真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「派遣OL 深夜の不倫」(2000/製作・配給:大蔵映画/監督:渡邊元嗣/脚本:山崎浩治・波路遥/撮影:飯岡聖英/照明:ガッツ/編集:酒井正次/助監督:佐藤吏/監督助手:森角威之・斎藤勲/撮影助手:岡宮裕/スチール:佐藤初太郎/録音:シネキャビン/現像:東映化学工業/出演:黒田詩織・西藤尚・十日市秀悦・山信・ささきまこと・しのざきさとみ)。
 ドヨーンと人材派遣会社「人甲斐」の表を抜いて、度重なる大口契約の解除に悲鳴を上げる女社長の貴子(しのざき)に、人事部長の八住(十日市)は契約社員―実質的には登録者か―の数を激減させる「1/8計画」を提案する。仕方がないのでいはずもがなを蒸し返しておくが、何か「人甲斐」では、登録しておくだけで実際に派遣されなくとも何某かの賃金が発生するのか?「1/8計画」とは、簡単にいふとホワイトカラー要員を過酷なブルーカラーの現場に送り込み、退職を促すといふある意味定番の手法、悪い意味か。順調に計画が進行する中、何処に放り込まれても逞しく順応する関沢はるみ(黒田)を、最後の切札にと幽霊が出ると噂されるビルの警備員に派遣することに。そんなこんなな進行の傍ら貴子と八住二人で何時の間にか十分経過、ガードマンを命ぜられたはるみが溜息とともにへたり込んでのタイトル・インは、漸くどころでは済まない十二分前。今回渡邊元嗣は、一体総尺何分の映画を撮つてゐるつもりなんだ?
 体育教師の彼氏・昇一(山)との特訓なり一戦経て、はるみがやつとこさ業務を開始したビルには、赤いハイヒールがトレード・マークの頼りになる先輩・木村薫(西藤)が既に居た。深夜のビルでは行き場のない奴の吹溜りと自嘲するリストラお仕置き部屋で高橋(ささき)が燻り、更に重要書類を盗みはるみに重大なミスを犯させる目的の八住、彼女の身を案じるにしては、何故か全身白タイツに顔も仮面で隠す、薮蛇に不審極まりない昇一が忍び込む。二人の侵入を許してゐる時点で、全然ガード出来てないよね。
 結局非人道的な年末の繁忙期に屈し断念したのだが、二段遠征二段目の小倉で国沢実2013年第二作「女警備員 まさぐり巡回」を観る予習にと、見ておいた渡邊元嗣2000年全六作中第三作。調べてみると他に該当するのは遠軽太朗の「ミニスカ警備員 濡れる太股」(1998/主演:神崎紀夏)くらゐと、女警備員ピンクは案外見当たらない。結果的には三番手となる―但し未だオッパイのボリューム感を失はない―しのざきさとみの濡れ場で開巻十分をブチ抜く大胆な構成に、呆れかけるのは些か早計。その後も順当に三冠を達成する黒田詩織の初戦で順調に尺を消費し、三等分した序盤を通過してなほ、依然はるみは件の幽霊ビルに辿り着かない。辿り着いたら辿り着いたで、十日市秀悦によるミッション・インポッシブルは画期的なローを通り越したノー・バジェットの割には結構形になつてゐつつ、正体不明のギミックをてんこ盛る展開は右往左往に終始し、清々しくグダる。ところが、八柱を起点に予想外の真実が徐々に明らかとなるや、黒田詩織にフィットする南風薫るポジティブ・シンキングで騒動を上手く丸め込むラストは侮れぬ。終りよければ全てよしで意外と纏まつた陽性の娯楽映画を爽やかに締め括るのは、よもやの天使の微笑エンド!ことここに至ると最早、流石ナベとでもしかいひやうがない。


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