【ワシントン、ニューヨーク共同】国連安全保障理事会の5常任理事国(米国、英国、フランス、ロシア、中国)は28日、英国が提示した対シリア安保理決議案をめぐり協議したが中ロが反対を表明、物別れに終わった。米政府はこれを受け、決議案採決の必要性はないとの考えを表明。決議なしで軍事介入を最終決断する姿勢を鮮明にした。
オバマ米大統領は同日、米公共放送PBSのインタビューで、シリアでの21日の大規模な化学兵器攻撃をアサド政権が実行したと「結論付けた」と明言した。
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2013/08/28 英米仏によるシリア軍事介入「合理性ない」 一般市民に多数の死者が出る可能性指摘 ~岩上安身による青山弘之氏インタビュー
VIDEO 2013/08/28 英米仏によるシリア軍事介入「合理性ない」
21日、シリアの首都ダマスカス郊外で化学兵器が使われたとされる問題を巡り、アメリカ、イギリス、フランスを中心とする欧米諸国は軍事介入を行う姿勢を強めている。アメリカのカーター国務長官は26日、報道陣に対し声明を読み上げ、化学兵器がアサド政権側により使用されたと断定。「責任を取らせる」と語り、攻撃の準備を進めていることを明かした。地中海東部には、すでに米海軍のミサイル駆逐艦4隻が配備されている。
緊張が高まるなか、シリア情勢に詳しい東京外国語大学の青山弘之教授は、岩上安身のインタビューに応え、「アサド政権側が化学兵器を使用した証拠は今のところ存在しない」と指摘。アメリカ、イギリス、フランスは、状況証拠を積み重ねてアサド政権を批判しているに過ぎない、と語った。そのうえで、「軍事行動により、アサド政権を倒すこともできなければ、化学兵器を取り除くこともできない。合理性がないし、そもそも成果が期待できない」と述べ、軍事行動に前のめりな欧米諸国の姿勢を批判した。(IWJ・平山茂樹)
【IWJブログ】 緊迫するシリア情勢 「子どもたちを殺したのは誰か」~真犯人が特定されぬまま、戦争が始められようとしていることの不条理
内戦が続くシリアの首都ダマスカス郊外で、21日、化学兵器が使用され、子どもを含む一般市民に多数の死傷者が出た。NGO「国境なき医師団」は24日に声明を発表し、3600人が病院に搬送され、355人が死亡したと発表した。CNNは「1300人が死亡か」と報じている。
事件は国連の調査団がシリア入りした直後に起きた。国連の潘基文事務局長は「衝撃を受けた」との談話を発表。安保理は緊急会合を招集し「強い懸念」を表明した。
反体制側を支援するアメリカは、即日、アサド政権側が化学兵器を使用した「有力な兆候」があるとの認識を示していた。26日になり、ケリー国務長官が記者会見を開き、アサド政権が化学兵器を使用した、と断定。「最も憎むべき兵器を使った側に責任を取らせる」と語り、米メディアは数日中にシリアへの軍事攻撃が開始されると報じている。米海軍はすでに、4隻の駆逐艦をシリアへのミサイル攻撃が可能な地中海頭部に配備している。
重要なのは、化学兵器を使用した犯人を特定することである。現在、アサド政権側、反体制側がともに相手を非難している状態だ。しかし、アメリカははやくも、化学兵器がアサド政権により使用されたと断定した。
以下、8月26日(午前3時49分から午前6時9分)の時点で入手した情報にもとづくシリア情勢の分析のツイートを以下、順番に記しておく。事態は時々刻々と移り変わってゆく。この時点での分析であることをお断りしておく。
(岩上安身)
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