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2011年の韓国を代表する本は? (1)YES24の<今年の本2011>を見る

2012-01-02 23:59:25 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 韓国最大のインターネット書店YES24が年末に実施した第9回ネチズン選定、今年の本2011の結果から、2011年に韓国ではどんな本が読まれたか見てみます。
※参考記事は →コチラコチラ

 あらかじめ提示された5つの分野、120冊の候補の中からインターネットで投票するという形式で、今回はの88,581人が参加。前年の97,556人から9千人も減ったのは、韓国でも読書人口が減っているからなのでしょうか?

 総合ベストテンは次のとおりです。

①キム・オジュン「黙って政治(닥치고 정치) -キム・オジュンの明朗市民政治教本」(36,054票)
②ウォルター・アイザックソン「ステイーブ・ジョブズ」(33,872票)
③金蘭都(キム・ナンド)「苦しいから青春だ(아프니까 청춘이다)」(29,918票)
④朴慶哲(パク・キョンチョル)「田舎医者朴慶哲の自己革命」(19,626票)
⑤文在寅(ムン・ジェイン)「文在寅の運命」(14,956票)
⑥兪弘濬(ユ・ホンジュン)「私の文化遺産踏査記 6」(12,347票)
⑦キム・ジェドン「キム・ジェドンが会いに行きます」(11,769票)
⑧チャン・ハジュン「世界経済を破綻させる23の嘘」(11,604票)
⑨金辰明「高句麗(1)」(11,262票)
⑩キム・ヨンミン「「私はコムスだ」裏話:あなたもコムスPDになれる」 


 ①、キム・オジュンは李明博政権批判の立場で若年層の支持を集めるインターネットラジオ放送「ナヌン コムスダ(私は小ざかしい)」(略称ナコムス)の司会で「タンジ日報」(←アンチ「朝鮮日報」系のパロディーオンライン新聞)の総帥。朴槿惠など多くの政治家たちを辛辣かつ滑稽に批評しながらも、私たちがなぜ政治に関心を持たなければならないのかについて回答を与えてくれる、ということです。(具体的にどの政党や政治家を推す、というものではありません。)
 ②、ジョブズへの関心の高さは韓国でも同じ。
 ③、金蘭都ソウル大教授は、学生が直接評価する「ソウル大学の優秀講義」に選ばれるなど<ソウル大学のマイケル・サンデル教授>ともよばれているとか。
 ④、4月27日の記事「韓国人が一番会いたい作家」にも出てきた朴慶哲氏の「田舎医師の金持ち経済学」はベストセラーになりました。この本では人生について若者向けに書いています。
 ⑤の著者は盧武鉉政権で大統領秘書室長を担当し、現在は盧武鉉財団理事長という<永遠の盧武鉉の友人>。最近は、民主党を中心とする野党圏大統合だけが唯一の大統領選挙勝利方案だと述べています。そんな彼、文在寅の自伝。
 ⑥、1991年の第1巻刊行以来全国的な踏査ブームを起こしたミリオンセラー(220万部)「私の文化遺産踏査記」の10年ぶりの新刊。著者兪弘濬氏はその間2004~08年には文化財庁長を務め、現在は明知大学美術史学科教授。この新刊ではソウルの景福宮や光化門とそれにまつわる話、古都扶余での百済美術等を探訪しています。
※安保上の理由で1960年代から立入禁止区域だった北岳山と粛靖門が開放された。また景福宮の慶会楼の中にも入れるようになり、景福宮の北門にあたる神武門が一般開放されたのは、文化庁長だった兪弘濬さんの功績だそうです。
 ⑦は、<国民的MC>キム・ジェドン氏がいろんな人に会いに行くのですが、その相手が実に多様。小説家李外秀(イ・ウェス)、オリンピック・サッカー代表監督洪明甫、少女時代のスヨン、民労党の李正姬代表、女優コ・ヒョンジョン、その他政治家・野球選手・詩人・歌手・映画監督・済州島の海女等々計25人。これは私ヌルボ、ぜひ読まなくっちゃ・・・。
 ⑧、新自由主義を批判する経済学者。実はこの本、今読んでます。わかりやすく、うなづきながら読んでいます。オススメ!
 ⑨、あの反日小説「ムクゲの花が咲きました」の著者金辰明氏、この本では矛先を中国に向けました。東北工程以降高句麗はウチらのナワバリとの声を強めている中国に立ち向かいます。どこまでも愛国心旺盛で、御苦労様なことです。
 ⑩、時事評論家キム・ヨンミンも上記の「私はコムスだ」でキム・オジュン氏等とともに司会を担当している人。この投票結果は、やっぱり反李明博政権の若年層ネチズンの性向が反映しているのかな?

 各分野別のトップは次のとおりです。
[文学] キム・ナンド「苦しいから青春だ」
[人文/教養] キム・オジュン「黙って政治 -キム・オジュンの明朗市民政治教本」
[ビジネス/自己管理] ウォルター・アイザックソン「ステイーブ・ジョブズ」\t
[幼児・子ども・青少年] ノ・ギョンヒ「たい焼きオンマ(풀빵엄마)」
[家庭/実用] チョン・ジウン、キム・ミンテ「子どもの自尊心」

 前掲の本とダブっていない本について紹介しておきます。
 「たい焼きオンマ(プルパン・オンマ)」は2010年MBCテレビのヒューマン・ドキュメンタリー<愛のシリーズ>で歴代最高の視聴率を記録し、国際エミー賞を受賞した番組を童話にしたもの。末期がんに侵されながらも子どもたちのためにパン屋の仕事を懸命に続ける母親の姿を描いた感動の実話。
 「子どもの自尊心(아이의 자존감)」人を成功に導く力がまさに自尊心なのだそうで、正しい自尊心を形成するための実践的な方法を提示する、ということです。両親の児童期養育経験が子どもの養育に大きな影響を及ぼすので、誤った養育方式がそのまま相続されないように、両親の過去と現在をチェックして改善していくように方向を提示する、というあたりは興味ないこともないですが・・・。

 さて、代表的大型書店教保文庫の<今年の本>の方は、これまではYES24とあまり大きな差異はなかったのですが、今回は意図的に差別化をはかったのか、趣向を変えて、内訳もかなり異なっています。・・・ということで、1年前は同じ記事で両方紹介しましたが、今回は別立てにします。

<2011年の韓国を代表する本は? (2)教保文庫の<2011年今年の本>を見る>

        
   【キム・オジュン「黙って政治(닥치고 정치)」。写真はもちろん著者自身。】

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