京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2024年2月 京都童心の会 通信句会 選評前半

2024-04-02 08:09:38 | 俳句
2024年2月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】前半
○金澤ひろあき選
特選 天 20 生きている歩けている去年今年 野原加代子
 病を乗り越えられたのでしょう。生きる喜び、安堵、深い思いがこもっている新年です。「生きている」「歩けている」に真実の肉声が。「肉声を俳句に」。私も大切にしたいです。

地 16 卒業式母校で出来ぬ子供逹 青島巡紅
 能登の震災で集団疎開した子供逹。また元の生活を取り戻せるか不明のまま。せめて卒業式は・・・と思うのですが。
人 39 夜通しあれこれ思う窓に露 三村須美子
「窓に露」で解決しない悩みの長さのようなものが伝わってきます。心をものに置き換えて
伝えることがありますね。
他、印象に残る句です。
1 立ったまま後姿の一月一日 野谷真治
 能登の震災が念頭にあるのでしょうか。元旦の立ったままの後ろ姿。茫然自失の様が伝わります。
28 道路 水道 電気 家 一日も早くとりもどし 蔭山辰子
 生きて行くのに必要なものを列挙。これらの回復が緊急の課題です。能登では、一刻も早く!
34 おみくじをそっと結んで気を引き締める 岡畠真理子
 どういうお願いかは人それぞれですが、こういう姿に静かな決意を感じます。
52 日常の変化がほしいすぐに出来るよ帰り道変えてみて 遠藤修司
「帰り道変える」本当にそうなんですね。いつもと違う道は新鮮です。ハッとする出会い、発見、刺激があります。
○中野硯池特選
70 初雪の成人式となりにけり  金澤ひろあき
 選評の必要のない句である。季重ねが気にならないところがいい、成人の初々しい初雪である。
○野原加代子特選
2 眠れない深夜鏡のまなざし 野谷真治
 歳をとると夜中に目を覚ますことがあります。少しの灯からふと鏡から映し出た姿の私は、なんと情けない姿なのかと悲しいものがあります。こんな姿だけど生きていこう!
 自分を自分で見つめるまなざしは穏やかな優しい心になりたいと思います。
○白松いちろう特選
58 津浪です逃げて下さい 元日暮れる 金澤ひろあき
あの切迫感が忘れられません。最初は若干違和感がありましたが、           説得力ある伝言が多くの人をすくったのだと思い感心しました。           被災した人々の力強い復興を心から応援します。
○三村須美子特選
27 寒椿寒さに堪えて群れ咲きて  野原加代子
 寒椿は椿と山茶花の特徴を合わせ持っています。花びらの一枚づつ散る様子は山茶花といっていいと思います。年末から節分頃まで一番寒い時期が真っ盛りです。椿は寒さを避けて葉裏に花を持つことが多い。それに対して寒椿は面と向かって花を咲かせて楽しませてくれます。葉っぱは寒さに対抗して飴色に輝いています。雪や霜、寒風にも負けず、濃い紅色の群れ咲くさまは強く生きぬけと勇気をもらっているようです。作者の気持ちに共感し、特選句としました。
○野谷真治特選
58 津波です逃げて下さい 元旦暮れる 金澤ひろあき
 二〇二四年一月一日午後四時十分、能登半島地震発生。NHKの山内泉アナウンサーは、「津波警報です。すぐに逃げて下さい。いますぐためらわず逃げて下さい」と呼びかけた。書き留めておきたい句として、選ばせていただいた。
○松村芳子特選
44 地の新酒飲み回しする同窓会 三村須美子
 お友達が美味しい新酒持参され皆を喜ばせて居られるのかなあ。その一座に加わりたい。同窓会ずっと続きますよう。
○蔭山辰子特選
16 卒業式母校で出来ぬ子供逹 青島巡紅
 おだやかなお正月を家族そろって過ごす筈でした。それが一瞬の大地震が能登半島を襲うとは、日本中の人々が思いもかけない事でした。二月も過ぎようという今も、苦悩の日々はつづきます。
 若い学生さんたちは、卒業、進学と人生の大切な行事が重なる時期。一日も早く普通の日常にもどれますように祈っております。
※写真は奈良東大寺二月堂。お水取りの行を行っていました。