真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「三十路痴女たち 浮気妻・セレブ妻・恥ぢらひ妻」(1999『三十路同窓会 激しすぎる性欲』の2008年旧作改題版/製作:フィルムハウス/提供:Xces Film/監督:大門通/脚本:有馬仟世/企画:稲山悌二/プロデューサー:伍代俊介/撮影:天野健一/照明:藤塚正行/編集:金子尚樹《フィルムクラフト》/助監督:高田宝重/制作担当:真弓学/監督助手:高田亮/撮影助手:鷹沢幸一/撮影助手:蛯原勇/照明助手:中島展貴/ヘアーメイク:阿久津裕子/スチール:松本誠/録音:シネキャビン/現像:東映化学/出演:佐藤都・吉行由実・村上ゆう・柳東史・吉田祐健・飯島大介)。
 久方ぶりの同窓会で勢揃ひした、友美(佐藤)・館野美紀(吉行)・西村春江(村上)の仲良しトリオ。三人だけで茶を飲む席、藪から棒に美紀が、友美に頼み事を切り出す。勤めてゐた証券会社をリストラされ半年近く無職の夫・伸夫(柳)を、雇つては貰へまいかといふのだ。友美は、輸入衣料雑貨を扱ふ「フルフルロード」の経営者であつた。どうでもいいけど、そのヘナチョコな社名はもう少し何とかならなかつたものか。一旦茶を濁しつつ、伸夫が待つてゐるといふので先に席を立つた美紀を、友美と春江は一転憎々しげに見やる。学生時代、伸夫は三人にとつて共通の憧れの的であつた。自分達を抜け駆けし伸夫を掠め取つた美紀を、友美と春江は実はこの期に快く思つてはゐなかつたのだ。吉行由実が退場し、佐藤都にはそこまでの演技力は伴はないものの、村上ゆうが正しく手の平を返すかの如く表情を変へる瞬間が、実にリアル。ただここで惜しむらくは、村上ゆうのアフレコが別人である点。ならばアテてゐるのが誰なのかといふと、掴めさうで微妙に判らなかつた。村上ゆうは声の張りや台詞回しにも魅力のある女優さんだけに、非常に惜しい。春江の夫は、フルフルロードが融資を受ける信用金庫の支店長(飯島)であつた。友美は春江に追加融資の根回しを頼む一方、伸夫を手に入れると同時に、美紀に復讐する姦計を巡らせる。俗物のビートを爆裂させる吉田祐健は、最終的には友美の肉体を狙つて金を貸す、街金の長谷川。
 とか何とか雇つて貰へるといふのでフルフルロードを訪ねた伸夫を、友美が身体検査と称し逆手篭めにしては、接待係として春江の下へも遣はせる。西村が友美の肉体に飽きて来ると、今度は強引に言ひ包めて美紀を西村に差し出す。詰まるところは、たつたそれだけの物語でしかないといへばないのだが、一本の劇映画に絡みを盛り込むに際しての、セクハラに枕営業といふ方便の磐石さこそをここは讃へるべきであらう。最終的には勧善懲悪を綺麗に完成せしめてみせるところも、娯楽映画として素晴らしく据りが良い。スマートなだけに却つてサラッと観流しかねないが、クライマックスへの主演女優の濡れ場の持つて行き方は、惚れ惚れさせられるほどに完璧。三本柱に不美人といふ穴が開いてゐないラックに加へ、柳東史・吉田祐健そして飯島大介と、俳優部の頑丈さも光る。何といふこともないまゝに、なほのこと上手く纏め上げられた匠の一品である。兎にも角にも、薄い服地を悩ましくボガンと盛り上げる、吉行由実のオッパイの膨らみだけで少々の映画でも何はともあれ合格。それをいつてしまつては、実も蓋もないやうな気がしなくもないが。

 ところで新題に関して、ランダムな順序には目を瞑ると浮気妻といふのは春江で、恥ぢらひ妻は美紀を指すか。会社社長といふので友美がセレブである点に間違ひはないにせよ、とりあへず、友美も既婚者であるといふ描写は一欠片たりとて見当たらない件。


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