真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「ロシア義母 湯上り浴衣美人」(2005/製作:フィルム・ハウス/提供:Xces Film/監督・脚本:佐々木乃武良/企画:稲山悌二/プロデューサー:伍代俊介/撮影:鏡早智/照明:野田友行/助監督:加藤義一/監督助手:小島圭一郎/撮影助手:平原昌樹/照明助手:吉田雄三/スチール:阿部真也/衣装:山田久美子/選曲:メンタムBros./タイトル:はなちゃんず/編集:フィルム・クラフト/録音:シネキャビン/現像:東映ラボ・テック/出演:ニーナ ユルサコフ・きのこ姫・葉月蛍・竹本泰志・松浦祐也・吉田祐健)。出演者中、葉月蛍がポスターには葉月螢。
 カンパニー・ロゴ時から早速、「アァ~、オォ~」と下心をくすぐるといふよりは、寧ろ豪快さが先に立つ外人女の嬌声が入る。あれ、佐々木乃武良はかういふ映画を撮る監督だつたかしらん?「口説き屋麗子 火傷する快感」(2000/主演:沢木まゆみ)や「女医 川奈まり子 熟女 ・タブーSEX」(2001/主演:川奈まり子)の際にはもう少し全うなエンターテイナメントを誠実に志向する、少し粒を小さくした工藤雅典。とでもいつた風に捉へてゐたものだが、まるで坂本太のやうな映画である、諸方面に適当な譬へで申し訳ない。
 大学生の氷室浩太郎(松浦)は、浴衣姿の金髪美人の痴態を夢に見ては夢精する。母親は既に亡く、父・勇二郎(吉田)はロシアに長期の海外出張中。家のことは、通ひの家政婦・益田綾子(メガネがヤバい葉月蛍)がやつて呉れてゐた。そんな折、勇二郎が帰つて来ることになる。実は、勇二郎に想ひを寄せる綾子は気が気でない。メガネをコンタクトにし(せんでいい!)、化粧をバッチリ決めると普段は着ない胸元の大きく開いた勝負服で武装、準備は万端だ。そして勇二郎帰宅、ところが、何とロシアで出会ひ向かうで式も挙げて来た、とエレーナ(ニーナ ユルサコフ)を新妻として連れ帰つて来た。夢に見たやうな金髪女が不意に我が家に訪れた浩太郎も、帰国した勇二郎は、自分に求婚して呉れるものと勝手に思つてゐた綾子も共に大ショックを受ける。
 エレーナ役のニーナ ユルサコフ、一言で、殆どこの映画に関する感想は尽きる。何処からこんな女連れて来たんだ!ええと、どういふ風に御説明するべきか。何処かでかういふ人見たことがあるぞ、誰かに似てゐる。ええと、誰だつたけなあ・・・・・・・・?エメリアーエンコ・ヒョードルだ・・・orzこの写真の右の方)   >加へてお芝居の方もウルトラ素人
 一息ついた後、浩太郎は勇二郎に「オヤジ、無茶し過ぎだよ・・・」、無茶をやらかしたのは佐々木乃武良である。尤も、エクセスから“彼女主演で映画を撮つて呉れ”と連れて来られたロシアの白熊に頭を抱へたまゝ、泣きながら撮つてゐたのかも知れないが。
 風俗店店名のやうなフザけた芸名のきのこ姫は、浩太郎の彼女・松本由香。高飛車な娘で、浩太郎を完全に下に扱ふ。父親の会社に就職も決めてゐた浩太郎と卒業と同時の結婚を考へてをり、浩太郎を困惑させる。竹本泰志は、家政婦派遣会社の社長・大谷健也。綾子にずつと想ひを寄せてはゐたものの、勇二郎のことが好きな綾子には袖にされ続ける。勇二郎がエレーナと再婚してしまつたことに傷心する綾子に言ひ寄り、モノにする。
 エレーナが浴衣に着替へるのを、浩太郎はクローゼットの中から覗く。それに気付いたエレーナはウォッカを浩太郎に差し出すと、「コレ飲ンデ、忘レル!」。ヒーヒーいひながら一口飲んだ浩太郎に重ねて、「モット、モット!」。ああもう、俺にもこの映画のことを忘れさせて呉れ   >当方下戸ではあるけれど
 自棄になつた綾子は、大谷を勇二郎に見せびらかさうと家に押しかける。実はエレーナに劣情を抱く浩太郎も交へて一悶着起こしつつも、一応全ては収まるべきところに収まる。ラスト、浩太郎は由香からの自立を決意し、別れを告げる。考へてみれば、主演女優―“女優”などでは到底ないのだが―がヒョードル、初めから負け戦でもあつたのであらう。その中で、最終的には物語を一応は着地させ映画の体裁をひとまづは整へてみせた点にだけでも、佐々木乃武良の最低限の良心は現れてゐたのではないか、ともいへるのかも知れない。


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