京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

風の殺気

2022-09-30 07:47:33 | 俳句
風の殺気
          金澤ひろあき
 萩が沢山咲いています。もみじは青いまま。
 台風の気配がそろそろです。強い風が時折萩を揺らします。
 思ったよりも早く、風が出て来ました。
 その中をとんぼが飛びます。美しい青のミヤマアゲハ蝶も。
  台風の近づく風の殺気かな ひろあき

2022年8月 京都童心の会 通信句会結果 【選評】後半

2022-09-29 07:48:11 | 俳句
2022年8月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】後半

○青島巡紅選
特選 73 草笛や一銭五厘で戦死した  暉峻康瑞
 一銭五厘は、赤紙が来て本籍地にいない人物に送る葉書代。太平洋戦争中なら現在のお金にしたら70円程度。(以上、ネットデータ)親兄弟に徴兵がかかり、出兵し帰らぬ人となった。当時は周知の通り、戦死は名誉なことで、家の外では泣くことも叫ぶことも出来なかった。敗戦したおかげで、家の外、衆人の前で泣くことも叫ぶことも出来るようになった。敗戦していなければ、日本は中国や北朝鮮、ロシアのような独裁体制の国だっただろう。戦死者を含むあの時代に塗炭の苦しみを味わざるを得なかった人々のおかげで、現在の日本があるのだから、もっと僕達は知らなければならない。人の死が軽んじられる国に二度としてはいけない。
並選
①4 手首の曲線梅干常連客      野谷真治
 長年通い詰めた居酒屋だろうか。「梅干」が効いている。店の主人にもお客さんにも同じようにあるのだろう。静かだが暖かい雰囲気のある店、知らずに入っても暖かいものを分けてもらえそうですね。
② 7 平凡が一番幸せあっち向いてほい  暉峻康瑞
 その通りですね。ただ、「青い鳥」ではありませんが、色んな刺激を経ないと判らないのですね。「あっち向いてほい」が暗示しているようです。
③ 12 朝顔や水浴びして大暑かな    野原加代子
 いつもよりたっぷりと水を朝顔に与えている。花も一息ついている。さあ、暑い暑い1日が始まるぞ。一緒に乗り切ろうと言っているようですね。
④ 18 コロナも熱中症も怖いマスクの板ばさみ 三村須美子
 この句の言う通りです。問題は「コロナも熱中症も怖い」と言ってしまっているので、「マスクの板ばさみ」が生きてこない。「怖いマスクの板ばさみ」と言い切ってもいいのでは。
⑤ 20 合掌造りマンサクの根っこでしばる屋根柱 三村須美子
 「合掌造り」→豪雪地帯→人々の知恵と工夫→マンサクの根→屋根柱。遊びというか、謎が残っていません。ぼくもこういう作り方をするので、いいなあと思ったのですが、詩と説明文だと後者になっていませんか。「合掌造り」を「大雪や」ぐらいにすると遊びの間が出来るように思います。
⑥ 22 白百合を種から育てまず墓に  三村須美子
 子が亡くし親を、親が亡くした子を思う心とはこのようなものでしょう。
⑦ 23 恐竜の吐き出すポケモン夏休み 三村須美子
 イベント会場、恐竜の暑苦しさから意外な物が出てくる、と思うのは僕に子供や孫がいないからでしょうか。
⑧ 30 昨夜見た夢は山盛りさくらんぼ 蔭山辰子
 子供の頃の原風景の一つででょうか。まだ桜桃が高価でオヤツにお腹一杯食べたいと思った記憶が蘇ったのででょう。人それぞれの欲求は違っても夢に出てくるのは同じですね。
⑨ 51 思い出が違う夫婦の流星群 金澤ひろあき
 同じ場所に立って見ていても、方向や角度によって異なってきます。興味や関心の違いによっても、肯定や否定の度合いも変わってきます。記憶は自分の都合のいい方向に研磨されます。同じ人間は一人としていないのです。
⑩ 52 残暑続く「待ち人遠し」と告ぐみくじ 金澤ひろあき
 涼しくなって欲しいのになってくれない。気分を変えようと御籤をひいても同様な内容のものをひいてしまう。良い事は続かないが悪い事は続くと言われるとおりに。大人の溜息ですね。
⑪ 59 まっさらな紙幣秘仏のお賽銭  金澤ひろあき
 生きているうちに見られるものもあれば、見られないものもある。行けば必ず見られるものではない秘仏。ならば見られる機会を得た幸運と仏様に対する感謝の気持ちの表現をどうするか。一つのナイスな方法だと思う。
⑫ 62 私好みの猛暑白粉花は盆踊り 白松いちろう
 言い得て妙。ロート状の花が四方に伸びて、まるで手を広げて踊っているかのようです。夕方から翌朝にかけて花は咲いて午前中には萎みます。盆踊りにやってきて去っていく人の群れの様にも似て。
⑬ 68 甲子園の教え土壇場の逆転  白松いちろう
 諦めたらお終い、諦めず頑張れば道は開ける‥‥こともある、そんなドラマめいた瞬間劇を確かに甲子園は見せてくれますね。
⑭ 71 草いきれ夢から覚めたら憲兵がいた 暉峻康瑞
 夢の中で夢を見るというものだろうか。それとも作者の体験だろうか。「草いきれ」が生きている。猛暑日に草叢が高温多湿になる状況は耐えがたい。あらぬ活動をして恐らく寝汗をかきうなされるような夢を見て目覚めれば囲まれていた、というような状況下だろうか。ただ、もっと緊迫感を出せるものと交換してもいいように思える。
⑮ 75 学徒出陣母は押入れで泣いた  暉峻康瑞
 太平洋戦争中は嫌というほどあった光景ではないだろうか。戦争に駆り出されることが国家の為でめでたいことだと本気で思った親はいなかっただろう。こんな時代に戻ってはいけないのだ。
⑯ 76 老兵を叱るな童(わっぱ)蝿を打つ 暉峻康瑞
 個人の自由はなく思想統制され、ただ国の命令に盲目に従うしかなかった個々の兵士。子供は、そんなやるせない大人の感情も知らず蠅を打って戦争をした、せざるを得なかった大人に無言のプレッシャーを与える。無邪気にそうしていても、戦争に加担したという後悔のある人物には自分が責められているような気持ちになってしまう。
⑰ 79 刈っても刈っても雑草永田町のようだ 暉峻康瑞
 インパクトが大事です。「のようだ」は不要だと思います。「刈っても刈っても雑草」=「永田町」でバッチリです。
⑱ 82 神輿洗う錦の男衆総出  中野硯池
 普段色の黒くならない場所で仕事をしている人達とは思えぬ活気と手際の良さ。無形伝統文化の極みを見るような思いで見てしまった。
⑲ 85 人梯子して鉾の稚児地に返す 中野硯池
 祇園祭においては稚児は神の使いもしくは神の化身という位置があたえられる。鉾の上、神域の位置から地上に戻る手順といったところだろうか。稚児の前に立ち落ちないように全身全霊で稚児を守る姿は、神代の時代にタイムスリップしたかのような錯覚を覚える。
⑳ 89 八月や戦争知らぬ子は喜寿に 中野硯池
 W特選にしたかった句です。特選した句対局と言うとオーバーですが、こちらは自分の子も77歳となったか、太平洋戦争からすでにそれだけの歳月が経っているのかと、記憶の風化にも拍車がかかる、と危惧されている。長寿な作者ならではの句ですね。
【お便り紹介】
○堀川はるひ様
 残暑お見舞い申し上げます。
 猛暑とコロナ禍の再燃等々、何かと落ち着かない日々が続きますが、お元気でお過ごしですか。
 いつも童心の会を有難うございます。特に冒頭の文章を楽しみに読ませていただいています。
 私はこの夏、毎朝、洛東高校前の疎水べりの道を歩いています。朝の空気はすがすがしく一日の活力源です。
 まだまだ暑い日が続きます。どうぞご自愛専一にお過ごし下さいませ。
○暉峻康瑞様
 京都の夏は大変でしょう。されど春夏秋冬日本の四季もこれ又ありがたきことなり。
人間の文明は、欲望の岩石ですね。もし地球が黄金で出来ていたら、人間わずかな岩石のために戦争を始める事でしょう。

【お知らせ】
句会 9月18日(日)午後2時 
阪急長岡天神駅東口 喫茶 アーバンにて

2022年記念号 入稿しました。
10月句会 16日(日)にはお渡しできそうです。
遠方の参加者の方には郵送します。
お待たせしてすみません。



2022年8月 京都童心の会 通信句会結果 【選評】前半

2022-09-28 07:50:07 | 俳句
2022年8月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】前半
○中野硯池特選
45 原爆忌ギター片手に語り継ぐ 青島巡紅
 芸能に弾き語りという芸がある。かつては三味線が主流であったが、ノーモア広島・長崎をギターを通して訴えるのである。やるせなくも又心にひびくものである。八月が故に。
75 学徒出陣母は押入れで泣いた 暉峻康瑞
 この句は切実であり、実感である。
 戦に敗れてこそ言える句である。
○蔭山辰子特選
26 地を揺らす花火見ながらウクライナ  三村須美子
 八月は祈りの月。広島、長崎、終戦、それに重ねてコロナ、ウクライナ等々。八十路を生きる私には苦しい死にものぐるいの毎日です。句会の皆様も同じ思いをなさっておられるご様子。
 金澤先生、皆様おだいじにお過ごし下さいませ。
59 まっさらな紙幣秘仏のお賽銭 金澤ひろあき
 ご利益がありますように。
○白松いちろう特選
7 平凡が一番幸せあっち向いてほい 暉峻康瑞
 世の中、様々なことが起こり過ぎですが、矢張り平凡な普通の暮らしが最高の幸せです。「あっち向いてほい」と大声で喜びましょう。
 コミカルな一句に安堵します。
並選
3 冷酒一つずつ通る臓器 野谷真治
 全身に浸み通る美味さが的確に表現されています。今、禁酒を言われ、ノンアルコールで乾杯です。
37 蝉時雨網持つ影無く地蔵堂 青島巡紅
 例年の夏休みは蝉を求めて子供らが集まる地蔵堂ですが、今年も静かな地蔵堂です。早くコロナの退散を願います。
○金澤ひろあき選
特選 天 61 あの国会議員の無言ジンメンカメムシの模倣(マネ)か
  白松いちろう
 比喩表現に力を感じます。後ろめたいことで無言を通す表情を「ジンメンカメムシ」と比喩。多くの言葉をついやさずに、痛烈な批判・皮肉となって効いています。
地 36 同窓会昔が服着て注ぎに来る 青島巡紅
 「昔が服着て」という表情に魅かれます。友と共有した「大切な時間」が、甦ります。
人 26 地を揺らす花火見ながらウクライナ 三村須美子
 半年を越えてまだ戦火が続くウクライナ。平和な日本では花火を観賞していますが、空襲のあるウクライナでは、空襲を思わせる花火は無理なのでは。そういった悲しみも伝わって来ます。
他、心に残る句です。
72 建前が身につき黙っていたら赤紙がきた 暉峻康瑞
 何も言わなくなる、何も言えなくなる社会の恐ろしさ。「戦争は言論弾圧から始まる」とは、亡くなった金子兜太氏の言葉。
2 北斗七星一人のギター弾き 野谷真治
 北斗七星は北の目印となる星。ギタリストとの組み合わせで、この人が「孤高」という印象を受けます。
11 一人旅車窓から見る夏の雲 野原加代子
 これ、本当に一人旅の醍醐味ですね。一人だけの贅沢な時間。
30 昨夜見た夢は山盛りさくらんぼ 蔭山辰子
 これも贅沢な夢。味も良いですが、さくらんぼは美しいですね。涼しげです。
 小さな幸せがある日はいい日です。
85 人梯子して鉾の稚児地に返す 中野硯池
 祇園祭の長刀鉾の稚児は、祭りの時は神様。だから、足を地に着けることがありません。
 祭りが終わると人間世界に返るのです。その瞬間を写し取っています。鉾の巡行までは見ますが、終わった後のことはなかなか見ないものです。
○三村須美子特選
87 わだかまり解けぬ夕餉の冷奴    中野硯池
日常生活において考え方や思いは人それぞれです。同じ事柄についても感じ方も違っていることもあります。私ごとですが一言多かったり、一言足りなかったりします。
 あの時、ああ言えばよかった、いらんことを言って怒らせてしまったなどと一日中悶々として過ごすこともあります。わだかまりがとけないことで互いにツンツンしたぎごちない感じと冷奴が響きあっています。そして何時の日か、つるりと爽やかにのどを落ち胃に収まっていくでしょう。
○野谷真治特選
19 晴れ続く庭の植木も熱中症  三村須美子
 ネットで調べると、植物(庭木、植木)も熱中症になるらしい。幹焼けが起こり、最悪は枯れてしまうようです。
 手入れをあまりしていない、庭の植木を、暑い昼中にしばらく見ていた。
○野原加代子特選
67 盆提灯回り亡母蘇る  白松いちろう
 お盆の前後は店頭に提灯が並びます。
 毎年それを見るたび、亡き母を想い浮かべます。先日舞鶴に電車で行き、ローカルバスに乗り、墓参りに行きました。母を思い出す事って、自分自身歳を重ねるたび、多くなりました。

2022年8月 京都童心の会 通信句会結果

2022-09-27 07:49:29 | 俳句
2022年8月 京都童心の会 通信句会結果

句集『此方暗』の負のエネルギー
           金澤ひろあき
 年をとると、無理してプラス思考しなくてもいいと思い始めるようになった。
 狭い頭の中で無理矢理明るい未来とやらを描いて・・・というのが疲れるのだ。
 平林吉明さんの句集『此方暗』。コナタグラと読むそうだ。この句集を読むと、驚くべき負のエネルギーにまずは沈黙してしまった。これは頂いておきながら、なかなか礼状も書けなかったことの言い訳でもある。
 はじめのページからして、
  妻の持ち帰る夏はいのちの請求書
  病院の樹木は何も話さない
 「いのちの請求書」という重い言葉。憶測的希望すら断つ「何も話さない」
しかし、これが本当の心の声だったのだろう。
「手紙」を題にした句も、
  妻の書く宛名のない手紙
  やさしい陽の当たる手紙を下さい
「宛名のない」という行き場のなさ。交流できる存在の無さ。
「手紙を下さい」と呼びかけているが、かなったのだろうか。いや、こういう手紙を求めることからして、孤独なのだろう。
 もう一句、呼びかけの句がある。
  雪の夜の今でもガーシュインは好きですか
 よく読むと、以前は親しかったが、今はもう会えなくなった人への呼びかけのようだ。遠く離れてしまったことが強調される。
 肉親を詠んだ句も多いが、その中で「母」の句。
  母さんの音のするさびしいそろばん
  母をさがす子どものままでいる
 寂しい音で回想される母。そしてさがそうとした母は、たぶん探し出されなかったのだろう。
 「自転車」が身近なのか、五句ある。自動車は出てこないのに。
  雨にうなだれるキイちゃんの自転車
  老人は死ななければ自転車
  介護施設の放置自転車
  お早う!海老原君は雨あがりの自転車
  黄色いデッサン空想の自転車に乗る
 最初の三句は淋しい。そのぶん、後の二句は夢があり、明るさがある。生きて行く中で交互に訪れる心模様が、そのまま出ている。読みようによっては「老人は」の句は、己を老人だとすれば、居直りのたくましさも感じられる。
 「死」という語が出たので、次の句も、
  死ニゴミ
 死 イコール ゴミ。非情とも思えるし、真実とも思える。人間は宗教などで思考的お化粧をし、「死 イコール ゴミ」から逃れようとした。いや、今もそうしている人が多い。
 しかし、宗教などでお化粧する人間も、他のモノと同じく、この世を流転するモノの一つにしかすぎない。いや、これも一つのリクツにしかすぎないな。
  黴の生えた南瓜の雑談
 自分の言葉も観念も、冷静に見ると「南瓜の雑談」にすぎないのだろう。
 この句集最後の句、
  母は娘を抱き続ける幸福の重さ
 抱き続けていたい人間の情も、また真実なのだ。
 うまい下手が問題ではない。この句集は人の借り物ではない、自分で考え抜いた真実なのだ。

皆さんの選です。
 選者 真・・野谷真治  白・・白松いちろう
    辰・・蔭山辰子  ひ・・金澤ひろあき 硯・・中野硯池  
巡・・青島巡紅  須・・三村須美子  さ・・岡畠さな子 
加・・野原加代子 真・・岡畠真理子

○野原真治
1 戸袋の内側蝸牛がいる
2 北斗七星一人のギター弾き 白 ひ
3 冷酒一つずつ通る臓器 白 須 加
4 手首の曲線梅干常連客 須 巡
5 風鈴の音選挙投票日  硯 加
○暉峻康瑞
6 水無月や蛍くるまで留守と云え
7 平凡が一番幸せあっち向いてほい (特 白)辰 巡
○野原加代子
8 赤トマト母の味して食べつくし 須
9 汗かきし風鈴の音父の夏 辰
10 かき氷孫と食べして笑顔かな
11 一人旅車窓から見る夏の雲 硯 白 ひ 真理
12 朝顔や水浴びして大暑かな 巡 真理
13 百合匂う白に咲きして香り立ち
14 通勤道万緑に覆われ走り抜け 真
○三村須美子
15 桃狩りやお店ごっこの大安売り  ひ
16 桃盛りて売り子は他国のアルバイト 真
17 コロナ禍の昼寝の習慣夏太り    硯 真理
18 コロナも熱中症も怖いマスクの板ばさみ 辰 巡 真理
19 晴れ続く庭の植木も熱中症 (特 真)加
20 合掌造りマンサクの根っこでしばる屋根柱 巡
21 板張りの階下の透けて囲炉裏かな 硯 白
22 白百合を種から育てまず墓に   巡
23 恐竜の吐き出すポケモン夏休み  硯 巡
24 危険な暑さ猫も受診療養中    ひ 真
25 土手に寝て空を眺めて花火待つ  辰 加
26 地を揺らす花火見ながらウクライナ (特 辰)(特 ひ)白 真 加
○蔭山辰子
27 夏の空翼があれば涼もとめ
28 久しぶり夕立にあい帽子ぬれ
29 午前六時朝日燦々東窓(寝てなんぞいられない)
30 昨夜見た夢は山盛りさくらんぼ  硯 ひ 須 巡 真理
31 梅干しかつお塩こんぶおにぎりにのりを包み 真理
(おばあちゃんこれはナーニ?食べて見ないとわかんない)
32 香りよし味もおいしい冷やしトマト 白 加
○青島巡紅
33 腹を出し満足気なる油蝉  須 真 白 加
34 生きているもの皆大将風涼し  硯 須
35 真珠湾踊らされて舞い上がる 白
36 同窓会昔が服着て注ぎに来る (特 ひ)
37 蝉時雨網持つ影無く地蔵堂  辰 白 真 加 真理
38 葉の雫世界を絡め落ちていく 辰
39 手掴みで捕まえた蝉離してやる 硯
40 南中時無言になった蝉落ちる
41 星座表寝落ちするまで天の河 真
42 水溜り泳ぐ成り立て蛙二匹 
43 枝の先風の子守唄聴く蝉の殻 硯 辰 白 ひ 須 真 加
44 銀色テープ青田眠らす子守唄 白 加
45 またカレーハモる父と子ライブの日 (特 硯)真理
46 原爆忌ギター片手に語り継ぐ ひ 須
○金澤ひろあき
47 絵になるな負けたチームのインタビュー 真理
48 汗かいて一願成就の九十九折(つづらおり) 白 真理
49 若者のきれいな裸だけで罪 硯 白
50 罪もない年寄り子供素っ裸 真
51 思い出が違う夫婦の流星群 硯 辰 白 巡
52 残暑続く「待ち人遠し」と告ぐみくじ 硯 須 真 巡
53 蚊帳たたむ休みそろそろぼちぼちと (特 真理)
54 日雷忘れて良いことそんなにない
55 地元歌手ミニスカートで盆踊り 白
56 緩やかなブルーの服の残暑かな 須 加
57 海辺駅 北の異国の語が混じる 硯 真 加
58 かき氷ゲームのように崩し食う 白 須
59 まっさらな紙幣秘仏のお賽銭 辰 巡
60 海辺駅 泣かない約束守ったよ
○白松いちろう
61 あの国会議員の無言ジンメンカメムシの模倣(マネ)か (特 ひ)辰
62 私好みの猛暑白粉花は盆踊り 巡
63 思わず手が出る弁当うどん・そば・そうめんの揃い踏み 真理
64 スマホが鳴らない今日が始まらない 真
65 コロナと猛暑から身を護るシニアの例会は半数 須 真理
66 マイナーポイントで大混迷シニアの集い
67 盆提灯回り亡母蘇る (特 白)真 加
68 甲子園の教え土壇場の逆転 巡 真理
69 輪投げ(クロリティー)の魅力偶々の満点
70 ノーモア広島ウクライナの戦火はいつ止まる 硯 辰 須 加
○暉峻康瑞
71 草いきれ夢から覚めたら憲兵がいた 巡
72 建前が身につき黙ってたら赤紙がきた ひ 須
73 草笛や一銭五厘で戦死した  (特 巡)白
74 非業の死だったよ冬木の森で 辰
75 学徒出陣母は押入れで泣いた 硯 辰 ひ 真 巡
76 老兵を叱るな童(わっぱ)蝿を打つ 加 巡
77 人間は国盗り鶴は落ち穂を拾いをり
78 核弾頭孕みしか地球の大根抜く 真
79 刈っても刈っても雑草永田町のようだ 辰 巡 真理
○中野硯池
80 鱧切りの包丁を研ぐ錦かな
81 明石の鱧乗せて祗園へ盥舟 須
82 神輿洗う錦の男衆総出  巡
83 宵山に若冲の屏風飾りけり
84 強力の肩より乗りし鉾の稚児
85 人梯子して鉾の稚児地に返す ひ 巡
86 ジェラシーやワインレッドの薔薇の花
87 わだかまり解けぬ夕げの冷奴 (特 須)
88 網戸越の舟屋の入江碧々と
89 八月や戦争知らぬ子は喜寿に ひ 巡

※写真は義仲寺です。



フリー句「Forgive meと」の巻

2022-09-26 07:50:41 | 俳句
フリー句「Forgive meと」の巻
Forgive meと紙に書いて燃やす岸辺  巡紅
別れ際テキリーと言って握手した   ひろあき
※テキリーは「take it easy」の訛りとか。
制服は衰退すると豪語した高校時代  巡紅
アイドルが制服姿になる現代     ひろあき
枯れ尾花父と呼ばれることもなく   巡紅
蜩の淋しさ加える山の道       ひろあき
山奥の畦道跡の彼岸花        巡紅
悠々と制空権の鬼やんま       ひろあき
夕焼けに向かって走る球児達     巡紅
一日でも長引かせたかったピリオドは ひろあき
先輩の悔しさバネに俺たちが     巡紅
新聞記者が作るコメント       ひろあき
ゴルバチョフの後継者がいないロシア 巡紅
トルストイにはさらに遠いか     ひろあき
太陽は西からは昇らないのにね    巡紅
天才バカボンこれでいいのだ皆解決  ひろあき
世界一が生まれては消えていく    巡紅
名人の引退話秋深し         ひろあき
雪の降る瓦礫も死者も白くなる    巡紅
野うさぎの目の悲しさに意味がある  ひろあき
雨よ降れ起きると快晴デート日和   巡紅
コスモス揺れて笑顔も揺れて     ひろあき