日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

小説「前夜」

2015-06-30 09:00:00 | (K)のブログ
 最近、話題になっているのは、作家の百田尚樹氏が自民党勉強会で「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と発言した問題と、フジテレビの番組『池上彰 緊急スペシャル!「反日韓国」特集』の中で字幕と吹き替えを捏造した問題だ。百田尚樹氏は、報道によると28日にも大阪府泉大津市での講演でこの問題に触れ、「その時は冗談口調だったが、今はもう本気でつぶれたらいいと思う」と話したという。完全に開き直っているのだ。
 このような発言をする人間が今も堂々と作家として表舞台に出ていられるということ、発言内容を捻じ曲げて敵対意識を煽るフジテレビがテレビ局として成り立っていること、これはすべて今の日本社会の反映であり、日本社会が許しているのである。いつも書いているが、日本社会がどんどん崩壊へと向かっている一つの現れである。

 東京の新大久保や大阪の鶴橋など(最近では私の実家のある京都の西院でもやっているらしい)で朝鮮人へのヘイトスピーチを撒き散らしている団体は、このような日本社会が生み出した一つの現象、顔から噴出したデキモノのようなものだと思っている。

 今日は、そんな団体のことを題材にした小説を紹介したい。
 題名は「前夜」(コールサック社、1500円)。

 「朝鮮人、ぶっ殺すぞ!」と叫びながら街をねり歩くZTグループ。この小説には3人の主人公が登場する。ZTグループの動きを絶対に止めないといけないと行動する在日朝鮮人のポンチャンとスンジャのカップルと、両親が日本に帰化して「日本人」となったがそのことを知らずに育った在日朝鮮人の共田だ。
 同じ朝鮮人でありながら、敵対せざるをえなくなった二人と共田。植民地支配からの解放後も、日本政府の差別と弾圧の中で生きていかなければならなかった在日朝鮮人は、それゆえに自分の民族的アイデンティティを否定してしまったり、自分の望まない人生を歩まざるをえなかったり、闘いを強いられたり、そして、敵対を強要されたり…。
 小説「前夜」は、ZTグループの犯罪をさらけ出すと同時に、ZTグループにゴーサインを出し朝鮮人を弾圧・差別している日本の権力を、それを許す今の日本社会そのものを告発し問うている。そして、それだけでなく、先に書いたように、3人の姿を通して、朝鮮と日本と在日朝鮮人の100年以上に渡る歴史を、本質的には描いているのだ。
 作者は本の「あとがき」の中で次のように書いている。
 「そういえば私(たち)は、もうずいぶん前から、この社会の息苦しさを感じてきた。息苦しさは、生きづらさに直結している。在日朝鮮人をはじめ、さまざまな社会的マイノリティは、この社会にひどく充満しはじめた有毒ガスによって、悶え、苦しみ、悲痛な声をあげている。」
 小説「前夜」、ぜひ、一読してもらいたい。

お弁当生活

2015-06-29 09:00:00 | (麗)のブログ
事務所が移転してから、自身の生活にも何かしらの変化が出来ました。

その中でも変化したのがお昼の食事。今回の移転を機に、お弁当を作ることにしたのです。
朝鮮出版会館には13階に食堂(勝手に「スカイレストラン」と呼んでました)があったのですが、移転先の事務所には食堂はないので、自分でお昼ご飯を買うしかない…。しかし、コンビニでご飯と飲み物あれこれを毎日買うと、相当な金額になります。
なのでもうこの際、早起きして作ってしまおう!と思ったのでした。

お弁当は中々難しいです。おかずのレパートリーもそうですが、配色・配置など、箱の中に詰める量も決まってくるし、どこに何を置こうか…と日々考えさせられます。
何より自分で作ってもまず「美味しそう」と思えるものにしたいです。

そして毎朝お弁当を作っていてふと、毎日何十年も自分やきょうだいのためにお弁当を作ってくれたオモニの事が頭に浮かびました。
運動部だった身としては、お弁当の内容に何かしらケチをつける事もしばしば…。

そう思うと何だか申し訳ないと思うと同時に、改めて、毎日食事を作っている世の親御さんたちの偉大さが身にしみてわかったのでした。
これからもできる限り、お弁当作りに専念したいと思います。(麗)

しあわせバス時間

2015-06-26 09:00:00 | (理)のブログ
 今週から事務所が移転になり、職場の環境だけでなく通勤距離・方法や、それに伴って起床時間も変わりました。以前は自宅から会社まで自転車で20分だったのが、現在は徒歩とバスで約1時間。そのぶん早く起きなくてはならなくて、初めは(面倒くさくなるな~)と思っていましたが、バス通勤、実際に数日やってみるとこれはかなり良いですね。

 何が良いかというと、まず空いていること。私が利用する方向は意外と乗客がまばらで、必ず座ることができるため移動が楽です。そして乗車時間。だいたい40分ほどなのですが、本を読んでいればあっという間です。行きと帰りに40分ずつで、1日1時間以上の読書時間が自然と確保できます。 …まあそれだけなのですが、最後列の端に座って冷房を自分の方へ向け、ゆっくり本を読むのが近頃の至福の時で、バスに乗る時間が楽しみにさえなっています。

 今までバスを日常の交通手段にする機会がなかったので、視線の高さや、電車とは違う乗客の雰囲気や、運転手との距離の近さや、「町の中」を走って行く感じなど、車内で目にするもの全てが新鮮。特に運転手さんは関心を持って見るとけっこう個性さまざまなようで、今後注目していきたいポイントの一つですね。

 私が使っている通勤定期券は、23区内の都バスがなんと乗り放題! 最近は路線図を見ながら、「お、スカイツリーにもお台場にも六本木にも行ける!」「浅草なんかもいいよね~」と、休日に行ってみたい所をチェックするようになりました。そんな時間も楽しかったり。あまり足を伸ばせていなかった色々な場所が、少し身近になったような気もします。

 もっとバスのことを考えてみたいと思って、なにかバスを素材にした小説とかないかなーと探してみたところ、ドンピシャでありました。
 タイトルは『バスを待って』。せっかくなので行きと帰りのバスに揺られながら読むことに。

 20人それぞれの、1日のほんの少しの時間が描かれた短編集。主人公の小さな心の動きや気づきがテーマだと思うのですが、それらはバスとの関わりを通してもたらされます。

 本文に「」が一つも出てこず、会話と状況描写と主人公の視線と気持ちとが交じり合いながら紡がれる不思議な文章。改行もないのにとつぜん情景が2、3歩分進んでいたり、かと思えば言葉にしないとわからないような細かな仕草を丁寧に書いていたり。しかし決して読みにくくなく、人の心の動きにとても似ている文章でいつの間にか引き込まれていました。自分も普段こんな風に移ろいながらものごとを考えているんだな、ということにも気がつきました。

 主人公ごとに文体が変わり、物語の雰囲気がどれも異なるのが印象的です。バスの中に流れる時間を好きになれる、素敵な本でした。

 私が乗っているバスも、こんな小さな話を乗せながら走っているのかもしれないと想像すると、ますますその時間が楽しくなってくるのです。(理)

「朝鮮 花物語」

2015-06-25 09:00:00 | (愛)のブログ
7月号がそろそろ皆様のお手元に届いた頃だと思います。
7月号の特集は「朝鮮 花物語」。
朝鮮半島に生息する植物や花などをさまざまな角度で紹介しています。
解説や「なんでもQ&A」、平壌中央植物園の紹介、山菜採りの取材記事、済州島に咲く花と木たち、等々。
新緑の季節にぴったりな特集になったと思うので、ぜひ一度ご覧いただければと思います。

今回特集デザインを担当しましたが、花の写真を見ながら、こんな花もあるんだ~、この花も朝鮮半島で見られるんだ~など、たくさん「へえーーー」を実感しました。

一番苦労したのが、朝鮮語名や日本語名、学術名を照らし合わせて、本文を読みながら、編成することでした。
何年かぶりに辞書を開いて、紙に記して、改めて色々な花の名前を勉強しました。

山菜採りの頁では、祖母のことが思い出されました。
昔は5月頃になると祖母と祖母の友人たちで、帽子にリュックを背負い、山菜採りに出かける姿をよく目にしました。そして、帰ってきた後は山菜の天麩羅が食卓に。
天麩羅にしたての山菜の味は、塩を振っただけなのに、なぜあんなに美味しいのでしょうか。

あと、山菜採りといえば、私自身も学校や学校の裏手にあった山で、よくヨモギ草を採りました。家に持ち帰ると、祖母がヨモギ団子を作ってくれるからでした。
「ヨモギ草採ってきたよー!」と声をかけると、「よし!ヨモギ団子作ろう!」とすり鉢にヨモギをゴシゴシとすりつぶし、ヨモギ色の見事な団子ができあがるのが本当に楽しみでした。

「済州島に咲く花と木たち」の頁では、牧歌的な済州島の風景写真とともに、そこに咲く花を紹介しています。
済州島の風景写真はある方に提供してもらったのですが、済州島が故郷であるかのじょの写真はとても素敵で、故郷への愛が満ちている、そんな写真でした。

東京にいると、山もなく、植物や花に触れ合う機会も少ないので、これからは積極的に木や花、植物が生息する所に訪れたいと思います。
森林浴ができるところがあればぜひ教えてください。(愛)



自分はどうか。まずは問いかけることから

2015-06-24 09:00:00 | (S)のブログ
先日、(理)さんがブログで紹介していた「語り合おう!分け合おう!우리 경험(私たちの経験)~性差別撤廃に向けた経験交流会~」(主催:在日本朝鮮人人権協会 性差別撤廃部会)に参加した。性差別撤廃部会の活動に参加したのはこれが初めて。大学では授業だけでなく日頃を通してジェンダー問題に関心を持つようにはなっていた。しかしこうした場に足を運んだことは少なく、あくまで自分のなかの考えに留まっていたように思う。

共感したことや新たに感じたことなど、一つひとつ説明しきれないくらい多かった。特にジェンダー問題を「在日同胞社会」のなかで考えてみようという視点。自分たちのなかに存在する問題と向き合おうとして、やっとこの経験交流会の入り口に立つことが出来ると感じた。

在日同胞社会は、在日の権利のためにさまざまな運動をしてきた。しかし、その過程で見落としているものもあるのではないか。よく耳にする「同胞の人権のために」という言葉に、どこか矛盾はないだろうか。

そもそも「差別をしていない」と言い切れる人はいないと思う。みんなどこかで、なんらかの形で「差別」をしているかもしれない。

朝鮮大学校の文学歴史学部で教鞭をとる金真美さんが発表した「民族教育の現場における性差別撤廃の取り組み」のなかでとても印象的な話があった。卒論のテーマに「女性像」を選んだ男子生徒が、その理由について「しらないうちに加害者であったかもしれないから…」と答えたという。

社会的に語られる問題を自分自身の問題として考えてみることはそう簡単なことではないが、社会を本当によくするためにはその視点を持つことがとても重要だと思う。危険なのは、根っから自分を問おうとしていない状態だろう。

ジェンダー問題というと「女性に対する差別」という印象が少なからずあると思うが、そうではない。また細かな事例を見ても、自分が意識していなかったことが含まれている。ジェンダーにまつわる課題は、自分のあたりまえと思っていた日常に想像以上に存在すると実感した。自分はどうか。常に問いかけなければと思った。(S)

ネット上の個人情報流出には気をつけて

2015-06-23 09:00:00 | (相)のブログ
 今週から日暮里にある新しい事務所で仕事がスタート。文京区から荒川区へと仕事場が変わり、通勤からはじまってあらゆることが一変した。新たな環境に慣れるまではしばらく時間がかかるのだろう。

 話は変わって…数日前に、元ストーカーを自称する人物の投稿がSNSで話題になっていた。
 http://togetter.com/li/837039
 Twitterのタイムラインで見かける、子どもの写真をよくアップしている人(オンラインでもオフラインでも件の元ストーカー氏と面識はなし)のことをインターネットだけを使ってどれだけ調べられるのかと試してみた結果、本人と子供の本名、住所、電話番号、子どもがやっているスポーツ、通っている学校を特定することに成功したという。
 リンク先のtogetterまとめはなかなか衝撃的な内容なのだが、特段目新しいものでもない。ネットに上げたわずかな個人情報から仕事やプライベートすべて丸裸にされた例など、それこそ枚挙に暇がない。つい先日も、ISIS(イスラム国)の戦闘員が自撮り写真をSNSにアップロードしたところ、即座に米国の諜報機関に位置を特定され、司令部ごと爆撃を受けるという笑えない出来事があった。
 簡単に身元を確認できるような情報を安易に晒してはいけないというのはネットやSNS利用のイロハだろう。顔写真だけでなく、自宅の近所の写真など自分の生活圏に関する情報に加え、通勤電車や天候、地震の震度なども危ないらしい。写真は思いのほかさまざまな情報を持っているのだ。仕事柄、名前や職場がとうの昔にネット上で公開されていて、SNSも顔出しでやっている人間が言えたことではないが…。
 SNSを利用している人なら誰でも多かれ少なかれ個人情報を表に出しているのではないか。Twitterは論外だが、Facebookなら安全というわけでもない。一番いいのは一切の情報発信をしないことだが、それだとSNSをやっている意味がなくなるので、個人情報保護には可能な限り気を配り、注意を怠らないこと。自分の個人情報ならまだしも、自らの不用意な行為で家族や友人にまで不利益を与えてしまっては目も当てられない。(相)


インターハイと朝鮮高校

2015-06-22 09:00:00 | (瑛)のブログ



 東京朝鮮高級学校サッカー部のインターハイ初出場に「王手」をかけた東京都予選準決勝(6月20日)には、長野や宮城などの遠方からも同胞たちが応援にかけつけ、熱い声援を送っていた。

対関東第一高校戦を0-0で終えた前半。後半は2失点。どうにか奪い返そうと、朝高は走りつづけ、試合終了間際に渾身の一点を押し込んだ。ゴールを決めた瞬間のホイッスル――。

 陽射しが照りつけるなか、ひたすらにボールを追い続けた選手たち、そして、バックスタンドで声援を送りつづけた部員たちは、最後まであきらめることなく、闘い続けた。本当に立派だった。



 朝鮮高校がインターハイに出場するようになり、21年がたつ。団体競技での出場は、東京朝高にとって悲願だ。

 各種全国大会への門戸開放は、朝鮮学校の実力を目に見える形で浮き立たせているが、生徒数や財政面では日本学校の比にならない朝鮮学校がトップにのぼりつめることが、どれほど大変なことか。

 この5年間、無償化制度から朝鮮高校がはじかれるなか、生徒、保護者、指導者たちが積み重ねて来た「努力の日々」、だからこそかみしめたであろう、「悔しさ」を思わざるをえなかった。

 久しぶりに訪れた母校の試合で、何より感じたのは、日本の高校生と朝鮮高校生たちが、実力を競い合うことのすばらしさだった。

 生徒たちの勇姿に「差別なき未来を」と誓う。(瑛)※写真提供は白在明さん

さようなら、朝鮮出版会館

2015-06-19 09:00:00 | (K)のブログ
 このブログで何度か触れられていますが、月刊イオ編集部の事務所が移転となります。これまで月刊イオ編集部は文京区白山の朝鮮出版会館というビルの3階にありました。白山で仕事をするのは今日が最後となりました。ブログも白山から更新するのも今日が最後となります。

 白山の朝鮮出版会館は、私にとって非常に思い出深いところです。初めて社会に出て働き始めた場所が朝鮮出版会館でした。
 当時、13階建てのこのビルは文京区で一番高いんだと、聞かされたのを覚えています。確かに文京区には高いビルはなかったですね。働き始めた頃は、建てられてまだ数年しかたっておらず、綺麗で大きく威厳がありました。てっぺんには「朝鮮画報」という大きな文字が掲げられていました。
 朝鮮大学校を初めて見たとき、その立派さに驚きましたが、朝鮮出版会館も非常に立派で驚いたものです。1世をはじめとする同胞たちが、異国の地の困難な状況の中にあっても、同胞社会のために各地にいろんな形の素晴らしい財産を築き上げたわけですが、その具体的な一つが朝鮮出版会館だったわけで、会館内で働くことが非常に誇らしく思えたものです。

 当時は、宿直が月に2回ほど、職場の野球部の早朝練習が月に1回ほどと、しょっちゅう朝鮮出版会館に泊まりました。中には会館に住んでた人もいたりして。また、当時はたくさんの人が働いていたので、たくさんの人と知り合うこともできました。その他、いろんな思い出が本当にたくさんあります。
 最初の職場を卒業した後、10年ほど飯田橋に通い、今から10年ほど前にまた朝鮮出版会館に戻ってきました。合計25年ほど過ごしたことになります。朝鮮出版会館がなくなるのが非常に残念ですし心が痛みます。



 月刊イオ編集部は来週月曜日から新しい事務所で編集作業をすることになります。場所は変わっても月刊イオを出すことには変わりはないので、これからもがんばって良い雑誌を作っていきたいと思います。

 以下が月刊イオ編集部の新しい住所です。電話番号は変わりませんがFAX番号は変わります。移動のためにいろいろとご迷惑をおかけしますが、これからもよろしくお願いします。(k)


〒116-0014 東京都荒川区東日暮里2-26-1
Tel.03-6820-0107 ←電話番号は同じです
Fax.03-5615-4095 ←FAX番号は変わりました


イオ7月号完成!

2015-06-18 09:00:00 | (麗)のブログ
イオ7月号が完成しました!
今月の表紙は、豊田自動織機シャトルズの徐吉嶺選手です!
徐選手は、8年間プレーしたラグビー・トップリーグのヤマハ発動機ジュビロ(静岡)を昨シーズン限りで退団し、今期から豊田自動織機シャトルズに加入しました。
(相)さんと愛知まで出張に行き、真夏日に近い天候での撮影となりました。
体格も人柄も良く、取材中と練習中も真剣な表情を見せたと思うと、茶目っ気たっぷりに愛嬌ある笑顔を見せていた徐選手。カメラを構えながら伝わってくるその人柄は、すでにチームからも愛されている存在なのだと思いました。「輝アスリート」では、そんな徐選手の人柄が少しでも写真から伝わればいいなと思っています。

特集は「朝鮮 花物語」。朝鮮半島の植物分布の特徴や種類など、花や植物についてさまざまな角度で紹介します。
花や植物の写真をふんだんに使用しているので、誌面も鮮やか且つ、華やかに仕上がっていますので、視覚的にも十分楽しめる特集となっております!

特別企画は「ふたごのふしぎ」。一口に双子といっても、一卵性、二卵性と外見のそっくりさのほか、二人の関係性や性格など個性はさまざま。日本各地の双子、そして三つ子たちに、気になる「双子(三つ子)エピソード」を聞いてみました。6組の同胞たちが、誌面を賑やかに飾ってくれます。双子にまつわる解説も載せています。

ほかにも、「感謝と笑顔あふれる祭り 総聯結成60周年在日同胞大祝祭 1万7000人でにぎわう」、「食べて、知って、広がる多文化への理解 第1回多文化共生1・2・3in Aichi」、「映画『蒼のシンフォニー』製作へ」などなど、今月も盛り沢山な内容となっております。是非、ご愛読ください!


さて…。今週、ついに梅雨入りした日本列島。
梅雨のシーズンはジメジメして気持ちも下がるし嫌だなぁと思っていたのですが、雨の日は緑が鮮やかな色を発する、晴れの日とはまた違った美しさを感じられる天候でもあるなと思っています。
また違った角度で雨の日を楽しむのも乙だなと、湿気でうねる髪を撫でながら思う6月です。(麗)

だれもがいきいきと生きられる社会のために

2015-06-17 09:00:00 | (理)のブログ
 まずはこちらをご覧下さい。→https://youtu.be/GcL1knZDzhY

 約7分半の映像で、イオ6月号でも紹介した「日本軍性奴隷制の否定を許さない4.23アクション~奉奇ハルモニを記憶して~」の当日のようすをまとめたものです。場の雰囲気や参加者たちの声から、歴史の歪曲を許さないという強い思いがより鮮明に伝わってきます。記事を読んだ方も、同アクションについてあまり知らない方も、ぜひ一度。

 アクションは、在日本朝鮮人人権協会の性差別撤廃部会が主催しました。20、30代の同胞女性たちを中心に活動しており、昨年は同胞社会におけるジェンダー問題について連続講座も開きました。昨日、その部会による経験交流会が開かれ、上記のアクションのほか様々な取り組みが発表されました。



 朝鮮大学校の文学歴史学部で教鞭をとる金真美さんは、「民族教育の現場における性差別撤廃の取り組み」と題して、文学を通してジェンダー問題について考え、自分たちや自分たちの社会の課題を見つけ出そうとするなど、学生たちとの学びの課程を話してくれました。一方で、ジェンダーについての認識が広まると共に、浅い知識しかないために「ジェンダー」という言葉を軽蔑の意味で使っている人たちも同胞社会に少しずつ出てきたことをのべながら、「それ自体が性差別の問題を無視して、性差別に加担していると思わざるを得ません」と指摘しました。このような発言に無力化されてきた人々を励ます言葉だな、と感じました。



 李杏理さんは、当日参加することが出来なかった李イスルさんに代わり、上記の4.23アクションについての報告を代読しました。李イスルさんはアクションを終えた感想について、「人権、歴史問題というと何だか大げさな感じがして、それは自分にできることじゃないと思っている人が多い気がしますが、そんな中、普通の在日朝鮮人女性たちが、自分たちの生き難さがなにゆえなのかを学び、その中でこのアクションを企画し、やりとげることができた意義は本当に大きいと思っています」と綴っていました。



 ゲストとして参加した申嘉美さんは、夫婦ともに日本学校を出た自分が、子どもを朝鮮学校に送った理由や、「高校無償化」除外に抗議する「金曜行動」に参加しての感想、民族教育や同胞社会の現場で感じる性差、違和感などについて話してくれました。例えば子どもが何世かを数える時に、父親の家系だけを見て決められることに素朴な疑問を感じて母親の代について聞くと、「母親は関係ありません」と言われ大きな違和感を受けたそうです。


 また、人権協会事務局の金優綺さんは、部会が初めて作成した本について紹介しました。タイトルは「だれもがいきいきと生きられる社会のために」。冒頭に書いた連続講座の記録と、同胞150人を対象に行われた「在日同胞のジェンダー意識に関するアンケート」の結果報告書が収められています。本の詳細は、ぜひ以下のURLで参照して下さい。→https://www.facebook.com/HURAK.SCCP/posts/492881337526074



 連続講座の記録は、ジェンダーとは何か?という初歩的なこと、そこから派生するさまざまな問題についてわかりやすく知ることができます。アンケートの結果報告は、同胞たちの問題意識をリアルに知ることができる作りになっています。冊子についてはイオ8月号でも紹介します。(理)


台所。

2015-06-16 09:00:00 | (愛)のブログ
(理)さんから貸してもらった本、「東京の台所」を読み終えた。

月刊イオ 2015年6 月号の「編集部オススメ!」欄で紹介されている本である。


「編集部オススメ!」で紹介されているように、久しぶりにおもしろい本だった。

普段、普通の人(一般人)の生活など目にしない。

まして台所なんて、他の人のお家にお邪魔しても、まじまじと見るものではないので、様々な人の台所はとても新鮮だった。

この本を読んで、自分の台所の記憶というものを考えてみた。
やっぱり台所イコール母だ。
実家の台所では、夜中12時を過ぎた時刻に、朝早く朝鮮学校へ通う私たちや朝が早い父のためにお味噌汁を必ず作ってくれる母の姿が毎日あった。

実はそれは現在も進行形で、産休中実家にずっといた私は、朝鮮学校に通う孫が泊まる夜には、母が昔のように夜中に台所にたつ姿をよく目にした。明日孫に食べさせる白米のおしかけ。火を入れれば食べられる汁物の準備。
いまも昔と変わらず昼夜問わず台所にたつ母に、思わず改めて尊敬した。

子どもが皆社会人になっても、次は孫で大変だね、と言ってみると、本当よね~と言いながらも、どことなく嬉しそうな母なのだ。

台所にはそんな風に、1日1日の年月が込められている場所なのだと改めて見直すことができた。否応なしに毎日過ごす場所、台所。

台所で過ごす、その人その人ごとに秘められた人生物語がある。

自分も自分の生活スタイルに全く自信などないのだが、語られない生活こそ良いものだよ、と問いかけてくるような、そんな本だった。(愛)

白山の紫陽花

2015-06-15 09:00:00 | (S)のブログ



事務所移転をいよいよ今週に控えて、その準備に追われると同時に、社内では「さみしさ」ムードが増す。

そんな中、事務所近くの白山神社では6月6~14日にかけてあじさい祭りが開かれていた。お昼に時々通る以外この神社に行くことは少ない。もうあじさいが咲いていると聞いてはいたが、先週末、編集部メンバーとランチ帰りに少し寄ると、想像以上のきれいさに驚いた。

ついつい仕事帰りにも行ってしまい改めてゆっくり見て回ると、普段よく目にする形のものだけでなく、あじさいにもいろいろな種類があることが分かった。この周辺では3000種のあじさいが見られるとのこと。丘のようになっているところにもあじさいが見えたので登ってみようとすると、すでに行列が出来ていて諦めたのだが、そこは富士塚といってあじさい祭りのときにだけ開放されるようだ。

もう通うこともなくなるが、来年のこの季節、また足を運んでみるのも悪くないと思った。(S)













なぜごみは生まれるのか

2015-06-12 09:00:00 | (相)のブログ
 「住めば都」という言葉がある。どんな場所でも、住み慣れるとそこが居心地よく思えてくるという意味だが、私が勤めるイオ編集部の入る文京区白山のビルにもその表現が当てはまる。
 新宿区築土八幡にあった旧社屋からこの場所に移ってきたのが2005年のこと。それから約10年。1975年生まれの私は、某新聞の平壌特派記者として現地に滞在した1年半あまりを除いて、30代の仕事のキャリアのほぼ全期間をここに通いながら過ごしたことになる。
 そんな慣れ親しんだ街や仕事場ともあとわずかでお別れだ。事務所移転の日が間近に迫る中で、幾多の思い出がよみがえってくる。
 飯田橋や神楽坂の喧騒や華やかさに囲まれていたせいか、移転当初はさびしい場所だと思っていた。しかし、やはり「住めば都」なのだ(住んではいないが)。仕事場の目の前を通る幹線道路の白山通りや旧白山通りは交通量が多く、周辺には東洋大学のキャンパスや高校をはじめ教育機関がいくつもあるので登下校時間帯は若者でにぎわうが、脇の細い路地に入れば閑静な住宅街が広がる。歴史のある街で寺社も多く、小石川植物園も近い。そんな静と動のコントラストが絶妙だった。飲食店も渋めのところが多い。仕事場は地下鉄駅から近く、都心やJR主要路線へのアクセスも悪くない。いいことも悪いことも、楽しかったことも悲しかったことも、記憶に残る出会いや別れも挙げればきりがないが、やめておこう。人間とは不思議なもので、折に触れて古巣を懐かしんだりするが、やがて思い出すことも少なくなり、置かれた環境に適応していくのだ(以前の移転時がそうだったように)。

 移転が差し迫った現在、業務の合間を縫って引越しの準備を進めている。事務所の引越しは家のそれとは規模が違って、作業も膨大だ。そして、出てくる廃棄物の量も。
 職場にあるものは、①日常的に、あるいはそれに近い頻度で使っており、今後もそうなるであろうもの(要するに、業務上必要なもの)、②普段使う使わないは別として無条件に保管しておかなくてはならないもの、そして③「①、②以外の理由で何となく残してあるもの」の3つに分類できる(と思う)。厳密に言うと、④初めから明らかに不要で今すぐ廃棄すべきもの(ゴミ)もあるが、これは普段の掃除の過程で処分していることが多いので量的には大したことはない。
 この3つのうち、やっかいなのが③だ。私個人の所有物でいうと、これが一番多いかもしれない。書籍や冊子、紙の資料といった各種印刷物、CD、手帳類、事務用品などだ。往々にして「まだ充分使用に耐えうるので、捨てるのはもったいない」「普段使っていないが、いつか使う機会があるかもしれない」「万が一のためにとりあえずとっておこう」などの理由で処分することをためらってしまう。ここに「思い出の品」という要素が加わると、さらにややこしくなる。
 このような形態の所有が増えるほど、持ち物がどんどん多くなっていく気がする。当たり前だが、ごみは初めからごみではなく、廃棄を決めた瞬間からごみとなる。それまでは、いくら他人からごみ同然に思われていようが、当人にとってはそうではない。ものを選別してごみを捨てるという行為は単に不要なものを機械的に処分することにとどまらない、複雑な人間的営為であるとは言えまいか。当然ながら、移転先のスペースには限りがあるので、③をできるだけ廃棄して身軽にしなくてはならないのだが、選別に悩む。
 引越しにともなう所持品整理のメリットとしては、増え続けるものを強制的にでも減らすことができる、なくしたと思っていたものが出てくることがある、などを挙げられよう。今回も③に該当するものをだいぶ処分できたし、以前から行方不明で探していた本をロッカーの奥から見つけ出すことができた。(相)

ふたつとない書店

2015-06-11 09:00:00 | (瑛)のブログ


 コリアブックセンターが休業になった。
 アップした写真は、最後の半額セールで買ったものの一部。

 コリアブックセンターには、嫌韓本は一冊もない。
 古代から近代をまたぐ朝鮮本の王道といわれるものを揃え、朝鮮の歌謡曲のCDやDVDも置いていた。

 ここの料理本や絵本を繰るのが、束の間の楽しみで、イオも売っていただいた。

 何より朝鮮本国の小説や辞典、ピアノの楽譜はここでしか買えなかった。もちろん、日本の朝鮮制裁が始まってからは、めっきり本の数が減ってしまったけれど…。

 最近、顔の見える書店が街からどんどん消えていく気がしてならない。

 大学時代にお世話になった松明堂書店(閉店)も好きな本屋だった。

 地下スペースでは、いつも個展や展示会が行われていて、立ち読みの楽しみにプラスアルファを加えてくれた。

 入って右側にある新刊の本だなには、いつもワクワクさせられ、ついつい買ってしまう。松本清朝の甥っ子にあたる店主の姿を見るのも、楽しみだった。

 日本にふたつとない、コリアブックセンターは、私にとって大切な本屋さんだった。

日本の対朝鮮制裁が解かれた日、もう一度、復活してくれることを切に願います。(瑛)

年金情報流出問題とは関係ないこと

2015-06-10 09:00:00 | (K)のブログ


 最近で一番話題となったニュースの一つが、日本年金機構がサイバー攻撃を受け約125万件の年金情報が流出した問題だ。この問題が発生し、マイナンバー法案も採決が先送りされたという。「安保法制」の実現を狙う安倍内閣のスケジュールも少し狂ったのであろう。
 しかし、時期が少しずれただけ。「便利になる」などと詭弁を使って国が人々を管理し「思想」によって色分けするような社会はすでにできつつあるし、「違憲でない」と口にすれば違憲にならないと思っている、それが通ると考えている政治家や、それを許す社会にすでになっている(自衛隊の存在自体がずっと違憲なのだが)。
 年金情報の流出問題を見て、ネットの怖さや人間のやることに間違いは避けられないなど、いろいろと思うことはあるが、またひとつ、この社会が崩壊へと向かっていることを確認して心が重い。最近、地震や火山の噴火が多くて、本当にまた巨大地震が来るのではと、そちらもすごく怖い。こんな状況で今も原発再稼動を進めたり賛成したりする人がいることにも驚く。

 仕事というのは集中するときは集中するもので、通常の月刊イオの制作と同時に、イオ編集部が編集発行する本の準備と定期的に関わっている出版物の編集があり、また、事務所の引越しという大きな仕事も目前に迫っていてその準備も進めなければならない。
 いろんなことが重なって精神的にうっとうしいときは、こんなことを書いていても気が進まないので、こんなことを書くのはこのへんで終わりたいと思う。

 そんなあわただしいなか、昨日の(麗)さんも書いていたが、先週の土曜日に元同僚同士の結婚式があり参加してきた。いま風の式だったが、それなりに節操があり、良い結婚式だった。
 ハプニングだったようだが、最後に新郎があいさつした後、歌をうたうことになった。前にも書いたと思うのだが、最近の同胞の結婚式は、新郎が歌をうたわないのでつまらない、と思っていたのでうれしかったのだ。選曲もひじょうに新郎らしかった。
 (麗)さんは珍しく「統一列車」の輪に入って一緒に踊ったようだが、私はいつものように輪の中には入らなかった。でも、私も必ず踊りの輪ができる同胞の結婚式が何よりも好きだ。
 いろんなことが重なって精神的にうっとうしいときに、一服の清涼剤のような役割を果たしてくれた結婚式だったと思う。

 月刊イオ7月号の特集は「朝鮮 花物語」。6年前に朝鮮に行ったときに、いろんなところを回ったが、行く先々で目に留まった咲いている花を撮影した。
 最後に、結婚した二人を心から祝福して祖国の花の写真をアップし二人に贈りたいと思う(花には疎いので名前はほとんどわかりません)。(k)