ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国内の映画の興行成績 [2月25日(金)~2月27日(日)]と作品紹介 ▶あの「牛の鈴音」のイ・チュンニョル監督の新作「蝉の声」は珍島が舞台 ▶「人民に奉仕する」は閻連科の原作に注目!

2022-03-03 23:50:54 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回の記事で注目の韓国映画は「蝉の声」です。2009年韓国で異例の大ヒットが話題となったドキュメンタリー「牛の鈴音」イ・チュンニョル監督の13年ぶりの新作で、2019年に全羅南道の珍島100%のオールロケで撮影された家族ドラマです。
 珍島といえば、天童よしみの「珍島物語」の歌詞にもある<海割れ>(→コチラ)で知られていますね。また林権澤監督の名作「風の丘を越えて/西便制」の名場面(→コチラ)で歌われていたアリランは<珍島アリラン>でした。(ロケ地は青山島(チョンサンド)ですが・・・。)
 本作では、珍島伝統の葬礼の風習で国家無形文化祭に指定されている<タシラギ(다시래기)>が大きく取り扱われています。これについては私ヌルボ、全然知りませんでした。出棺の日の前夜喪家で行われる棺の輿の担ぎ手[상여꾼]たちによる打楽器演奏と踊り、そして広大[クァンデ]=道化師により演じられると民俗劇だそうです。喪主の慰労と故人の現世への早い帰還を願うもので、→コチラの動画からもわかるように、にぎやかで滑稽で雰囲気で見物の人たちも楽しそうです。※詳しい説明動画は→コチラ。)
 なお、→コチラの記事によると韓国の劇団が来日して札幌での舞台公演の中でこのタシラギが演じられたのですね。
 本作のタイトルの意味やあらすじ等は記事の一番下を見て下さい。
 ※「愛の不時着」のOST「私の心の写真」(→コチラ)の歌手ソン・ガインが特別出演しているとのことです。
    
【 「蝉の声」のポスター(左)と、<タシラギ>で演じられる民俗劇 】

▶韓国映画でもうひとつ追加。「人民に奉仕する」なのですが、この映画というよりも、閻連科[えん・れんか]の小説ということで注目。詳しくは下の説明を読んでください。

     ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績2月25日(金)~2月27日(日) ★★★
             1位「アンチャーテッド」、2位「劇場版 呪術廻戦 0」は変わらず

【全体】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・アンチャーテッド・・・・・・・・・・2/16 ・・・・126,043・・・・・・・・587,961・・・・・・・5,750・・・・1,241
2(2)・・劇場版 呪術廻戦 0(日本) ・・・2/17・・・・・・60,311・・・・・・・・291,511・・・・・・・2,918・・・・・・778
3(新)・・アンテベラム ・・・・・・・・・・・・・2/23・・・・・・32,136・・・・・・・・・56,033・・・・・・・・・529・・・・・・638
4(新)・・人民に奉仕する(韓国) ・・・・・2/23・・・・・・26,122・・・・・・・・・48,484・・・・・・・・・446・・・・・・598
5(4)・・海賊:鬼の旗(韓国) ・・・・・・・・1/26・・・・・・19,512・・・・・・1,314,814 ・・・・・12,373・・・・・・436
6(新)・・ナイトメア・アリー ・・・・・・・・2/23・・・・・・13,713・・・・・・・・・22,486・・・・・・・・・219・・・・・・461
7(4)・・ナイル殺人事件・・・・・・・・・・・・・2/09 ・・・・・・8,422・・・・・・・・224,620・・・・・・・2,174・・・・・・354
8(5)・・キングメーカー(韓国)・・・・・・・1/26 ・・・・・・8,163 ・・・・・・・・767,889 ・・・・・・7,292・・・・・・355
9(6)・・スパイダーマン・・・・・・・・・・・・12/15 ・・・・・・8,053・・・・・・7,528,256 ・・・・・74,986・・・・・・272
       :ノー・ウェイ・ホーム
10(38)・・シラノ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/23 ・・・・・・6,044・・・・・・・・・15,891・・・・・・・・・136・・・・・・195
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 3・4・6・10位の4作品が新登場です。
 3位「アンテベラム」はアメリカのスリラー。日本では昨年11月から公開されているので説明は省略します。韓国題は「안테벨룸」です。
 4位「人民に奉仕する」は韓国のロマンス&ドラマ。ムグァン(ヨン・ウジン)は模範兵士として師団長私宅の炊事兵になります。彼の目標はただ妻と子供のために出世の道を進むこと。しかし、師団長が出張する間に始まった師団長の若い妻スリョン(ジアン)の危険な誘惑に、ムグァンは自身の目標や信念、そして溺れてみたい禁じられた恋との狭間で葛藤するのですが・・・。原題は「인민을 위해 복무하라」で、最初はそのまま「人民のために服務せよ」と訳したのですが、その後本作の原作が有力なノーベル文学賞候補と目されている中国の作家、閻連科[えん・れんか]の小説ということを知りました。私ヌルボ、彼の小説はこれまで4冊読みましたがどれもスゴい!です。とくに(立ち読みでもすぐ読める)「年月日」はオススメ! そういえば2019年6月に神保町のチェッコリのイベントでその翻訳者の谷川毅先生のトークを聴きに行ったことがあったなー・・・。しかしこの「人民に奉仕する」(←これも谷川先生の訳)は未読です。この小説は、一国最高指導者が伝えた革命の言語を愛の言語に対比させたという理由で出版後直ちに禁書に指定されましたが、むしろそれが読者たちの熱烈な支持を得て全世界20ヵ国以上で出版され、爆発的な反応を引き起こしたとのことです。・・・となると、この映画のあらすじだけ読んで浮気ネタの軽~い成人映画かな?と思ったら大間違いかも・・・。とりあえず翻訳書よんでみますかねー。
 6位「ナイトメア・アリー」はアメリカのサイコ・スリラー。日本公開は3月25日で、すでに諸情報が流されているので説明は省略します。韓国題は「나이트메어 앨리」。す。
 10位「シラノ」は日本でも2日遅れで2月25日から公開されているので説明は省略します。韓国題は「시라노」です。

【独立・芸術映画】
順位 ・・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・アンテベラム ・・・・・・・・・・・・・・・・2/23・・・・・・・・32,136 ・・・・・・・56,033・・・・・・・・・・529・・・・・・638
2(14)・・ピッグ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/23・・・・・・・・・3,377・・・・・・・・・6,971・・・・・・・・・・・64・・・・・・113
3(再)・・花様年華・・・・・・・・・・・・・・2000/10/20・・・・・・・・・2,859 ・・・・・・117,770・・・・・・・・1,049・・・・・・・86
4(新)・・幸せの答え合わせ・・・・・・・・・・・・・2/24・・・・・・・・・2,284・・・・・・・・・2,869 ・・・・・・・・・・・27・・・・・・・38
5(新)・・蝉の声(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・・2/24・・・・・・・・・2,039 ・・・・・・・・3,645 ・・・・・・・・・・・35・・・・・・・70

 1・2・4・5位の4作品が新登場です。
 1位「アンテベラム」については上述しました。
 2位「ピッグ」については→1つ前の記事で詳述しました。
 4位「幸せの答え合わせ」は、日本では昨年6月から公開されているので説明は省略します。原題は「Hope Gap」で、韓国題は「우리가 사랑이라고 믿는 것(私たちが愛だと信じるもの)」。三者三様です。
 5位「蝉の声」は韓国のドラマ。冒頭に記したように「牛の鈴音」のイ・チュンニョル監督の13年ぶりの新作で、<第25回釜山国際映画祭>(2020)の<韓国映画の今日 パノラマ部門>招待作品です。
 年配の男トッペ(イ・ヤンヒ)はこれまでの人生をずっと珍島で過ごし、人が亡くなったらその家を訪ねて故人の極楽往生を祈り遺族を慰める<タシラギ>の道化師[クァンデ]を演じてきました。そんな彼の家に突然20年前に家出した娘スナム(チュ・ボビ)が孫娘のコッタナ(ソ・ヨヌ)を連れてやって来ます。スナムは幼い頃蝉の声によるトラウマで自殺中毒者になっていました。その背景にはひたすら師匠の道を引き継いで道化師役の人間文化財になるという父親によって深い傷を負わされたということがありました。そして20年間無名歌手として生きてきたスナムとトッペの絡み合った関係の中で、家族の不快な同居が始まります。その後水と油のようだったトッペとコッタナはタシラギを通じて次第に近づくようになり、トッペはそんなコッタナを通じてスナムのトラウマのことを知ります。それはトッペとスナムが長い間の葛藤を解消させていく重要な糸口にもなるものでした・・・。原題は「매미소리」です。

韓国で公開中の映画 <NAVER映画>の人気順位 [2月23日(水)現在] ▶米映画「ピッグ」の主人公(?)は愛すべきトリュフ豚! 主演男優はあの・・・ ぜひ日本でも公開してネッ!

2022-03-01 06:55:07 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回の記事で時期柄注目の韓国映画は「大韓民国大統領」なんですが、その話の前に徐台教さんの2月28日の記事(→コチラ)を読むと今世界的な大問題になっている露のウクライナ侵攻も韓国では大統領選の’ネタ’になっているとか。李在明候補「政治キャリアが6か月しかない素人政治家が招いた事態」であるとロシアによる侵略を責めるでもなくゼレンスキー大統領を貶める発言をして批判されると謝罪(言い訳(?)しましたが、記事の後の方まで見ると彼だけではなく与党側にほぼ共通の見方のようです。好意的に見れば、ウクライナと同様に地政学的に難しい所に位置する国としてはウクライナの心配をするより先に「下手をするとウチらも同じ目にあってしまうゾ」(=米日の側につくと中国の制裁を被る)という危機意識が先行してしまったのかもしれません。しかし李在明候補に外交手腕があるとも思えませんが・・・。
 さて、「大韓民国大統領」について。ドラマ「キングメーカー」、ドキュメンタリー「戦闘王」に続く大統領選挙がらみのドキュメンタリー作品です。韓国の政治関係のドキュメンタリーというと「例外なく」と言っていいくらい党派性が明確な作品がほとんどで、それも進歩系。「戦闘王」はやっぱりな~といった感じ。しかしウンザリする作品ばかりと決まってるわけでもなく、2012年にMBCを不当解雇されたチェ・スンホ監督による「共犯者たち」(2018年日本で一般公開)などはは(後に聞いたその後の展開も含めて)とても興味深く観ました。
 ところが本作は[1]決まりきったドキュメンタリーは作らない。[2]政治を扱うが最も政治的ではないことを目指す。[3]主人公は大統領や大統領になりたいという人々ではなく国民であることを忘れない。[4]答えを出そうとせずに観客がそれぞれの問いや悩みを抱えて行ける映画を作る。[5]陣営に閉じ込められずにさまざまな声を聞く。・・・といった制作方針の下に国会議員、元補佐官、政治ユーチューブ、歴史学者等約20人余り、そして市民50人余を対象にインタビューを行ったとか。まあ良くも悪くも優等生的というべきか。
 質問も大統領選挙で初めて投票した記憶から各自が考える大韓民国大統領の意味、正義、徳目、大統領に望む点等々だし・・・。それを「彼らの話を聞いてみると1期5年の大統領直選制30年の歴史と共に韓国の現代政治史が順調に流れてきたことが歴代大統領の映像資料等で一目瞭然にまとめる」と評しちゃってる評論家氏、ギョーギ良すぎでないの? 「韓国で大統領という存在の役割、意味、矛盾、歴史などに対する多角的考察だが、元大統領がインタビューで参加できないアイロニーは韓国政治史の苦い現実だ」等とそれなりにスパイスをふりかけて4/10ボイントしか付けなかったジャーナリストの方がまっとうでしょう。
 また本作の脚本家氏は「市民へのインタビューでは「大統領」というテーマについて話すこと自体を嫌がる方がいた。政治の話をすることで自分に何か不都合なことがあるかもと心配する人がたくさんいたし、特に本人の姿が映画に撮られるということに負担を感じたのだ。韓国社会がまだ政治についてカメラの前で話すことに拒否感を持っているという考えのためだった」と語ってますが、それってフツーの感覚じゃないのかなー?
▶一方、注目の外国映画はアメリカ映画の「ピッグ」です。このピッグというのは豚は豚でも<トリュフ豚>なんですね。豚が地中のトリュフの匂いを嗅いで見つけるという話はなんかで読んだ記憶はありましたが、→コチラや→コチラの記事を読んで多少は詳しく(?)なりました。・・・って今までの人生でトリュフを食べたことはないし、これからもなさそうですが・・・。物語は、妻に死に別れた元料理人の男がただ1人森の奥でその<トリュフ豚>と一緒に暮らしていていたのですが、自身の生計の手段であるとともに愛さえ感じていた(?)その雌豚が何者かに盗まれてしまって、男はそれを執念で取り戻そうとするのですが・・・、という話。(後の記事で少しだけ詳しく書いてます。)
 この作品、まずあらすじを読んでそのユニークさに惹かれました! それから主演なんですが、ポスター(右画像)見て誰かわかりますか? ニコラス・ケイジ。「リービング・ラスベガス」(1955)でアカデミー賞主演男優賞を受賞してもう四半世紀以上たったのか。私ヌルボの好みには合わない感じで「リービング~」も観てないんですけど、彼もあと2年で60歳、なかなかいい味出してるではないですか。・・・というところで→予告編も見てみてください。

    ★★★ NAVERの人気順位(2月23日(水)現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
 ※[記者・評論家による順位]とも①等の右の( )は前週の順位。評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
  「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(新) 戦闘王(韓国)  9.66(287)
②(1) 孝行息子(韓国)  9.54(56)
③(3) SING/シング:ネクストステージ  9.42(2,513)
④(新) 劇場版 呪術廻戦 0(日本)  9.42(564)
⑤(-) コーダ あいのうた  9.22(744)
⑥(7) ミシン縫製工だった少女たち(韓国)  8.94(71)
⑦(新) 大韓民国大統領(韓国)  8.91(34)
⑧(9) スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム  8.87(19,286)
⑨(10) 休暇(韓国)  8.87(76)
⑩(6) 劇場版 こんにちはチャドゥよ:済州島の秘密(韓国)  8.81(165)

 ①④⑦の3作品が新登場ですが、①と④については→1つ前の記事で紹介しました。
 ⑦「大韓民国大統領」は韓国のドキュメンタリー。ドラマ「キングメーカー」、ドキュメンタリー「戦闘王」に続く大統領選挙がらみの作品です。この作品については冒頭に記した通りです。原題は「대한민국 대통령」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ドライブ・マイ・カー(日本)  8.44(9)
②(-) パワー・オブ・ザ・ドッグ  7.75(4)
③(-) ドント・ルック・アップ  7.60(5)
④(2) DUNE/デューン 砂の惑星  7.56(9)
⑤(3) ウエスト・サイド・ストーリー  7.50(8)
⑥(4) リコリス・ピザ  7.33(6)
⑦(5) スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム  7.09(11)
⑧(6) フランス  7.00(5)
⑨(新) ピッグ  7.00(5)
⑩(7) あなたの顔の前で(韓国)  7.00(2)

 ⑨「ピッグ」が新登場です。アメリカのドラマ。舞台はアメリカ、カリフォルニア州の北に接するオレゴン州。かつてはポートランドで料理人として腕を振るっていたロブ(ニコラス・ケージ)は、妻のローリー(カサンドラ・ヴァイオレット)を亡くしてからは森の奥深くで名前を捨ててトリュフ豚と暮らしています。トリュフとはゆがんだ球状をしたキノコの一種で食材として珍重されています。ところが地中に埋まっているため見つけにくいため、その匂いがオス豚のフェロモンと似ていることからその場所を嗅ぎ当てることができる<トリュフ豚>が利用されてきたのです。ロブはその豚と共に採取したトリュフをフードバイヤーの青年アミール(アレックス・ウルフ)に売却することで生計を立てていました。ところがある日、ロブはその大切な、愛すべき豚を何者かに盗まれてしまいます。ロブはアミールを通じて情報を得ますが、豚はすでにポートランドへと運び出されていて、結局彼はアミールの助けを借りて15年前に去ったポートランドに戻りますが、その先には思わぬ展開が待ち構えていました・・・。韓国題は「」。日本公開は未定のようです。

韓国内の映画の興行成績 [2月18日(金)~2月20日(日)]と作品紹介 ▶「劇場版 呪術廻戦 0」韓国でも公開 朴性厚監督にも注目 ▶イ・サンホ監督、新作ドキュ「戦闘王」で尹錫烈候補を批判

2022-02-25 12:03:27 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
 ※いつもより更新の曜日が遅くなりました。月日をご確認下さい。
▶今回の記事で新登場の作品中注目は「劇場版 呪術廻戦 0」。日本では12月24日の公開後3日間の観客動員は190万人、興行収入は26億円を超え、「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」に次いで歴代2位とか。その後も快調に数字を伸ばし、先週末の2月19日・20日まで動員数&興行収入は5週連続1位、累計すると動員834万人、興収116億円を突破したとのことです。ただ、韓国の動員数ランキングでは日本より2日早く公開された「アンチャーテッド」の後塵を拝して2位に止まっていますが・・・。
 もしかして韓国でも話題になってるのでは?と思ったのは朴性厚[パク・ソンフ]監督のことなんですが、皆さんは本作がこの韓国人監督ということをご存知でしたか? →ウィキペディアによると小学生の頃に「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」を観て衝撃を受け、アニメーション業界で働くことを決める」とありますが、これは82~83年日本で放映されたTVアニメの海賊版のことか? 監督は1980年生まれとのことだし・・・。そして中・高は芸術コース、大学ではアニメーション学部で学び、その後渡日してアニメ専門学校で学んだ後アニメ制作会社スタジオコメットに入社と、まさにこの道一筋でキャリアを積んできたのですね。
 韓国人監督の作品ということで、韓国メディアでは<ノーカットニュース>が「韓国人監督、アニメ強国の日本までも捕らえた魔法」との見出しのインタビュー記事を公表、監督は「夢を叶えたような気分」と語っています。(→自動翻訳。) また最大手紙「朝鮮日報」も監督によるイラスト入りメッセージと共に本作を紹介しています。(→自動翻訳。)
 なお、彼とほぼ同時期の2003年来日してアニメ専門学校で学んだ後アニメ制作会社サンライズに入社、ガンダムシリーズで作画監督等を担当している金世俊[キム・セジュン]も韓国人アニメーターとして朴性厚監督と共に注目を集めているとのことです。彼も印象に残っている作品として「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」を挙げていますが、今映画関係サイトを見ると「1980年代を飾る傑作と呼ぶにふさわしい」「高密度でハイクオリティな作画を含め、アニメ史に名を刻む一作」「いわずと知れたSFアニメの金字塔」等の高評価や「(21年4月の)国立映画アーカイブで終映後は拍手が起こった」等々のカキコがあり、ふうんといった感じ。これは観てみるかなと思いました。
▶韓国映画では、《独立・芸術映画》部門で2位にランク・インしたドキュメンタリー「戦闘王」に注目。イ・サンホ監督の5つ目の作品ですが、彼は本来は映画監督ではなく記者です。1987年の6月抗争の時延世大1年で、あの大学正門前で催涙弾の直撃を受けて翌月死亡した李韓烈[イ・ハニョル]烈士(←映画「1987、ある闘いの真実」でカン・ドンウォンが演じた)の1学年下でした。その李韓烈は経営学科2年の(学生組織の?)学科代表でイ・サンホは同学科1年の学科代表。催涙弾事件の前日に李韓烈に声をかけられてデモに参加し、当日はその現場近くにいたそうです。
 大学卒業後1995年MBC(文化放送)に入社、報道局探査専門記者として主に時事番組を担当しますが、2016年に退社するまで進歩系左派の立場が鮮明な記者として支持を集める一方いろいろ裁判沙汰とか停職処分がらみの<お騒がせ>の事例も重ねてきました。現在は<告発ニュース>(gobalnews)というインターネットニュースを→YouTubeで発信しています。
 彼が監督として制作したドキュメンタリーを順を追って上げると、「ダイビング・ベル セウォル号の真実」(2014)(=アン・ヘリョン監督と共同監督)、「キム・グァンソク[金光石]」(2017)、「ダイビング・ベル その後」(2018)、「大統領の7時間」(2019))、そして今作です。「ダイビング・ベル」は釜山国際映画祭での上映を巡って論議があり(→コチラと→コチラ参照)、自殺とされた人気フォーク歌手の死に対して「他殺ではないか?」と疑問を投げかけた「キム・グァンソク」もその後彼の妻から訴えられ、今年1月無罪が確定しました。(→コチラと→コチラ参照)。
 私ヌルボが彼の監督作品中観たのは「ダイビング・ベル」だけですが、イ・サンホ監督は自身のアタマにひらめいた予断に固執する傾向があり、十分な裏を取らないままで公表してしまって問題化することが多いように思われます。また記者としても客観的な取材・報道に徹することから足を踏み外して事件自体に直接介入してしまうことも→<ナム・ウィキ>で指摘されています。
 本作についてですが、下に記した作品紹介からもわかるようにハッキリした現在の与党側つまり李在明支持の立場に立ったドキュメンタリーです。→予告編には全斗煥と共に、彼の独裁政権を称揚する候補として尹錫烈候補の映像を入れています。

     ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績2月18日(金)~2月20日(日) ★★★
             「アンチャーテッド」が1位、「劇場版 呪術廻戦 0」が続く

【全体】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・アンチャーテッド ・・・・・・・・・2/16 ・・・・252,333・・・・・・・・365,099・・・・・・・3,596・・・・1,519
2(11)・・劇場版 呪術廻戦 0(日本) ・・2/17・・・・・・90,394・・・・・・・・149,837・・・・・・・1,541・・・・・・560
3(2)・・海賊:鬼の旗(韓国) ・・・・・・・・1/26 ・・・・・32,779 ・・・・・・1,275,111 ・・・・・12,178・・・・・・580
4(1)・・ナイル殺人事件 ・・・・・・・・・・・・2/09 ・・・・・29,869・・・・・・・・204,767・・・・・・・1,986・・・・・・648
5(3)・・キングメーカー(韓国) ・・・・・・1/26 ・・・・・21,403 ・・・・・・・・750,196 ・・・・・・7,178・・・・・・531
6(4)・・スパイダーマン ・・・・・・・・・・・12/15 ・・・・・12,629・・・・・・7,513,604 ・・・・・74,861・・・・・・362
       :ノー・ウェイ・ホーム
7(9)・・SING/シング・・・・・・・・・・・・・・1/05 ・・・・・・9,117・・・・・・・・867,302 ・・・・・・・8,031 ・・・・・233
       :ネクストステージ
8(42)・・オクトノーツと水中のどうくつ・・2/17 ・・7,995・・・・・・・・・・9,427・・・・・・・・・・・79 ・・・・・236
9(22)・・リコリス・ピザ ・・・・・・・・・・・・2/09・・・・・・・5,716・・・・・・・・・11,427 ・・・・・・・・・118・・・・・・212
10(6)・・私のローソク革命(韓国) ・・・2/10・・・・・・・5,503・・・・・・・・・36,119 ・・・・・・・・・363・・・・・・195
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 1・2・8・9位の4作品が新登場です。
 1位「アンチャーテッド」はアメリカの冒険ロマン。日本でも2月18日から公開されているので説明は省略します。韓国題は「언차티드」です。
 2位「劇場版 呪術廻戦 0」は12月24日の公開から観客動員&興行収入とも快調のようですね。冒頭でいろいろ書きましたが、私ヌルボは未見です。去年の「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」は観たんですけどね。ただ<都立呪術高等専門学校>という設定にちょっと抵抗があって、これからもはたして観るかどうか・・・? (なぬっ? 教師が呪術師もやってるのか!? ちょっと考え直してみるか?) 韓国題は「극장판 주술회전 0」です。
 8位「オクトノーツと水中のどうくつ」は、韓国でもTV放映されているイギリスBBCの子供向きTVアニメシリーズで、本作はその劇場版の最新作。今回も動物たちのエージェント集団オクトノーツがタコ状の乗り物に乗って出動します。
 赤ちゃんタコのコバを仲間たちのいる所に連れて行くため、バーナクルズ隊長とペソ。カリブ海のサンゴ礁に向かいます。ところが、突然通信が切れた? 危機に陥った隊長一行を救うために、オクトポッドに残っていたオクトーノーツ隊員たちが総出動して捜索作戦を繰り広げます。鬱蒼としたジャングルを過ぎて迷路のように続く水中洞窟に至るまで、オクトーナツ隊員たちの爽快な大脱出作戦が始まります・・・! 韓国題は「극장판 바다 탐험대 옥토넛 : 해저동굴 대탈출」。日本ではNetflixで配信されています。
 9位「リコリス・ピザ」はアメリカの青春ラブロマンス。この作品ついては→1つ前の記事でいろいろ書いたので説明は省略します。韓国題は「리코리쉬 피자」です。

【独立・芸術映画】
順位 ・・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(1)・・私のローソク革命(韓国)・・・・・・・2/10・・・・・・・・・5,503・・・・・・・・36,199・・・・・・・・・・363・・・・・・195
2(新)・・戦闘王(韓国) ・・・・・・・・・・・・・・・・2/17・・・・・・・・・2,694・・・・・・・・・3,811・・・・・・・・・・・40・・・・・・・41
3(4)・・ドライブ・マイ・カー(日本)・・・・12/23 ・・・・・・・・1,697・・・・・・・・61,069・・・・・・・・・・577・・・・・・・36
4(5)・・アナザーラウンド・・・・・・・・・・・・・1/19・・・・・・・・・1,024・・・・・・・・34,282・・・・・・・・・・316 ・ ・・・・・37
5(9)・・リフレッシュ(韓国) ・・・・・・・・・・・2/16 ・・・・・・・・・・862・・・・・・・・・1,983・・・・・・・・・・・14・・・・・・・34

 2・5位の2作品が新登場です。
 2位「戦闘王」が新登場です。1980年光州5.18民主化運動で平和的なデモ参加者の市民たちを虐殺し、クーデターで政権を握った全斗煥の政権。社会各界でそれぞれの方法でその軍部独裁との戦いを続けてきた人物たちの中で、30年以上取材してきたイ・サンホ記者の話が始まります。当初2021年12月に公開予定でしたが、突然の全斗煥の死去により公開が遅れました。しかしその分完成度が高まり、大統領選挙を目前にした今<クーデター勢力>(=全斗煥政権)に対する評価が話題に浮かび、時宜にもかなっているという声も聞かれます。特に映画開始からミャンマーの軍部独裁と80年の光州虐殺を正面から比較し、軍部独裁のクーデターこそ人類が共に対抗すべき敵であることを終始一貫して明らかにています。・・・と、ここまではほぼ本作の公式宣伝文。冒頭では、イ・サンホ記者の過去の監督作品について私ヌルボが抱いた疑問について書きました。原題は「전투왕」です。観客の8割が40代というのは「やっぱりね」。
 5位「リフレッシュ」についてはこれも→1つ前の記事で記したので省略します。原題は「리프레쉬」です。

韓国で公開中の映画 <NAVER映画>の人気順位 [2月16日(水)現在] ▶「リコリス・ピザ」 約半世紀前の時代を描いた作品の人種差別(?)を今の基準で批判できるか?

2022-02-19 23:47:02 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今回の記事も新登場は韓国映画は「リフレッシュ」、外国映画は「リコリス・ピザ」の計2作品だけです。「リコリス・ピザ」(右画像は韓国版ポスター)はアメリカの青春ラブロマンスでなかなか世評も高く、いくつかの映画賞も受賞していますが、思わぬところで論議を呼んでいるとか。それも日本人がらみで・・・。白人のレストラン経営者が日本人妻に対して彼女の日本人風の英語のアクセントをまねて話すシーンがあるとのこと。つまり「そういうネタで日本人を茶化して笑いをとるというのは人種差別だ」として非難を浴びているのだそうです。監督は「2021年の目を通して作品の時代(=70年代)を語るのは間違いだと思います」と説明(弁明?)しているそうです。この件については→コチラの記事や→Filmarksのレビューを参考にして下さい。で私ヌルボの意見はというと、「むずかしい」です。どちらかというと<寛容>というか、<いいかげん>というか・・・。子供時代はいろんな差別的な歌をおもしろがって歌ってたしなー。今もそうじゃないの?(だからいいというわけでもないけど・・・。) まあ、年内に日本公開予定なんで、まずは実際に観てから考えるとしますか。
 近いうちに出回る5千円札の肖像の津田梅子が父親の津田仙から聞いた話として朝鮮人を「差別」(?)した内容の手紙文がネット上に出回っていて(→コチラ参照)、津田梅子を批判する主張と、「事実をそのまま書いただけ」とする主張が入り乱れていますが、この問題についても同様。私ヌルボがとりあえず言えるのは「人は自分が生きている時代を越えることはできない」ということ。しかし昔書かれた(or語られた)同じ言葉を今用いると差別になることは十分ありうると思います。
 映画の話に戻るとグリフィス監督の「國民の創生」(1915)なんて「問題の場面がある」どころじゃない、全編丸ごと差別だからなー。「ひでえ映画だなー」と思いつつ興味深く(?)観たのは30年くらい前(??)だったか・・・。それでも「20世紀の映画リスト」(2000)で14位に入ってるなんて、これどーなのよ!? (考えれば考えるほどアタマがこんがらがってくるよ~・・・。)。

    ★★★ NAVERの人気順位(2月16日(水)現在上映中映画) ★★★

     【ネチズンによる順位】
 ※[記者・評論家による順位]とも①等の右の( )は前週の順位。評点の後の( )は採点者数。初公開から1年以内の作品が対象。
  「初登場」とは、本ブログでの初登場の意。

①(3) 孝行息子(韓国)  9.53(55)
②(2) シャーロック・ホームズの大追跡  9.50(50)
③(4) SING/シング:ネクストステージ  9.42(2,451)
④(5) ヴァイオレット・エヴァーガーデン オーケストラコンサート2021(日本)  9.38(26)
⑤(新) リフレッシュ(韓国)  9.25(16)
⑥(10) 劇場版 こんにちはチャドゥよ:済州島の秘密(韓国)  8.95(148)
⑦(8) ミシン縫製工だった少女たち(韓国)  8.92(66)
⑧(7) 「劇場版 Free!-the Final Stroke-」前編(日本)  8.90(36)
⑨(-) スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム  8.87(19,206)
⑩(-) 休暇(韓国)  8.87(76)

 ⑤「リフレッシュ」が新登場です。韓国のドラマ&コメディ。K(KCM)は歌手として一時は人気を博していましたが、今は夜のステージに1回立つのも大変です。マネジャーが持ってくる仕事はどれもハチャメチャ。それで今回は患者たちに音楽の授業までしろと?その人たちは治療が必要な人たちでしょ! そこに患者たちを連れて行ってミュージックコンテストまで? でもこれ以上行く所がないとは・・・。この挑戦、大丈夫なの? トウが立った歌手K、味の落ちた人たちの音楽治療士となるか・・・? 原題は「리프레쉬9.25참여 16명」です。

     【記者・評論家による順位】

①(1) ドライブ・マイ・カー(日本)  8.44(9)
②(4) DUNE/デューン 砂の惑星  7.56(9)
③(5) ウエスト・サイド・ストーリー  7.50(8)
④(新) リコリス・ピザ  7.33(6)
⑤(6) スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム  7.09(11)
⑥(7) フランス  7.00(5)
⑦(-) あなたの顔の前で(韓国)  7.00(2)
⑧(8) アナザーラウンド  6.89
⑨(-) 休暇(韓国)  6.83(6)
⑩(9) フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊  6.80(10)
⑩(9) ハウス・オブ・グッチ  6.80(10)

 ④「リコリス・ピザ」が新登場。アメリカの青春ラブロマンスです。物語の始まりは1973年猛暑のロサンゼルス。学校での写真撮影の折、一生徒が15歳の少年が女性カメラ助手に魅かれます。彼ゲイリー・ヴァレンタイン(クーパー・ホフマン)は15歳。俳優としても活動していました。一方、彼女アラナ・ケイン(アラナ・ハイム)は25歳。この10歳という歳の差を越えて互いに意識し合うようになり、嫉妬合戦も繰り広げられたりもします。しかし青春を謳歌しようとすると社会の壁が立ちはだかっていて困難もありますが、2人はそんな中で成長していきます・・・。韓国題は「리코리쉬 피자」。日本公開は今年中とのことです。

韓国内の映画の興行成績 [2月11日(金)~2月13日(日)]と作品紹介 ▶台湾の大感動青春映画「あの頃、君を追いかけた」のギデンズ・コー監督の新作「月老」が公開されたが・・・

2022-02-16 18:31:26 | 韓国内の映画の人気ランク&興行成績
▶今年に入って映画館で観た映画15本。去年はたくさん観過ぎたのでペースダウンしました(?)。その中でぜひオススメは「香川1区」「ブルー・バイユー」「テレビで会えない芸人」の3本。2月11日(金)から公開されている「ブルー・バイユー」は→昨年10月の記事で期待を込めて紹介したアメリカ映画。(少なくともこの作品については)私ヌルボの目に狂いはなかった! 詳しくは(たぶん)次の記事で・・・。

▶今回も新登場の作品は少なく、またあっても大体は日本でも公開されているか近日公開がほとんど。
 そんな中、「月老」という原題の台湾映画が目に留まりました。ギデンズ・コー監督、と言えばあの青春大感動作「あの頃、君を追いかけた」の監督ではないですか! となると期待は膨らみます。また台湾での興行成績も「月老」は韓国映画「傷だらけのふたり」(2014)のリメイク作品「君が最後の初恋」に次いで2021年の台湾映画中2位と好評を得ました。
 ただ、本作はラブ&ファンタジーということで、思いがけない災難であの世に行ってしまった青年が<月老>=月下老人≒月下氷人=仲人(男女の仲介役)としてこの世に戻って来て云々・・・という設定が「なんだかなー」感があって、韓国でのネチズン&記者・評論家の皆さんの評価もイマイチなんですよねー・・・。
 関係ないことで、<月下氷人>い=仲人ということは受験生時代の知識が残存していましたが、その来歴を今調べて初めて知りました。男女の縁を結ぶ<赤い糸>というのもこれに関係あり、で台北のパワースポット(!?)龍山寺には月下老人の神像があり、赤い糸のお守りがいただけるとか・・・。台北までは行かれないという方、横浜中華街にある横濱媽祖廟(まそびょう)には女神・媽祖の他に月下老人も祀られていて、赤い糸等の入ったお守り良縁セットもあるようですよ。(ところで、<良縁パウダー>ってどんなん? いや、ちょっと気になったりして・・・(笑)。→コチラ参照。)
 映画の話に戻ると、ファンタジーといっても上記のような信仰に関わる伝説が背景になってるんですね。ひとつ利口になりました。(って気づかないうちにアタマから抜けていってる方が多いんでしょうが・・・。
     
【 「月老」(韓国版)のポスター(左)。右は横濱媽祖廟(2020年4月夜の散策で撮影。)】

    ★★★ 韓国内の映画 週末の興行成績2月11日(金)~2月13日(日) ★★★
     1位「ナイル殺人事件」も10万人に届かず。旧正月映画の勝者「海賊:鬼の旗は2位に

【全体】
順位・・・・題名 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(新)・・ナイル殺人事件 ・・・・・・・・・・・2/09 ・・・・・94,613・・・・・・・・141,198・・・・・・・1,374・・・・1,039
2(1)・・海賊:鬼の旗(韓国) ・・・・・・・・1/26 ・・・・・65,295・・・・・・1,212,389・・・・・・11,750・・・・・・949
3(2)・・キングメーカー(韓国) ・・・・・・1/26 ・・・・148,709・・・・・・・・707,275・・・・・・・6,852・・・・・・731
4(3)・・スパイダーマン・・・・・・・・・・・12/15・・・・・・21,602・・・・・・7,489,384・・・・・・74,651・・・・・・504
       :ノー・ウェイ・ホーム
5(新)・・355・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2/09・・・・・・17,963・・・・・・・・・30,545・・・・・・・・・282・・・・・・539
6(17)・・私のローソク革命(韓国) ・・・2/10・・・・・・14,808・・・・・・・・・25,273・・・・・・・・・259・・・・・・293
7(再)・・ハリー・ポッターと ・・・2007/7/11 ・・・・・14,297・・・・・・3,718,831 ・・・・・23,169・・・・・・・86
       不死鳥の騎士団
8(-)・・DUNE/デューン 砂の惑星・・・10/20 ・・・・・17,233・・・・・・1,570,976・・・・・・17,233・・・・・・・47
9(4)・・SING/シング・・・・・・・・・・・・・・1/05 ・・・・・13,723・・・・・・・・852,483 ・・・・・・・7,901 ・・・・・430
       :ネクストステージ
10(5)・・劇場版 こんにちはチャドゥよ・・1/19・・・7,684・・・・・・・・101,853・・・・・・・・・895・・・・・・307
       :済州島の秘密(韓国)
     ※KOFIC(韓国映画振興委員会)による。順位の( )は前週の順位。累積収入の単位は100万ウォン。

 今回も新登場は少なく、1・5位の2作品だけです。
 1位「ナイル殺人事件」は、1つ前の記事で書いたようにアガサ・クリスティの推理小説「ナイルに死す」の2回目の映画化作品です。韓国題は「나일 강의 죽음」。日本公開は2月25日で、すでに諸情報が流されています。
 5位「355」は、アメリカのスパイ映画&アクション。日本では5日早く(!)2月4日から公開されているので詳しい内容等は省略します。それにしても何とも紛らわしいタイトルでアタマにきてる映画関係者も多いのでは? スパイチームの名称なのですが、元はと言えばアメリカ独立戦争時代にパトリオット(独立をめざす一派)側の女性スパイエージェント<355>に因むものだそうです。韓国題ももちろん「355」(サモモ)です。
 なお、今回も7位に過去のヒット作の再上映として「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」が入っています。韓国題は「해리 포터와 불사조 기사단」です。

【独立・芸術映画】
順位 ・・・・・題名・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・公開日・・・・週末観客動員数・・累計観客動員数・・累積収入・・上映館数
1(4)・・私のローソク革命(韓国)・・・・・・・2/10・・・・・・・・14,108・・・・・・・・25,273・・・・・・・・・・259・・・・・・293
2(15)・・月老:再び会える日まで・・・・・・2/09・・・・・・・・・6,241・・・・・・・・14,184・・・・・・・・・・133・・・・・・285
3(2)・・ドライブ・マイ・カー(日本) ・・・・12/23 ・・・・・・・・1,990・・・・・・・・57,937・・・・・・・・・・547・・・・・・・44
4(1)・・アナザーラウンド ・・・・・・・・・・・・・1/19・・・・・・・・・1,845・・・・・・・・32,243・・・・・・・・・・297・・・・・・・45
5(44)・・ベネデッタ・・・・・・・・・・・・・・・・・12/01・・・・・・・・・・・517・・・・・・・・13,547・・・・・・・・・・127 ・・・・・・・・2

 2位「月老:再び会える日まで」(仮)が新登場です。台湾・ギデンズ・コー監督の新作ラブ&ファンタジー。原題の「月老」は<月下老人>で日本でも<月下氷人>と共に仲人の意味でもちいられていますが、そのままだとわからない人も多いと思われるので英題「Till We Meet Again」を訳して副題にしてみました。
 直進男シャオルン(クー・チェンドン)はシャオミ(ビビアン・スン)だけを愛してきました。ところがプロポーズしようとした瞬間突然の落雷のためあの世に行ってしまいます。生き返りたいなら赤い糸で縁結びをする神様・月下老人の職務を遂行しなければなりません。そこで月老を選び、いくつもある月老グループの1つに入ります。すると、よりによってことあるごとに衝突してきた女性ピンキー(ワン・ジン)もいるとは! そして2人はいよいよ月下老人としてこの世に降りてきますが、職務を遂行の対象の女性は生前の恋人・シャオミ。そして彼女と結ばれている赤い糸は・・・。韓国題は「만년이 지나도 변하지 않는 게 있어(万年過ぎても変わらないものがある)」です。
 なお、5位「ベネデッタ」については→コチラ参照。