日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

南の市民団体が朝鮮学校訪問、文科省への要請、「金曜行動」へ

2019-06-12 10:00:00 | (全)のブログ


 朝鮮学校差別の解決に取り組む南の「ウリハッキョと子どもたちを守る市民の会」「全国教職員労働組合(全教組)」(「全北(全羅北道)キョレハナ」などのメンバーで構成された「朝鮮学校差別反対!高校無償化適用要求!金曜行動12次訪問団」(37人、以下、訪問団)が、6月6~9日にかけて来日し、都内各地の朝鮮学校を訪問。7日には参議院議員会館を訪れ、関係省庁に要請を行った後、「金曜行動」に参加しました。

 6日、成田空港に到着した訪問団は東京朝鮮第1初中級学校(荒川区)を訪問。同校児童・生徒らは、運動場で体操を、体育館で公演を披露し訪問団を歓迎しました。


 訪問団の南の市民たちは公演を観覧しながら、異国の地でのびのびと育つ朝鮮学校の子どもたちの姿にこらえきれず涙をこぼしていました。


 公演後は、訪問団のメンバーと生徒らが一つの円になり、互いに手をつなぎ、時には肩を組み、統一ソングをともに歌いました。

 
 訪問団は7日には、東京・永田町の参議院議員会館を訪れ、文科省、法務省、外務省の担当者らに要請を行い、朝鮮学校に対する差別を撤廃するよう求めました。


 安倍首相と文部科学大臣宛の要請書では、日本政府と文科省に対し、▼日本の憲法、国際人権規約、国際児童権利条約に背く朝鮮学校への差別的措置を撤回すること、▼国連社会権規約委員会などの勧告に従い、一日もはやく朝鮮学校生徒たちに差別無く「高校無償化」を適用し、教育補助金中止を促す通知を撤回すること、▼朝鮮学校の生徒たちの教育権を侵害する一切の行為を打ち切り、生徒たちを威嚇する「在特会」などの右翼団体に対して規制措置を取ること、▼過去の植民地支配に対する深い謝罪とともに在日同胞への差別政策を直ちに撤回し、朝・日関係の正常化を図ることを求めました。

 全国教職員労働組合(全教組)のチョン・キョンウォンさんは、「日本学校と外国人学校に『高校無償化』が適用されるなかで、朝鮮学校だけが除外されている現状を見ても本当に差別が無いといえるのか」と質問すると、文科省担当者は、「朝鮮学校が適用要件に満たなかったので無償化の対象外となった。決して差別ではない」と答えると、その人権意識の低さに支援者からは「話にならない」「良心があるのか」と怒りの声が飛び交いました。

 要請後、私も議員会館から虎ノ門の文科省前まで移動する訪問団のバスに同乗させてもらいました。移動時間に、市民たちは「金曜行動」で学生たちとともに歌うため、「声よ集まれ歌となれ」のメロディーと歌詞を懸命に覚えていく、その姿が印象的でした。


 雨が降りしきるなか、訪問団は文科省前で東京朝高生や朝鮮大学校学生、朝鮮学校のオモニら約130人とシュプレヒコールを叫びました。


 「金曜行動」後、訪問団は日比谷野外音楽堂で行われた集会とサウンドデモ「朝鮮半島と日本に非核・平和の確立を!」に参加。サウンドデモで訪問団は、「朝鮮学校差別反対」と書かれたカードを掲げ、日本市民らとともに日比谷から東京駅までを行進しました。



 
 京畿道で教員を務めるチェ・ムンソンさん(32)は、「朝鮮学校の子どもたちとウリマル(朝鮮語)で交流しながら、私たちは同じ民族であり、これからも共に歩んでいく存在だと改めて実感した」と子どもたちと触れ合った感想をのべながら、「教育者として韓国の子どもたちに、日本で差別とたたかいながら暮らす同じ民族の在日朝鮮人という同胞がいるということを教えていきたい」と思いを話しました。

 私は東京第1初中、文科省要請、「金曜行動」、集会とサウンドデモのみの同行となりましたが、朝鮮学校を訪問し、子どもたちと触れ合いながら未来への明るい希望を実感する訪問団のメンバーの表情や言葉に勇気をもらいました。出会いに恵まれ、充実感に満ちた取材期間でした。(全)
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野球観戦に行ってきた

2019-06-03 10:00:00 | (全)のブログ


5月下旬、友人と野球観戦に行ってきた。
野球が好きな私は、大学生の頃から年に1~2回は球場に足を運んで贔屓のチームを応援している。



贔屓のチームは名古屋がホーム。
関東での試合はいつもビジター(サッカーでいうアウェーのこと)だ。

この日は、明治神宮球場に足を運んだ。私は過去2回、同球場で試合観戦をしているが、勝ったことがない。
また、贔屓のチームも同球場での試合を「鬼門」と呼ぶほど相性が悪い。
そして、私個人の現地観戦の戦績も7連敗中。連敗を阻止しようと試合前に念願のユニフォームも購入。気合を入れて応援した。

試合は夕方にプレイボール。日中の暑さはほとんど和らぎ、球場には心地良い風が吹いていた。



試合の序盤は一進一退の攻防で、ホームランも数発飛び出る最高の試合展開。友人は対戦チームを応援しているため、互いに一喜一憂しながら観戦した。

次第に贔屓チームが点数を重ね、相手を突き放す展開に応援席は終始興奮状態。
私も興奮して大声で応援歌を歌っていた。

試合は、贔屓チームが大差で勝利。
私の観戦連敗記録も「7」でストップし、最高の1日となった。(全)
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十条駅前で、朝鮮学校の子どもたちを狙ったヘイトデモ

2019-05-20 10:00:00 | (全)のブログ


 5月15日、東京朝鮮第3初級学校、東京朝鮮中高級学校の児童・生徒たちが通学時に利用する最寄り駅のJR十条駅前で、「朝鮮総連をさら地にする会」がヘイトデモを行った。ヘイトデモを行った時刻は16時30分。朝鮮学校の児童・生徒たちの下校時間を狙ったきわめて悪質なものだ。この日、東京第3初級の児童たちは集団下校を行い、迂回ルート・別の改札口を利用した。




 ヘイトデモを行ったのは、「さら地にする会」の佐藤悟志氏と南朝鮮出身だと名乗る女性の2人のみ。



 一方で、SNSを通じて十条駅前でのヘイトデモの情報を知ったカウンターの人びと約20人が集まり、「함께 살아있다(一緒に生きている)」「친구(友達)」「子どもに対する嫌がらせをやめろ」と書かれたプラカードを掲げ、デモの中止を訴えた。



「北朝鮮、総聯、朝鮮学校の批判をするのは基本的な権利だ。北朝鮮の悪口を言って何が悪い。朝鮮学校の批判をして何が悪い。日本は自由の国、民主主義であり、言論、表現の自由が保障されている」

「朝鮮学校では、この表現の自由をヘイトスピーチだと教育している。朝鮮学校の教師たちは子どもたちにこのスピーチを見せればいいのに見せない。朝鮮学校の子どもたちの洗脳が解けてしまうことを恐れているからだ」

 聞くに堪えない主張を拡声器を使いわめき散らすデモ隊。周囲では、カウンターの人びとがマイクの音を掻き消そうと、「迷惑だ」「子どもたち、マイノリティーをいじめて楽しいか」「妄想はやめろ」と叫ぶ。




 カウンターがデモ隊に抗議しようと近づくが、警察官が2人を囲んでいるため、近づけない。半ば強引に近づいて抗議しようとしたカウンターに、警官が「公務執行妨害で逮捕するぞ!」と脅迫めいた声で威圧する。顔色何一つ変えず、2人を「守る」ことだけに職務を果たす警官の対応に、取材中、憤りを抑えられなかった。





 駅前にはデモの反対側の通路でマイクを持ち、ヘイトスピーチに対抗するカウンターの声も響いた。
 「十条駅前で外国籍の子どもたちを狙ったヘイトスピーチがあると聞き、私たちは集まった。日本で、東京で、私たちはヘイトスピーチを決して許さない。来年には東京五輪が開かれるのに、このような現状を野放しにして、海外からの友人を招くことができるのか。『この街に、国にヘイトは要らない』という声をあげましょう」

 カウンターのY・Mさん(45、都内在住)は、ヘイトデモの情報を入手すると、職場の時間が許す限り、カウンターとして参加しデモの反対を訴えているという。Y・Mさんは、「職場の近くでもヘイトデモが頻繁に起きていて、何が起こっているのか、自分の目で確かめてみようとカウンターに参加したのがきっかけです。私は、ヘイトスピーチはもちろん許せないが、これを放置して、反応しない警察に問題意識を持っている。街中で偏見、差別がばら撒かれているのになぜ止めないのか。ヘイトスピーチを常習化させてはいけない」と話した。

 同じくカウンターの松本浩美さん(54)は、「カウンターの人たちの間でも連帯感は広がっている。在日コリアンの友だちを傷つけるような発言を繰り返すヘイトスピーチは決して許せない。良心に従ってカウンターに参加している人たちもいるんだということを知ってほしい」と話した。

 十条駅で行われたヘイトデモ。十条駅は、朝鮮学校の児童・生徒たちだけでなく、近隣の日本学校の生徒や学生たちも利用している。学校や会社帰りの時間帯を狙い偏見、差別に満ちた言葉を拡声器でわめき散らす。現場は、デモ隊の2人、警官、カウンター、通行人で終始騒然としていた。

 十条駅前でのデモは「子どもたちへの嫌がらせだ」と公然と主張する佐藤氏。朝鮮学校の子どもたちが、今の日本社会の現状に何を思うのだろうかと考えられずにいられなかった。

 ヘイトスピーチは子どもたちのアイデンティティーを否定し、子どもたちの心に深い傷を負わせることになりうるものだと現場を取材しながら実感した。

 子どもたちの未来を守るため、自分自身、この問題についてもっと勉強しなくてはならないと感じた。(全)
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朝鮮学校の日常に寄り添い、「サランの会」の発展を

2019-05-14 10:00:00 | (全)のブログ


 東京朝鮮第9初級学校(東京・杉並区)を支援する「阿佐ヶ谷朝鮮学校サランの会」(以下、「サランの会」)の第9回総会が5月11日に同校で行われ、会員、保護者、地域同胞、日本市民ら約70人が参加しました。
 
 2011年4月に結成された「サランの会」はこれまで、「1日給食」(各学期1回)、特別授業などを行っているほか、運動会、キャンプ、スキーなどの様々な学校行事に参加・協力しています。

 また、同校の多目的ホールには同校の沿革をまとめたパネルが飾られていますが、これも「サランの会」が取り組んだ活動の一つです。パネルには、学校にゆかりのある1世ら同胞関係者にインタビューした証言を草創期の写真とともに整理されています。


 総会で長谷川和男代表は、「サランの会の活動も9年目を迎え、会員たちは朝鮮学校の子どもたちと接することを無上の喜びとしています。活動を続けることで朝鮮学校が本当に好きになってくる」としながら、「『サランの会』は子どもたちの未来のためにこれからも前進していきます」と話していました。



 総会では、2019年度の活動方針として、①杉並区に対して同校への補助金の引き上げ、学校の施設・設備の充実にむけた予算の要望をすること、②引き続き学校行事に積極的に参加すること、③朝鮮学校と朝鮮文化を広く知ってもらう活動に取り組むことなどが採択されました。

 会の最後に発言した同校の鄭仁秀校長は、「『サランの会』にはイベントのみではなく、朝鮮学校の日常に寄り添い、学校発展のために尽くしていただいています。保護者、地域の同胞はもちろん、子どもたちは『サランの会』の皆さんが学校に訪ねてくるのをいつも楽しみにしています。これからも共に力を合わせて子どもたちが住みやすい社会、地域を作り上げていきましょう」と呼びかけました。



 総会に続いて、故チョ・ウンリョン監督の追悼映画「ハナのために」が上映されました。映画は、南出身のチョ監督が2000年12月から3年の間、日本各地の朝鮮学校の日常を撮り続け、残した映像をキム・ミョンジュン監督が完成させたものです。
 上映中、スクリーンに映った朝鮮学校の子どもたちの姿に、場内は笑いと涙に包まれました。


 上映後、チョ・ウンリョン監督が日本で朝鮮学校を撮影することに協力された韓富澤さん(当時は大阪朝鮮第4初級学校・校長、2003年逝去)の妻・尹美生さんのお話「縁の人 夫・韓富澤を語る」が行われました。


 尹さんは、韓富澤校長が「チョ・ウンリョン監督は祖国統一の架け橋になるだろう」という思いから映画の撮影に協力したこと、チョさんの映画が朝鮮学校を描いた映画の出発点となり、その後、「ウリハッキョ」(キム・ミョンジュン監督)、「60万回のトライ」(朴思柔、朴敦史監督)の制作が続いたこと、自身もこの3つの映画に関わることができたことを誇りに思うと話しました。

 『サランの会』に結成当初から関わる杉並区議会議員のけしば誠一さんは、「映画やお話を通じて、これからの地域社会の交流について多くのことを学ぶことができた。国同士が厳しい状況にあるからこそ、『サランの会』のような、地域交流が国際関係を変えていく原動力になるだろうと改めて思った」と感想をのべていました。 (全)
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愛知無償化裁判控訴審が結審、法廷で怒りの声飛び交う

2019-04-27 10:00:00 | (全)のブログ
 

 高校無償化制度から不当に排除されたことにより、生徒たちの学習権、平等権、人格権が侵害されたとして、愛知朝鮮中高級学校の高級部生徒・卒業生らが2013年1月24日に起こした国家賠償請求裁判(愛知無償化裁判)。2018年4月27日に名古屋地方裁判所で原告全面敗訴の判決が下された同裁判の控訴審第3回口頭弁論が4月26日、名古屋高等裁判所1号法廷で行われた。
 裁判所には愛知朝鮮中高級学校の高級部生徒、同胞、支援者ら225人が89の傍聴席を求めて列をなした。
 この日、法廷では控訴人(朝鮮高校卒業生)側が提出した第6、7準備書面(4月5日提出)の要旨陳述を、控訴人側代理人である裵明玉弁護士、中谷雄二弁護士が行った。
 第6準備書面の要旨陳述を行った裵明玉弁護士は、国側が朝鮮高級学校の指定の審査においてその教育内容を審査の基準とできると主張していることについて、「規定ハの学校(朝鮮学校)の教育内容が審査の基準となるかについては、検討会議、審査会とも明確に否定している」と指摘した。
 第7準備書面の要旨陳述を行った中谷雄二弁護士は、「朝鮮高校を規程13条に適合しないとして就学支援金の支給対象から排除した判断は、政府の介入が許される範囲を超えた教育内容の審査そのものであり、憲法違反である」「許されない基準に基づいて朝鮮高校を排除した本件不支給決定は教育基本法16条1項の『不当な支配』条項を濫用した政府の教育内容への介入であって、それ自体が『不当な支配』に該当する」などとのべた。
 控訴人側は、控訴審において前川喜平氏(元文部科学事務次官)、成嶋隆氏(憲法・教育法研究者)、原告の愛知朝高卒業生をはじめとする5人の証人尋問の申請を行っていたが、要旨陳述後、裁判官は「裁判所として申請を検討した結果、いずれも必要性なしと判断した。立証については、すでに意見書、陳述書が証拠として採用されているので取調べの必要性が認められない」とし、弁論終結を宣言、判決期日を取り決めようとした。これに対して弁護団から異議が唱えられ、法廷内には「ふざけるな」「恥ずかしくないのか」といった怒りの声が飛び交った。
 以下に弁護団の異議の一部を紹介する。

 中谷雄二弁護士:提出した陳述書の書面だけでは分からない部分がある。裁判官には、実際に証人を調べて本人の気持ちを聞き、朝鮮学校がどういうものであるのかわかってもらいたい。これで審議が尽くされたのか言えるのか、裁判官の態度に憤りを感じる。

 吉田悟弁護士:日本各地5ヵ所の地裁で朝鮮学校の教育内容が無償化適用の判断要素となるとしたのは愛知無償化裁判の原判決(名古屋地裁判決)だけだ。審査基準を含めて立法者である文科大臣が教育内容については審査に入らないと明確に発言しているにも関わらず、原判決は教育内容が無償化適用の判断要素になると判断した。前川喜平氏の証人尋問なくして、これについて判断することはできない。

 裵明玉弁護士:本件不指定処分の決裁に前川氏は参加しており、本件不指定処分が政治外交上の理由でなされたのか、そうでないのかというのは、地裁段階からこの裁判の主要な論点の一つ。これについて前川氏は事実を知っている。

 内河惠一弁護団長:裁判所はしっかりと事実を探求、確認すべきであり、公正な判断を下すにはもう少し慎重に審理すべきだ。証人尋問の申請をすべて却下し、このまま判決となるなら、まさに裁判所が予断と偏見を持って判断したと言わざるをえない。人権擁護の最後の砦として裁判所が位置づけられている以上、このような対応を遺憾に思う。


 裁判官は、控訴人側弁護団が、本件規定改正(規定ハの削除)と本件不指定処分の成立の前後関係からすれば国側の主張する本件不指定処分の理由は本件不指定処分の理由となり得ないことを主張した準備書面8(4月25日提出)と本多滝夫教授(行政法学者)の行政処分に関する意見書(6月末提出予定)を見たうえで判決期日を決めるとして法廷を後にした。

 

 閉廷後、アイリス愛知で報告集会が開かれた。
 内河弁護団長は、「地裁では、前川喜平さんの反対尋問を経ていないので前川さんの陳述書は信用できないという結論が出された。だからこそ、控訴審で前川さんの証人尋問を行うべきだが、裁判官はこれを却下した。また裁判官には、地裁で十分に審議されているので控訴審は簡略化しようという考えがあった」とし、予断と偏見に基づいた裁判官の姿勢を批判した。

 

 続いて中谷弁護士が、「国が教育内容の善し悪しを選別することは日本国憲法下の教育法で許されないとされているにも関わらず、これについてまったく考えていないのが原判決の問題点だ」としながら、「今日結審したということは、われわれの声に耳を貸すつもりはないということに等しい。裁判官のこんな態度を決して許すことはできず、憤りを感じる」とのべた。

 
 裵弁護士も、「裁判所には、学者の意見を参考にしなければならない論点を十分に審議せず、また当然聞くべきと思われる最良の証人の尋問をあえてしないまま判決を下したいという姿勢が見受けられた。私たちは異議を申し立てたが、結審の判断は変わらなかった」と悔しさをあらわにした。弁護団としては弁論の再開を求めていく予定だという。

 

 その後、愛知朝高高級部3年生による合唱が披露された。同校の女子生徒は、「私は今日の裁判を傍聴しながら、日本政府や裁判官が私たちの声に耳を傾けてくれず、私たちの声が届いていないという悔しさと憤りを感じた。しかし、私たちは必ずや無償化の権利を手に入れるべきであり、また手に入れることができると確信した。当事者である私たちが4・24教育闘争で果敢に戦った先代たちの精神を受け継いでいく。ここにいる全員が一つになり、民族教育とウリハッキョ、同胞社会を守っていくため最後までたたかっていこう」と呼びかけた。

 今後、裁判でさらなる動きがあり次第、本ブログで逐一報告していく。(全)

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あきらめないことが、時代を切り拓く―広島無償化裁判控訴審第5回口頭弁論

2019-04-24 10:00:00 | (全)のブログ
 

 朝鮮学校を高校無償化の適用対象外としたのは違法だとして、広島朝鮮学園と広島朝鮮初中高級学校高級部の卒業生らが国に対して処分取り消しなどを求めた、裁判の控訴審第5回口頭弁論が4月23日、広島高等裁判所の304号法廷で行われた。
 この日、法廷では控訴人側(朝鮮学園、卒業生)が提出した第8準備書面(3月1日提出)、原告の陳述書(4月8日提出)を踏まえ、控訴人側代理人である足立修一弁護団長と平田かおり弁護士が、準備書面の要点について陳述を行った。
 第8準備書面には、三輪定宣・千葉大学名誉教授による意見書、18年6月21日の九州無償化裁判第19回口頭弁論で実施された三輪名誉教授の証人尋問調書、田村和之・広島大学名誉教授(行政法学者)による意見書その2が含まれている。
 三輪名誉教授の意見書では、教育財政学の立場から、人類史における無償教育の意義を強調しながら、高校就学支援金は、日本の学校と同様に差別無く朝鮮学校の生徒に支給されるべきだと主張している。
 田村名誉教授の意見書では、生徒たちの権利侵害の観点から本件不指定処分の違法性について、「これまで、同学園に対し、法令違反の学校運営を理由とする監督官庁による監督権限の行使は、行われたことがない。他方、同学園が設置運営する本校が、教育上多大の成果をあげていることは、広く知られている。そのような学園に対し、不指定処分を行い、控訴人生徒らに経済的負担を課しても致し方ないというだけの事情があるとは考えられない。かりに本件学校の運営に法令違反があるとすれば、学校教育法や私立学校法などの定める是正方法により、それを正すのが筋である。そうせずに、生徒らに大きな不利益を課する本件不指定処分を不意打ち的に行うのは、生徒らの教育機会均等に寄与するという無償化法の目的からみて、到底正当化できない」と主張している。
 裁判官は、控訴人側に朝鮮学園と朝鮮総聯の関わりについて、▼本件不指定処分時(2013年)に、学園の理事で総聯の役員を務めた人はどれくらいいるのか、▼2期6年を超えて務める理事は存在するのか、▼理事を退任し、その後、朝鮮総聯の職員、役員になるのか、などの人事上の問題について7月中旬までに陳述するよう求めた。



 閉廷後、広島弁護士会館で報告集会が開かれ、広島朝高の高級部の生徒、保護者、支援者ら約120人が参加した。集会では、弁護団から第5期日についての報告がなされ、各地から駆けつけた支援者たちが発言した。

 

 平田かおり弁護士は、今回の弁論で裁判官が原告側に課した宿題について、「裁判所が自分たちの判断として、不当な支配の事実認定をしていこう肯定的な側面が見られる。原審の裁判官の姿勢とはまったく異なるという意味では評価できる」とのべる一方、「民族学校設立の歴史的背景、民族団体と学校の関係というものを理解してくれていないのではないかという不安がある。この不安の方が大きい。形式的な人事の点で『支配が及んでいる』という判断をしかねない。裁判所の求めには、民族教育がどのように支えられてきたのかという部分を主張していかなければならないと感じた」と話した。

 

 徳島から駆けつけた冨田真由美さんは、「傍聴しながら裁判の苦しさ、乗り越えなければならない山が私たちの目の前に立ちはだかっていると改めて感じた。教育が政治に屈してはならない。諦めたらいけません。諦めないことが時代を切り拓く大きな力になる」と呼びかけた。

 

 またこの日、日本軍性奴隷被害者の李容洙さんが韓国から激励に駆けつけた。李さんは自身の過酷な体験を語りながら、「私は、安倍政権に真相究明と公式謝罪を求めて、今もたたかっています。朝鮮学校の生徒たちも日本政府の差別に負けてはいけない」と激励した。

 

 

 高級部生徒らによる合唱が披露された後、広島初中高の金英雄校長が発言した。
 金校長は「裁判官には豊富な資料に基づいて、時間をかけて尋問を行いたいという姿勢が見受けられた。私も民族教育の姿を裁判官にしっかり示していきたい」とのべた。
 次回、控訴審第6回口頭弁論は7月23日の14時から広島高裁で行われる。証人尋問は第7回以降に行われる。
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足のもつれというショック

2019-04-19 09:58:14 | (全)のブログ

先週の日曜日、地域青商会の招待で花見に参加してきた(花見といっても桜はほとんど散っていたが・・・)。
大人、子どもたちを含めて70人近くの同胞たちが集まり、都内の公園で楽しいひとときを過ごした。

お昼からスタートした花見。もちろん、お酒はたっぷり準備されていた。
私は知人が頻繁に話していた「昼酒は最高だよ」という言葉が頭に浮かび、お酒は得意ではないが、少しワクワクしていた。

ビールで乾杯。
乾杯で流し込んだ一口がたまらなくおいしかった。

知人の言葉に共感していると、馴れない時間に飲んだせいか頭痛がしてきた。
そこで、子どもたちからまさかの一言。

「サッカーしようよ!」

子どもたちに手を引っ張られ、ボール遊びができるグランドへ。
頭痛も治まってきたので、子どもたちに経験者としての技術を見せてやろうと張り切ってサッカーをしていた。
プレーの最中、自身にとって衝撃の出来事が起きた。

人生で初めて足がもつれたのだ。
アルコールのせいといくらでも言い訳はできるのだが、この時の足のもつれは、完全に運動不足によるもの。

昼酒、運動、足のもつれに対するショックなどの要素が重なると、またもや頭痛が。
適度な運動は大切だと身に染みて感じた1日でした。

この日をきっかけに、ジムに通おうかとずっと悩んでいる。
もちろん、年換算にすると馬鹿にならないコストがかかるのだが、そこまでして自分を追い込まないと運動は続かないと気づいた。

夏も近づいてくるので、肉体改造も兼ねてジムに通おうかと悩む今日この頃。
読者の皆様、アドバイスお願いします。 (全)
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自己改革に励みます

2019-04-09 10:06:37 | (全)のブログ

昨日のブログで(麗)さんが、一人暮らし歴11年について綴っているが、私も生活について思うことを書いてみる。

私は、ちょうど一人暮らし歴2年目に突入した。実は、なんでも形から入る私は、憧れの一人暮らしということもあり、調理器具や調味料、清掃グッズなど揃えることができるのは片っ端から揃えていった。

当初は、自炊をめざし、気合を入れて料理作っていたが、結局、一人暮らし経験者にありがちな「なんだ、食べるのは自分だけだし、気合の入ったものなんか作らなくても良いか」という状態に陥ってしまった。
栄養バランスの偏った食事に「これはやばい」と感じつつも、形から揃えた器具や調味料は棚に眠ったまま。使うのは、ケトルに電子レンジ、炊飯器ばかりだ。

また、1年間、一人暮らしとイオ編集部での作業を経験して気づいたことが一つある。
それは、締め切り間近は必ず、部屋が汚くなるということ。「部屋の乱れは心の乱れ」とは、よく言ったのものだ。そして、締め切りが終わると必ず、部屋の掃除と少し気合の入った自炊をする。もうルーティーンになってしまっている。

自身の仕事の進め方や精神状態に原因があるのだが、このブログを機に決意を新たにします。

1年目で培ったものを活かしつつ、初心に戻って頑張ります。
そんな締め切りを明日に控えた私の部屋は、言うまでも無い状態・・・。

イオ2019年1月号の編集後記に2019年は何事にも挑戦していきたいとのべたので、この締め切りを機に「自己改革」に励みます! (全)
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もう一つの「金曜行動」、霞ヶ関、丸の内で叫ぶ

2019-04-01 10:34:10 | (全)のブログ


 毎週金曜日、朝鮮学校の高校無償化制度適用を求める文部科学省前での「金曜行動」は、朝鮮学校関係者、支援者、同胞らなら誰もが知っているだろう。

 しかし、ここ東京ではもう一つの「金曜行動」が行われていることをご存知だろうか。
 
 「和解にあたって何が必要なのか。加害の事実は今や明らかになっている。日本政府、三菱重工は過去の過ちを繰り返さぬよう、被害者に向き合い、謝罪して賠償せよ」

 毎週金曜日、朝から昼にかけて東京の外務省庁舎、三菱重工業本社前ではシュプレヒコールが響き渡る。「名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会」(以下、名古屋訴訟支援会)のメンバーたちの叫びだ。



 「金曜行動」を行っている名古屋訴訟支援会は1998年に結成され、日本の植民地支配時に三菱重工業名古屋航空機製作所で強制労働を強いられた元女性勤労挺身隊の被害者を支援してきた。会が金曜行動を始めたのは2007年7月。被害者のハルモニたちが1999年3月1日に国(日本)と三菱重工に提訴した損害賠償訴訟が、2005年(1審)、07年(2審)に相次いで敗訴すると、直接行動に立ち上がった。(日本での裁判は08年に上告を棄却する最高裁決定が下され敗訴が確定した)

 その後、原告らは12年に韓国で三菱重工を相手に提訴し、13年(1審)、15年(2審)で勝訴。18年11月29日に大法院で賠償命令を確定する判決を勝ち取った。
 朝鮮人被害者らが起こした訴訟をめぐっては、昨年、南の大法院は三菱重工のほかに、新日鉄住金にも賠償命令を下している。

 463回目を迎えた3月22日の「金曜行動」には、名古屋訴訟支援会の会員を含めた約10人が参加した。
 朝の8時半から東京・霞ヶ関の外務省庁舎前でシュプレヒコールを叫び、ビラ配りを行う。愛知県在住の名古屋訴訟支援会の平山良平さん(71)は、月に1回は必ずこの金曜行動に参加しているという。33年間、愛知の中学校で教員を勤めた平山さんは、「日本の植民地支配責任、過去清算に人生をかけている。これは日本人自身の問題だからです。加害の歴史は明らかな事実だ。あったことを無かったことにして問題から逃げることは決して許せない。日本の恥だ」と話す。





 その後、支援者たちは霞ヶ関から三菱重工の本社が位置する丸の内の二重橋ビルへ移動し、本社前でシュプレヒコールを叫ぶ。なかには、ビラを受け取り、支援者たちの声に耳を傾ける観光客の姿も見受けられた。



 名古屋訴訟支援会の寺尾光身共同代表は「加害の歴史に対する口先だけではなく誠意を込めた謝罪が今の日本には求められている。今の日本は正しい歴史を直視せず、過去の問題を蒸し返す韓国はけしからんといった論調で『嫌韓』を煽っている。こういった日本の状況を打破したい。無知な状態を放置しておくわけにはいかない」と思いを話す。

 イオ5月号では特別企画として「徹底解説・徴用工問題」(仮)を予定している。「徴用工」問題をひもとくQ&A、日本人支援者の声、弁護士へのインタビューなどを紹介します。この「金曜行動」についても詳細に紹介する予定です。 (全)
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J2・鹿児島ユナイテッドの韓勇太選手に注目!

2019-03-22 10:00:00 | (全)のブログ

昨日、日米野球界のスーパースター・イチロー選手が引退を表明しました。
私は日本野球時代のイチロー選手については詳しくは知りませんが、メジャーリーグで活躍する姿は、少年時代にテレビを通してよく目にしていたので、印象に残っています。

イチロー選手は、私と同じ愛知県出身。野球界のスーパースターが引退するとなると少し寂しいです。
さて、いよいよ来週、待ち望んだプロ野球の開幕です。
私が応援するチームは長らく優勝から遠のいているので、今シーズンこそは優勝してほしいと願うばかりです。

プロ野球より一足先にサッカー・Jリーグは2月に開幕を迎えました。
Jリーグで気になるのは何よりも、在日選手たちの活躍。
JFL、Jリーグのチームには多くの在日選手たちが所属していますが、今、注目の選手はなんといってもFWの韓勇太選手(東京朝高、朝大卒)ではないでしょうか。

今年の春に朝大を卒業した韓選手は、朝鮮代表として昨年に行われたアジア大会にも出場し、得点を決めています。

J1の松本山雅FCに入団し、現在はレンタル移籍としてJ2の鹿児島ユナイテッドでプレーをしています。
また鹿児島ユナイテッドといえば、昨年J3で首位を独走し、FC琉球をリーグ優勝・J2昇格に導いた金鍾成監督が今期から指揮を執っています。

さて、注目の韓選手ですが、J2開幕戦(2月24日)で魅せてくれました。
徳島ヴォルティスとの開幕戦でスタメン出場した韓選手は、0-0で迎えた後半6分、プロデビュー戦で開幕ゴールを決めました。また、この日の試合は4-3で鹿児島が勝利し、金監督もJ2初勝利を挙げることができました。

続く、京都サンガと対戦した第2節。
ここでも韓選手は2試合連続ゴールとなる同点弾を決めました。試合は惜しくも1-2と負けてしまいましたが、スーパースターの片鱗を覗かせる活躍をみせました。


現在J2は第4節まで終了しました。
韓選手は2節以降、得点はありませんが、全試合スタメン出場を果たし体を張ったプレーでチームを鼓舞しています。
まだまだ、シーズンは始まったばかり。
韓選手の今後の活躍に乞うご期待です。(全)
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趣味は詩を詠むこと―飛込み朝鮮選手たちを取材して

2019-03-13 10:08:47 | (全)のブログ

 3月1~3日にかけて行われた「FINA(国際水泳連盟)ダイビングワールドシリーズ2019・相模原大会」に参加するため、訪日した朝鮮飛込み選手団。3競技に出場し、1つの銀メダルを獲得しました。
 前回のブログでは、おもに競技結果についてお知らせしましたが、今日のブログでは大会期間に選手たちから聞いた話を紹介したいと思います。


(写真左からキム・クァンフィ、キム・ミレ、キム・アリム選手、大会期間朝鮮選手団に帯同した神奈川の朝青専従活動家)

 まず、朝鮮選手団最年少のキム・アリム選手(15)。今大会では女子シンクロ10m、混合シンクロ10mに出場しました。
 アリム選手が水泳・飛込みを始めたのは9歳の頃。友達と水泳場で遊んでいると、その場にいた飛込み経験者の目に留まりスカウトされたといいます。競技経験わずか6年で世界大会に出場するレベルまで成長したアリム選手の潜在能力の高さと、それを見抜いたスカウトの慧眼には驚きです。
 アリム選手の趣味は詩を詠むこと。また、休日には友達とお出かけしたり、遊戯場で遊んだりしているといいます。

 続いて、朝鮮の功勲体育人であるキム・ミレ選手(17歳)。今大会では、アリム選手と女子シンクロに出場し銀メダル、個人10mにも出場しました。ミレ選手は昨年のダイビングワールドシリーズ・富士大会に続き、2度目の訪日です。
 ミレ選手を取材して印象に残った言葉があります。
 「共和国旗を振りながら応援する姿に力を得たし、涙も出てきた。私の勇気が足らず、期待に応えることができなかった」
 日本での競技は2度目ということもあり、プレッシャーや責任感は他の選手たち以上だったのかもしれません。
 大会期間、ミレ選手の力の源となったのが開催地である神奈川県の女性同盟中北支部のオモニたちが差し入れたキムチだったといいます。ミレ選手が平壌で一番すきな料理は「平壌冷麺」だといいます。

 最後に、ヒョン・イルミョン選手(24)。混合シンクロに出場したイルミョン選手も、昨年の富士大会に続き2度目の訪日です。
 大会最終日、ハードな体幹、飛込みトレーニングを終えた選手たち。宿舎に戻るとイルミョン選手は疲れ果てて部屋で休んでいたため、女子選手たちにイルミョン選手について聞いてみました。



 一言で「トンセンたち(キム・ミレ、キム・クァンフィ、キム・アリム選手)をこよなく愛している」といいます。
 大会期間も、食事をはじめ何かと気にかけてくれたとか。兄のいないミレ、クァンヒ選手にとっては実の兄のようだ話していました。

 競技では真剣な表情でたたかう選手たちでしたが、歓送会や同胞たちの交流、宿舎では違った一面をみせてくれました。

(全)
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ダイビングワールドシリーズ相模原大会、朝鮮選手が銀メダル

2019-03-05 10:18:43 | (全)のブログ


 「FINA(国際水泳連盟)ダイビングワールドシリーズ2019・相模原大会」(3月1~3日)がさがみはらグリーンプールで行われました。同大会に、朝鮮民主主義人民共和国からキム・ミレ、キム・アリム、キム・クァンヒ、ヒョン・イルミョン選手ら4人が出場しました。
 ワールドシリーズは世界ランキング上位選手を対象に毎年行われており、今大会につづいて、中国・北京(3月7~9日)、カナダ・モントリオール(4月26~28日)、ロシア・カザン(5月10~12日)、イギリス・ロンドン(5月17~19日)で大会が行われます。
 朝鮮は国際大会の経験を積むため、昨年初めてワールドシリーズのすべての大会に出場。銀メダル7個、銅メダル1個を獲得しました。朝鮮の飛び込み界といえば、15年に行われた世界水泳選手権で朝鮮選手初となる金メダルをを獲得したキム・グクヒャン選手が記憶に新しいと思います。

 2月27日に羽田空港に到着した選手団。28日は、大会を翌日に控えて試合会場で公式練習にのぞみました。

 3月1日に行われた女子シンクロ10mにキム・ミレ、キム・アリム選手ペアが出場しました。
 キム・ミレ選手(17)は、これまでグクヒャン選手とペアを組み、数々の国際大会に出場(16年リオ五輪4位、17年世界水泳選手権銅メダル)。昨年のワールドシリーズ・富士大会(18年3月)では銀メダルを獲得した、実績のある選手です。

 キム・ミレ選手とペアを組む、朝鮮選手団最年少のキム・アリム選手(15)は、18年11月にシンガポールで行われたFINAダイビンググランプリに出場。女子シンクロ10m、ミックスシンクロ10mともに金メダルに輝いています。

 この日、朝鮮ペアを応援しようと神奈川、西東京の地域同胞、朝鮮学校の児童・生徒ら約100人が会場に駆けつけました。


 競技で朝鮮ペアは応援団の声援を後押しに、堂々たる演技を披露。5回の演技をミスなくこなし、合計319.50点を記録した朝鮮ペアは、1位の中国(340.44点)に次ぐ2位の成績で銀メダルに輝きました。


 キム・ミレ選手は、「飛び込む前、緊張したアリムの心臓音が聞こえてきた。自分の飛び込みに集中しなければならないのに。でも、アリム選手と心を一つにしシンクロでメダルを取れたことは嬉しい」と振り返りました。

 翌2日に行われた女子個人10mには、シンクロで銀メダルを獲得したキム・ミレ選手、ワールドシリーズ初出場となるキム・クァンヒ選手が出場しました。

 キム・チュンオク団長(朝鮮水泳連盟飛び込み技術委員会委員長)によると、キム・クァンヒ選手(16)は、18年6月に中国で行われたダイビング・ワールドカップでシンクロ10m銀メダル、個人10m4位を獲得した実力が買われ、国際水泳連盟から直接招請を受けたといいます。

キム・クァンヒ選手は準決勝敗退となってしまいましたが、キム・ミレ選手は終始安定した演技を披露し、1位の成績で準決勝を突破、決勝へと駒を進めました。

 6人の選手たちで争われた決勝戦で、キム・ミレ選手は1、2本目ともに難なく成功し、3位と好スタートを切りますが、3本目の演技でミスしてしまい成績を落とします。しかし、キム選手はミスにも動揺することなく4本目では渾身の演技を披露し、高得点を叩き出して挽回。メダル獲得へわずかな希望を残したキム選手でしたが、逆転できず、合計345.20点で4位の成績となりました。

 続いて行われたミックスシンクロ10mには、ヒョン・イルミョン、キム・アリム選手ペアが出場しました。
 選手団最年長のヒョン・イルミョン選手は、国際大会の経験が豊富で実績、実力ともに文句なしの選手です。
 朝鮮ペアは1本目で3位につけ、上々の立ち上がりをみせますが、2本目でキム・アリム選手の演技にミスが生まれ、7位に転落。3、4、5、本目と追い上げますが、最終スコアは3位と2.04差の合計323.46点(4位)で惜しくもメダルには届きませんでした。




 大会期間、朝鮮選手たちを応援しようと神奈川、西東京の地域同胞、朝鮮学校の児童・生徒らが会場に駆けつけ声援を送りました。2日間、会場に訪れ競技を観戦した呉洋子さん(78)は、「日本で競技をするのは不安やプレッシャーがあるはず。応援で不安を跳ね除け、気持ちを和ませてあげたいと思った。女子シンクロで2位が確定した瞬間、喜びをあらわにして抱き合う選手たちを見て胸がいっぱいになった。感激の一言」と感想を話してくれました。
 大会期間、オモニたちが手作りキムチの差し入れたり児童・生徒たちは寄せ書きプレゼントしたり、歓送会で選手たちをねぎらうなど同胞たちは朝鮮選手団をあたたく歓迎しました。歓送会のようす、選手たちの素顔などは次回のブログで改めて書きたいと思います。


 朝鮮選手団は4日の午後に羽田空港を出発し、ワールドシリーズ第2戦(3月7~9日)が行われる中国・北京へ向かいました。
 今年7月には東京五輪の出場資格をかけた「FINA世界水泳選手権大会」が韓国の光州で行われます。(全)


(写真左からキム・チュンオク団長、キム・アリム、キム・クァンヒ、キム・ミレ、ヒョン・イルミョン選手、チェ・ソンヒ監督/写真はすべて朝鮮新報=盧琴順)
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黙認は差別につながる― 埼玉朝鮮学校への補助金支給を求め、浦和で「2.22集会」

2019-02-25 10:22:47 | (全)のブログ

 「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」は、文部科学省が就学支援金の対象から朝鮮学校を外すことを目的として無償化法の省令改悪を行った(13年2月20日)2月を「全国行動月間」と定め、毎年日本各地に連帯行動を求めています。
 
 この連帯行動の一環として、埼玉でも2月22日に、浦和コミュニティーセンター第15集会室で、「埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める2.22集会」が行われました。

 2011年3月、埼玉県は2010年度の埼玉朝鮮初中級学校への補助金支給の停止を決めました。補助金不支給は現在も続いており、埼玉県では、「外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉」「誰もが共に生きる埼玉県を目指し、埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める有志の会」など日本市民による支援団体、同校保護者や同胞たちが補助金支給を求める要請活動を行っています。

 集会では、まず、主催者を代表して斎藤紀代美さん(外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉)があいさつしました。斎藤さんは朝鮮学校が設立された歴史、埼玉朝鮮学校の補助金不支給をめぐる経緯について話しながら、「黙認は、差別につながります。朝鮮学校の歴史を知り、理解を深めることで知事に声を届けましょう」と支援を呼びかけました。


 続いて、東京大学大学院の高橋哲哉教授による講演「民族差別の根源を問う」が行われました。
高橋教授は2012年に発足した安倍政権の長期化は、民主主義と自由、平和、人権保障を求める流れに大きな後退をもたらしたと指摘しました。また、「拉致」「総聯との関係」といった政治的理由での朝鮮学校排除は人権侵害、権利侵害に値するとのべ、「この現状をこれ以上放置することはできない。多くの日本市民が現状について知らず、無関心だ。可能な限り、この状況を日本社会に周知させて変化をもたらさなければならない」と話しました。
 高橋さんは「民族差別の根源は、日本の植民地主義にある。日本は過去の植民地主義を克服できず今日に至る。朝鮮学校に対する日本政府の対応は植民地主義の継続にほかならない」としながら、「日本社会が朝鮮学校を正しく理解し、植民地主義を背景とした朝鮮学校の差別是正を求めて努力しましょう」と呼びかけました。

 集会には、保護者、地域同胞、日本市民など110人を超える人たちが参加しました。高橋教授の講演は分かりやすい内容でした。なによりも、集会では埼玉補助金問題は、日本社会の問題であるととらえ、発言、質疑応答、支援を呼びかける日本市民の姿が印象的でした。

集会に先立って同ネット主催の「埼玉朝鮮学校補助金支給」を求めるアクション・街頭宣伝が埼玉県庁の前で行われました。(全)
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イオ2019年3月号が完成!

2019-02-15 10:00:00 | (全)のブログ


イオ2019年3月号が完成しました!

 特集は「『食』から見えるウリハッキョ」です。
 人間の営みと切っても切り離せない「食」。学校教育の現場でもしかりです。本特集では、「食」を切り口にウリハッキョ(朝鮮学校)を見てみました。
 「全国朝高食堂人気メニュー」や「あなたのお弁当、拝見します」「給食で支える、つながる 地域トンポたちのサポートで」など、各地の学校で運営されている食堂や、保護者・地域の同胞たち・日本人支援者らの手による給食、愛情たっぷりのお弁当を紹介します。
 ほかにも、広島朝鮮初中高級学校と四国朝鮮初中級学校を訪ね、寄宿舎の食事作りなど作り手の姿に迫った「ルポ 中四国地方の『ソウルフード』を訪ねて 広島の寄宿舎、四国の団らん」や名古屋初級の「キムチプロジェクト」、医協西日本による食育の取り組みなど、「おいしい!」「温かい!」があふれる企画です。

 特集以外の記事も豊富な内容となっています。
 1月16日~17日にスイス・ジュネーブで、国連・子どもの権利委員会による子どもの権利条約の実施状況に関する日本報告書審査が行われました。この審査に合わせて、朝鮮学校学生・オモニ代表団がジュネーブを訪れ、朝鮮学校が置かれた差別の現状について委員たちに情報提供を行いました。随行した在日本朝鮮人人権協会の宋恵淑さんが活動の詳細を報告します。

 大阪府青商会が主催した在日コリアンアカペラコンテスト「コリハモ~become one~」のようすや結果は「歌のチカラ、笑顔の輪 大阪『コリハモ~become one~』 1200人で沸く」という記事で紹介しています。

 1月28日に逝去した日本軍性奴隷制被害者であり人権運動家の金福童さん。金さんは朝鮮学校にも足を運び、力強い支援を行ってきました。18年の9月28日には、大阪府の大阪朝鮮高級学校や城北朝鮮初級学校を訪れ、児童生徒と教職員たちにエールを送りました。誌面では、高暢佑・城北初級校長のエッセイ「力と勇気を与えてくれた 金福童ハルモニを想う」ほか、人権活動家として尊敬を集めていた金福童さんを偲ぶ声を集めました。
 
 ほかにも、「李健太、プロデビュー戦で1R TKO勝利」や「夜スク☆Korea講座」「母・金紅珠に会いにいく― 金満里さん、20年ぶりに東京で『ウリ・オモニ』」など、盛りだくさんです。
 
 1月号からスタートした新連載も引き続きご注目、ご愛読ください。月刊イオは以下の定期購読フォームにてどなたでも注文することができます。
 http://www.io-web.net/subscribe/ 
1冊からのご注文も承っています。定期購読ではなく1号のみの注文の場合は、「その他伝達事項」の欄にその旨と希望号数を記入して下さい。(全)
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李健太、プロデビュー戦で1RTKO勝ち

2019-02-06 10:00:00 | (全)のブログ


 大阪朝鮮高級学校時代に高校ボクシング6冠を果たし、公式戦62連勝の日本記録を打ちたてた李健太選手(22、帝拳ジム所属)。
 2月2日に後楽園ホールで行われた李選手のプロデビュー戦を取材してきました。
  
 サウスポーの李選手は、スーパーライト級6回戦でタイのアピシット・ナムコー(タイ・ライト級8位)選手と対戦。アマチュア戦績102勝10敗の戦績を誇る李選手は、昨年9月にB級プロテストを合格したため6回戦スタートとなります(通常は4回戦のC級プロテストを受けます)。

 李選手は立ち上がりから素早い右ジャブを繰り出し、相手との間合いを計ります。李選手といえば、足を使った「アウトボクシング」が特徴。この日も細かいステップやスウェーを駆使し、相手に「触らせないボクシング」を展開しました。



 右ジャブ、右フックを徹底して繰り出し試合のペースを掴むと、李選手は1ラウンド残り15秒で左ストレートを解禁。
 左と右のコンビネーションで前に出ると、残り4秒に放った左ストレートが相手にヒットしダウンを奪います。


 カウントが始まりますが、レフェリーは続行不可能だと判断し、途中でカウントをストップ。李選手は、ほとんどパンチを受けることなく、圧倒的なボクシングでプロデビュー戦を勝利で飾りました。これには李選手も「相手のパンチがかすったぐらいですかね」と試合後に話してくれました。


 
 「1ラウンド目は経験を積むため、右一本で勝負しました。ダウンを奪った左ストレートの感触はばっちりでした」と試合を振り返る李選手。「やっとプロとしてスタートできました」と安堵の表情を浮かべていました。

 李選手が目標とするボクサーは、「神の左」の異名をもつ、同じサウスポーの元WBC世界バンタム級世界王者・山中慎介さん。その山中さんもデビュー戦を見守りました。
 「序盤から丁寧に戦っていた。李選手の階級は世界的にもレベルが高いので、パワー、体ともっとプロ仕様に鍛えていかなければならない。すごく雰囲気のある選手なので楽しみです」と山中さんも李選手の今後に期待を寄せます。

 「将来は日本だけでなく、世界で戦えるボクサーになり誰からも応援される魅力的なボクサーになりたい」と話す李選手。プロボクサーとして最高のスタートを切りました。(全)

 ※写真提供=朝鮮新報:盧琴順
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