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日刊イオ

月刊イオがおくる日刊編集後記

「3.1節100周年記念 民族の自主と平和、統一のための海外同胞大会」

2019-02-28 10:00:00 | (理)のブログ

 昨日、ついに朝米首脳会談が始まった。それに先立つ形で、2月26日に「3.1節100周年記念 民族の自主と平和、統一のための海外同胞大会」が赤羽会館で行われた。6.15共同宣言実践日本地域委員会が主管したものだ。



 行事には南や海外からも代表が参加し、歴史の節目を記念するとともに新しい時代への期待と決意を共有した。日本政府の制裁によって参加が叶わなかった北側からは連帯のメッセージが送られた。
 「歴史的なあの日から1世紀が経ちましたが、私たちは未だ先烈たちの念願であった完全な自主独立を果たせておらず、70年以上も分断と敵対の痛みの中で暮らしています。もうこれいじょう民族分断の悲劇が続いてはならず、我が民族同士ちからを合わせて自主統一を果たし、全民族の力で外勢によって強要された受難の痛みを消し去り、平和と繁栄の大路を開いていかなければなりません」…

 続いて総聯の許宗萬議長が登壇し、「今日のこの大会は、民族史に開かれる新しい時代の呼び声に応答し、歴史的な北南共同宣言の履行のため我が海外同胞たちの統一運動をさらに高い段階に発展させることにおいて重要な契機になるだろう」とのべた。

 また、南側の代表らも連帯のあいさつに立った。



 6.15共同宣言実践南側委員会のリ・チャンボク常任代表議長も「南北間で交わされたすべての協定をすべて履行することができるよう、私たちが協力しともに働きかけていこう」と呼びかけた。



 民族和解協力汎国民協議会のキム・ホンゴル代表常任議長は、在日朝鮮人の民族教育や日本との歴史的な問題について言及し、翌日に控えた朝米首脳会談についても触れながら「我が民族はこれまで、数多くの困難を克服してきました。これから開かれる変化の時代において、初めて進む道だと怯え、躊躇する人々もいるが、果敢に前に進んでいこう。その道の上で私たちは一つです」と話した。



 また、더불어 민주당(ともに民主党)のリ・ジョンゴル国会議員は「100年前、私たちの先輩方は独立宣言を発表した。その時は南と北がなかった。この間、戦争の脅威を感じながら生きてきた私たちだが、今こそ手をつなぎ、完全な自主統一を実現するための土台を作っていこう」と力を込めた。

 その後、大会の報告と海外同胞・在日同胞の各界各層代表による演説があった。



↑6.15共同宣言実践米国委員会のシン・ピリョン代表委員長



↑6.15共同宣言実践中南米地域委員会のチョン・ガッパン常任代表



↑6.15共同宣言実践ヨーロッパ地域委員会のソン・ギョンソク常任共同代表



↑在日韓国民主女性会のキム・ジヨン会長



↑東京朝鮮中高級学校 高級部2年生のピョン・スンジュンさん



↑平和統一協会のリ・ドンジェ会長

 最後に、海外同胞大会の参加者らの思いを集めて決意文が採択され、
1.民族自主、民族自決の原則、「我が民族同士」の立場を固守し、民族共同の新しい統一里程標である歴史的な板門店宣言と9月平壌共同宣言を履行するための運動を積極的に展開していく
2.南北の同胞たちとともに、朝鮮半島の平和の主人であるという自覚を持ち、外勢による干渉や対立構造の助長を断罪糾弾し、朝鮮半島の平和実現を要求する多様な運動を積極的に展開していく
3.すべての海外同胞たちを統一運動に携わる一員とし、民族の和解と団結を深め、南北間の協力と交流を全面的に拡大・強化していくため特色ある取り組みをしていく
4.祖国統一に向けて進む南北関係の改善と、平和と繁栄の絶好の機会を逃すことなく、自主統一のための望ましい法案を模索し、これを実現するまで力強くたたかっていく
5.日本当局が朝鮮民族に犯したすべての悪について謝罪し清算するときまで、力強くたたかっていく

の5つの課題が共有された。















 第2部の文化公演にはさまざまなアーティストが登場し、統一への希望を感じさせる明るい演目を披露した。(理)


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耳障りな「させていただく」

2019-02-27 10:00:00 | (相)のブログ
 先日、某所で行われた集会に参加したときのこと。

 冒頭、司会者が登場して開会を宣言。続いて自己紹介を行った。
 「ただいまより、○○○を始めさせていただきます」
 「本日、司会を務めさせていただく×××と申します」

 ああ、また「『させていただく』症候群」の人か、とのっけから脱力してしまった。
 
 これまで各所でしつこいくらい指摘されてきたことだが、「させていただく」にも正しい用法と間違った用法がある。
 文化庁の見解によると、
 他者の許可を得たうえで、自分が行うことについて、その恩恵を受けることに対して敬意を払っている場合に使うのが正しい用法だという。ひらたく言うと、
 ・相手の許可を受けているかどうか
 ・その行為によって恩恵を受けるのかどうか
 がポイントとなる。
 上記のケースについていうと、開会すること、司会を務めることについて司会者が誰かの許可を得ており、その行為によって自身が恩恵を受けていることが強調されるのだが…
 はっきりいって、そんなことは集会の参加者からするとどうでもいい。
 シンプルに、
 「ただいまより、○○○を始めます」
 「本日、司会を務める〇〇と申します」。
 で十分だろう。
 何でも「させていただく」をつければ敬語っぽく聞こえるのかもしれないが、適切ではない場面で「させていただく」を多用されると、冗長かつ耳障りで、「うるさい」のだ。
 くだんの司会者本人の日本語運用能力の問題といえばそれまでだが、やたらと「させていただく」を使う政治家や芸能人、あるいは彼、彼女らの発言を音声で伝えるテレビメディアの影響も大きいのかもしれない。

 まあ、偉そうに言っているが、ひるがえって、私はどうだろうか。
 活字メディアの編集に携わる人間として、正しい文章、他者の手本になるような文章を書いているだろうか。安易な紋切り型の表現を多用してはいないだろうか―。(相)
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第2回朝米首脳会談をひかえ今日、3.1節100周年記念大会

2019-02-26 09:10:56 | (K)のブログ


 朝鮮中央通信は24日、ベトナムのハノイで始まる第2回朝米首脳会談のために金正恩委員長が23日に平壌を列車で出発したことを伝えた。
 いよいよ明日から朝米首脳会談が始まる。会談でどのようなことが話し合われるのか。昨年6月の第1回会談を踏まえて、朝米関係においてさらに進んだことが決められるものと思われる。現在、休戦状態にある朝鮮戦争に何らかの変化がもたらされるのか。韓国の聯合ニュースは昨日、「米朝首脳会談で「終戦合意の可能性」」https://jp.yna.co.kr/view/AJP20190225002800882と伝えているが、どうなるのか。期待したい。
 両首脳は今日、ハノイ入りすると報道されている。引き続き報道を待ちたい。

 さて、今日26日の午後6時から、東京の赤羽会館で「3・1節100周年記念 民族の自主と平和、統一のための海外同胞大会」(主管:6・15共同宣言実践日本地域委員会)が開かれる。
 韓国、日本、米国、カナダ、ヨーロッパなどから代表が参加する予定だ。朝鮮民主主義人民共和国の代表は日本の制裁措置により参加できないが、連帯のメッセージが寄せられることになっている。

 3・1節100周年をこのように大々的に記念することができるのも、昨年からの北南関係の進展のおかげである。今日の集会には私も参加するが、朝米首脳会談の前夜祭として盛り上がること間違いない。集会の第2部では文化公演が行われるが、劇団トルのきむきがんさんも出演する予定で、それも楽しみだ。

 心はすでに明日からの朝米首脳会談のことでいっぱいだし、始まる前の今の段階で何も具体的なことが書けないのがもどかしい。こういうタイミングでブログの順番が回ってくるのが一番困るのだ。今日の夜の集会で、世界に散らばり暮らす海外同胞たちの朝米首脳会談に対する生の声をたくさん聞きたいと思う。(k)
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黙認は差別につながる― 埼玉朝鮮学校への補助金支給を求め、浦和で「2.22集会」

2019-02-25 10:22:47 | (全)のブログ

 「朝鮮学園を支援する全国ネットワーク」は、文部科学省が就学支援金の対象から朝鮮学校を外すことを目的として無償化法の省令改悪を行った(13年2月20日)2月を「全国行動月間」と定め、毎年日本各地に連帯行動を求めています。
 
 この連帯行動の一環として、埼玉でも2月22日に、浦和コミュニティーセンター第15集会室で、「埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める2.22集会」が行われました。

 2011年3月、埼玉県は2010年度の埼玉朝鮮初中級学校への補助金支給の停止を決めました。補助金不支給は現在も続いており、埼玉県では、「外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉」「誰もが共に生きる埼玉県を目指し、埼玉朝鮮学校への補助金支給を求める有志の会」など日本市民による支援団体、同校保護者や同胞たちが補助金支給を求める要請活動を行っています。

 集会では、まず、主催者を代表して斎藤紀代美さん(外国人学校・民族学校の制度的保障を実現するネットワーク埼玉)があいさつしました。斎藤さんは朝鮮学校が設立された歴史、埼玉朝鮮学校の補助金不支給をめぐる経緯について話しながら、「黙認は、差別につながります。朝鮮学校の歴史を知り、理解を深めることで知事に声を届けましょう」と支援を呼びかけました。


 続いて、東京大学大学院の高橋哲哉教授による講演「民族差別の根源を問う」が行われました。
高橋教授は2012年に発足した安倍政権の長期化は、民主主義と自由、平和、人権保障を求める流れに大きな後退をもたらしたと指摘しました。また、「拉致」「総聯との関係」といった政治的理由での朝鮮学校排除は人権侵害、権利侵害に値するとのべ、「この現状をこれ以上放置することはできない。多くの日本市民が現状について知らず、無関心だ。可能な限り、この状況を日本社会に周知させて変化をもたらさなければならない」と話しました。
 高橋さんは「民族差別の根源は、日本の植民地主義にある。日本は過去の植民地主義を克服できず今日に至る。朝鮮学校に対する日本政府の対応は植民地主義の継続にほかならない」としながら、「日本社会が朝鮮学校を正しく理解し、植民地主義を背景とした朝鮮学校の差別是正を求めて努力しましょう」と呼びかけました。

 集会には、保護者、地域同胞、日本市民など110人を超える人たちが参加しました。高橋教授の講演は分かりやすい内容でした。なによりも、集会では埼玉補助金問題は、日本社会の問題であるととらえ、発言、質疑応答、支援を呼びかける日本市民の姿が印象的でした。

集会に先立って同ネット主催の「埼玉朝鮮学校補助金支給」を求めるアクション・街頭宣伝が埼玉県庁の前で行われました。(全)
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続・新しい住人…?

2019-02-22 09:52:07 | (麗)のブログ
先日、家の階段に住み着く野良猫の話を書いた。

最近は階段に座っている頻度はグッと減ったものの、
近所の家の玄関前に座っていたり、だだっ広い空き地を我が物顔のように占領している。

今朝も空き地の遠くの方を見つめていると、いた!
今日は黒猫の方だった。
この子は横を通るとニャーと鳴き、近付いて体をスリスリ擦り付けてくる。

今日は遠くの方にいるにも関わらず、ニャーと何度か鳴いていた。

猫は本来、人に対してだけ鳴くという。
いわば挨拶みたいなもので、大人の猫同士では基本的に鳴かないと、どこかのネット記事で見たことがある。

あの猫たちは私に話しかけているのか…。
何だか嬉しい気持ちになった。


今度元気に鳴いていたら、手を振ってみようと思う。(麗)


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ハムケヘヨコンサートin 北九州、大成功!

2019-02-21 09:30:00 | (理)のブログ

 「ハムケヘヨコンサートin北九州―いいね朝鮮学校! 釜山・北九州・筑豊・福岡・山口の友情と絆―」が2月9日、北九州国際会議場で行われ、日本市民と南の同胞、朝鮮学校保護者など約600人が観覧しました。朝鮮学校を支援する日本と南の市民団体(「福岡県朝鮮学校を支援する会」「福岡地区朝鮮学校を支援する会」「筑豊地区朝鮮学校を支援する会」「朝鮮学校を支える会・北九州」「朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク」「朝鮮学校と共にする市民の会(釜山)」)が共催して実現したコンサートです。

 プログラムには、呼びかけを受けて参加した福岡県と山口県にある朝鮮学校の児童・生徒たちに加え、福岡朝鮮歌舞団、日本のアーティスト、またコンサートのために構成された釜山の同胞公演団による多彩な演目が並びます。



 児童たちは直前まで演目の練習に精を出していました。



 ロビーでは、九州朝鮮中高級学校のオモニ会がブースを作り、折り紙チマチョゴリ作成の協力を呼びかけていました。3月14日に行われる九州無償化裁判の判決言い渡しの際、アピールの一環として使用するものとのこと。開演まで、多くの方が参加していました。



 ついに開演。会場の照明が変わると児童たちが続々と舞台上に現れ、元気いっぱいに「가슴펴고 걸어갈래요(胸を張って歩いて行こう)」を合唱しました。第1部「朝鮮学校・子どもたちの現在(いま)!」の開幕です。オープニングから涙をぬぐう人、スマホで撮影する人、盛大に拍手をおくる人…。朝鮮学校で学ぶ子どもたちの生活を記録した映像をはじめ、続く演目にも会場中から感嘆の声とあたたかい歓声が飛びました。



 民族打楽器演奏のあと、九州朝鮮中高級学校の生徒たちが舞台へ。明るい笑顔で歌とダンスを披露しながらも、一方で朝鮮学校が受けている社会的な差別問題についてまっすぐに訴えました。



 第1部が終わり休憩時間に。「とにかく素晴らしくて、拍手のしすぎで手が痛い」と笑うのは地元に暮らす74歳の日本人女性。市の施設に置かれたチラシでコンサートのことを知り、友人を連れて訪れたといいます。朝鮮学校を知っていたかとの問いに、「全然知らなかった」。「日本で生まれて日本で育ったのになんで差別するんやろ」と首をかしげていました。
 また、朝鮮学校を「北朝鮮の人たちが行く学校だと思っていた」60代の日本人女性たちも、児童・生徒たちの姿が「明るくて元気でよかった」と感想を言い合っていました。「交流の機会があるならもっとアピールしていってほしい」。共通していたのは、学校や子どもたちのことを具体的に知りたいという反応です。



 「朝鮮学校を支える会・北九州」の事務局長を務める瑞木実さん(69)は、「これまで朝鮮学校を支援していた人たちの、もうひとつ周囲に手を広げたかった」と話します。一般の人々にも伝わりやすい表現を選び、仲間たちと準備・広報に励んできました。その結果、北九州市、同市教育委員会、福岡市、下関市のほか4つの新聞社とテレビ局からの後援を獲得するという画期的な進展がありました。



 「朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク」の内岡貞雄さん(73)もそのことを喜びつつ、「圧倒的マジョリティの日本市民にどう伝えるか。初めての人を呼ぶのは難しいし時間もかかるが、ここで終わらないことが大切だ」と継続する課題を挙げました。



 「朝鮮学校・子どもたちの未来へ!」と題された第2部には、釜山同胞公演団と福岡朝鮮歌舞団、そして10年以上にわたって歌舞団と交流を続けている日本の和太鼓チーム「志免飛龍太鼓」が出演。パンソリ、現代舞踊、民族器楽、農楽、民族舞踊と、迫力ある演目の数々で観客を魅了しました。



 中でも盛り上がったのが「뱃노래 소란(ペンノレソーラン)」。日本と朝鮮半島の友好を願い、朝鮮民謡のペンノレ(舟歌)をソーラン節で表現したオリジナル作品です。歌舞団の歌に合わせて和太鼓、チャンゴの力強い振動が響き、それぞれの文化がみごとに調和していました。フィナーレでは1、2部の出演者全員で統一列車をつくり、手を取り合って未来を開いていこうとの願いを観客に伝えました。



 同日夜に持たれた懇親会にはコンサートを準備した方々が集まり、今回の出会いを通じて得た経験や思いをそれぞれに共有しました。



 「子どもたちを励ましに来たのに、むしろ自分がエネルギーをもらった」と微笑むのは、現代舞踊「나비춤(蝶の踊り)」を披露したパク・ジェヒョンさん(39)。作品の中で何度も潰れ、消えてしまっても再び生まれてくる蝶は「民族」を表しているといいます。「日本政府に存在を否定されながらも学校や民族を守っているのはすごい。自分がもし同じ立場だったら、果たしてそういられたか…」。実際に出会った朝鮮学校の子どもたちを思いながら本番に臨んだそう。

 釜山広域市議会・経済文化委員会のキム・ブミン委員長(43)は、「在日同胞、南の同胞、そして日本の人たちが同じ場所に集まり朝鮮学校のことを伝えるため行動した。とても大きな意義がある。この取り組みが人々の融和のきっかけになれば」と呼びかけました。

 北九州市議会の福島司議員(67)は、「文化に国境はないことを肌で感じた。自分も長い間、門司で在日の人々と生活してきた。高校無償化適用のためだけでなく、地域の中での“普段着”の交流が進むよう努力していきたい」とのべました。

 コンサートの舞台監督を担当したペ・ソンシクさん(48)が釜山での朝鮮学校支援に参加し始めたのは数年前のこと。映像や写真、記事などを通して朝鮮学校を知る努力を続けてきたといいます。「子どもたちに会ったのは初めて。存在を知っているだけなのと直接話すのとでは全然ちがうと実感した。コンサートも涙が出て…。今日の出会いを南の同胞たちにももっと知らせてあげたい」。

 福岡朝鮮歌舞団の歌手・金潤基さん(29)は、「一番伝えたかったテーマは『一緒に生きていこう』。これからやっていくべきは、お互いのいい所を持ちよって、一つの思いを届けることだ」と話していました。



 また、南の同胞が日本の支援者に駆け寄って話している言葉を、在日同胞が通訳して伝える場面も。懇親会の会場にはそのような輪がいくつもできていました。「言葉の壁はあるけど、なんとか半年間でコンサートを上げ成功させることができた。思いが同じ方向にむいたら話が進む。民間の交流が先行すれば情勢もついてくるはずだ」(瑞木実さん)。



 懇親会では最後に再び大きな統一列車がつくられ、言葉と距離を越えた友情が確認されました。高校無償化問題についても改めて共有され、次の目標や課題に向けての大きなパワーが生まれた場になったと感じました。

 最後にお知らせを。上でも書きましたが、九州無償化裁判の判決がついに3月14日(木)に言い渡されます。日本各地5ヵ所で行われている無償化裁判のうち最後の地裁判決になります。無償化弁護団は提訴時、問題の本質を「在日朝鮮人社会に対する日本社会の差別・偏見が典型的に表れた事案である」と訴え、当事者や支援者たちと5年以上におよぶ裁判闘争を繰り広げてきました。裁判所に対し、偏見にとらわれず公正な判決を下すよう強く求めています。
 判決当日は県内はもちろん、各地域からもたくさんの方が駆けつけるそうです。社会的にも多くの関心が集まることを願います。(理)



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6年目の2・20と、5回目の国連勧告

2019-02-20 08:00:00 | (瑛)のブログ


 国連・子どもの権利委員会は2月7日、スイスのジュネーブで記者会見し、1月16日・17日にかけて行われた対日審査の結果として、総括所見(CRC/C/JPN/CO/4-5)を公表した。このなかで子どもの権利委員会は、日本政府に対し、「39.(c) 『〔高校〕授業料無償化制度』の朝鮮学校への適用を促進するために基準を見直すとともに、大学・短期大学入試へのアクセスに関して差別が行なわれないことを確保すること」を勧告した。

詳しくは現地で対日審査を傍聴した宋恵淑さん(在日本朝鮮人人権協会)の解説を参照されたい。
 http://chosonsinbo.com/jp/2019/02/csg0218/
 「朝鮮学校適用への「基準の見直し」を/子どもの権利委員会、日本政府に対し朝鮮学校への「高校無償化」制度の適用を勧告」

 2010年4月に無償化制度からの朝鮮学校除外が始まって約9年。この間、国連人権条約審査委員会から計5回の勧告が出ているにもかかわらず、日本政府はこれを無視し続けている。

 今日は2月20日。

 6年前の13年2月20日、12年末の総選挙で圧勝した自民党政権下で新たに就任した同党の下村博文文科大臣は、「拉致問題の進展がない」「国民の理解を得られない」と言い、朝鮮高校を就学支援金の対象に指定するために作られた決まり―「規定ハ」を削除するという暴挙に出た。

 国が「規定ハ」をなくし、朝高を不指定にしたことで、朝鮮高校は「規定ハ」が復活しないかぎり、就学支援金の対象から永久的に対象外にされることになった。就学支援金を支給するための法律は「すべての子どもたちを対象に」と定めているのに、国は法律に反し、朝鮮高校生の学ぶ権利を奪ったのだ。

2010年から17年まで支給されなかった朝鮮高校の生徒は日本全国で5000人以上、本来支給されるべきだった支援金は概算で17億8200万円に達する。

 この4月には、就学支援金制度から朝鮮高校が排除されてついに10年目になる。

 当時小学校1年生だった子どもが高校に入学するほど、長い年月がたってしまった。この9年間は、子どもたちにとって「二度と取り戻せない」月日だ。一人ひとりの子どもに降りかかった差別の「傷」…。また、国から狙い撃ちの差別を受けていることにより、朝鮮学校を遠ざける人たちがどれほど増えてしまっただろうかと思うと、権力による差別の酷さを感じざるをえない。


 しかし、民族教育の権利を求める闘いは、いつの日も、立ち止まることなく続けられてきた。前述した5回にわたる国連勧告も、闘って勝ちとったものだ。そして、今年も「2・20全国行動」と題して、日本各地で差別なき高校無償化の実現を求めるアクションが年始の1月から各地で行われている。



 本日2月20日(水)、東京・御茶ノ水の連合会館では、高賛侑さん制作のドキュメンタリー映画「アイの学校」上映会が開かれる(19時から、映画は99分)。関東圏では初の上映だ。



 22日には埼玉県で補助金再支給を求める要請活動と講演会が開かれるなど、その地域が抱える課題にあわせて、子どもたちの学ぶ権利を求める活動が繰り広げられている。寒空のなか、日本市民、保護者、そして生徒たちが、心からの叫びを、街の人たちに届けている。(上記資料参照)

 沖縄の基地問題にデータの改ざん…。この国の政治、行政の有様は散々だ。無償化裁判もしかり。しかし、自らが作った法律の理念をかなぐりすて、時の為政者(政治家ではなく政治屋)が都合よくそれをなくしてしまう(それも、いじめまがいのやり方で)、バカげたことがいつまでも続くとは到底思えない。6年目の「2月20日」を刻みながら、その思いを新たにしている。(瑛)
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国側の書面は「ゼロ解答」、裁判は続く―広島無償化裁判控訴審第4回口頭弁論

2019-02-19 10:00:00 | (相)のブログ
 

 広島朝鮮学園と広島朝鮮初中高級学校高級部の卒業生らが国に対し、同校を高校無償化・就学支援金支給制度の対象に指定しなかった処分の取り消しなどを求めた裁判の控訴審第4回口頭弁論が2月12日、広島高等裁判所(三木昌之裁判長)で行われた。

 今回、裁判の傍聴取材はできなかったが、広島朝鮮学園側から提供されたレポートと資料に基づき、この場を借りて第4回期日の内容について簡単に報告したい(写真提供も広島朝鮮学園)。
 
 前回の控訴人側(朝鮮学園、卒業生)の求釈明申立に対して、今回、被控訴人側(国)から第3準備書面が提出された。求釈明は、なぜ不指定処分と規定ハ削除が同日に行われたのか、なぜ審査会の審査の結論を待たずに不指定処分の決定を下したのか、など7項目にわたる。しかし、被控訴人側が提出した書面の内容は実質「ゼロ解答」だった。

 控訴人側代理人は第7準備書面と意見書、証人尋問に立つ原告の陳述書などを提出し、意見陳述を行った。控訴人側代理人は国側の書面に誠意がないことを訴え、これ以上釈明がなされないのであれば、前川喜平・前文部科学事務次官の証人尋問に応じるよう求めた。第7準備書面は、控訴人側が入手した無償化法制定にあたって文部科学省が作成した法律案の想定問答集の内容に基づいたもので、▼「高等学校の課程に類する課程」には、不当な支配や財政運営の適正の観点は含まれないこと、▼不正受給防止については、「高等学校の課程に類する課程」の判断枠組みで解決すべき問題ではなく、他の規定による解決が想定されていたこと、など想定問答集の解釈が原告(朝鮮学園、卒業生)の主張と一致することなどを主張している。

 裁判官は3月末までに国側に控訴人側の準備書面、意見書に対する反論を新たに求め、学園側には朝鮮学校と総聯、つまり民族学校と民族団体との関係を具体的に陳述するように求めた。

 口頭弁論終了後、弁護士会館で2.20全国行動月間広島集会が約140人の参加の下で開かれた。集会では日朝友好広島県民の会の代表からあいさつがあった後、弁護団から第4回期日の報告、広島朝鮮初中高級学校の学校長から無償化除外問題の経緯と裁判概要報告、1月にジュネーブで開かれた国連子どもの権利委員会の会期中に行われた子どもの権利条約の日本政府報告書審査に合わせて現地を訪問し、ロビー活動を行ってきた同校オモニ会会長による報告などがあった。

 次回、控訴審第5回口頭弁論は4月23日、14時から広島高裁で行われる。証人尋問は第6回期日以降に行われる。(相)
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校閲という仕事

2019-02-18 09:52:28 | (K)のブログ
 けっこう前になりますが、毎日新聞校閲グループが出している「校閲記者の目」(写真、毎日新聞出版)という本を読みました。副題に「あらゆるミスを見逃さないプロの技術」とあります。新聞の校閲というのがどのように行われているのか、今の仕事との関係もあり手に取りました。
 「はじめに」の中で、次のように書かれています。「読者にとって、新聞が使っている字は正しいはずですし、内容に間違いがなくて当たり前のことと思います。校閲は、その当たり前のことを、ひたすら守る仕事です」。読んでみると、校閲にまつわるさまざまなことが実践的に書かれてあり勉強になりました。新聞社の校閲担当者はここまでこだわって日々仕事をしているのかという発見もいろいろとありました。非常に面白かった。

 出版物には誤字・脱字などさまざまな間違いが必ずと言っていいほど出てきます。月刊イオを作る過程でも、校閲は非常に大事な作業として取り組んでいます。しかし、間違いを根絶することができません。
 本の中に、練習問題的なもので、「トランプ米大統領の勝利「号外」をチェック」というページがあり、「校閲体験」ができるようになっています。私もやってみましたが、いくつかの間違いは発見したものの、見逃したものも多くありました。校閲をやっているとわかりますが、タイトルのような大きな文字など、まさかと思うところが間違っていることが多くあります。この本では「クリントン氏破る」のタイトルが「クリトン氏破る」になっていたり…。

 本にも指摘されていますが、校閲するときに最初から間違いがいくつあるかはわかりません。月刊イオの「まちがいはどこ?」のクイズなら、最初から間違いは10ヵ所と書かれていますが、実際の校閲のときは、間違いが1つなのか100なのかわからない状況で作業を進めます。100の間違いの中で99を発見しても、1つでも見逃してしまったら校閲としては0点だと指摘しています。
 本にはその他に、手書き・活字時代と今のワープロ時代の間違いの違いなど、体験してきた内容がたくさん出てきて興味深く読むことができました。レストランのメニューや街中の看板などの誤字の例もたくさん出てきますが、誤字が気になって仕方がないのは校閲担当者の職業病でしょう。

 来週に予定されている第2回の朝米首脳会談が無事に開かれることを、今日のこの文章に誤字・脱字などがないことを願っています。(k) 
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イオ2019年3月号が完成!

2019-02-15 10:00:00 | (全)のブログ


イオ2019年3月号が完成しました!

 特集は「『食』から見えるウリハッキョ」です。
 人間の営みと切っても切り離せない「食」。学校教育の現場でもしかりです。本特集では、「食」を切り口にウリハッキョ(朝鮮学校)を見てみました。
 「全国朝高食堂人気メニュー」や「あなたのお弁当、拝見します」「給食で支える、つながる 地域トンポたちのサポートで」など、各地の学校で運営されている食堂や、保護者・地域の同胞たち・日本人支援者らの手による給食、愛情たっぷりのお弁当を紹介します。
 ほかにも、広島朝鮮初中高級学校と四国朝鮮初中級学校を訪ね、寄宿舎の食事作りなど作り手の姿に迫った「ルポ 中四国地方の『ソウルフード』を訪ねて 広島の寄宿舎、四国の団らん」や名古屋初級の「キムチプロジェクト」、医協西日本による食育の取り組みなど、「おいしい!」「温かい!」があふれる企画です。

 特集以外の記事も豊富な内容となっています。
 1月16日~17日にスイス・ジュネーブで、国連・子どもの権利委員会による子どもの権利条約の実施状況に関する日本報告書審査が行われました。この審査に合わせて、朝鮮学校学生・オモニ代表団がジュネーブを訪れ、朝鮮学校が置かれた差別の現状について委員たちに情報提供を行いました。随行した在日本朝鮮人人権協会の宋恵淑さんが活動の詳細を報告します。

 大阪府青商会が主催した在日コリアンアカペラコンテスト「コリハモ~become one~」のようすや結果は「歌のチカラ、笑顔の輪 大阪『コリハモ~become one~』 1200人で沸く」という記事で紹介しています。

 1月28日に逝去した日本軍性奴隷制被害者であり人権運動家の金福童さん。金さんは朝鮮学校にも足を運び、力強い支援を行ってきました。18年の9月28日には、大阪府の大阪朝鮮高級学校や城北朝鮮初級学校を訪れ、児童生徒と教職員たちにエールを送りました。誌面では、高暢佑・城北初級校長のエッセイ「力と勇気を与えてくれた 金福童ハルモニを想う」ほか、人権活動家として尊敬を集めていた金福童さんを偲ぶ声を集めました。
 
 ほかにも、「李健太、プロデビュー戦で1R TKO勝利」や「夜スク☆Korea講座」「母・金紅珠に会いにいく― 金満里さん、20年ぶりに東京で『ウリ・オモニ』」など、盛りだくさんです。
 
 1月号からスタートした新連載も引き続きご注目、ご愛読ください。月刊イオは以下の定期購読フォームにてどなたでも注文することができます。
 http://www.io-web.net/subscribe/ 
1冊からのご注文も承っています。定期購読ではなく1号のみの注文の場合は、「その他伝達事項」の欄にその旨と希望号数を記入して下さい。(全)
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かわいい表紙に注目!

2019-02-14 10:00:00 | (麗)のブログ
3月号の締切も無事終え、いまはまったりモードな編集部…。明日にはイオが完成します。

日刊イオでは毎月、雑誌が完成すると表紙の画像を載せています。
今年度の表紙を担当してくださっているIm Hyangsukさんは、過去にもイオの表紙やカットを何度も手掛けてくださっています。

※Im Hyangsukさんのサイト
イラストHP
ハンディクラフトHP



毎月、表紙のラフを4枚ほど送っていただいているのですが、どれもとてもかわいく完成度が高いので、全部採用したいというのが正直なところ。
いつもテーマに沿って様々なテイストで描いてくださるので、とても楽しみにしています。

2月号では表紙だけでなく、特集「高校生と考える在日コリアンの歴史」の
トビラ(p7)と巻頭エッセイ(p8-9)にもイラストを使用させていただきました。
こちらも元々は表紙候補として描いていただいたものです。


3月号の表紙もとても可愛い仕上がりになっていますので、是非お楽しみに…!(麗)
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トンネ暮らし

2019-02-13 10:00:00 | (理)のブログ

 2月7~10日の日程で福岡に行ってきた。連載「よってって!トンポトンネ」と9日に小倉で行われた「ハムケヘヨコンサート」の取材が目的だ。ともに4月号で紹介する。
 出張の際は各地の総聯本部や支部に協力をもらうのだが(取材ネタの提供、対象へのアポ、地域の案内などなど…)、今回は八幡支部にお世話になった。数日前から支部委員長と連絡をとり、いくつかやり取りを済ませて出発日を迎えた。

 当日の早朝、携帯に一通のショートメールが。



 知らない番号からだったが、八幡支部の固定電話に何度か電話をしていたため、もしや支部委員長が表示される番号をメモしておいてくれ、なおかつ当日の運行状況まで調べてわざわざ連絡をくれた…?と感動。



 すぐさま返信するとなぜかエラーが。



 あれっ?と思ったものの、先方の携帯の設定の問題だと納得し、とりあえず北九州空港への到着を祈って飛行機に搭乗した。

 飛行機は無事に北九州空港に着陸。報告するため先ほどの番号に電話をすると、電話が通じない旨を説明する音声ガイダンスが。ここでやっと、謎の番号の主がおそらくスターフライヤージェットのものだということに気づいた。個人が操作しているのかプログラムが利用者に一斉送信しているのかは不明だが、朝っぱらからシステムに対して人間臭いメールを送ってしまった…と自身を恥じた。

 そんなこんなで八幡支部へ。今回は穴生(あのお)分会を紹介するということで、支部委員長が車でトンネを案内してくれた。この地域はむかし朝鮮があった場所で、行政による区画整理のため多くの同胞が立ち退きせざるを得なくなった。代わりに建てられた団地に同胞たちが移り住み、生活が営まれていった。その後、団地を出て周辺に家を構える同胞が増えたが、地域の至るところでトンネの名残りが見てとれる。

 

 穴生地域には朝鮮学校もあったという。名前は八幡朝鮮初級学校(1960年に落成、上の写真は62年のもの。提供=北九州朝鮮初級学校)。この時代のトンネの風景について聞くと、とてもディープな話を聞くことができた。
 例えば、むかしトンネにはいくつもの大~きな鍋があって、冠婚葬祭のときにはその鍋でたくさんの料理を作り、長屋一帯に暮らす同胞たちみんなに振る舞われたとか、団地の同胞たちが集まり、広場に大きな白い布をかけて朝鮮映画の上映会をしたとか、団地の敷地内にちょっとでも警官が立ち寄ろうものなら、同胞たち全員で囲んで威嚇したとか(立ち退きさせられた経験があるため)…。

 私が(信じられない)というような反応をしていると、支部委員長が「いまの子どもたちには、こういうトンネの思い出ってピンと来ないでしょう」と言った。「分会の新年会とか花見とか、そういう季節ごとの集まりなんかがトンネの思い出として残るんやろうね」という言葉を聞いて、なるほどなと思った。
 トンネ自体が日常だった時代に比べれば、現在は少し距離があるのだろう。しかし、いまはいまで穴生分会の20、30代~60代同胞たちによる女子会があったり、70代以上の同胞たちが定期的に小旅行とランチをしたり、先ほど書いたように季節ごとの行事では老若男女の分会同胞たちが集まったりと、環境に沿ったトンネのかたちがある。

 「トンネの思い出は世代によって変わる」という言葉は印象的だった。これからも引き続き日本各地のトンネを取材し紹介していく一方で、トンネ自体が日常だった人々の話をもっとたくさん聞いて記録しておくことも大事だなと感じた。(理)
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子どもたちの声にどう応える?/最高裁勝利をめざす「東京集会」

2019-02-12 10:00:35 | (瑛)のブログ




 「最高裁勝利をめざして!朝鮮学校の子どもたちに笑顔を!―子どもたちの声にどう応えるか― 東京朝鮮高校生無償化裁判2・2集会」が2月2日、東京都武蔵野市の武蔵野公民館で350余人の参加のもと行われた。

 東京の無償化裁判は2018年10月30日の高裁判決で原告・朝鮮学校側の敗訴となり、舞台は最高裁へ移った。司会に立った千地健太さんは「立ちあがった子どもたちに勇気を得た反面、大人の責任で解決できなかった忸怩たる思いがある。子どもたちの声をどう受けとめて取り組んでいくのかを考えるきっかけにしてほしい」と趣旨を伝えた。

 朝鮮高校生の「金曜行動」での発言を紹介した映像が流された後、発言が続いた。



 今後の裁判について報告した李春熙弁護士は、「高裁判決は朝鮮高校を就学支援金対象とする根拠規定だった『規定ハ削除』の違法性を隠すため国側の主張にのった。国が不指定処分の理由とした二つの理由が矛盾していることに論点を絞った上告理由書、上告受理申立理由書を1月29日に提出した」としながら「法律の理屈では学校が勝っている。みなさんと一緒に雰囲気を変えていく努力をしていきたい」と結んだ。



 田中宏・一橋大学名誉教授は、ポツダム宣言やカイロ宣言に明記された「朝鮮人の奴隷状態に留意する」という文言は、民族の言葉、名前を奪われた朝鮮人の歴史的な体験が奴隷状態に置かれているという国際認識があってこその言葉。戦後日本の原点だ」と指摘。スイス・ジュネーブの国連・子どもの権利条約委員会に参加した金栄愛・東京朝鮮中高級学校オモニ会直前会長は、現地で欧米に暮らす同胞と連帯し差別をアピールした手ごたえを伝えた。オモニたちからも力強い発言が続いた。 



集会を前に「東京朝鮮高校生の裁判を支援する会」の第6回年次総会が開かれ、250万円のスンリ基金が東京中高の慎吉雄校長に贈られた。

長谷川和男「『高校無償化』からの朝鮮学校排除に反対する連絡会」共同代表は、「大変な思いをしている子どもたちの期待に応えるため、総力をあげて朝鮮学校を支援しなければ。国会議員、朝鮮学校を知らない人…一人ひとりがパイプをつなげていこう」と呼びかけた。



 この日の集会の光景はいつもと少し違った。

就学支援金の対象からはじかれている朝高生は参加せず、大半は大人。大人たちの責任として、日本社会の責任として、一人ひとりがこの裁判を闘う意味とこれからなすべきことを、自分の言葉で語っていた。

 中でも印象深かったオモニたちの発言を紹介したい。

◎東京都在住のパク・チジャさん

 足立から来ました。昨年、私の末っ子の息子が高校3年になり最後の高校生活を送りました。サッカーが大好きな息子は、小さい頃からの夢だった全国大会に出場するため、毎日朝早くから休みなく部活動に励んでいます。高校生にとって一時間、一日、一年という時間はかけがえのない貴重な時間。その大事な部活動の時間を割いて、自分たちが受けている差別の怒りをぶつけ、自分たちの存在を認めてもらおうと、文科省の前に立ち、闘っています。金曜行動が終わると、学校に帰り、またボールを蹴ることもあります。

 どうして、私たちの子どもたちだけが、こんな思いを胸に、部活動をしなければならないのでしょうか。一日も早く、日本の高校生と同じように、心置きなく勉強や部活動に励める環境を作ってあげたいという思いでいっぱいです。かわいい子どもたちのために、これからも勝つまでかならず闘い続けようと思います。

◎埼玉県在住のハン・クムスさん

 埼玉朝鮮学校に2人、東京朝高に一人の子どもを通わせています。埼玉では朝鮮学校を支援してくれる日本の方々や弁護士がいます。私もできることから、映画学習会など、無償化実現のために、一つひとつがんばっていきたい。

◎千葉県在住のリ・ジョンエさん

 昨日ある演劇を見ました。朝鮮高校生の一人芝居で実話に基づいた芝居でした。演劇で印象的に残った場面がありました。

 1990年の始まりに日本の学校に通う在日コリアン3世がいじめられて思い悩み、学校にも行かなくなり、その怒りを祖父母やハルモニやハラボジにぶつけます。祖父母に向かって「どうして日本に渡ってきたんだ」、家計のために朝鮮料理屋をしているオモニに、「苦しい。日本人になりたい」と叫ぶのです。とても胸が痛みました。今もそういう思いをしている在日の子どもがいるかも知れません。

朝鮮学校に通う子どもたちは、無償化から除外されても、誇りをもって闘い続けている。民族教育を受けたからこそ、朝鮮学校の生徒たちは、歴史を知り、言葉を知り、誇りを持っていつまでも闘い続けることができる。そういう思いになりました。

 子どもの声にどう応えるか。私はウリハッキョをどんなことがあっても守ります。民族教育はウリハッキョでしかできない。これからもがんばります。

◎西東京在住のチャン・キョンエさん

 私は、高校まで日本の学校へ通っていました。自分が朝鮮人であることがイヤでした。家は朝鮮料理屋という看板を出して商売をしていたので、どうしてもバレてしまい、学校で朝鮮人と、からかわれることもあった。

 なんで朝鮮人として生まれてきたのだろう。そういう思いもしました。高校生のとき、サマースクールに参加し、朝鮮人であることを隠していたことを恥ずかしいと思い、もっと色んなことを学びたい、朝鮮学校で学べなかったことを残念に思いました。だからこそ、自分がどんな苦しく厳しい状況でも、3人の子どもたちは朝鮮学校に通わせようと思いました。

末の娘が来月朝高を卒業します。子どもたちは、幼稚園の頃から朝鮮学校に通っていたので名前を呼び合い、朝鮮の文化と歴史も習う。朝鮮人としてごくごく自然にあたり前なことを羨ましく思います。

 その子どもたちが何年もの間、辛い思いをしています。学業や部活の時間を割き、暑い日も寒い日も自分たちの権利獲得のために文科省前に立ち続け、がんばっている。顔から笑顔が消えるんです。子どもたちの笑顔をにごらせることをしてはいけない。子どもたちはこれからの日本社会でも十分に活躍していける。私たち大人は隣で一日も早く本来の学生の姿に戻れるように一緒に闘っていきたい。勝利する日までがんばり続けましょう。

◎栃木県在住のソ・ジョンミさん

 栃木から東京中高に子どもを通わせています。昨年11月に文科省に要請に訪れた韓国からの訪問団の男性が役人の方々に強く訴えました。「この闘いは必ず勝つしかない。勝つまで闘うからです」と。私たちの思いを代弁するように強く訴えてくれました。ここに集まってくれたアボジ、オモニ、同胞、日本の方々も同じ気持ちではないでしょうか。これからも、ともに闘いましょう。
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在日朝鮮学生美術展 鳥取米子展へ協力を

2019-02-08 10:00:00 | (相)のブログ
 

 2018年度の在日朝鮮学生美術展(学美)が日本各地を巡回中だ。

 昨年9月12日開幕の神戸展を皮切りに、福岡展(10月11日~14日)、大阪展(10月31日~11月4日)、広島展(11月10~17日)、京都展(11月22~25日)、東京展(11月28~12月2日)、千葉展(12月4~9日)、神奈川展(1月11~16日)、東海展(1月29~2月3日)まで終わった。残るは北海道展(2月15~17日、札幌)、鳥取展(3月15~17日、米子)の2ヵ所。

 学美とは、日本全国にある朝鮮学校で学ぶ幼稚園から高校の子どもたちの表現発表の場として東京・大阪・神戸・福岡などの日本の主要都市で毎年行われている巡回展だ。さまざまな人々の支えを受けて開催されてきた学美は今年で47回目を迎えた。

 今回の巡回展でも、1万点を超す応募作品から選ばれた入賞作品の中から約500点の巡回作品と開催地方の入選作品などが展示される。平面のみならず立体、映像など作品のバリエーションは多彩。全国の朝鮮学校児童・生徒たちの感性豊かな作品世界に触れることができる。

 巡回展では地方ごとの特色をいかしたさまざまな取り組みが行われている。

 朝鮮学校がない山陰地方(鳥取県・島根県)でも3月に11年連続12回目となる巡回展が鳥取県米子市で開かれる。日本人有志らが中心となった「在日朝鮮学生美術展 山陰地区実行委員会」が支援の輪を広げながら毎年地道に開催している。昨年2月に島根県立美術館で開催された島根松江展は「島根県委託事業・みんなで学ぶ人権事業」として取り組まれ、鳥取島根両県の行政・教育機関やメディア・各種団体など過去最大となる89団体の後援を受けた。来場者も約800人をかぞえ、地域の冬の催しとして定着している。島根県立松江南高等学校放送部が、島根展の準備から終了まで約半年におよぶ過程を取材し、日本の高校生の目で見た学美展やそこに関わる市民、来場者の声を丹念に拾った映像作品を制作。その作品「思いをのせて」が昨年7月の「第65回NHK杯全国高等学校コンテスト テレビドキュメント部門全国大会」に出場したことも、学美の存在が広まっていることの一つの証左だろう。

 学美山陰地区実行委員会では昨年、初めてクラウドファンディングの形式で開催支援金協力の呼びかけを行ったところ、日本全国から約39万円が寄せられた。今回の鳥取米子展開催に際しても費用をクラウドファンディングで集めている。目標金額は30万円で、募集の期限は3月4日の午後11時までとなっている。

 詳しくは、以下のクラウドファンディングサイトReadyforのページで(本エントリのトップ画像も以下のサイトから)。
 https://readyfor.jp/projects/gakubi47


 

 第47回在日朝鮮学生美術展「鳥取米子展」
 期間:2019年3月15日(金)~17日(日)
 時間:9:00~17:00
 会場:米子市美術館(鳥取県米子市中町)
 入場料:無料
 主催:在日朝鮮学生美術展山陰地区実行委員会
 問合せ:鳥取事務局 090-1686-6588(三谷)

 よろしくお願いします。(相)
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一人芝居「チマチョゴリ」と在日同胞、日本社会

2019-02-07 09:52:31 | (K)のブログ


 先週の金曜日(1日)、劇団タルオルムの一人芝居「チマチョゴリ」(作・演出:金民樹)が足立区の東京朝鮮第4初中級学校で行われ、観にいきました。
 「チマチョゴリ」は、1990年代に頻発した朝鮮学校の女子生徒に対する暴行やチョゴリ制服が切り裂かれる事件を題材にしたものです。

 一人芝居で何人もの役を演じるのは大阪朝高に通うカン・ハナさん。現在を生きる朝高生・ハナ、ハナの母親、そして日本学校に通う同胞生徒の3者の日々と思いが交錯し物語は進みます。
 作品を作った金民樹さんは、物語は実話だけで構成されていると話します。「切り裂き事件の当時、私は事件に対し何をし何をしようとしなかったのかを思った。チョゴリ切り裂き事件は、在日の歴史としてちゃんと語り継ぐべきではないか」と語っていました。

 朝鮮半島や日本で問題が持ちあがるたびにチョゴリ制服を着た女子生徒など朝鮮学校児童・生徒をターゲットにした卑劣な事件が繰り返されました。当時の様子が描かれます。
 集会が開かれ、「私たちはチョゴリを脱がない! チョゴリを守る!」と決起する女子生徒。女子生徒をボディーガードしようと立ち上がる男子生徒。しかし、学校は体操着や上からコートを羽織っての登下校を余儀なくされます。そして第2制服の導入。
 この作品が素晴らしかったのは、朝鮮学校生徒だけではなく、日本学校に通い差別を受ける同胞青年も描いていたことです。初めてチョゴリに袖を通した生徒の心の変化と喜び…。在日朝鮮人にとってチョゴリはどのような存在なのかを描きます。
 深刻な物語だと思われるかもしれませんが、朝鮮学校ごとのチョゴリ制服の違いとこだわり、ピシッとしたチマのプリーツに命をかける生徒たちの姿など、朝鮮学校の「チョゴリ制服あるある」が随所にちりばめられ、笑いを誘います。

 カン・ハナさんは、「今までどれだけ同胞たちがチョゴリを大切に着てきたのか、チョゴリを着続ける意味と思いを伝えたい。チョゴリを着る意味を考えてもらえたら」と語ってくれました。
 ハナさんもそうですが、高校無償化裁判の判決言い渡しの時、朝鮮学校の女子生徒たちは、普段着ることができないチョゴリ制服をまとって裁判所へと入っていきました。最後の「プライドと尊重のシンボルとしてチョゴリが着たい」というセリフが印象的でした。

 私が中学・高校時代、暮らしていた地方都市でも、たまにチョゴリ制服を着た女子生徒たちを見ることがありました。朝鮮人として堂々とチョゴリを着て歩く同世代の同胞に対して、憧れというか、羨ましいというか、それでいて劣等感と近づきがたい、ちょっと複雑な視線で眺めていたことを覚えています。
 社会に出て東京に住むようになり、チョゴリ制服を見る機会が増えました。切り裂き事件などが頻発するようになって第2制服が導入されるまでの期間、電車の中でチョゴリ制服の生徒たちを見かけると緊張したものです。声はかけませんが、何も起こらないでほしいと願っていました。チョゴリ制服を着た生徒の姿は、今はまったく見かけません。
 チョゴリ制服に対する思いや是非についての考え方はいろいろあるでしょうが、民族衣装を堂々と着ることを許さない日本はどれだけ異常な社会なのでしょうか。今も朝鮮学校に通う女子生徒はチョゴリ制服を着ることができません。日本社会に住むすべての大人が責任を取らなければいけない問題だと思います。(k)
※2月15日(金)、広島で一人芝居「チマチョゴリ」が上演されます。
15:00~と19:00~/場所:広島朝鮮学園/前売1500円・小中高生500円

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