ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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韓国内の映画 NAVER映画の人気順位 と 週末の興行成績 [5月5日(金)~5月7日(日)]

2017-05-09 22:05:27 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 5月3~8日の6日間で映画7本鑑賞。内訳は神保町のチェッコリで「あの空にも悲しみが」(1965)・「星たちの故郷」(1974)・「帰路」(1967)の韓国映画の旧作3作品。キネカ大森では昨年の日本映画の注目作「怒り」「永い言い訳」の2本立て。そしてシネマ・ジャック&ベティで観たのが「タレンタイム~優しい歌」「私は、ダニエル・ブレイク」です。

 「怒り」と「永い言い訳」は、<ぴあ映画生活>のサイトの平均評点80点がうなずけます。しかし、私ヌルボとしては「この手の日本映画はどんなにがんばっても80点止まりだな」という否定的評価としての80点です。両作品の大きなウイークポイントは「物語の構図が透けて見える」ということ。「怒り」の場合は、3つの別の場所それぞれで「素性の知れない青年と彼を取り巻く人々」が設定されます。観るうちに、「実際の犯人は誰なのか?」よりも、「あなたはどこまで愛する人を信じることができますか?」と問いかける点がこの映画のキモなんだなということがわかってきます。問題は、そういう問いかけ自体が作者(吉田修一? 李相日?)自身にとってどれほど切実なものなのかがよくわからない、ということ。「永い言い訳」の場合は、事故で妻に先立たれた2人の男の亡妻への思いが両極端といっていいほど対照的。そこにご都合主義っぽさを感じてしまいました。どちらの作品も、作者の頭の中で構想した<思考実験>のような印象を受けた、ということです。
 一方、最近観たエドワード・ヤン監督「牯嶺街少年殺人事件」や、引退宣言を破ってケン・ローチ監督が作った「私は、ダニエル・ブレイク」は、監督がこれらの作品を制作した<内的必然性>といったものがひしひしと感じられます。 「豊作」と言われた昨年の日本映画の多くをヌルボは観ていませんが、もしかしたら今回観た2作品と同様のことが今の日本映画(や小説)に共通するのでは、とも思われます。

 未見だった韓国映画3作は、作品内容とともに公開当時の韓国社会の一端を視覚的にも知ることができ、有意義なものでした。とくに半世紀前のベストセラー「ユンボギの日記」を映画化した「あの空にも悲しみが」は、ユンボギの住むあばら家のひどさといい、子供たちがガムを売ったりして家計をかつかつ支えている中、少しでもまとまった金を手にすると博打に手を出す父親の極度の無責任さといい、浮浪児たちを食い物にする街のチンピラたちといい、60年代韓国社会で貧しい家の子供たちの生活環境が極度に劣悪だったことに今さらながら驚きました。
 なお、チェッコリには今回上映した5作品の他にも15枚ほど(?)の日本語字幕付DVD・ブルーレイディスクがあり、またいずれ同じような韓国映画上映会をやる(かな)というような話を聞きました。期待しています。

 以下は近日(今月内)公開の個人的注目作品のメモ。主に参考にしたのは、すでに公開されている作品の韓国での評判、そして「キネ旬」の評点です。韓国映画では昨夏の大ヒット作の1つの「トンネル 闇に鎖された男」。ハ・ジョンウが主演で、ペ・ドゥナもその妻を演じています。キム・ギドク作品の「STOP」は、なんだかなー・・・です。韓国で福島の原発事故がどう受け止められているか?はわかるかもしれませんが・・・。「あの日、兄貴が灯した光」(原題は「형(兄貴)」)の方がまだよさそうかも・・・。チョ・ジョンソクと、EXOのメンバーのD.O.が兄弟役を演じるヒューマン・コメディです。
 韓国映画以外では「マンチェスター・バイ・ザ・シー」、それから「メッセージ」くらいか。あ、「台北ストーリー」はもうユーロスペースでやってますね。私ヌルボは5月27日から上映予定のシネマ・ジャック&ベティに行くつもりですが・・・。その日からはまだ観てない「ムーンライト」の上映も始まります。毎度のことながらありがたい映画館です。

 先週は「朝鮮日報」の「封切映画 ぴったり10字評」は掲載されませんでした。

         ★★★ NAVERの人気順位(5月9日現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) マリアンヌとマーガレット(韓国)  9.62(64)
②(2) 劇場版 黒子のバスケ LAST GAME(日本)  9.60(235)
③(4) 謝罪  9.53(118)
④(5) ミス・サイゴン:25周年記念公演 in ロンドン  9.40(367)
⑤(3) 徐舒平(ソ・ソピョン)、ゆっくり穏やかに(韓国)  9.57(235)
⑥(6) ヒドゥン・フィギュアズ  9.36(2,727)
⑦(-) 黒執事 Book of the Atlantic(日本)  9.29(435)
⑧(8) ミス・スローン  9.27(466)
⑨(7) 再び、桜(韓国)  9.27(182)
⑩(-) 劇場版 トボット ロボット軍団の襲撃(韓国)  9.27(126)

 今回の新登場はありません。それにしても、オーソドックスな劇映画は⑥と⑧のアメリカ映画2作品だけ。あとはすべてアニメとドキュメンタリーと④の公演。今回がたまたまこうなっただけ?

     【記者・評論家による順位】
             ※評点の後の( )は採点者数
①(1) わたしは、ダニエル・ブレイク  8.40(15)
②(2) ラ・ラ・ランド  8.34(14)
③(4) ムーンライト  7.83(6)
③(4) 夜に海岸で独り(韓国)  7.83(6)
⑤(6) マンチェスター・バイ・ザ・シー  7.75(8)
⑥(-) お嬢さん(韓国)  7.68(18)
⑦(7) ジョン・ウィック チャプター2  7.67(3)
⑧(8) 私たち(韓国)  7.66(14)
⑨(9) 謝罪  7.33(3)
⑩(-) 怒り(日本)  7.25(4)

 今週も新登場はありません。昨年6月公開の「お嬢さん」と「私たち」は公開日が過去1年以内という独自基準で新作扱いにしています。

         ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績5月12日(金)~5月14日(日) ★★★

         韓国映画「特別市民」は1週で首位陥落

【全体】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(158)・・ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー・・5/03・・・883,844・・・・・・・・・・1,723,862・・・・・・・・14,894 ・・・・・・・1,218
        :リミックス
2(11)・・保安官(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・5/03・・・・・・・・・・・837,435・・・・・・・・・・1,260,163・・・・・・・・10,307 ・・・・・・・1,091
3(新)・・ザ・ボス・ベイビー・・・・・・・・・・・5/03・・・・・・・・・・・764,654・・・・・・・・・・1,207,284・・・・・・・・・9,300 ・・・・・・・1,116
4(2)・・王様の事件手帳(韓国) ・・・・・・4/26 ・・・・・・・・・・・294,976・・・・・・・・・・1,493,073・・・・・・・・11,600・・・・・・・・・678
5(3)・・ワイルド・スピード ICE BREAK・・4/12 ・・・・・・・・125,666 ・・・・・・・・・・3,591,596 ・・・・・・・29,493・・・・・・・・・451
6(1)・・特別市民(韓国) ・・・・・・・・・・・・・4/26・・・・・・・・・・・・89,956 ・・・・・・・・・・1,334,247・・・・・・・・10,294・・・・・・・・・510
7(4)・・スマーフ:失われた村・・・・・・・・4/28・・・・・・・・・・・・88,182 ・・・・・・・・・・・・386,164・・・・・・・・・2,826 ・・・・・・・・・488
8(76)・・スーパー・ベッコム・・・・・・・・・・5/03・・・・・・・・・・・・39,459 ・・・・・・・・・・・・・77,071 ・・・・・・・・・・557 ・・・・・・・・・358
        :スパイ大作戦(韓国)
9(5)・・劇場版 トボット ・・・・・・・・・・・・・・4/27・・・・・・・・・・・・30,801 ・・・・・・・・・・・・128,100 ・・・・・・・・・・985 ・・・・・・・・・182
        ロボット軍団の襲撃(韓国)
10(8)・・徐舒平(ソ・ソピョン)、・・・・・・・・4/26 ・・・・・・・・・・・・10,532 ・・・・・・・・・・・・・69,553 ・・・・・・・・・・519 ・・・・・・・・・102
        ゆっくり平穏に(韓国)
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 先週の1位「特別市民」はその後伸びず、もう5位に後退してしまいました。
 今回の新登場は1・2・3・8位の4作品です。
 1位「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス」はアメリカのSFアクションシリーズの第2作。日本でも5月12日公開で諸情報が出ています。韓国題は「가디언즈 오브 갤럭시 VOL.2」です。
 2位「保安官」は韓国の犯罪・コメディ。過剰捜査が理由でクビになり都落ちした元刑事のテホ(イ・ソンミン)。おおらかな厚かましさで保安官を自称しながら釜山近郊の機張(キジャン)の平和を守っています。ある日その町に事業家のチョンジン(チョ・ジヌン)がビーチタウン建設のためソウルからやって来ます。その後釜山の海雲台で麻薬が出回り始めると、チョンジンの全ての行動に疑念を抱いているるテホはチョンジンが犯人だと直感します。義弟のトンマン(キム・ソンギュン)を助手に捜査に乗り出すテホでしたが、人々の気持ちは金持ちで洗練されたチョンジンの方になびいていきます・・・。原題は「보안관」です。
 3位「ザ・ボス・ベビー」(仮)はアメリカ・ドリームワークス製作の家族コメディ・アニメ。7歳の男の子ティムの家に、ある日やってきたのはシックな眼差しにパリッとしたスーツ姿の、ブリーフケースを抱えた社長・・・じゃなくて赤ちゃんです。ティムはその赤ちゃんに両親の愛をすべて奪われてしまいます。一見かわいらしい赤ちゃんですが、実はなんとベビー株式会社のカリスマボスの<ボス・ベビー>でした。<ボスベビー>は秘密の任務を遂行するために派遣勤務中なのです。ティムは両親の愛を取り戻すために、そして<ボスベビー>はライバルのパピー株式会社を倒すために不本意ながらも、パピーのCEOが企てた卑劣な計画を止めようと手を組むことになります。7歳のビッグ・ブラザーvs7ヵ月のベビー・ブラザーの殺伐としたチームプレーが始まります・・・。韓国題は「보스 베이비」。日本公開はありそうですが期日は未定のようです。
 8位「スーパー・ペッコム:スパイ大作戦」は韓国のコメディ・アニメ。主人公のペッコムは国家情報局の清掃夫として働いてはいるものの、<最高のスパイ>を夢見ているハッタリ屋のクマ。ある日正体不明の悪党たちが現れ、氷爆弾で地球を脅かします。しかし、悪党たちの基地である<ポーラースター>に潜入することができるのはペッコムだけ! 予想もできなかった不可能なミッションに関わることになったペコムは<スーパーブレインチップ>を装着し、高度な訓練を受けて潜在していた能力を徐々に発揮し始めましたが、はたしてペッコムは悪党のリーダーのホワイトに対抗して凍りつく危機に瀕した地球を救うことができるのでしょうか? 最強スパイとして生まれ変わったペッコムのドタバタミッションが始まります・・・。原題は「슈퍼 빼꼼: 스파이 대작전」です。

【多様性映画】
順位・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・・週末観客動員数・・・・累計観客動員数・・・累積収入・・・上映館数
1(1)・・徐舒平(ソ・ソピョン)、・・・・・・・・・・・・4/26・・・・・・・・・・・・10,532 ・・・・・・・・・・・69,553 ・・・・・・・・・・・・519・・・・・・・・・102
        ゆっくり平穏に(韓国)
2(4)・・ダンサー、セルゲイ・ポルーニン・・4/13 ・・・・・・・・・・・・4,198・・・・・・・・・・・・31,888・・・・・・・・・・・・・256・・・・・・・・・・32
3(2)・・ディナイアル(Denial)・・・・・・・・・・・・4/26 ・・・・・・・・・・・・3,827・・・・・・・・・・・・22,168・・・・・・・・・・・・・117・・・・・・・・・・44
4(8)・・別の世界 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/20 ・・・・・・・・・・・・2,831・・・・・・・・・・・・23,067・・・・・・・・・・・・・182・・・・・・・・・・19
5(3)・・ザ・シャック・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4/20 ・・・・・・・・・・・・2,625・・・・・・・・・・・・56,971・・・・・・・・・・・・・433・・・・・・・・・・13
        世界一優雅な野獣

 今回新登場の作品はありません。