日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

クァンホの連載を読んで

2015-04-30 09:00:00 | (S)のブログ

 
 朝鮮新報の連載「ダウン症のわが子と民族教育」。あまりにも親しみのある顔が紙面に大きく載っているので、見るたびに毎回不思議な感じがする。
 
 高校1年生のとき、私はクァンホと同じ1組だった。初対面の子といきなりクラスメイトになるという、希望なんかより不安でいっぱいの入学式当日。クァンホはあの愛くるしい笑顔で話しをかけてきて、私は「なんて人見知りをしない子なんだろう!」と思ったのを覚えている。
 
 あの明るさ、愛嬌、素直さ、そして周囲への思いやりは、周りを引き付ける要因、誰もが認めるクァンホの魅力だと思う。とにかく私に無いものをたくさん持っていて、尊敬できるクラスメイトだった。
 
 連載は途中まで、クァンホが高校に入学する前の話だ。4月27日の新報に掲載された朴龍浩先生のエッセイにもあるように、入学前にいろんな葛藤があったということを知ることができた。そうして改めて高校時代のクァンホを思い返すと、うまく説明できないが、とにかく色々考えさせられる。
 
 1年1組はクァンホなしには考えられなかった。それは学年が上がってクラスが変わっても同じだ。同級生たちがどれだけたくさんのパワーを貰ったことか。本当に朝高に来てくれてよかったと思う。
 
 朴龍浩先生のエッセイを読んでとても懐かしかったのが、1年1組が1年間を振り返って作ったピョッポ(壁新聞)の話だ。かなりインパクトのある出だしで、私もはっきり覚えていた。あまりにも懐かし過ぎたので家に帰って本棚をあさると、1組の文集に無事載っていた。



「私たちは決して秀でていなかった。一番と言えるものは逆に少なかった。でも…
私たちは積み上げた数字よりも、その過程で育んだ私たちの心を大切にしたい。…」(S)

スクールセクハラという犯罪

2015-04-29 09:00:00 | (相)のブログ
 

 「スクールセクハラ」という言葉をご存知だろうか。1990年代から使われ始めた言葉で、「学校で起きる性被害」のことだ。文部科学省の調査によると、2013年度にわいせつ行為で処分を受けた公立小中高校の教員数は205人。これは1977年の調査開始以降、最多となる数字で、勤務校の児童・生徒・卒業生が行為の対象というケースはそのうちの約半数にあたる47.4%にのぼる。しかし、このように処分にまでいたった事例は氷山の一角に過ぎない。処分されなかったケースや発覚すらされなかったものも含めると、実際はこの数倍あるともいわれている。
 そんな、教師による生徒へのセクハラの実態を丹念に取材したルポルタージュが「スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか」(池谷孝司著、幻冬舎)だ。昨年10月に出版され、多方面で話題となった。購入後、しばらく積読状態になっていた本書を最近になってやっと手に取った。
 以下、読後の感想を書きたい。

 衝撃的な内容だった。「カラオケに行こう」という教師の誘い文句でホテルに連れ込まれ強引に関係を結ばされた女子生徒。小学生の教え子との間に恋愛関係があると思い込み、ホテルでわいせつ行為をして逮捕された教師。複数の女生徒を個室に呼び出し、服を脱ぐよう迫った部活の顧問―。10年以上にわたってこの問題を追ってきた著者は被害者のみならず加害者にも取材を敢行し、教え子たちに対する性犯罪に手を染めるかれらの心理を抉り出す。本書に記されたどのケースも読んでいてうんざりするようなものばかりで、不快感と嫌悪感しか催さなかった。
 本書のすごいところは、スクールセクハラの実態の暴露のみならず、その構造的問題点を浮き彫りにしたことだろう。学校という神聖な場所でなぜそのようなことが起こるのか―。ひとたびこの手の事件が明るみに出ると、私たちはその原因を教師本人の資質に帰する傾向があるが、著者は「学校」という空間そのものに潜む問題を鋭く指摘する。スクールセクハラとは「一部の不心得者の行為」というより、教師が指導の名の下に絶大な力を持つ学校だからこそ起きる「権力犯罪」なのだ、と。学校や教育行政の保身や事なかれ主義による隠蔽体質が問題の解決を妨げ、さらなる事件を生む構造があることも指摘している。
 本書では、被害者はあくまで「先生」と「生徒」という関係で加害者と接する一方、加害者は「男と女の関係」を信じて疑わないという構図がたびたび登場する。両者のこの認識のズレはなぜ生じるのか。ここに、教師だからこそ向けられる生徒からの親愛の情や信頼、服従を「自分自身」に向けられたと思い込んでしまう、自らの持つ権力に無自覚な教師の存在が浮かび上がる。自覚的にしろ無自覚にしろ権力を背景にした行為ということで、職場でのセクハラやパワハラ事案とも共通するものだろう。
 この問題を理解するうえで筆者が提示するキーワードが「支配」だ。相手を自分の思い通りにコントロールしたい、権力を使って弱いものへ暴力を振るう。スクールセクハラは体罰と根が同じであり、ストーカーやDVもしかり。生徒の心をつかみ、信頼を寄せられ、学校の外でも生徒の力になる、というのが世間一般が考える「いい先生」のイメージだが、かえってその距離の近さが、自らが考える理想の型に生徒をはめようという教師の欲望がスクールセクハラを引き起こすきっかけにもなりうると著者は警鐘を鳴らす。

 スクールセクハラのやっかいなところは、他の性暴力と同様に、告発したり他人に相談しにくいということ。被害者が自らの被害を口にするのには多大な苦痛がともなう。告発したからといって適切な対応がなされる保証はない。相手からの報復を恐れ、周囲の目を気にし、「家族に迷惑をかけたくない」と苦悩し、一人で抱え込んでしまうというのは性犯罪の被害者に広く共通する傾向だろう。児童・生徒の場合はなおさらで、しかも相手は教師。両者の「主従関係」、学校という閉鎖的な空間も相まって被害者は沈黙を強いられる。勇気を出して告発しても、2次被害に苦しむこともしばしば。著者はこのようなスクールセクハラをめぐる構造的問題を丹念な取材で明るみに出していく。
 本書からは、再発防止や被害者たちの心を癒すことに加えて、教師の持つ権力を考え直すことで日本の教育全体を見直したいという、筆者自身の問題意識も垣間見られる。これぞジャーナリストの仕事、と思わせるような出色のルポだ。
 本書を読むと、スクールセクハラは特定の学校や教師個人の問題ではないということがよくわかる。職場におけるセクハラにも通じる問題で、自分にとっても決して人ごとではない。子を持つ親や教育に携わる人々のみならず、この社会に住む多くの人々の知見に資するような内容を含んだ良書だと思う。一読をすすめたい。(相)

「無償化」裁判の現在地

2015-04-28 09:00:00 | (瑛)のブログ


高校「無償化」の裁判に関わる弁護士、京都朝鮮学校襲撃事件裁判をたたかった刑法学者の話を聞きに関西地方に来ています。

現在、「無償化」裁判は大阪、愛知、東京、広島、九州で行われていますが、各地の弁護団は勝訴に向け、身を削る日々を送っています。

私はこの1年、東京の裁判を担当してきましたが、「無償化」、「補助金」の2つの裁判を闘う大阪の経験を初めて聞くことができ、大いに学びました。

制度が始まり5年。
国は法の趣旨には一切ふれず、国連の場では「差別をしていない」とまでいい放ち、あたかも朝鮮学校側に責任が有るような態度で、問題をすり替えようとしています。

2時間にわたる座談会の中で、裁判に勝つためには「3つ」が必要だ、とのお話が頭に焼き付いています。

その3つとは、原告、弁護団、支える人たちで、この三者が一体となってこそ、裁判に勝つことができる、勝訴を導く世論を作りあげることができる、ということです。

権利とは何か、
それを侵されたときどう声をあげ、
さらには、声をあげられない人の気持ちをどう集めるか。
各地の裁判が直面する課題にも沢山のヒントをいただきました。

近々、「『無償化』裁判の現在地」と題してまとめる予定です。(瑛)



表紙の撮影で神戸へ!

2015-04-27 09:00:00 | (麗)のブログ
先日、表紙の撮影をしに、神戸まで出張に行って来ました。
愛知へ出張中だった(理)さんと合流し、今回の表紙となる同胞アスリートのもとへ…!

今年から始まった連載「輝アスリート」。すでに数人の同胞アスリートを撮影し、お話を聞いてきました。
やはり「勝利」への執念が強いためでしょうか、スポーツ選手のバイタリティーとハングリーさには毎回、感嘆しています。

表紙の撮影は難しいです。毎回もっとこうすればよかったと反省することも多いです。
しかし、難しいながらもアスリートの真剣な表情と輝き、普段とのギャップ、
人柄まで、写真で表現出来ればといいなと思いながら撮るようにしています。

6月号の表紙も是非、お楽しみに!(麗)

一人芝居「在日バイタルチェック」

2015-04-24 08:22:03 | (K)のブログ


 先週の土曜日、東京・三河島で行われた一人芝居「在日バイタルチェック」(以下、「在日―」)を観てきた。「在日―」は、劇団石(トル)によるもので、演じるのは劇団の主宰者、きむ・きがんさん。「在日―」は2013年10月に初演され、今回の東京公演で26回、27回目となるそうだ(今回、昼、夜と2回公演された)。
 感想をひと言で言うと、素晴らしかったというしかない。「在日―」のことは、月刊イオの6月号で詳しく掲載するので、ここでは少しだけ紹介したい。

 物語の舞台となるのは大阪・生野にあるデイサービスセンター「ミンドゥルレ(タンポポ)」。ミンドゥルレに行くのを毎日楽しみにしているのが90歳になるウルセンというハルモニで、物語の主人公だ。ウルセンハルモニは済州島で海女をしていたが、日本の植民地時代に日本に渡ってきた。ミンドゥルレでは、所長で2世のミョンミ、職員で3世のヨンスギ、新人の山本陽子の3人が日々、ハルモニたちの世話をみている。
 ある日、ウルセンハルモニの90歳の誕生日祝いがミンドゥルレで開かれる。夫婦で参加したウルセンハルモニに、ミョンミが二人の馴初めについて聞くと、ウルセンハルモニは祖国解放の日を振り返りながら、これまで歩んできた人生を語り始めるのだった。



 芝居では在日朝鮮人の100年の歴史が凝縮されて語られる。日本による植民地支配。土地や資源、そして言葉や名前まで奪われる。男性たちは日本へと強制連行されていく。解放後の祖国の分断、学校建設と弾圧、指紋押捺などによる監視と管理、結婚・就職差別、チマチョゴリ事件、そして現在の「高校無償化」問題とヘイトスピーチ…。
 これらの出来事を爆笑と涙の中で作品として伝えてくれているのが本当に素晴らしい。それを実現させているのは、一つには、一人で1世、2世、3世、少年と演じるきむ・きがんさんの卓越した演技力だ。
 台詞がきむさんの口から発せられるや、在日朝鮮人の怒りや恨み、また喜びがひとつの怪物になり会場中で暴れだしたようだった。観客はその怪物に踏み潰される。私も完全に踏み潰された。その怪物は、在日朝鮮人が異国で生きてきた、そのエネルギーそのものだと思う。それをマダン(場)に見事に再生させていた。



 2010年2月4日のこの日刊イオで、「ビッグ3」(http://blog.goo.ne.jp/gekkan-io/e/c39b5290e7d4032e5edb908a954d7f18)という文章を書いたが、在日演劇界のビッグ3をビッグ4に、在日演劇界の「3金」を「4金」に改めないといけないと思った。
 きむ・きがんさんは、「在日―」を作るに当たり、いろんな資料を参考にしたそうだが、話を聞くと、「月刊イオはほんとにめっちゃ参考になりました」と語ってくれた。この素晴らしい作品が誕生するに当たり少しでも月刊イオが貢献できたと思うと、本当にうれしい。

 主人公のウルセンハルモニは、きむさん自身のハルモニの名前でその姿が基調となっている。「描いているのは真実。うちのハルモニは生きてたんやでということを伝えたい。在日の心の中にはみんなそれぞれ、強烈な1世の姿が生きている。その歴史を埋もれさせてはいけないという思いがある」ときむさんは作品への思いを語っていた。
 今回の公演を主催したのは「嘘みたいな本当の在日話」、フェイスブック上で活動する在日同胞のコミュニティーページを運営している集団である。「在日バイタルチェック」を観て感動したメンバーがぜひ東京でも上演したいと企画したそうだ。「嘘みたいな本当の在日話」のページはフェイスブックで「いいね」が1万人を越えた。今回の公演は1万人突破を記念したものでもある。こんな素晴らしい作品を東京で上演してくれた「嘘みたいな本当の在日話」にも心から感謝したい。

 きむ・きがんさんは、「在日―」をこれから、日本各地の朝鮮学校でも上演したいという。朝鮮学校の関係者の方々は、この作品を学校でぜひ上演し子どもたちに観せてあげてほしい。何十回の授業よりも学ぶことが多いと思う。(k)


写真撮影講座の体験教室へGO!

2015-04-23 09:00:00 | (愛)のブログ
先日、(麗)さんとともに、写真撮影講習に行ってきました。
バナー広告で見つけたものでしたが、ある協会が主催する講座の体験教室で値段も手頃だったので写真技術向上のために行ってみよう!ということになったのです。

各自カメラを持参して講習場所に着くと、料金1000円を払い、いざ教室スタート!
講習内容は撮影を中心としたものでした。
1回テーマに沿って各々撮影した後に、先生の講義が少し入り、それを聞いたあとにまた撮影し直してみる、といった内容でした。

私はイオ編集部に入る前は個人的にカメラが好きで1眼レフは持っていたものの、本格的に習ったのはイオ編集部に入ってからでした。
当時の上司に厳しくも丁寧に教えてもらい、現場で実践を積むといった形だったので、今回の教室体験はとても新鮮でした。

コツを教えてもらい、撮り直してみると断然デキが違うのです。
いままで何となく感覚で撮っていたものを、理論として習うのはとても有益でした。


写真を撮るうえで一番重要なことはなにか?
今回は教室でならったこの言葉だけ紹介したいと思います。
それは…






「メッセージ」だそうです!!
何を撮るうえでもまず「メッセージ」を明確にすること。それを伝えるために全ての技術を習得するということ。
ふむふむ、と先生の話しを聞きながら納得した次第です。


いままで何気なく撮影してきましたが、今回改めて習うことにより初心に帰ることができた思いです。
これからも、今回習ったことを生かせるいい写真たちをたくさん撮りたいと思います♪(愛)

愛知「無償化」裁判 第12回口頭弁論

2015-04-22 09:00:00 | (理)のブログ
 昨日、愛知「無償化」裁判の第12回口頭弁論があり、名古屋地裁前には傍聴券を求めて160人以上が駆けつけました。今回、法廷では原告の準備書面13がやりとりされましたが朗読はせず、10分ほどで閉廷となりました。書面13では、「無償化」適用の審査のため愛知朝鮮高校が提出した申請書類の中でミスがあったことについて、国側が問題視したことへの反論が書かれています。

 裁判終了後の報告集会では、準備書面13では具体的にどのようなことが話されているか、熊谷孝人弁護士が解説しました。今回の議論は、愛知朝鮮高校の教員数について、実際には国側が求める数を満たしていたものの、申請書類上の記載では1人足りなかったことで起こりました。熊谷弁護士は「文科省はこれまでも『行政指導』という形で、申請書類の記載内容への変更を求めてきた。学年の表記や学校の面積など、細かいことをたくさん指摘してきたにもかかわらず、教員数への言及はこれまでなかった。意図的にしたかどうかは別として、後になって問題視するというのはおかしい」などと話しました。



 また、この日は口頭弁論が短くなるということで報告集会参加者たちのための学習も準備されました。「朝鮮高校生就学支援金不支給裁判における国の主張(規程13条)」というテーマで、矢崎暁子弁護士が話しました。これまで、国側の主張について知る機会はあまりなかったため、このような学習会を企画したそうです。

 他にも、提訴時から裁判に関わってきた原告たちから寄せられた手紙の朗読や、会場からの質疑応答もありました。詳しい内容は月刊イオ6月号の「裁判記」で紹介するので、ぜひチェックしてください!(理)

5月号が完成しました!

2015-04-21 09:00:00 | (S)のブログ
昨日、月刊イオ5月号が完成しました!入社以来、初めて迎えた納品日。出来上がる過程を知ってから目にするイオはとても新鮮でした!

それでは今月号の特集を紹介します! タイトルは「60年-時代を築く同胞たち」です。祖国解放から70年、朝鮮総聯が結成されて60年。 この間、自らの生活と権利を守るため、様々な活動を繰り広げてきた在日同胞たち。そしていつの時代にも、その中心には若い同胞たちがいました。 写真と証言集でその様子を振り返ります。また権利、生活、教育、文化、経済など、幅広い分野で奔走する、まさに同胞社会の今を築く20、30代の同胞7人が登場。さらに、今の同胞社会と総聯組織のあり方について語った支部イルクン二人による対談なども紹介しています。同胞たちのニーズに合わせて、総聯組織はどのように変化していかなければならないのか?世代交代が進み3世、4世が主人公となるこれからの在日同胞社会について考えていきます。

特別企画は「カフェで会いましょう」。同胞が営む、日本各地の個性溢れるカフェ、そして平壌のカフェ、計6店舗を紹介しています。終わりには短編小説『カフェの向こう側』も掲載。イオ編集部メンバーも、取材を通してほっと一息。カフェの素敵な空間を堪能してきました!今月はイオを手に、お気に入りのカフェへ足を運んでみては?

その他にも、総連議長宅への強制捜査、ムジゲ会発足20周年記念誌の発刊、「日本の歴史歪曲を許さない!全国大学生行動」の開始に関する情報など、今月も盛り沢山です!
お楽しみください!(S)

米・キューバ関係改善の動きに思う

2015-04-20 09:00:00 | (相)のブログ
 米国とキューバが関係正常化に向けた歩みを進めている。最近の国際ニュースの中でも個人的に大きな関心を持ってフォローしている。
 1961年以来、半世紀以上も外交関係が断絶しているキューバと国交正常化に向けた交渉を始めると米オバマ大統領が発表したのが昨年12月。今月11日にはキューバのラウル・カストロ国家評議会議長とオバマ大統領が訪問先のパナマで邂逅、断交後初の両国首脳による会談が実現した。14日にはオバマ大統領が82年から続くキューバに対するテロ支援国家指定を解除することを承認し、議会に通告。テロ支援国家指定の解除は大統領承認から45日後以降に発効する仕組みになっている。テロ支援国家指定の解除はキューバ政府が米国側に強く求めていた項目だった。これで国交正常化に向けた大きな障害の一つが取り除かれたことになる。
 オバマ大統領は「これまで失敗してきた時代遅れの手法を終わらせる」と述べ、封鎖と孤立によってキューバの「民主化」を目指すという従来の米国の対キューバ政策の失敗を認めた。国連総会の場でこれまで何度も対キューバ経済制裁解除を求める決議が圧倒的多数で可決されてきたように、米国の強硬路線は国際的にも支持を失って久しい。
 米国が関係正常化へ舵を切った背景についてはさまざまな分析がある。政治、経済両面において関係改善が国益にかなうと判断したから、というのは言うまでもないことだが。
 今後、大使館開設など正常化に向けた動きが加速する見込みだが、対キューバ制裁の解除など越えるべきハードルは多い。これで米国の敵国へ対する姿勢が軟化したと結論づけるのも早合点だろう。ともあれ、両国が対等な立場で対話を進め、関係正常化にいたることを願っている。
 そして、当然ながら、次は朝鮮と米国との関係改善に期待を寄せたい。(相)


第5回東京コリアラグビーフェスティバル

2015-04-17 09:00:00 | (瑛)のブログ


ラグビーをこよなく愛する同胞ラガーマンたちが、後輩たちの成長を応援しようと4月12日、第5回東京コリアラグビーフェスティバルを開催。晴天の空のもと、東京朝鮮中高級学校グラウンドには小学生から大学、社会人のラガーマン約600人が集まった。

 イベントを主催したのは、東京朝鮮中高級学校闘球部後援会、東京中高闘球部父母会・父母OB会、在日本朝鮮人闘球協会、在日本朝鮮人東京闘球協会。今年創部40周年を迎える東京朝高ラグビーを応援し、悲願の「花園出場」を引き寄せようという思いが込められた手作りのイベントだ。

 同校出身で昨年東芝ブレイブルーパスに入団した李聖彰選手の他、18人の日本人プロ選手も集結。東芝ブレイブルーパスから5人、サントリーサンゴリアスから14人のトップリーガーたちが参加し、ALL OUT INTERNATIONAL vs 練馬クラブの試合やサッカー教室を開き、鮮やかなプレーで会場を盛りあげていた。

 李選手に誘われ、二つ返事で快諾したという元日本代表の吉田朋生選手は、「2019年のワールドカップに向けて、ラグビーをもっと広めたい。誘っていただいたらまた来ます」と笑顔。「東海大仰星高校時代に大阪朝高と対戦した思い出といえば、一人ひとりのスキルが高く手を抜けなかったこと。このようなすばらしいイベントを初めて知ったが、参加できてうれしい」と話す。吉田選手、試合後はチームメイトたちと七輪を囲んで楽しそうだった。



東京朝高ラグビー部キャプテンの文陽善さん(高3)は、プロ選手の指導について、「まず体が違った。基本を大事にする、という点は学生とプロも一緒だが、基本を極めようとする意識が違う」と刺激を受けた様子だった。また、対慶応高校戦で白星を挙げたことを「勝てて嬉しい。来週から春季大会の予選が始まるので、1ヵ月前からこの試合に勝つことを目指してきました」。

 試合後には父母会手作りの朝鮮料理を囲み、東京朝高と慶応高校の生徒たちが交流。保護者たちは山のようなから揚げやキムチを用意し、生徒たちを歓待した。



 この間、東京では小学生向けの高麗Jr、国籍、出自を問わないALL OUT INTERNATIONAL、東京第1アボジラグビー部などが生まれ、草の根レベルでラグビーを楽しむ人たちが増えている。裾野の広がりを見せるように、フェスタでは小学生から青年、中年と幅広い層のラガーマンたちが対戦。東京闘球団・高麗vs駒場WMM(19―34)、高麗Jr.vs練馬ラグビースクール(6-11)、東京第1アボジラグビー部vs神奈川闘球団・凱旋(タッチゲーム)の試合に続き、午後には、東京朝高 vs 慶応義塾高等学校(36―15)、東京朝中vs明武小東連合(公式戦、14―0)、朝鮮大学校vsくるみクラブ(60―0)の試合が続いた。

 在日ラグビーの歴史を象徴していたのは、朝大ラグビー部とくるみクラブの対戦だ。

 くるみクラブ創立者の桑原寛樹さん(88)は、「在日ラグビー界の父」と言われる故・全源治さんとの思い出を88歳と思えぬ記憶力で淡々と話してくれた。その横にいた、くるみクラブ11期生の水谷禎憲さん(66)は、「今から26年前でしょうか。朝大とくるみクラブが蔵王で一緒に合宿をしたことがあったのですが、今日その場にいたという朝大生の方が私を訪ねてくれました。世代を超えたつながり、人と人がつながる豊かさが今日のこの場にあった。このような交流を大事にしていきたいですね」と語る。

 3年前から東京朝高ラグビー部後援会会長を務める金千一さん(49)は、「始めた頃は、こんなにたくさんの人が集まる今日のような日を想像できなかった。とにかく花園に出てほしいという思いばかりが先だって…。自分自身がラグビーを通じて成長させてもらい、数々の出会いに助けられてきたように、試合に勝った日も負けた日も、学生たちの成長を応援し、ラグビーの経験を生きる糧にしてほしいと思うようになった」としみじみ語っていた。

「皆でひとつになってぶち当たっていく、壁を越えていくことにラグビーの魅力がある。これからも、ラグビーの可能性にかけていきます」と力強く語るのは、イベント成功をけん引した東京中高ラグビー後援会の申ハンソル幹事長(37)だ。

 ラグビーをこよなく愛する同校卒業生たちが作り上げたイベントは大盛況で、朝高グラウンドには、ラガーマンの闘志とともに、笑い声や声援があふれていた。(瑛、写真=盧琴順・朝鮮新報)

休日の今昔

2015-04-16 09:00:00 | (K)のブログ


 三十数年前、某編集部で働き始めたとき、休日が少なかった。なぜなら、その当時は、日本の祝日は基本的に休まなかったからだ。そして、日曜日には行事や取材が入ることがけっこうあったので、本当に休みが少なかった。
 盆休み、正月休み以外の当時の休みを挙げてみると、
―4月15日
―5月25日
―9月9日
―10月10日
 記憶があいまいなので上に挙げた4日以外にあったかも知れないが、間違っていても許してもらいたい。

 この4日プラス、ゴールデンウィークの5月1日、3日、5日で、5月1日はメーデー、5日は祖国光復会創立記念日という名目だった(今もそうか)。3日は何の名目で休みだったのか、ゴールデンウィークにするために仕方がないから休んでいたという感じだった。だから、カレンダーによっては、跳び跳びで休むという年もあって、悲しかったことを覚えている。
 今はゴールデンウイークは基本的に日本の暦どおりに休む。だから、メーデーの日は休まない。昔は日本の労働者もメーデーは仕事せず、集会などに参加する人が多かったようだ。個人的に、メーデーは休めばよいと思っている。ちなみに「週休二日」というのもまったくなく、銀行も土曜日に営業していた。

 それはさておき、昔は朝鮮学校も日本の祝日を休まなかったので、初級学校の子どもたちが、例えば秋分の日などにランドセルを背負って登校している姿を見ると可愛そうに思えたものだ。

 日本の祝日も休むようになったのはいつからだろうか、あまり記憶にないのだが、20年以上前だと思う。日本の祝日でも休まない日はあるのだが、日本の祝日と朝鮮の祝日の両方を休むようになり、ずいぶんとお得感が増えた。さらに、昔は2月16日、旧正月、秋夕は休みではなかったのに、いつの間にか休みになったので、さらに休みが増えた。
 朝鮮学校の子どもたちが日本の祝日に学校に通わなくなって、いろんな意味でよかったと思う。

 昨日は4月15日で休みだった。日本社会が休みでないときに、こちらだけ休むのは非常に気持ちがいい。休日混んでいる人気スポットにも、比較的ゆったりと行けたりする。今はあまり聞かないが、こちらだけの休みに東京ディズニーランドに行くと、同胞カップルがたくさん目撃されたという。私には無縁だったけれど。
 昨日の休みは、おかげさまで有意義にゆっくりと休むことができた。(k)

水上お散歩!

2015-04-14 09:00:00 | (麗)のブログ
先日、両親が東京に来たので、浅草の水上バス「隅田川ライン」に乗り、家族水入らずで東京を楽しんできました。
「隅田川ライン」は、浅草~浜離宮間を約40分ほどで移動するので、川沿いに咲く桜や情緒ある町並みをゆっくりと眺めることができます。


この日はあいにくの雨でしたが、水上バスなら濡れずに済むので安心です^^

両親が大阪に帰る前に、「うえの桜まつり」が行われていた上野公園をぶらり散歩をすることに。桜まつりはこの日が最終日でした。

連日の雨から一転、快晴だったこの日、多くの観光客で賑わいを見せていました。
残念ながら桜並木はほとんど緑になっていましたが、これもこれで情緒があります。


そして、不忍池のボート乗り場で、いい年をした大人三人でスワンボートに乗りました。
両親は両サイドでペダルを漕ぎ、私は真ん中で舵を取る役を。
時間は30分たっぷりとあったので、池の周りに咲く花や緑を楽しんだり、優雅に泳ぐ鳥を眺めたり、
二人に「昔、デートでボート乗ったことあるん?」と若かりし頃のエピソードを聞き出したりしていました。笑

今回何よりも嬉しかったのが、父が誰よりも一番楽しんでいたこと。
父は2年ぶりに東京に遊びに来たためか、心の底から三人での東京見物を楽しんでいるように見えました。
両親の喜ぶ姿が見られれば、それだけで満足です。


休日は家にこもりっきりなので、今回は想像以上に体にガタが来ていました。
当分は外には出歩かないでしょう…。笑(麗)

20年

2015-04-13 09:00:00 | (理)のブログ


 2015年は○○周年が多い年です。創立60周年や70周年を迎える朝鮮学校もありますね。そんな中、障害のある子どもを持つ保護者同士の交流を目的に発足された「ムジゲ会」も20周年を迎えます。今年はじめには、それに際して記念誌が作成されました。題名は、「子ども・家族―つながりあう優しいトンポトンネを目指して」―20年の歩み―。

 内容はイオ5月号でも詳しく取り上げますが、ここでは冊子に込めた申桃順会長の思いを引用します。

「この間に同胞社会での障害者に対する理解が大きく進んだ。何よりも当事者家族が声を上げられるようになったことに、活動を続けてきた意味があった。同じ境遇にいるみんなが強くはなれないかもしれないけど、仲間がいると知ることができるのは心強い。それでもまだ出てこられない人に、この記念誌が届けばいいと思う」

 記念誌は1冊500円。ムジゲ会・在日同胞福祉連絡会への問合せで申込みが可能です。メール、FAXに必要事項(名前、所属団体、必要部数、発送先住所、電話番号)を明記し、必要部数の料金と送料(5部まで164円)を郵便振替口座に振り込めば記念誌が送られます。なお、障害のある同胞とその家族には記念誌が贈呈されるようです。こちらも在日同胞福祉連絡会へ連絡を。(理)

●記念誌の問い合せ、購入はムジゲ会・在日同胞福祉連絡会まで。
Tel/Fax:03-3221-5918、Email:tonpohukusi@yahoo.co.jp
寄付金振込先:在日同胞福祉連絡会(ザイニチドウホウフクシレンラクカイ)
郵便振替口座:飯田橋郵便局 00150-0-512428
他銀行:ゆうちょ銀行 〇一九店 普通預金 512428

カフェでの偶然

2015-04-10 09:57:50 | (愛)のブログ
先日、自由が丘のカフェに取材でお邪魔すると、偶然!普段は西のほうにすんでいる友人にバッタリ会うことができました!
なんでも実家のほうに少し帰ってきてて、今日は雨でどこにも出掛けられなかったので、子どもたちとキッズスペースのあるこのカフェに来たとのこと。

そのカフェは元々その友人を通して、知ることができた場所でしたが、まさかこんな偶然が重なるとは驚きでした~
カフェではこんな偶然の出会いがあるのですね♪

そのカフェについては、イオ5月号が無事でてから、またブログで詳しく紹介したいと思います♪

今回特別企画では様々なカフェを紹介しています。
私も2ヶ所取材に行けましたが、写真をみると、どれもその店なりの持ち味があり、1度、2度と訪れてみたいと思いました!
巻末には、カフェでほっと一息ついて読めるような短編小説も掲載しています!
ぜひ、読んでみてください。
今日はイオ5月号の〆切日。
今日1日を無事乗りきれるよう気を抜かず頑張ります!
イオ5月号は4月20日発行予定です! (愛)

スタート!

2015-04-09 09:00:00 | (S)のブログ
ちょうど大学を卒業して1か月、入社してから2週間がたちました。なかなか卒業を実感できないまま「春休み」を過ごし、入社したらさすがに実感が沸くのだろうと思っていましたがそうでもなく、やっと実感したのは数日前の何気ない瞬間でした。

大学で生活指導をした後輩から、「ついに始まりました!」といって新しく入寮してきた1年生との写真が送られてきました。写真からは入寮ほやほやの1年生以上に、今から生活指導を始める「先輩」のドキドキ感が伝わってきます。

大学ではすでに新しい1年がスタートしていました。写真越しにその様子を見ながら「もう戻れないのかぁ…」とようやく卒業を実感。

私はというと、「新しい」を通り越してもう現実じゃないような気がしています。つまり「新し過ぎる」わけです。毎日が、いや1分1秒が「新しい」の連続です。

卒業後ちょくちょく連絡をとっている大学の親友と、先日ラインでこんなやり取りをしました。

親友「そっちはどう?たいぶ慣れた?」
私「今日先輩の取材に着いていった!自由が丘にある同胞がやってるカフェの取材!」
親友「それって、もしかしてここ?!」
えっ!知ってたの?と驚きましたが、写真も見ると取材で行ったカフェではありませんでした。
私「ここも同胞がやってるの??」
親友「そうそう!オモニの昔の同僚が去年オープンしたから行ったことある!」
 …

取材を通して「こんなところにも同胞がいるんだな~」と感心していましたが、友人の話を聞いて改めて、自分が知らない同胞が身近にたくさんいると思いました。親戚や友人関係をたどったら、同胞社会は本当に狭いなとよく感じます。でもその枠を遥かに超えたところにもきっと同胞がいるはず…もしかしたら思ったより広いかも知れません。

これから取材でいろんな人たちに会うと思います。きっと日々発見だらけだと思います。楽しみでもありますが、その発見を私だけのものじゃなくて日本全国の同胞や日本の方々のものにしなくてはいけない、そのために私が発信しなくてはいけないと考えると、責任重大です。(S)