ミュージカルな日々

ミュージカル好きの私が、観劇・映画・ドラマ・音楽・本の感想を書きつづるブログ、になる予定。

行人

2009-12-17 | 
久しぶりに、本を一冊読み終えました

夏目漱石の「行人」です。
漱石は、「坊ちゃん」「三四郎」「それから」「こころ」を読んだだけですが、
「行人」がこの中では一番面白かったです。

もともと新聞に連載されていたものなので、短く区切られていてとても読みやすいですし、
「明日も読んでね」と言わんばかりに、話をひっぱるので、先をどんどん読みたくなります
漱石先生の作品には珍しく、一気読みしちゃいました

ストーリーも前半は色々なエピソードが詰め込まれていて、とても引き込まれます。
語り手の二郎と兄嫁・直の関係よりも、二郎の友人の三沢と精神を病んだお嬢さんとの逸話が印象に残りました。

後半の「塵労」は、ちょっと大変でした。
二郎の兄、一郎と一緒に旅に出たHが語り手となって、手紙形式で進んでいくので、
読むことは苦にならないのですが、とにかく内容が難しいのです…

一郎ほどではないにしろ、現代に生きる知識人の苦悩を突き詰めて考えたせいで、
漱石先生はいっつも胃が痛かったのでしょうね…

もちろん、何分の一かしか理解できていないのでしょうが、
もがけばもがくほど、目指す境地にたどり着けなくなってしまう一郎の痛々しさが、
心に突き刺さってくるような、そんな読後感でした。