入ってた俺の写真を持って、これのお陰だと言い始めたんだ。
そもそも、親父の怪我だけが不自然に軽いので、シャーマンは何か強力なお守りを持ってると思ってたらしい。
 シャーマン曰く、国ごとってか地域ごとに神様とか悪魔は違ってて、日本(ていうか親父の住んでる付近)では、俺の写真はただの俺の写真にすぎないが、たまたま事故った場所にいる悪魔が俺に近い波長を持つやつだったと言った。
 それで、その悪魔は俺の写真から感じる波長を仲間だと思い込み、親父の怪我は結果軽く済んだって事らしかった。
俺は小さい頃、親父の仕事の関係でインドネシアに住んだことがあるから、そういう波長になったのかもって言われたらしい。
 まあその後、親父の同僚さんたちや現地ガイドさんも病院に送ってもらって順調に回復したらしいし、親父も実家でピンピンしてるが、異国の悪魔に仲間と間違えられた俺は、未だにこれを素直に喜べずにいる。












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