日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

訪れた「変化」

2017-08-31 10:00:00 | (麗)のブログ
先週、誕生日を迎えた。

30代に突入しても、20代と変わらず特にこれといった変化はすぐには来ないものだと思っていた。
が、ここ最近の暴飲暴食(主に飲の方)で、体型に変化があらわれた。

日頃からお酒を飲む習慣があったのだが、それがいけなかった。

毎日会う人にはその変化はわかりづらいが、久しぶりに会う人にはずぐわかるようで、
盆休み中、母親にはずっと「お酒をやめなさい」と言われ続けた。


ただいま断酒中。2週目に突入するところだ。
酒好きな自分にとっては、まさに大きな変化と言える。

折れずに、頑張って続けていきたい。(麗)

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今年の夏休みの過ごし方

2017-08-30 10:00:00 | (愛)のブログ
夏休みは、祖母が亡くなって初めてのお盆、新盆だったこともあり、夏季休暇が始まるとすぐにお手伝いのためにも里帰りし、ガッツリ長野で過ごしました。

前半は家のお手伝いに明け暮れましたが、後半は色々と楽しめました。

最初はバーベキュー場を予約してのバーベキュー。
天気予報は曇りのち雨でしたが、バーベキューをしている時間は雨は降らず
かえって涼しくて、鉄板が温かく感じられ、ちょうどよかったです。

お肉も美味しいお肉を頼み、
火力もガスのため強くてあっという間に美味しいお肉が焼けて、たらふく堪能しました。

食べ終わった頃に雨がざっと降り始め、撤収し、
帰りは施設にある温泉に入って体を温めてから帰りました。

また別日は釣堀と無料のアスレチックが併設されているパークへ。
初めは魚釣りか~と乗り気じゃなかったものの、久しぶりの釣りに子どもより私の方が夢中に(笑)。
釣りはまず、餌をどう仕掛けるかが勝負!!
入念に餌を仕掛けます。
結果、全員では合計15匹、私たち親子チームは最多の5匹を釣り上げ、おいしいニジマスをその場で調理してもらいました!
子どもたちもおじさんが調理している様子をじいっと見つめていました。
命をいただく大切さを学んでくれたと思います。
焼きあがった魚は皮まで柔らかく、最高においしかったです!
子どもたちも1匹まるごとペロッと食べていました。


その後は無料のフィールドアスレチックへ。
丸太渡り、くもの巣渡り、ねずみ平均台モンキーネット、吊橋渡り、など12のフィールドがあり、ひとつひとつクリアしていきます。
これが山の中の切り開いた場所に点々とあり、運動不足ぎみの私にとっては結構きつかったです。
でも子どもたちは大喜びでどんどんクリアしていき、子どもってすごいな~と改めて思いました。

(こんなダイナミックなアスレチック、初めてみました。。。)
帰りの車ではぐっすりの子どもたちでした。

他花火やスイカ割など、夏にできることを大いに楽しんだ夏季休暇でした。
こどもが小さいと、色々経験をさせるため、大人も色々なチャレンジができ、それもいいものだなと実感しました。(愛)
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最近のヒット商品【平壌発18】

2017-08-29 10:00:00 | (理)のブログ


 相変わらず国産の食品にはまっています。今回は、最近食べて特に美味しかった商品3つを紹介。

①「커피맛 쵸콜레트」 製造元=경흥은하수식료공장(慶興銀河水食料工場)



 【平壌発2】(http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/63ae9207e254c71a99b554ca465098e6)で紹介したチョコレートのコーヒー味。ついに見つけました。イチゴ味よりも色は黒いですが、日本のビターチョコほど苦さはありません。ほのかにコーヒー風味。ブラックコーヒーを飲みながら一緒に食べると、味が溶け合ってより美味! 私は個人的にこちらが好きでした。


②「호두겹단설기」 製造元=617무역회사(617貿易会社)



 商品名は「호두(ホドゥ=クルミ)」を「겹(キョプ=挟んだ)」「단설기(タンソルギ=カステラ)」という意味。カステラといっていますが、デニッシュのようなパンを使っています。ナッツとクリームという素敵な組み合わせを実現してくれたことに感謝。クルミがざくざく入っていて、こちらもコーヒーに合います。

 余談ですが、朝鮮では商品名をひとくくりにする場合が多いです。단설기と名付けられたものでも、ノーマルなカステラだけでなく、実際は上のようにデニッシュ生地を使用しているなど、該当する幅が広い。
 他にも、ラスク、パウンドケーキ、普通の食パン…。全然種類が違うこれらのものも、パッケージには「효모빵(ヒョモパン、효모は酵母)」とのみ書かれていたりします。

息子「ちょっと出かけてくるね」
母「あ、帰りにあれ買ってきて、前食べて美味しかったやつ。あれ。ヒョモパン」

 こんなシチュエーションで困ったりしないのでしょうか…。


③「바게뜨」 製造元=금컵체육인종합식료공장(クムコプ体育人綜合食料工場)



 最後はお馴染みクムコプの商品。その名も「바게뜨(バゲット)」! 見た目が真っ黒なので炭を練り込んでいるのかな?と思ったら、ライ麦を主な原材料にしているとのこと。



 袋を開けた瞬間からバターの芳醇な香りが感じられます。ふわふわなので、そのまま食べてもよし、バターと蜂蜜を塗って焼いてもよし。至福の味がします。やっぱりクムコプは常に先を行っているなー!と感動しました。

 日本に帰ったらこれらのものが食べられなくなると思うと残念でなりません。そのうち東京駅あたりに朝鮮のアンテナショップができて、大同江ビール含め、いつでも気軽に購入できるようになればいいのになーと妄想を膨らませています。(理)
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女の子とさくらんぼマーク

2017-08-28 10:00:00 | (S)のブログ
連休中に家の整理をしていたら、一冊の刺しゅうの本が出てきました。
表紙は色あせていて、発効日は1993年(私が産まれた年です)。
値段を見ると古本屋で買ったようだったので、使い古した感はそのせいかもしれませんが。

なんとなくパラパラ~っとページをめくっていると、突然、懐かしい絵柄が目に飛び込んできました。



それは、保育園の頃の昼寝用のシーツに縫われていた女の子の絵と、まったく一緒でした。
オモニが作ってくれたものでしたが、顔のパーツや髪の毛の流れ、刺しゅう糸の色も、たしかに本に載っているものと同じでした。
「MARI」の部分に私の名前が書いてあり、同じように周りにさくらんぼが描かれていました。

保育園の頃、一人ひとりのマークが決められていたのを思い出します。
私は「さくらんぼ」で、そのマークにとてつもない愛着を持っていたのですが、極めつけはこのシーツでした。
周りの子はマークしかついていないのに、私だけ自分の顔まで縫われているからです(私はいつも、ショートヘアでちょんまげ結びをしていました)。



オモニに聞くと、偶然私にそっくりの女の子が刺しゅうデザイン集に載っていたので、それを買ってそのまま真似て作ったそうです。
いつも私の似顔絵をササッと描きあげてくれるオモニだったので、シーツの女の子の刺しゅうももちろん「楽勝」だと思っていましたが、聞いてみるとそうでもなかったようで…。

保育園や幼稚園では保護者が手作りのものを用意するよう求められ、仕事の合間を縫ってどうにか仕上げたり、しょうがなく外注する方もいると聞きます。
オモニも縫うのに苦労したのかなぁと、何も分からなかった保育園の頃を思い浮かべました。

現物の写真でも残ってたらいいのに…と思いましたが、当時は写真を撮るのも今ほど手軽じゃなかったのでありませんでした。
代わりにこの本をとって置こう思います。(S)
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これぞ友情の輪!【平壌発17】

2017-08-26 09:46:09 | (理)のブログ

 前回に続き、白頭山偉人を讃える国際祭典を取材して印象的だったことを紹介します。

 祭典の最終日である8月17日には、参加者たちによる親善交流会が開催されました。会場となったのは平壌市の青春通りにあるバスケットボール競技館。
 別れを翌日に控え、親善と団結の気持ちをもっと強く共有しよう!との目的で、多彩な企画が準備されました。

 まずは朝鮮の芸術家たちによる公演(写真は朝鮮新報社平壌支局)。



 舞踊「옹헤야(オンヘヤ)」「탈춤(タルチュム=仮面の舞)」、男性独唱「남산의 푸른 소나무(ナムサネ プルン ソナム=南山の青い松)」「정일봉의 우뢰소리(チョンイルボンエ ウレソリ=正日峰の雷鳴)」、歌と舞踊「가리라 백두산으로(カリラ ペットゥサヌロ=行こう、白頭山へ)」などが披露されました。



 知っている歌をノリノリで口ずさんでいる人も。見ているこちらまで愉快な気持ちになります。

 続いて、チーム対抗のゲームが行われました。参加者たちを2チームに分け、5つの競技で勝敗を争います。チーム名は「친선(チンソン=親善)」と「단결(タンギョル=団結)」。朝鮮の、こういう分かりやすいところが私は好きです。



 競技ごとに、チームからメンバーが選出されます。国も年齢もさまざま。それでもすぐに打ち解け、力を合わせて競技に臨む姿がとても微笑ましかったです。




 競技中は、会場のどこを見ても笑顔&エキサイティング! カメラを通して、参加者たちの表情を間近で見ることができて嬉しかったです。




 さて、4つ目の競技が終わり、中間結果は2-2。最後の勝負は綱引きで決めることになりました。
 参加者たちを観察すると、心なしか少しピリピリしています。大のおとなたちが真剣になっている…! 期待が高まります。



 1回目は단결チーム(写真右)の勝ち。体力を回復するために、3分間の休憩が持たれると…。



 친선チームがすぐに作戦会議に入りました(笑)。


 
 ほ、本気…! 高齢の参加者がいるにもかかわらず全員本気です。
 もはやゲームという感覚が完全に失われています。

 始まった2回戦。



 作戦会議の成果か、친선チームがじりじりと綱を引っ張っていき、見事勝利しました。

 さあ決勝戦!とカメラを構え直すと、少しの間があってまさかのアナウンス。

 「량팀이 친선과 단결을 이룩하는데서 큰 힘을 발휘하였습니다. 따라서 이번 경기는 량팀이 이겼습니다!(両チームが、親善と団結を実現するために大きな力を発揮しました。よって、今回のゲームでは両チームが勝者です!)」



 一瞬、「それあり?」というような沈黙のあと、決着をつけたそうな様子を見せた人もいましたが、結果的には両チームとも納得して温かい拍手が上がりました。



 さすが平和を愛する国・朝鮮。最後まで趣旨に沿った進行を見せます。

 その後、参加者たちは用意された軽食を食べながら思い思いに談笑していました。ここでも大同江ビールは人気です。



 軽快な音楽が流れはじめると、旗を持った男女が登場しました。自然とそれを追う参加者たち。会場では、いつの間にか舞踏会が始まっていました。



 公演に出演した芸術家たちが、朝鮮式フォークダンスを教えています。見よう見まねで踊っているうちに、参加者たちの顔がどんどんほころんでいきました。




 最後はみんなで統一列車です。老若男女問わず、汗を流しながら目いっぱい会場を走り回りました。これぞ友情の輪!



 諸外国の人々はもちろん、通訳やスタッフとして参加した朝鮮人民たちが常に嬉しそうな表情で参加者たちを見つめているのも心に残りました。
 会場は、この数日間に築いた友情と連帯の気持ちを忘れずに、平和のための行動を続けていこうとの熱意に溢れていました。

 日本代表団の一員として参加した本田克己さん(62)は「15年ぶりに訪朝した。国際祝典と聞いてはいたが、世界各国からこんなに参加するとは思ってもみなかったから驚いている。同時に、このような取り組みをしているのが自分たちだけじゃないということを知り励まされた。本当に楽しい」と感想を話して下さったのですが、「励まされた」という言葉がとても印象的でした。

 弾けるような笑顔と充実した表情の参加者たちを見ながら、この期間に一番元気をもらったのは私自身じゃないかなと感じました。朝鮮が好きで、理解して支持してくれる人が、本当は世界中に散らばっているという事実を知り、いい意味でショックを受けました。
 普段は知る機会がなかっただけで、こんなに熱い人と人とのつながりがある。大切な場を経験させてもらってありがたいという気持ちと同時に、この雰囲気が少しでも多くの人に伝わってほしいと思いました。



 それぞれの国に帰った参加者たちが、朝鮮のポジティブな姿をいきいきと語ってくれることを願います。(理)
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世界の人々は朝鮮をどう見ているか【平壌発16】

2017-08-25 15:00:00 | (理)のブログ

 前々回のブログで紹介した、白頭山偉人を讃える国際祭典。ほかにも印象的な内容がいくつかあったので、2度に分けて紹介します。
(上の写真は、本文では触れていませんが、8月16日に行われた「国家宇宙開発局の科学者、技術者、職員との交流会」の時に撮影したもの。朝鮮の最先端を担う人々に会えたと参加者たちは大喜びでした)

 8月16日には祭典参加者らによる連帯集会が開かれ、世界各国の代表5人が演説しました(写真は朝鮮新報社平壌支局)。



「私はこの場を借りて、日本政府による総聯と民族教育への不当な弾圧、対朝鮮敵視政策に対し、世界各国から平壌にいらした皆さんが共に声を上げてくれることを切に願います」―朝鮮の自主的平和統一支持日本委員会 日森文尋議長
 このような国際的な場で在日朝鮮人の権利についても言及して下さる日本の方がいるということを、たくさんの同胞たちに伝えたいと思いました。



「私は、国連安全保障理事会の<制裁決議>2371号を徹底して糾弾した朝鮮民主主義人民共和国の政府声明を全面的に支持します」―英国朝鮮友好協会 ダーモット・ハドソン委員長
 イギリスは国連・安全保障理事会の加盟国にも関わらず、そこに暮らす人がハッキリと国連の措置を批判していたことも痛快でした。



「世界の平和を乱す国は、占領されたパレスチナ、スリア、キューバ、ベネズエラ、ウクライナをはじめとする国々の共同の敵です。帝国主義による侵略に直面しているすべての国は、朝鮮の政策を強く支持します」―世界平和評議会(WCPP) イラクリス・ツァブダリディス執行書記
 また、実際に平和と自主を踏みにじられている当事者たちの目には、何がまやかしで何が自分たちのためになるのかということがクリアに見えているのだな、とも感じました。

 他にも、アジア・アフリカ・ラテンアメリカ人民連帯機構(OSPAAL) ルルデス・セルバンテス書記長、カンボジア民族統一戦線(FUNCINPEC) チャプ・ナリブト副委員長という方々が発言。



 日本にいると全く実感がありませんでしたが、こんなにも様々な国の人々が朝鮮を支持しているということ、そして演説で話される内容にも驚きました。日本では朝鮮に対する否定的な言葉だけがどんどん入って来るので、(ああ、こんなことを言ってくれる人たちがいるんだ)と新鮮で、勇気をもらいました。

 さらに集会の最後、参加者たちの名義で国連のアントニオ・グテーレス事務総長に送る手紙を採択。「現在、アメリカは情勢が悪化した責任は朝鮮民主主義人民共和国にあるとし、共和国を孤立させるため国連の名前までをも盗用して不当な<制裁決議>を作り出した」としながら、「私たちは、国際平和と安全、人類共同の発展を追求するという国連の使命に沿って、国連事務総長と事務局が共和国に対する各種制裁の解除を含む適切な処置を迅速に行ってくれることを強く求める」と主張しました。
 世界各国の人々が連帯し、国連に訴えかけるというアクションを起こしたことに感動しました。日本では報道されないだけで、朝鮮を自分の目で見て理解した上で支持している人はたくさんいるようです。


 連帯集会のあとは、国際図書・文芸作品「世界が見る今日の朝鮮」授賞式が行われました。朝鮮についての書籍や文芸作品を発表した世界各国の人々に、感謝と激励を伝えるという趣旨の式でした。






 これまたこんなに多様な国の方々が! 賞をもらった参加者たちの、「光栄です」というような、なんとも嬉しそうな表情が印象的でした。日本からは、愛媛現代朝鮮問題研究所の名田隆司さんが受賞していました(写真下)。



 私がこの日の関連行事に参加して強く感じたのは、朝鮮はもっと色々な言葉を尽くして語られなければならない国だということ。それも、実際に朝鮮を訪れた人たちの生の声で、いきいきと。
 朝鮮に来たこともない人々によって編集された、「北朝鮮」に関するコピペのような一面的な報道に、いまどれほどの価値、そしてなんの意味があるでしょう。他の国の中での朝鮮に対する一般的な評価がどうかは分かりませんが、少なくとも日本は、もうそろそろ狭すぎる「北朝鮮」観から抜け出した方がいいと思いました。

 同時に、朝鮮の姿が正しく伝えられない理由の一つに、私は言葉の壁もあるのかなとふと考えました。



 例えば「白頭山偉人を讃える国際祭典」という名称。参加すればとても人間的で、ワールドワイドで、平和的な趣旨の行事だと分かります。しかし一般的な人が行事の名称だけ見ると、なんだかとっつきにくい印象を受けるのではないでしょうか。最初から拒否反応を起こして、内容を見ようとしない人も少なくないかもしれません。
 これに限らず現在の情勢などに関しても、朝鮮が発信する言葉を直訳ではなく、歴史性や背景、意図まで加味して分かりやすく伝えることができれば、かなり理解は深まるのではないかと感じました。
 そのために、直接朝鮮を見た人が、その人の視点で発見したこと、印象的だったことを、自分の言葉で語ることに意義があると思うのです。
 今回の行事名称も、いっそ「平和と自主を願う世界の人々の集い in 平壌―白頭山」とかで良かったのでは?と図々しくも考えてしまいました。(理)
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百聞不如一見2

2017-08-25 10:01:18 | (瑛)のブログ


 最近身の回りで朝鮮を訪れる人が多く、2002年を最後に足が遠のいている自分自身がこの目で見た朝鮮を振り返っていた。

そんなときに元編集者の平田賢一さんから送られてきたのが、この一冊。「百聞不如一見2 ひゃくぶんはいっけんにしかず/2014~2016訪朝報告書」だ。

この冊子は大学生、元研究者・編集者・高校教員たちによる訪朝記。8人が10日足らずの間に見聞きした朝鮮の風景、空気、人々とのふれあいを綴っている。所々に入った写真もいい。道端でふざける女生徒や、孫とひと時を過ごすおじいさん。現地の人と時間をともにした筆者たちの写真にも心が和む。

執筆者の一人である大学生のBさんが朝鮮に興味を持った大きなきっかけは、故・忌野清志郎がバンド「タイマーズ」時代に歌っていた「あこがれの北朝鮮」を聴いたことだったという。かれが訪朝した一番驚いたことは、都心でも郊外でも「普通の生活が営まれている」事実だった。一方で、日本で暮らす自分には普通に感じられない場面があり、学校現場や街で見たスローガンについて率直な思いを綴っていた。

胸が熱くなったのは、山下英愛さんが朝鮮の脚本家たちとの交流を紹介していたページ。韓国ドラマをテーマにした著書もある山下さんは、朝鮮のテレビドラマ情報を集めることを目的に訪朝し、2人の脚本家に会うことができたという。

 「ソッケウルの新春」などのヒット作で知られる脚本家のユングァンヒョンさんの話が印象的だった。
山下さんの文では、ユンさんがドラマ「温かいわが家」(2004)の脚本を書いたきっかけが、以下のように紹介されていた。

…苦難の行軍時代、中国から帰ってくるとき、中国側の丹東には電気が赤々と点いていたのに、祖国は暗かった。万寿台に立ち寄って平壌産院の隣にある自宅に帰った。その時に、平壌産院だけが唯一煌々と輝いていた。それを見た瞬間、「これが祖国だ」と思い、胸が熱くなった。その時、必ずこのことをドラマにしようと思った…

 ドラマの詳細は書かれていないが、産婦人科医を目指す男性が主人公だという。しかし、私はなぜこのくだりに目頭が熱くなったのだろう…。日本の市民がNHKの朝ドラを楽しむように、このドラマも全作見てみたいし、初老の脚本家にいつか会ってみたい。

 平田さんはI書店で活躍した骨太の編集者で、退職した後もほぼ毎年、朝鮮を訪れている。日本のおからのような「ピジ」が美味だったとの平田さんの食レポも楽しかった。

76ページの冊子を通じて、大阪を日帰りできるように平壌日帰り旅行ができる日を思い描くことができた。平田さん、ありがとうございました。(瑛)
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無償化勝訴判決に続け~大阪補助金裁判も控訴審

2017-08-24 10:00:00 | (相)のブログ
 日本全国5ヵ所で係争中の朝鮮高級学校無償化訴訟で7月28日、大阪地方裁判所が原告・学校法人大阪朝鮮学園側の全面勝訴の判決を下したことは本ブログで何度もお伝えしている。同じく、大阪朝鮮学園が原告となって、大阪府、市内の朝鮮学校に対する補助金を不支給とした処分の取り消しと交付の義務づけを求めた裁判(以下、大阪補助金裁判)でも、さる8月7日、控訴審が大阪高等裁判所で開かれた。
 今年1月26日、大阪地裁は原告・大阪朝鮮学園側の全面敗訴の判決を下した。これを受けて、原告側は翌2月7日に控訴している。
 裁判期日があれば、記者が傍聴取材したうえで数日中に本ブログで概要を報告するのがならわしとなってたが、今回は裁判を傍聴できず、また、夏季休暇を挟んだなどの事情もあり、期日から2週間以上が経過してしまった。先日発行されたイオ9月号には、支援団体である無償化連絡会・大阪からの情報提供を受けて控訴審の記事が掲載されている。先の無償化裁判の勝訴判決によって朝鮮学校関連の訴訟の行方にあらためて大きな注目が集まっているという現状にも鑑みて、遅くなってしまったが本エントリでも以下、報告したい。

 この日の控訴審では、原告から控訴状と控訴理由書が提出され、原啓一郎、李承現、木下裕一の各弁護士が理由書の要旨陳述を行った。原弁護士は、地裁判決において裁判所が本件要綱の改訂内容を適法とした3つの根拠がすべて誤っていると論拠を示して指摘した。李弁護士は、本件要綱の改訂(要件の付加)が裁量の逸脱・濫用であることを提示した。木下弁護士は、自らの補助金が府の補助金を補完したものに過ぎないとした市の主張の矛盾を指摘し、市の対応が行政手続法にも著しく違反するものであると指摘した。
 続いて原告・大阪朝鮮学園の玄英昭理事長が控訴人代表意見陳述を行った。玄理事長は、7月28日に下された無償化裁判の全面勝訴判決について、「戦後、私たちが歩んできた歴史をまっすぐに見つめ、一貫して民族教育を行ってきた朝鮮学校の意義を認めた」ものだと評価した。翻って1月の本件地裁判決について、「4年4ヶ月、20回にわたる裁判で、裁判官はいったい何を見ていたのか」と非難し、司法は行政による不当な措置を追認せず、その行き過ぎを諌め、こどもの権利や学習権を守らなければならないと訴えた。そして、控訴審において公正で平等な判断を強く願うとのべ、陳述を締めくくった。
 その後、裁判官と原告、被告双方により今後の進行に関する協議が行われた。まず、原告が先の無償化裁判判決文において朝鮮学校への補助金支給に関連する部分の記述内容を分析し、主張を補充するとし、専門家による「私立学校振興助成法」に関する意見書を提出するとした。そして再度、裁判官が直接朝鮮学校を訪ね、子どもたちの学ぶ姿を見て判断してほしいと訴えた。
 裁判後、大阪弁護士会館で報告集会が開かれた。丹羽雅雄弁護団長は、先の無償化裁判で勝ち取った全面勝訴判決の歴史的意義と各地の訴訟に及ぼす影響について語り、補助金裁判でも勝訴判決を勝ち取ろうと呼びかけた。
 控訴審の第2回期日は12月6日の午前11時からと定められた。(相)
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江原道のカエル【平壌発15】

2017-08-23 15:00:00 | (理)のブログ

 8月の初め、平壌市内で行われた「全国 8.3人民消費品展示会」に行ってきました。
 8.3人民消費品とは、工場などで通常生産するものとは別に、人々のより細かなニーズに応えるため手作りされた製品のことを言います。生活の中で出た、一見ゴミになりそうな物や自然の資材が用いられているため、材料費はほぼゼロ。しかし、そこから無限の可能性が生まれます。

 もともとは1980年頃から、子育てなどで家庭にいる女性や老人たちが自発的に服や雑貨を作り売っていたのが始まり。
 活動が少しずつ広まる中、1984年に金正日総書記がこれを評価し「大衆運動」に規定したことで、全国的に発展してきました。その日が8月3日だったため、そのまま8.3人民消費品という名前になったそうです。

 各道では地域ごとの特産物を生かして特色ある雑貨や民芸品を作ったり、街なかには8.3人民消費品を専門に扱う直売店があったり、暮らす区域ごとに「家内班」というグループを設けて一般の人々が生産したりと(いわゆる内職)、人々の生活に浸透しています。8.3人民消費品という概念は初めて知ったので、そのシステムがとても面白く感じられました。

 さて、冒頭の展示会。ここには朝鮮の各道から集まった選りすぐりの8.3人民消費品が並びました。その数なんと7700余種類!



 「手作り」というイメージが大きかったので、実際に行くとレベルの高い製品が並んでいることに驚きました。これを全て手作業で…? 聞いてみると、運動が発展するにつれて8.3人民消費品はかなり多様化したとのこと。



 工場によっては8.3人民消費品を作る部署が設けられているところもあり、生産の過程で出た廃棄物をリサイクルして別の製品を生産します。例えば、靴工場で出た革の切れ端を再利用し、子ども用のボールを作るなど。



 また、工場ごとに生産している正規の製品でも、生産目標を超過達成した場合はその超過分を8.3人民消費品として流通させていると話していました。これが全体的な質の底上げにつながっているようです。



 もちろん、身の回りのものを利用して作る製品もまだまだ豊富です。これはタバコの箱を折って重ねて作った(!)鳥の置物。作った人はかなりの喫煙者か。



 布の切れ端を使ったり洋服やカバンをリサイクルして作ったドレス、帽子などもありました。このように個性的なデザインは工場では作れない、個人のセンスで生まれるもの。8.3人民消費品の魅力です。
 会場には平壌市民もたくさん訪れ、みな興味津々な様子でした。展示会といっていますが、普通に購入も可能です。



 各道の製品を楽しく見て回りながら、最後に江原道のブースに差しかかった時、強烈に目を引くものがありました。




 カ、カエル…! しかも貝殻で作っている…。

 さまざまな大きさ・形の貝殻を使い分けながら、見事なまでにカエルを表現しています。素通りすることができず熱心に眺めていると、ブースの責任者が声をかけてくれました。

 「강원도바다에서 가져온 조개껍질로 만든 《개구리합창단》입니다(江原道の海で採れた貝殻で作った“カエルの合唱団”です)」

 そして私があまりにも物欲しげに見えたのか、記念にプレゼントしてくれました。責任者の優しさ、独特な可愛さ、そしてこの製品が江原道から届いたということにも感動しました。江原道の海の香りが…と鼻を近づけてみると、そこは普通に接着剤の匂いが。

 嬉しくてホテルに帰った後も上機嫌で持ち歩いていると、すれ違った人民に「《개구리합창단》이로구나(“カエルの合唱団”じゃん)」と声をかけられました。
 …ん? 江原道の責任者と全く同じ名称を言い当てたのです。製品名はどこにも書かれていないのになぜ分かる? しかもよく見ると“合唱団”ではなく、どちらかというと“楽団”なのに…。なんだろう、朝鮮では有名な雑貨なのかな…。深まる謎に、つい笑ってしまいました。(理)
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日田市の豪雨災害と取材の思い出

2017-08-23 09:40:57 | (K)のブログ
 今年の夏は雨がよく降った。「東京で20日連続で雨」などとニュースが流れ、各地で豪雨による被害が出ている。
 被害が大きかったのが、九州北部豪雨。7月5日から6日にかけて、集中豪雨が発生して、福岡県、大分県で甚大な被害、犠牲となった人も多く出た。

 九州北部豪雨で被害の多かった地域に大分県日田市がある。
 大分県日田市には3度、訪れたことがある。1998年、1999年と、もう20年近く前のことだ。
 日田市で毎年5月に「日田川開き観光祭」というイベントが開かれるのだが、その際には、1万発の花火が上がり、町中が盛り上がる。その目玉イベントの一つに、市民らが様々なチーム(芸能隊)を作り、踊りながら街を練り歩くというものがある。その芸能隊のひとつとして、在日朝鮮人と日本の市民が合同で「TEAMアンニョン」というチームを作って出場した。それがスタートしたのが97年からで、98年、99年とその模様を取材したのだ。

 TEAMアンニョンを組織したのは、日田市で朝・日友好のために活動していた「ムジゲの会」。当時のイオの記事を読むと、ムジゲの会の花見に110人が集まったというから、友好の輪が大きく広がっていたことがわかる。活動は、学習会や朝鮮料理の教室、福岡の朝鮮学校訪問や夏期学校と多彩で活発だった。日本人は学校の先生方が中心となっていた。
 芸能隊で練り歩く時には、男女全員がチョゴリを着て、チャンゴを叩きサンモも回す。福岡から九州朝鮮歌舞団も参加していた。本番の2日ほど前から現地に入って、準備も手伝い飲み会にも参加した。98年に続き、99年もぜひ取材してほしいということで、2年連続での訪問となった。本番の踊りや花火が圧巻、日田市の人たちとの交流が深まり、忘れられない取材となっている。

 踊り手は小学生以下の子どもたちが多かった。今はもうみんな成人している。中心となって活動していた日本人のK先生とはその後も唯一、連絡を取り合っていたが、2年前の年末にガンのために亡くなられた。あの時に活動していたその他の日本の方たち、また同胞の方たちは、いまどうしておられるだろうか。
 日田市での豪雨被害のニュースを聞いたときに、当時、お世話になった日田市の方々の顔が思い浮かんだ。どのような被害に遭われたのか、わからないが、元気でいてほしいと願っている。(k)
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変わっていく実家

2017-08-22 10:00:00 | (麗)のブログ
盆休みに実家へ帰ると、色々と家の様子が変わっていることが多い。

帰郷あるあるでよくあるのが、「自分の部屋が物置になっている」こと。
これは私もそうで、自分の部屋には大学時代の作品やら健康器具やら、何かと物が多く置かれている。

2年前は、洗面所で手を洗おうとした時にいつもと何かが違う…と思いよく見ると、今まで使っていた洗面台が真新しくなっていた。
実家は私が中学の時に引っ越してから15年以上経つのだが、どうやら家具や電化製品にボロが出てきたそうだ。
洗面台だけではなく、洗濯機や風呂場の浴室など生活には欠かせないものが次々と壊れていったらしい。
今回は居間などのクーラーがつかなくなった様で、すごい出費だと嘆いていた。

15年以上経つと、次々とそのような事が起きてくる。
と同時に、もうそんなに経ったのかとも思う。
家族で焼き肉を食べに行った際、誰もカルビを一切頼まなかったのにも時の流れを感じた。
「段々食べられんようになるわ」と、ぼやきながら箸を進める家族。
確かに昔に比べれば圧倒的に食べる量が減ったと思う。


また次に帰郷した時は何が変わっているのか気になるところ。(麗)
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特集「高校無償化裁判 大阪で歴史的勝訴!」のイオ9月号

2017-08-21 09:14:14 | (愛)のブログ
イオ9月号が先週金曜に納品されました!
9月号の特集は「高校無償化裁判 大阪で歴史的勝訴!」。
大阪での完全勝訴を受けて、急きょ誌面構成を作り直し、1頁から特集として大阪、広島で行われた裁判結果についてルポ、解説しています。

表紙も特集に合わせ、グラフィックデザイナーのホ・サンホさんにかっこよくコラージュして頂きました!

そして特別企画は「わたし、別れました」。
離婚について、様々な角度から(ルポ、対談、エッセイ、法律相談、統計、社会制度等)まとめてお届けしています。

他、「見せた!愛知の本気」と題してウリ民族フォーラムin愛知の模様を伝えた記事、
東京中高で行われた安英学選手の引退試合の様子をお届けする「ラストパスに夢たくし」、
きむ・ぎがんさんの文「ひとり芝居がマダン劇になる時―『在日バイタルチェック』第100回目公演を終えて」。
「失敗を見つめ、失敗から学ぶ」と題して関東フードビジネスフォーラムの模様をお伝えしております。

ほか、連載「親子のじかん」は在日同胞のレゴ博士が登場した面白い内容になっていたりと
9月号も読みごたえのある内容でお届けしています!

ぜひお手にとって読んでみてください!!(愛)
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白頭山へ!【平壌発14】

2017-08-18 10:00:00 | (理)のブログ

 白頭山(ペットゥサン)に行ってきました! 
 8月13日から17日にかけて朝鮮で行われた「백두산위인칭송국제축전(白頭山偉人を讃える国際祭典)」の関連行事を取材するためです。



 この祭典は金日成主席、金正日総書記の生涯と業績を深く学ぶとともに、支配や侵略のない世界を目指し代を継いで尽力している金正恩委員長をより力強く支持していこうと、世界各国の代表らが連帯して実現させた記念行事です。
 このような趣旨の国際祭典が開催されるのは5回目。今回は世界65ヵ国以上の国が準備に携わり、約200人が朝鮮を訪れて祭典に参加しました。



 白頭山に来ずして白頭山の偉人たちは語れまい!ということで、参加者たちは意気揚々と白頭山地区を訪れました。

 朝鮮では、白頭山を「革命の聖山」としています。日本による植民地時代、金日成将軍の率いる朝鮮人民革命軍がこの一帯を拠点にして祖国解放のために戦ったことからきています。他の国に隷属しては人間らしい生き方ができないと、武器を取り抗った精神は今日まで継承されています。
 上で「支配や侵略のない世界」と書きましたが、朝鮮は自分の民族はもちろん、いかなる国も他に干渉されてはならないと訴え、それを示す行動を取り続けてきました。朝鮮ではよく、「온 세계의 자주화(全世界の自主化)」という言葉を使います。
 祭典の参加者は、言わば平和を望む人たち。民族の尊厳を守ろうとする朝鮮の指導者に深く賛同して海外からやってきたのです。朝鮮に対するさまざまな悪宣伝が飛び交う中、自らのものさしで見て行動する人がこんなにもたくさんいるということに感動します。

 13日は白頭山周辺を回りホテルへ。代表によるあいさつや地区に暮らす学生らによる歓迎公演があったほか、野外ビュッフェで夕食が振る舞われました。



 14日には白頭山の頂上で「白頭山太陽を迎える集い」が持たれました。参加者たちは即興詩を披露し、シュプレヒコールを上げ、横断幕を持って行進し、歌を唄い…。白頭山偉人たちを慕い、平和に貢献していこうとの決意をいきいきと表現しました。




 祖国解放のために戦った朝鮮人民革命軍が活動の拠点とし、金正日総書記の生家もある白頭山密営を訪ねて嬉しそうな参加者たち。



 15日から最終日までは平壌市でいくつか関連行事が企画されました。なかなかハードな日程ながらも、多彩な催しに参加者たちは疲れ知らず。
 祭典の具体的な内容については朝鮮新報でも紹介されるので、ぜひ読んでみて下さい。(理)

※今日のおまけ=平壌国際飛行場のカフェにて。搭乗時間までひと休みしました。カプチーノを注文すると可愛いラテアートが!

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特別な一枚を【平壌発13】

2017-08-10 15:00:00 | (理)のブログ

 平壌市中区域にある「文化写真館」を取材しました。近年、平壌市内では写真館のニーズが高まっており、休日には行列ができるお店もあるとのことで、人気の秘訣を探りに行ったのです。※写真はすべて朝鮮新報社平壌支局



 訪ねたのは7月27日の名節の日。写真館に着くと、廊下や待合室の壁にさまざまなシチュエーションで撮られた写真たちが掛けられていました。ブライダル写真、家族写真、子どもの写真、姉妹で撮った写真…。夕日の中に二人のシルエットだけが浮かぶ、恋人同士のロマンチックな写真も。



 さっそくスタジオに入ると、ちょうど撮影を行っていました。両親と息子の3人家族。写真館は初めてなのか、みな緊張気味。しかし、「息子さん、せっかく男前なんだからもっと笑って」というスタッフの言葉にようやく顔がほころび、カメラマンがすかさずシャッターを切っていました。
 撮影した写真は、待合室に設置された大画面ですぐに確認することができます。満足のいく一枚が決まったのかみな嬉しそうでした。





 他にも、子どもの誕生100日記念で訪れた夫婦、長く海外出張中の夫に成長した子どもの姿を見せたいという母親、ブライダル写真を撮りに来た新婚さんなど、次から次へとお客さんが。そこにいるだけでも、市民たちの生活が垣間見えて面白かったです。
 聞くと、みなテレビ番組でこの写真館について知り興味を持ってやってきたとのこと。

 文化写真館の魅力の一つが、種類豊富な背景。雪景色、飛行場、海、新緑の草原など、好きな背景を選択し、シチュエーションを演出して写真を撮ることができます。なので常連客も多いそうです。今年4月に完成した黎明通りの風景もさっそく導入していました。



 印象的だったのは、スタッフのパク・ヘヨンさん(写真右下)が言っていた「楽しい時、この瞬間を残しておきたいと思いませんか」という言葉。シンプルなこの一言に普遍的な思いを感じました。
 訪朝の際はぜひ文化写真館で記念写真を撮ってみてはいかがでしょうか。日本へ戻るまでに時間があれば私も撮ってもらおうかなと思います。(理)
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本紹介『異才、発見! ―枠を飛び出す子どもたち』

2017-08-10 10:00:00 | (S)のブログ


今日は本の紹介です。

タイトルは、『異才、発見!―枠を飛び出す子どもたち』(伊藤史織著、岩波新書、2017)。

みなさんは「異才発掘プロジェクトROCKET(Room Of Children with Kokorozashi and Extra-ordinary Talents)」をご存知でしょうか?
これは、東京大学先端科学技術研究センターと日本財団との共同主催で実現した、新たな「学びの場」です。

指導方針に従ってはっきりとした「基準」を設けて教育を行う「学校」。
その決められた枠から、はみ出してしまう子どもたちがいます。学校では「変わった子」「空気の読めない子」「言った通りにできない子」「馴染めない子」などと呼ばれています。

そんな子どもたちの中には、特化した才能を持つ子もたくさんいます。
このプロジェクトは、その「才能」を潰すことなく、どんどん引き伸ばしていこうという取り組みです。
決して、社会に適応させよう、不登校の子どもを学校に戻そうというものではありません。

本書は、筆者がこの取り組みを長期取材しまとめたものです。
学んでいく子どもたちのようす、主催者が目指すものや熱意を伝えながら、「教育」について新しい問いをくれます。

子どもたちは強烈な個性を持っていて、集団を気にせず好き勝手に動き回ります。それを注意する大人はここにはいません。自分のやりたいことを自分のペースでとことんやらせます。
印象的だったのは、好きなことだけを思い切りやらせるのと同時に、自分の力で考えること、自分のすることに責任が伴うということをしっかりと教える大人の姿です。
子ども扱いせず、厳しく教える分、その土台にはスタッフと子どもの絶対的な信頼関係があります。

前半では、「周りと違う子」を育てる筆者の実経験も綴られていて、「親」の心理的な部分が隠さず語られます。
あとがきで、「生きているだけでいいと心から思ってくれる人がいることが、子どもの生きる力の源です」という一文が胸に刺さります。

「才能」というとなんだかすごいもののように聞こえますが、子どものどんなに小さな力も信じてあげられることが大切だと感じました。
簡単なことではありませんが、学校、家庭、社会が少しずつ変わっていけたらと思います。

イオ9月号の書評欄でも紹介されます。
興味がある方はぜひ読んでください。


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さて、イオ編集部は明日から1週間、夏休みに入ります。
実は昨日の朝、転んで足の甲を捻挫してしまいました。痛いです。
病院で全治2週間と言われましたが、いやいや、5日で治します(治したいです)。
でないと連休の計画を遂行できません…!!


休みの期間は、日刊イオもお休みします。次回更新は18日です。(S)
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