書く仕事

ご訪問ありがとう!!ミステリー小説の感想を中心に,読書,日々の雑感,映画の感想等を書き散らかしています.

「ナニワ・モンスター」海堂 尊 <政治改革の要は医療だ!>

2012年03月03日 22時49分25秒 | 読書
「ナニワ・モンスター」海堂 尊




「チームバチスタの栄光」「ジェネラルルージュの凱旋」に続いて,僕としては3冊目の海堂尊さん.

今回も医療問題を中心とした物語です.
ただ,前の2冊と大きく異なるのは,物語の場面が病院という医療現場ではないことと,医療を取り巻く政治や検察の人たちが重要な役割を果たす点が大きく違います.
前の2冊のミステリー性が影を潜め,非常に社会性の強い小説になっています.

記憶に新しい新型インフルエンザ.

弱毒性なのになぜあんなに大騒ぎしたのか,不思議に思っていましたが,この小説では,ある仮説の元に,一種の陰謀としての新型インフル問題の本質が炙り出されます.

その他,掛け声ばかりでなかなか進まぬ地方自治や,高齢化によって破綻することが目に見えている医療制度にちっともメスを入れようとしない政府,など普段我々の心の中にくすぶっている政治不信や未来に対する不安を,快刀乱麻の新アイデアで解決しようという村雨大阪府知事(小説では浪速府知事)と彦根先生の活躍が描かれます.

まあ,こんなに簡単に話が進むなら苦労はしないという突っ込みどころは横に置いておいて,海堂さん独特の熱っぽさと,医療問題は専門家だけに説得力ある語り口には,おもわず頷いてしまいます.

海堂さんは元医師ですが,医療については過去の人ですから,現役の医師がこの本を読んでどう思われるか,是非聞いてみたいところではあります.

蛇足ですが,道州制を熱く語る村雨府知事の台詞とその活躍は,時の人,橋下大阪市長を彷彿とさせますね.


最新の画像もっと見る

コメントを投稿