真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「野外乱交 殺したいほど愛してる」(2014/製作:Blue Forest Film/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:小松公典/撮影監督:創優和/編集:有馬潜/音楽:與語一平/助監督:小山悟/監督助手:小関裕次郎/撮影助手:酒村多緒・佐藤雅人/出演:友田彩也香・和田光沙・酒井あずさ・服部竜三郎・松浦祐也・岡田智宏・倖田李梨)。
 タイトル開巻、スーパー裏の昼休み。アルバイトのレジ係・松村信治(松浦)と鮮魚担当の松林節郎(岡田)に、正社員の松木優介(服部)がウダウダ与太話を燻らせる。先に観た第二戦「誘惑遊女の貝遊び」(2015/主演:かすみ果穂)では理解に苦しむ扱ひに何しに出て来たのか釈然としなかつた服部竜三郎が、改めてキチンと見てみると若い頃の大泉洋―今の大泉洋が動いてるとこ見たことないけどな(´・ω・`)―といつた雰囲気で、岡田智宏と松浦祐也を向かうに回しウダウダするにも綺麗にウダウダしてみせるのは正方向のサプライズ。ところが、折角新規参戦した逸材にしては、竹洞哲也の2015年第二・三作始め、以降ピンクに出てゐる気配が見当たらないのは勿体ない。三馬鹿の話の流れが合コンに固まつたところで、オナニーする主演女優、画面手前の股間から顔に送るピントが麗しい。何だかんだで、女性陣は東京から出戻つて来た優介の幼馴染・宇都宮亜樹(友田)を起点に合コン決定。亜樹が優介を焚きつけ何事か物騒な姦計を巡らせる中、残り二人は亜樹と同じ合唱サークル「ボヘミアン」に所属する上野将子(和田)と濱野日出子(酒井)を加へた六人が、合コンにしてはいきなりピクニックも通り越しキャンプ感覚の森の中に集ふ。
 配役残り倖田李梨は、優介の母親なのか姉なのかよく判らない紅葉、年の釣り合ひからすると母親は苦しいが。脱ぎもしないのに一見無理無理捻じ込んだ蛇の足かとも思はせて、地味に重要な送りバントを決める。
 クレジット後のオーラスを“変はりゆく流れの中でも 変はらないものがある 変へられないものがある 最後のFilm作品”(スペースで改行/原文は珍かな)と締め括る、竹洞哲也2014年第四作。フィルム文化の終焉といふ“変はりゆく流れ”は自明にしても、“変はらないもの”と“変へられないもの”が、何を指すのかは今作を通して必ずしもハッキリしない。女優部と男優部とで三対三の合コン、シンプル・イズ・ベストな展開は天候にも恵まれた緑豊かなロケーションの中、適宜不穏な空気を漂はせつつも非常に上手いこと転がつて行く。殊に、酒井あずさが痛い年増扱ひされることに関しては断じて首も棹も縦には振り難いが、因みに2012年第三作「お色気女将 みだら開き」(主演:かすみ果穂)以来二度目のカンバックとなる、松浦祐也が生粋の獅子党であるゆゑライオンズ帽とレオTで決めた松村の、渾身の西武トークに全く興味も聞く気もない亜樹と将子がポップにドン引きするシークエンスは爆発的に可笑しく、やがて泣けて泣けて仕方がない、泣いてないけど。ところが、いよいよ重い腰を上げた本筋は、歩幅すら狭い右往左往の末に拡げた風呂敷をグダグダ畳み損ねる、かと思ひきや。さりげなく飛び込ませた倖田李梨を足場に全てが締めの濡れ場に収束する、枝葉ばかりに思はせた始終が見事な結実を果たす瞬間の煌めきが鮮やかに素晴らしい。例によつて小ネタに費やす尺に女の裸が削られた風情も否めないではないものの、一見変化球に見せかけて、最終的な構成は案外直球勝負のピンク映画。不相応な凝り過ぎた意匠がまんまと仕出かした第二作を除けば、竹洞哲也の2014年は結構な当たり年であつたのではなからうか。
 備忘録< 匂ひだ味だ人が死ぬところが見たいださんざ引つ張つたとどのつまり、亜樹は松林とデキてた


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