真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「義母・不倫の日々 息子をナマづかみ」(1995『義母と息子 不倫総なめ』の2010年旧作改題版/企画・製作:オフィス・コウワ/提供:Xces Film/脚本・監督:佐々木尚/プロデューサー:高橋講和/撮影:松尾研一/照明:斉藤久晃/編集:金子尚樹/製作担当:堀田学/撮影助手:木戸信明/照明助手:小倉義正/助監督:佐々木乃武良/音楽:伊藤義行/効果:協立音響/出演:小泉ゆか・南英司・瀬川稔・水鳥川彩・憂木かおる)。ロストしたのではなく、セカンド助監督のクレジットは初めからない。
 すつかり上機嫌に酔つた、「月刊マンデー」記者の高井順子(小泉)と、上司で副編集長の木田京一(南)。娘は居るが妻は居ない木田は勢ひに任せ未亡人である部下に求婚するが、順子は大学三年生になる血の繋がらない息子・修(瀬川)が卒業するまではと、態度を保留する。順子の亡夫と、木田が現在独り身でゐることの理由に関しては、清々しく一切通り過ぎられる。純然たる濡れ場要員ぶりを咲き誇る水鳥川彩は、その夜順子にフラれた木田が抱く、セフレの三木満ちる。泥酔して帰宅した順子は、部屋まで担ぎ込んで呉れた修の前で服を脱ぎ始め、実は十歳の時に亡父が再婚して以来、義母に道ならぬ恋情を寄せる義息を喜ばせる。一方、修は木田の娘の、麻美(憂木)と交際関係にもあつた。両親同士が再婚した場合、自分達は兄妹になつてしまふことになると、二人はさして深刻になるでもなく受け止める。
 ポジションにしては比較的に珍しく、序盤に登場して以降全くそれきりの水鳥川彩はさて措いて、さういふ交錯する高井母息子と木田父娘の関係性を説明したところで、そこから先お話がどのやうな展開を辿るのかといふと、水増し気味の濡れ場が連ねられる中を、僅かな繋ぎのカットが劇映画の体裁を辛うじて保つて行くばかり。その癖、感動的に枝葉に過ぎない、順子の仕事ぶりに変に尺を割いてみせる辺りは御愛嬌。この件に登場する、都合四名のその他出演者と、後述するラストに見切れるウェイター役は何れも不明。話を戻していはばイントロダクションだけに止(とど)まり満足なストーリーの存在しないやうな一作ではあるが、女優三本柱が綺麗に機能してゐることと、妙に水準の高い撮影にも支へられ画面の構成はしつかりしてゐる為、仮に何処で中座したとて欠片も困らない気軽な裸映画としては、意外と満足して楽しませる。もしもそれが狙つて辿り着いた地平であるのだとするならば、一見ルーチンワークに偽装された、それはそれとして実は極めて高度に設計された、プログラム・ピクチャーのステルシーな到達点ともいへるのではあるまいか。さういふ牽強付会は兎も角、消費主義的といふ意味に於いて、少なくともポップではあるやうに思へる。

 ラスト・シーンは、順子と高井が再婚を決め、新しい四人家族が、レストランのテーブルに横一列に並び会食する。ところがテーブルの下では、木田は順子の、修は順子と麻美の太股にそれぞれ手を伸ばしてゐたといふ桃色家族ゲームは、左から高井・順子・修・麻美と座つた位置関係を、後ではなく先にロングで抜いておいて、もう少し明確に見せておくべきではなかつたらうか。


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