真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「若妻ひとりH 夜まで待てない」(2005/製作:加藤映像工房/提供:オーピー映画/監督:加藤義一/脚本:岡揮男/撮影:創優和/照明:野田友行/助監督:竹洞♀哲也/監督助手:絹張寛征/撮影助手:原伸也/照明助手:吉田雄三/音楽:レインボーサウンド/効果:梅沢身知子/協力:サカエ企画/タイトル:阿佐ヶ谷兄弟舎/出演:KAEDE・風間今日子・華沢レモン・佐々木基子・岡田智宏・丘尚輝)。
 水準的なピンク映画を良心的に量産する加藤義一の新作。坂崎美和(KAEDE)は淳一(岡田)と結婚して半年、夫は仕事のストレスからインポになり悩んでゐた。マンション住まひの美和がある朝ゴミを出したところ、夫・公平(丘)が305号室に住んでゐた若いOL・木村みさお(華沢)と駆け落ちしてしまつた、自治会長の芝山邦子(風間)から分別が出来てゐないと口煩く注意される。部屋に戻つた美和は、夫に抱いて貰へぬ寂しさから胡瓜でオナニー。その模様を、夫の浮気相手を探す為にマンションの全室に隠しカメラを仕掛けてゐた、邦子にモニタリングされる。夫の浮気相手を探す為にマンションの全室に隠しカメラを仕掛ける、そこにツッコミを入れるのはひとまづ禁止だ。オナッてゐる最中の美和を、邦子は狙ひ清まして不意に来訪。美和は邦子に誘はれるままに、オナニー友達になる。一方、淳一がインポになつたのは、仕事のストレスからなどではなかつた。仕事のストレスどころか淳一は実はリストラされてしまつてをり、美和にもそのことを打ち明けられず、給料日にはサラ金から金を借りてまで誤魔化してゐたのであつた。淳一は、サラ金から金を借りてゐるところを大学の先輩・鬼頭鈴子(佐々木)に目撃される。淳一のことを調べてゐた鈴子に誘はれるままに、淳一はアルバイトをすることになる、ざつとさういふストーリーの一作。
 折角なので、もうこのまま最後まで御紹介する、何が折角なのだ。邦子が新発売になつたバイブを、美和の下にも持つて来る。美和は忽ちそのバイブの虜に、だが然し、その快楽にはどこか懐かしさがあつた。実はそのバイブは、鈴子が淳一のイチモツを元に型取りして製作したものだつた。バイブの元型が夫のモノであることに気付いた美和に、淳一は終にリストラされてゐたことを告白。美和は淳一を優しく抱(いだ)き、淳一の男性機能は回復する。淳一に抱かれた翌朝、美和はバイブをもう要らないと捨てることに。一方、邦子もバイブを捨てに来てゐた、公平が戻つて来たのであつた。二組の夫婦が、しつぽりと熱い夫婦生活を交すのがラストである。
 と、全てトレースしてしてしまふと正にそれだけの始終であつたりもするのだが。所々大無茶もあるピンク色のホームドラマを、加藤義一は心を込めて丁寧に撮り上げる。その至誠、もとい姿勢は最大限に評価出来よう。水準的なピンク映画を良心的に量産する加藤義一。それは今はあくまで“水準的”、であつたとしても、何時の日か加藤義一が、加藤義一の「淫タク」を、即ち必殺のマスターピースを撮る日が来ることを、私は夢想したい、地力は既に十分にあるのではなからうか。


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