最近発行の長渡陽一『初級を卒業した人のための韓国語文法』(ナツメ社)に目を通してみました。
文法書といっても、タイトルにあるように「初級を卒業した」レベルの人を主な対象として、文法を通してさらに確実にレベルアップを図るためのテキストといった本です。
長渡先生は序文で、韓国語文法の本は「とかく「語尾辞典」になりがち」だが、「本書は、韓国語「全体」の「しくみ」を描く試みの第一歩」であると記しています。
なるほど、目次(→コチラ参照)からもわかるように、各品詞や文のしくみ、文末のしくみ等々、トータルに扱っています。
また私ヌルボの感想としては、次の点に<長渡先生らしさ>が表れていると思いました。
①「かくあるべき」、「標準的=教科書的=正しい」というような韓国語ではなく、実際に用いられている韓国語に即したものである。したがって、「××××という語法は文法的に誤りである」というような指摘はなく、口語に重点を置いている。
※たとえば「形容詞も勧誘語尾をつけて「共に~になろう」という意味を表すことができます」とすんなり書かれ、「행복하자.(幸せになろう)」という例文を掲げています。この用法については→コチラの過去記事で取り上げたこともあり、またコチラの韓国サイト等でも詳しく書かれています。
②発音(濃音化等の音変化、イントネーション等々)についても説明している。(これまでの著書をふまえている。)
「있다」「간다」等の<基本文体>(下称)、「있습니다」「갑니다」等の<格式文体>(上称)とともに、口語でふつうに用いられる반말も<普通文体>として同列に置かれて説明されてます。
【こういうパッチムの音変化についてはふつうの文法書には書かれていないのでは?】
とっくに「初級を卒業した人」にとってもかなりむずかしいと思われる内容もあり、勉強になると思います。たとえば、本ブログ5月29日の記事にも関連する「過去の状態の継続」についての次の練習問題。
【実は私ヌルボも首を傾げてしまいました。】
他にも勉強になった箇所はいろいろあるのですが、たくさん挙げると著作権侵害・営業妨害になってしまうので、あとは皆さん書店で見てみてください。
そしてナツメ社の宣伝文にも書かれていない本書の大きな特色は、T-ARAをはじめとするK-POPや韓流ドラマ関連の言葉や例文がたくさん散りばめられていること。
まずわかりやすい例から。
もちろんT-ARAのリーダーのソヨンですね。
ヒョナは4minuteのヒョナでしょう。
<プラスα>でやはりT-ARAのウンジョンも登場。ここまででも長渡先生がT-ARAのファンということが十分にわかります。そして・・・
昨年T-ARAを脱退した(させられた)ファヨン。
その下の「내 앞에만 나타나면」も「너만 생각하면 미치겠어」もワンダーガールズの「Be My Baby」の歌詞。意味的にも長渡先生の心の声?(笑)
「짜증내도 너무 귀엽고 투정해도 너무 귀엽고」はT-ARAの「O my god」、「나를 두고 떠나가지 마」はT-ARA & Davichiの「나를 두고 떠나가지 마」の歌詞から。これまた深読みすれば意味深かも・・・。
そしてもうひとつ。
もしや、と思って調べてみたら案の定。「9月28日」というのは、2011年T-ARAがで日本でデビュー・シングル「Bo Peep Bo Peep」を発売した日付でした!
ちょっと目についたものを拾ってみましたが、本気で探せばもっとたくさん見つかりそう。
おっと、そんなことしてたら勉強にならないって・・・、そりゃその通りです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます