ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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日韓のプロ野球の違い ☆門倉健選手のトークライブ

2011-12-25 23:55:58 | 韓国の文化・芸能・スポーツ関係の情報
 17日に水道橋のYMCAアジア青少年センターという所に行ってきました。もっと早く書くつもりだったのが、もう8日も経ってしまいました。
 この建物は、本ブログの昨年8月14日の記事で書いたように、1919年2月8日、在日朝鮮人留学生たちによって2.8独立宣言が発表された場所です。しかし今回はそれとは関係ない催しです。

 その催しというのは門倉健トークライブ
 ご存知ない方も大勢いらっしゃるでしょうが、門倉健さんはプロ野球選手(投手)です。ウィキにあるように、1973年生まれ。東北福祉大学を出て1996年ドラフト2位で中日に入団。以後近鉄・横浜・巨人と計4球団に在籍した後、2009年シカゴ・カブスとマイナー契約を結んでオープン戦で好投しながらも開幕直前に解雇され、その直後韓国プロ野球の仁川を本拠とするSKワイバーンズで2年間で22勝と活躍し、そして今年は大邱の三星(サムスン)に移籍し日韓通算100勝を達成するも、その後調子を落とし、7月に退団しました。

 何をかくそう私ヌルボ、常に理性的に物事を判断できると自らが保証する(笑)ほどの人間ですが、唯一(?)理屈もへっちゃくれもないのが名古屋に生まれついて以来の中日ファンということ。今シーズンもリーグ優勝を決めた10月18日にはちゃんと横浜スタジアムに行ってました。でかい声を出したりするタイプではないですけどね。

 ・・・で、門倉投手とは中日・横浜、そして韓国と、重なる要素がいろいろあって個人的に親近感がある上、とくに今回は韓国のプロ野球の話が聞ける絶好の機会と思って行ってきたというわけです。
 このトークライブについての情報源は、<韓国野球応援サイト ストライク・ゾーン>中の記事。→コチラ。11月に偶然見つけました。

 このトークライブは、<韓国プロ野球の伝え手>という肩書の室井昌也さんとの対談という形式で進められました。室井さんという人は、これまで知りませんでしたが、「韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑」を04年から発行したり、韓国プロ野球観戦ツアーを03年から実施したりしているんですね。また韓国のスポーツ紙「スポーツ朝鮮」に06年からコラムを毎週連載しているとも・・・。韓食の八田靖史さんといい、韓国文化の中の個々の分野でそれそれの専門家が生まれつつあるようです。

 その室井さんの話によると、トークライブは2006年に始まって今回が8回目。上記の<ストライク・ゾーン>中の記事の下方にある、これまでのトークライブの記録によると、今年は7月・8月にもやっているんですね(選手のトークは初めてとか)。しかし、室井さんが約100人(?)の来場者に「今回初めての方は?」と尋ねたらヌルボも含め半数以上の手が挙がりました。

 さて、お目当ての門倉投手の話ですが、期待通りでとても興味深い内容でした。投手としての技術等々の話もおもしろかったのですが、本ブログの趣旨に沿って、とくに日韓の野球の差異に絞ってその内容を紹介することにします。

まずは、意外でもなんでもない、読み筋通り。韓国人選手は大食である。ま、ふつうの韓国人もたくさん食べるし・・・、ってプロ野球選手はそれ以上のようです。球場に来てからもチゲなんかを食べるそうで・・・。門倉選手、「試合前にあんなに食べるなんて日本じゃ考えられない」。その前に、ホテルで参鶏湯を食べてから出てくるとか・・・。「1日に4~5回食べてるようです」。
 門倉選手が一時スランプに陥った時、体のキレを良くするためダイエットをして体重を落とし、それが功を奏して再び勝てるようになった。韓国のスポーツ記者に復活の理由を問われて、その通り答えたところ、記者には全然理解されなかったそうです。韓国では調子が悪かったら「とにかく食べる!」ですから。失恋しても仕事で失敗しても不幸にあっても、とにかく食べて元気を回復するというのが韓国人(と決めつけていいのか??)。スポーツ選手がダイエットというのは理解不能だったようです。
 韓国に行って、とくに食文化の違いに驚いたと語る門倉選手、「辛いものが好き」でとくに「スンドゥブがおいしい!」とのことで、とくに深刻な拒絶反応はなかったようですが、それでも「犬肉は食えなかった」そうです。三星の宣銅烈監督は来シーズンから自身の出身地光州を本拠とする起亜の監督になりますが、ある韓国サイトの記事には彼の父親は息子に補身湯(犬鍋)を食べさせたと書かれています。室井さんの話ではその光州に宣銅烈監督の行きつけの補身湯の店があるとか。しかし門倉選手によると、やはり元中日の投手で2010年から三星のコーチをしている落合英二さんもやはり補身湯の店には行かないと言っていたそうです。

これまた「やっぱりなー」という感じだったのが「韓国選手はもっと繊細になっていいんじゃないかと思います」という話。
 袋から出したばかりの新品のボールは光沢を出すため蠟が塗られているのですが、日本では砂をまぶして手でこねてから使います。これが常識・・・のようで、→コチラの記事でも説明されています。あれっ!? それ以前に「公認野球規則」で試合球は「もみ砂」でこねることがによって義務づけられているんだって? さらにそのもみ砂は「鳴き砂」で有名な京都・ 網野町の琴引浜の白砂と、鹿児島県の火山灰を含んだ黒土を「企業秘密」(!)の比率でブレンドした砂で、2011年度から統一された、と→ヤフー知恵袋で説明されていますよ。
 ところが韓国では、門倉選手の話では「気にしない」とのこと。こねたりしないで、そのまま使うのだそうです。
 また、門倉選手が最初に韓国のマウンドに立った時、プレートの金具が出ているのを見て、「これはイヤガラセか?」と思ったそうです。(→参考画像) 日本ではもちろん出ないようにして、少し砂をかけるとか。これもイヤガラセじゃなくて気にしないだけなのかも・・・。
 たぶん、こんな細かな(?)ことを気にしないというのは、野球自体(投打の技術や試合運び等々)にも関係しているのでしょうね。

その他、韓国ではビジター・チームにはロッカーがなく、バスの中で着替えるのがオドロキだったとも・・・。日本では大学野球でもロッカーはあるのに・・・。

また、日本のプロ野球ではふつう投手は中5日のローテーションがふつうになっています。稲尾投手が42勝しちゃった頃はいざ知らず、現在は登板した翌日は軽くジョギングだけ、次の日は完全休養。しかし韓国の投手はもっとキツいそうで、登板の翌々日にはもうベンチ入り

移動は、日本では新幹線を利用するのに対し、韓国ではバスで移動。これも予測通りですね。釜山から仁川やソウルに移動するとなると5時間ですから、キツいです。門倉選手は大好きな数独で時間をつぶしているそうです。

韓国人選手(打者)はタテの変化球に弱い。これは、来日韓国人選手についての解説者の分析としてしばしば聞いたことですね。しかし、今度オリックスへの入団が決まった韓国一の強打者、ロッテ・ジャイアンツの李大浩選手は「対応できる選手なので期待できる」とのことですよ。昨年は打撃9試合連続本塁打、7冠王で日本でも少し注目されましたね。今年も打率0.357で首位打者でした。(2011年韓国プロ野球の個人成績は→コチラ。)

 韓国野球のレベルも、以前に比べるとずいぶん高くなったとのこと。ヌルボがただ1度、蚕室球場で観戦したのが1992年(!)。近年は観客数も増加し、今年日本でも公開された「グローブ」や、今韓国で上映中の「パーフェクト・ゲーム」のような野球映画も作られています。ぜひ来年は、20年ぶりに釜山か仁川か光州に観に行くぞ!という意欲が高まってきました。
※「パーフェクト・ゲーム」は、韓国プロ野球史で伝説の対決といわれる1987年5月16日に釜山・社稷(サジク)球場で行われたプロ野球ロッテジャイアンツの崔東原と、ヘテタイガース宣銅烈の対決を描いた作品。延長15回2対2で引き分けに終わったその試合は、伝説の名勝負としてファンの記憶に残っているそうです。(崔東原投手は今年9月大腸がんで死去、釜山の社稷球場で追悼式が行われました。)

 さて、このトークライブ、トークだけでなく、実際に門倉選手のストレートやフォーク等のピッチングの実演や、数々のプレゼントの抽選等もあって、とても楽しめました。
 室井さんは、ご自身のブログででこのトークライブの報告記事をアップしています。写真も載せてます。よくあんな狭い所で投球できるものです。さすがプロです。室井さんもその日のうちに記事をまとめるとは、これまたお仕事とはいえさすがです。

  
 【右から2009年SKの準優勝メダル、10年の優勝メダル、オールスター出場メダル、09年4月の月間MVP(韓国で制定初受賞選手)。左にチラと見えるのは、2005年横浜時代の最多奪三振投手賞。】

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