福岡市の小児歯科・矯正歯科・障害者歯科 ふたつき子ども歯科 院長日記

小児(障害児を含みます)の包括的歯科医療を提供するふたつき子ども歯科。子育てや食のことも含んだ、院長ブログ。

歯の生えかわりの問題

2006-09-13 | 歯並び、矯正の話

乳歯20本は2歳半ばころまでにほぼ生え揃います。そして5歳半ば頃から11歳頃までにかけて、乳歯が永久歯に生えかわっていきます。ちなみに5歳半ば頃は、同時に乳歯のさらに奥に第1大臼歯(6歳臼歯)が生えてきます。乳歯がほぼ交換した頃に、いちばん奥歯の第2大臼歯(12歳臼歯)が新しく生えて来て、永久歯の完成です。
この間の時期に、乳歯から永久歯への交換がスムーズにいかず、歯並び噛み合わせに影響が出ることがあります。この時期に起こる生えかわりの問題に対する処置を咬合誘導と呼んでおり、特に、早期に矯正処置が望ましい場合は予防矯正と呼べると思います。
まず、生えかわりは通常下の前歯から始まるのですが、この時期に心配して受診されることが多いのは、乳歯が脱落していないのに後ろ側(裏側)から永久歯が出てきているという相談です。この状態は専門用語ではdouble dentition (日本語はないのですが、二重歯列と訳せます)と呼んでおり、教科書的には、乳歯を抜けば後ろから出てきている永久歯は次第によい位置に移動すると書いてあります。
下の前歯4本に起こることが多いのですが、ではすぐ乳歯を抜歯するのか? ということになります。答えは「NO」です。永久歯の出具合と乳歯のグラグラ具合をみて判断します。すなわち、永久歯が少しは出てきているが、乳歯は結構グラグラしている場合、しばらく待つと自然に交換します。逆の場合はなかなか乳歯が抜けてくれないわけですが、それでも3か月くらい待っても問題ありません。待っても抜けない場合は抜歯をせざるを得ませんが、数か月抜くのが遅くなったから将来の歯並びに影響が出るということはありません。現に我が長男も、6か月経過を見ていたら自然交換しました。
積極的(?)に乳歯を抜けば無難なのでしょうが、待つことで乳歯は結構自然に生えかわる能力があることが解ります。自然に生えかわらなくても、グラグラが大きくなれば、表面麻酔という軟膏を塗るだけで簡単に抜けますので、早々と注射麻酔をして抜くよりも、皆にとって楽です。

下の乳歯前歯の後ろ側から、ちょっと永久歯が生え始めています。抜きたがりやの歯医者でしたら、前の乳歯を抜くでしょうね。割とよく見るケースですので、私はほっときますが。

コメント
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