真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「親友の母 生肌の色香」(2006/製作:Blue Forest Film/提供:オーピー映画/監督:竹洞哲也/脚本:小松公典/撮影監督:創優和//助監督:小山悟/撮影助手:柴田潤/照明助手:小松麻美/監督助手:廣川雅規、他一名/音楽:與語一平/タイトル:夢工房FILM/挿入歌『ナツノカゲ』作詞・作曲・唄:ニナザワールド/出演:ミュウ・青山えりな・冬月恋・富窪大介・松浦祐也・ちゃぼーず・サーモン鮭山)。
 帰省の出掛けにも関らず、遠藤健治(松浦)は赤松愛子(冬月)と朝から熱い一発をキメる。健治は愛子に卑猥な文句を口にすることを強ひると、「淫語淫語淫語、淫語サイコーッ!」。のつけから、現有勢力の中では日本映画界最も輝ける青春を身に纏ふ男、松浦祐也はギア・レバーもへし折らんばかりの勢ひで飛ばしまくる。
 大学の夏休みを利用して、健治は友人の竹山行英(富窪)を伴ひ郷里の海町に帰省、海の家でアルバイトをしながらの、一夏のアバンチュール―何処の生きる化石だ、俺は―を目論む。実は童貞の行英は、十六で健治を産んだ為、未だ若い健治の母・美和子(ミュウ)の色香に惑はされる。
 一応メイン・プロットは青春の本質をテーマとした、純情童貞青年と親友の母との一夏の淡い恋物語であるのだが、ほどほどの演技力と、弾けさうに健康的な肢体が設定に比して若過ぎて見えもすらするミュウは兎も角。例によつてといふべきか、本来俳優部主人公たるべき富窪大介がどうにも弱い。兎にも角にも個性に乏しく影は薄くおまけに体つきから締りが無く、“弱い”とくらゐしかどうにもかうにもいひやうがない。とてもではないが、一本の映画を支へられるだけの器ではない。ここいら辺りの若手のミスキャスト、あるいはより直截には駒不足は、実は結構深刻に考へなくてはならない問題であるのかも知れない。
 代つてといふか何といふか、メイン・ウェポンとして最前線に飛び出し、獅子奮迅一騎当千の大活躍を繰り広げるのは松浦祐也。フラワーな長髪に口ヒゲ、亡父譲りのティアドロップの金縁グラサンを決めると俄かに、何もかもが最後に最もカッコよかつた時代、70年代の香りが銀幕中に濃厚に立ち込める。発声が少々粗いのが気になりもするが、全活動をキンタマに制御された青年の好色ぶりを縦横無尽に炸裂させる。
 青山えりなは健治の郷里担当彼女の高野藍子。狂ひ咲く健治の性欲に翻弄されつつ、東京での健治の姿に疑問を抱く姿が、徐々にそして確実に積み上げられて行く過程は流石に、実に充実してゐる。竹洞哲也―と小松公典―と青山えりなの好調の持続ぶりは鉄板。サーモン鮭山は、美和子の亡き夫・繁之。捻りタオルに金縁ティアドロップのサングラスで、海の男を好演。登場が屋内シーンしか無い点に関しては、もうひと踏ん張り欲しかつたような気もしないではないが。
 終に一線を越えてしまふところは、それまでの積み上げに些か欠くだけに唐突さも感じさせるが、男女の仲になつてしまつた美和子と行英とが、愛欲に溺れて行く描写には峠越えの力学が上手く作用し、勢ひがある。感情の移入も易く、桃色の破壊力も大きい。塩辛いおにぎり、ヨーヨーと小道具の使ひ方も丁寧。主演男優の配役をクリアし二箇所の肝心要をあと一練り二練りしてあれば、完全に状況を制する傑作たり得てもゐたであらう、もう一歩のところの佳作である。

 誰なんだか判らないちゃぼーずは、ラストのオチ担当。ワン・カットのみながら、冬月恋相手に濡れ場の恩恵に与る。


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