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[韓国語] 「ウルシニョンスロプタ」(ものさびしい・みじめだ)の語源は? ①朴婉緒の自伝的小説の漫画版

2017-05-08 22:39:49 | 韓国の漫画
[1] 朴婉緒「たくさんあったあのイワタデは誰が食べたのか」の漫画本はすばらしい!

             
 朴婉緒(パク・ワンソ.1931~2011)の自伝的小説「그 많던 싱아는 누가 다 먹었을까(たくさんあったあのシンア[イワタデ]は誰が食べたのか)」の漫画本(上・下)を読みました。
 いやあ、これはいい本です。
 この小説の日本語訳は「新女性を生きよ」(梨の木舎.1999)というタイトルで刊行されました。韓国では高名なこの作家の代表作の1つですが、全然小説らしくない雑誌風の体裁ということもあって(?)、(たぶん)ほとんど注目されてこなかったと思います。しかし、生まれ故郷である開城近郊の村で過ごした少女時代から、母に連れられてソウルに移り住んで小学校・女学校に通った頃、そして光復を経て朝鮮戦争の初期までの朴婉緒の少女時代が実に生き生きと描かれていて感銘を受けました。
 この翻訳書を読んだのが10年以上前。そして4年あまり前にソウルの書店でこの漫画の表紙を見て上下2巻を買ってきたのですが、そのままツンドクになっていたのを、最近の大掃除の時に発掘なんとなく読み始めたところ、このキム・グァンソンという漫画家の絵に魅入りました。絵自体が魅力的であるばかりか、元の文章の多くをそのまま用いる等原作に密着し、1930年代以降の村や街、自然の景物等も(おそらく)ずいぶん緻密な時代考証をふまえていて、きちんと描写されています。

 ・・・と、この漫画本の内容をこれ以上紹介するとさらに何倍もの字数を要するので、とりあえずはおいといて、ここから本論の、序文です。(ここまでは本論どころか、序文でさえなかったってか!?(笑))

 小学校に入るため母に連れられて初めてソウルに来た少女ワンソが暮らすことになったのは峴底洞(ヒョンジョドン)でした。西大門の近くといっても、下の絵のような山の上のタルトンネ(月の町=低所得者層の集住地域)で、水道もない所でした。
      

 こんな小さな家が密集する丘を登って行って・・・。
      
 さらに上へずーっと登って行って・・・。翻訳書では「苦労しててっぺんまでたどりついたのに町はまだつづいている。」 やっと母が歩みを止めたのがこの近辺でもまれな藁ぶき家。(上左) それも「わが家」ではなく間借りです。
 ここで上右のコマのハングルを読んでみます。
 
 작은 쪽마루가 달린 문간방은 옹색하고 을씨년스러웠다.
 小さな縁側がついた門間房(玄関部屋)は窮屈で陰気くさかった


 とくに을씨년스러웠다(ウルシニョンスロウォッタ)という言葉を強調したのは、これがこの記事のテーマだからです。(やっと・・・。) 辞書で辞書形の)「을씨년스럽다」(ウルシニョンスロプタを引くと、「(天気や雰囲気などが)もの寂しい」「非常に貧しい」「みじめだ」といった訳語が載っています。(上の「陰気くさかった」は翻訳書の訳語。)

 辞書に*印がついている単語でもないので、中級レベルの韓国語学習者の皆さんの多くは知らなかったのではないでしょうか?
 実は私ヌルボも2、3ヵ月前に初めて知った単語です。その知ったキッカケというのがその語源をめぐる記事を読んだこと。
 さらにあれこれ関係情報を集めたりして・・・、で今回はとりあえずここまで。以下続きます。

 → [韓国語] 「ウルシニョンスロプタ」(ものさびしい・みじめだ)の語源は? ②乙巳年(ウルサニョン)にあったこと

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