大峰正楓の小説・日々の出来事・日々の恐怖

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日々の恐怖 1月25日 足(2)

2024-01-25 10:16:25 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 1月25日 足(2)





 同じ先輩がやはり小学4年生晩秋の頃に体験した話です。
その日は風邪気味で学校を休んでおり、自宅の2階にある自室で布団にくるまっていた。
ぼんやりとベッド横の窓から外を眺めていると、家の前にある道に、
喪服のような黒い服と帽子をまとった髪の長い女性が、俯いて立っていることに気がついた。
 何故かその女性のことが気になり、彼女はベランダに出ていった。
なぜそのようなことを考えたのか、後になって振り返ってみてもよくわからないという。
 すると彼女がベランダに出ると同時に、その女性がふっと顔をあげた。
その顔は雪のように白かった。
比喩ではなく本当に肌が真っ白だったのだ。
 そしてつぶやいた。
そのつぶやきは離れているはずの彼女にもはっきり聞こえたという。

「 足が欲しい。」

気がつくと彼女は部屋で倒れていた。
時計をみると気を失った時から2時間ほどたっていた。
 ちなみに、その先輩は今でも五体満足で生活している。
また20数年の人生の中で、手足を失うような病気や事故が起きたこともないという。
彼女が幼い頃に遭遇したものがなんだったのかは未だにわからないそうだ。









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日々の恐怖 1月21日 足(1)

2024-01-21 10:40:59 | B,日々の恐怖





 日々の恐怖 1月21日 足(1)





 大学時代、一つ上の先輩(女性)から聞いた話です。
小学4年生の夏頃、学校から帰るときいつもある脇道からでてくる中年の男性がいた。
しかも常に彼女がその脇道を通りかかる時に出てきてぼんやりと立っていたという。
幼心ながら不気味に思っていた先輩はそのことを母親に相談した所、しばらく車で送り迎えをすることになった。
 1ヶ月ほど車で送り迎えを行った後、もうそろそろいいだろうと言いことになり再び徒歩での登下校になった。
そして実際、それからしばらくは何も無かった。
 しかし、その男は再び現れた。
彼女がいつものように帰り道を歩き例の脇道にさしかかったときだった。
ヌッと誰かが脇道から出てきた。
あの中年の男だった。
そしていつも黙って立っているだけだった男は、彼女の方をみてこう言った。

「 足が欲しい。」

気がつくと彼女は自宅の前にいた。
しかも、その間の記憶がすっぽりと抜け落ちてしまっていた。
それ以降、その男には一度もあっていないという。

「 そういえば、そのおっさん、腰から下がどんな風だったか、全然思い出せない。」

先輩は話の最後にそう語った。









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日々の恐怖 1月14日 輸入雑貨(3)

2024-01-14 19:36:02 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 1月14日 輸入雑貨(3)






 しかし、俺の主張に彼女は難色を示した。

「 あれが原因とは限らないじゃん。
違ってたらもったいないもん。」

どうしても捨てるのは嫌だと言う彼女と折衝を重ねた結果、とりあえず何日か俺が預かってみることで話が付いた。
俺はネックレスを持ち帰り、彼女がしていたようにベッドの脇に置いて眠ってみたが、特に悪夢は見なかった。
 だが、彼女の方は効果覿面だった。
ネックレスを手元に置かなくなってから、悪夢を見る事がなくなったのだ。
明らかな変化に、今度は彼女の方から処分を頼んできた。
 彼女は俺が鈍感だから影響を受けないのだと茶化したが、

「 だからって普通に捨てたりしないで、ちゃんとした人にやってもらってね。」

と俺の身を案じてくれた。
俺は彼女の言葉に従い、神社で禰宜をやっている知人に処分をお願いした。
そのネックレスを見るなり、知人は、

「 あ~、多分、これ遺品。」

と言った。
詳しく話せと言われて経緯を話すと、

「 なるほどね。」

と頷かれた。

「 前に似たようなの預かった事があって調べたんだけど、アフリカとかの貧困地域だと死者の遺品は遺族の大事な収入源なんだよ。」

宗教観もあるのだろうが、手元に置いて故人の思い出に浸る事よりも、明日ご飯を食べる事の方がよほど大事なのだろう。
 そんなわけで、遺品を安く買い取って物価の高い国に持ち込んで売ってるような露店ってのは結構あるそうだ。
最近だとネットオークションにも多いらしい。
一応、

「 俺が影響を受けないのは、鈍感だからですか・・・?」

と聞いたら、

「 それもあるかもしんないけど・・・・。」

と大笑いされた。

「 まぁ多分、女性の方が影響受けやすいんじゃないかなぁ。
何かが憑いてるというより”念が残ってる”って感じなんだけど、そういうのは女性の方が感じやすいし。
それに、これは女性の持ち物だっただろうから、同性の方が思いを共有しやすいのかもね。」

モノが手元を離れれば問題ないとのことだったので、ネックレスだけ供養してもらうことになった。
 かくしてアフリカの遺品ネックレスは、遥か極東の神社でお焚き上げ供養を受け、天へと還った。
輸入雑貨が持て囃される昨今だが、出処のはっきりしない物を買うということのリスクを痛感した出来事だった。












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日々の恐怖 1月6日 輸入雑貨(2)

2024-01-06 14:47:28 | B,日々の恐怖






 日々の恐怖 1月6日 輸入雑貨(2)






 結果的に上手く騙されたような気がしないでもなかったが、
彼女はああいう妙な小技を瞬時に繰り出せるほど器用なタイプではない。
あの時の嫌な感じはただの気のせいだと自分に言い聞かせ、

「 今後、記念日は月一回だけな。
それ以上は認めん!」

と彼女を小突いた。
 夕食を摂ろうと入ったレストランで、注文の品が来るまでの暇つぶしに、
彼女はさっきのネックレスを取り出し、さっそく首に掛けた。

「 どう?似合う?」

と笑ってみせる彼女は実に嬉しげだったのだが、胸元にかかったそのネックレスをまじまじと見直してから、

「 あれ・・・・?」

と首をかしげた。

「 なんか思ったより地味。
こんなだったっけ?」

そのネックレスはバッファローの角を楕円に削った黒と白の大きなビーズの間に、
緑と黄色の小さなガラスビーズが交互に挟まれているだけのシンプルなデザインだった。
確かに、これ以外で彼女が手に取っていたのはもっと派手なものばかりだったので、
俺も彼女がこれを選んだ時は意外に思ったのだ。

「 じゃあ、返品して他のに変えてもらわない?」

怖がらせたくはなかったので理由は明かさず遠回しにそう聞いてみたのだが、彼女の答えは、

「 う~ん、まぁシンプルな方が使い回しもきくし、これでいいよ。」

だった。
まあ、変な感じがしたのはあの時だけだったし、たいして気にするほどの事でもないかもしれない。
ちょうど頼んでいた料理が運ばれてきたのもあって、俺達はそこで話を打ち切った。

 その夜、彼女の部屋で眠っていると、夜中に彼女が突然ガバッと飛び起きた。
その気配につられて俺も目が覚めた。

「 何、どうしたの?」

眠い目をこすりながら彼女に尋ねると、彼女はしばらく俺の顔を見つめてから、

「 ・・・・なんだっけ?」

と訳の分からない質問で返してきた。
聞けば、怖い夢を見て飛び起きたのだが、内容をすっかり忘れてしまったのだという。
ああそう、と速攻で寝直す体勢に入った俺は、彼女にぶーぶー文句を言われながらも眠りに落ちていった。
 それからほぼ毎日、彼女は悪夢にうなされるようになった。
目が覚めるといつも内容を忘れているのだが、泣きながら目覚めることもあった。
あのネックレスが怪しいと思った俺は、あの日感じた不安をついに彼女に打ち明けた。

「 だからさ、やっぱ捨てたほうがいいって。
あれ買ってからじゃん、うなされるようになったの。」













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