月刊イオの電子ブックレット、無料配信中！

　月刊イオでは今年から、毎月、電子ブックレットを無料で配布しています。月刊イオの電子ブックレットについて、あまり知られていないようなので、改めて宣伝したいと思います。

　月刊イオの電子ブックレットは、1996年7月に創刊されてから今までの月刊イオの誌面から、同じテーマの記事をまとめ、ネット上にアップしたものです。
　これまで出された電子ブックレットは10。そのラインアップは次の通りです。

１．マンガ・こころとマウム
２．高校無償化―問題の始まりと闘い
３．民族フォーラムの17年（前編）
４．民族フォーラムの17年（後編）
５．もうひとつの旅2011
６．もう一つの旅
７．もう一つの旅、第3弾
８．創作童話
９．朝鮮のスポーツ選手の活躍（上）
10．朝鮮のスポーツ選手の活躍（下）

　中でも特にお勧めなのが、「高校無償化―問題の始まりと闘い」です。現在、５つの地域で裁判が始まっている「高校無償化」からの朝鮮学校排除の問題ですが、その発端と問題の本質、同胞や日本人の闘いの模様が、この１冊でわかるようになっています。
　その他のブックレットも月刊イオで連載された人気シリーズをまとめたもので、ぜひ見てもらいたいと思います。

　現在は無料で配布していますが、いつまで無料なのか、わかりません。早めのご利用をお願いします。
　電子ブックレットは、http://www.io-web.net/store/から入り、希望するものをクリックすれば、簡単にダウンロードできます。（ｋ）

流言ふたたび

　先週、広島と福岡へ出張した。
　ちょうど広島に滞在している間に、20日に同県北部を襲った豪雨による土砂災害と関連してネット上で流言飛語が行き交った。現地で避難者の留守を狙った空き巣が発生したとの報道を受けて、TwitterなどのSNS上で犯人を「朝鮮人」「中国人」だと決めつける発言が拡散されたのだ。さらには、現地で「自警団」を結成し「空き巣＝在日朝鮮人を駆除する」というツイートまで流れた。これらの書き込みに対しては、事実無根だと非難する声がすぐに上がり、広島県警も26日、「外国人の犯罪という情報はない」と噂を否定したことで、一時の騒ぎは沈静化されつつある。
　何か事件が起こるたびに、「在日」を犯人視するのはネット上で半ば様式化している。同様の流言飛語は2011年３月の東日本大震災の時もあった。今回、被災地の治安悪化を思わせるようなニュースが伝わった時、「ああ、またデマが飛ぶかも」という確信めいた予感はあったが、それにしても、だ。
　空き巣発生のニュースにネット上の「在日のしわざ」という悪意ある書き込みが加わり、まとめサイトが「広島の被災地で在日韓国人が火事場泥棒開始！」という扇情的なタイトルで報じる。根拠がまったく示されていないにも関わらず、一部の人々の間ではそれが「事実」として広がった。

　91年前の９月１日に起きた関東大震災の被災地域では、「朝鮮人が井戸に毒を投げ入れた」「放火や強盗をしている」といった流言が広まった。各地に組織された自警団が大勢の朝鮮人を虐殺したことが知られている。
　自然災害などの混乱時における流言やそれを拡散する行為は冗談や遊びでは済まされない。ましてやそれが特定の民族や集団に対する暴力を扇動する内容であるなら、犯罪に等しい行為ではないだろうか。
　昨年の９月にも同じようなことを書いた記憶があるが、今年も書く。警鐘は何度でも鳴らされるべきだろう。1995年の阪神淡路大震災、2011年の東日本大震災の時にはかつての悪夢が繰り返されることはなかった。しかし―。91年前、デマに煽られ自身の差別意識をむき出しにした民衆が官憲とともに朝鮮人や中国人に対する虐殺に手を染めた過去を総括せずにきたこの国で、再び同様の惨劇が起こらないと誰が断言できようか。（相）

防災の日に

　今日は９月１日。防災の日。１９２３年のこの日に起きた関東大震災にちなんで、今日いちにち、日本各地のいたるところで防災訓練が行われる。政府の総合防災訓練は、１日午前７時すぎに都心南部の直下を震源とするマグニチュード７．３の大地震が発生し、東京の都心を含む関東南部の広い範囲で甚大な被害が出たという想定で行われる（ＮＨＫニュース）とのこと、子どもが通う保育園でも午後３時半に大規模地震が発生する、という想定で訓練が行われる。「必ず来るだろう、いつか」に備えて。

この夏、日本各地では豪雨が続き、自然災害の深刻な影響を目の当たりにした。東京では首都直下型地震が来る、と言われており、９１年前の関東大震災の記憶は薄まるどころか、その記憶を追い求めている自分がいる。

　昨年の今ごろに朝鮮人虐殺を書き残した日本の人たちhttp://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/ce69ab3813adee43cf390e53f0cf8a34という文を書いたのは、大災時に朝鮮人を虐殺した場面を目撃した日本市民の証言を通じて、自分自身が当時を追体験したという思いに駆られたからだった。

　いま話題の、「九月、東京の路上で　１９２３年関東大震災ジェノサイドの残響」（加藤直樹、ころから）は、９１年前に東京の路上で起きた虐殺の事実を「感じてもらう」ために書かれた本だ。

　関東大震災から９０年がたった昨年、「良い韓国人も悪い韓国人もどちらも殺せ」などのプラカードを掲げ、「ぶち殺せ」とシュプレヒコールを叫び続ける「嫌韓デモ」が白昼堂々と行われた新大久保。そこで生まれ育った著者はこの光景に９０年前を見た。

…普通の人々が民族差別（レイシズム）に由来する流言につき動かされて、虐殺に手をそめた過去を持つ都市。いつ再び大震災が来てもおかしくない年。そこで今、かつてと同様に「朝鮮人を皆殺しにしろ」という叫びがまかり通っている。これはあまりにもまずい事態ではないか…（同書から）

同感だ。今日から各地では犠牲者を追悼する催しが行われる。（瑛）


●関東大震災91周年追悼会

△千葉

9月1日（月）、11時55分～（11時30分集合）、船橋市立馬込霊園内「関東大震災犠牲者同胞慰霊碑」前（JR「船橋」駅から「鎌ヶ谷大仏」行きバスで「馬込霊園入口」停留所下車徒歩10分）。問い合わせ＝総聯千葉西部支部（TEL047-431-1117）。

△埼玉

9月1日（月）、9時～、長峰墓地（JR「本庄」駅徒歩20分）。問い合わせ＝総聯埼玉県本部（TEL048-822-5111）。

9月1日（月）、10時30分～、安盛寺（JR「神保原」駅徒歩3分）。問い合わせ＝総聯埼玉県本部（TEL048-822-5111）。

9月1日（月）、13時～、メモリアル彩雲（JR「熊谷」駅からタクシーで8分）。問い合わせ＝総聯埼玉県本部（TEL048-822-5111）。

9月1日（月）、11時～、常泉
寺（JR「大宮」駅から国際興行バス「根木輪」停留所徒歩5分）。問い合わせ＝総聯埼玉中部支部（TEL048-822-5116）。

△東京

9月1日（月）、13時～（12時30分集合）、横網公園内の在日朝鮮人慰霊碑前（JR「両国」駅徒歩10分）。問い合わせ＝総聯東京都本部（TEL03-5980-8911）。

9月6日（土）、15時～、荒川河川敷（京成押上線「八広」駅徒歩3分）。問い合わせ＝一般社団法人ほうせんか、関東大震災時に虐殺された朝鮮人の遺骨を発掘し追悼する会（TEL090-6563-1923）。

△神奈川

9月7日（日）、10時～11時30分、久保山墓地（「関東大震災殉難朝鮮人慰霊之碑」前、京急本線「黄金町」駅から「保土ケ谷車庫」行きバスで「久保山霊堂前」停留所下車すぐ）。問い合わせ＝実行委（TEL045-942-7728、メール＝yamamoto.suiko@gmail.com）。

△群馬

9月14日（日）、10時～、成道寺（JR「群馬藤岡」駅徒歩5分）。参加費＝1000円（飲み物代ほか）。問い合わせ＝日朝友好連帯群馬県民会議（TEL027-261-3333、FAX027-261-3133）。