「散り行く花」伽古家圭市
小説を紹介するとき、まずジャンルを示すのが普通でしょうか。
そういう意味で、この小説は間違いなくミステリーです。
ミステリーの中でも、「倒叙もの」と言われる構成を取っています。
「倒叙」とは、犯人は最初からわかっていて、探偵が、徐々に犯人を追い詰めるというものですね。
刑事コロンボや古畑任三郎がこれです。
しかし、この小説をミステリー、あるいは倒叙ものです,と紹介してしまうと、決定的な何かを伝え損ねてしまいます。
作者が伝えたいのは、謎ではなく、人間の業なのです。人が心の中に抱えたまま生まれてきて、抱えたまま死んでいく業です。
しかし,ある人は、暖かい家庭に恵まれて持って生まれた業からも逃れられる。
それが叶わず、失意のまま自ら死を選ぶ人もいる。
ミステリーという衣を着た,人間を描いた純文学作品だと思います。
美人画を得意とする絵師,茂次郎を主人公としつつ,業に苛まれる女性達(絵のモデルとなる)の生きざまが綴られる.
私としては,かなり高ポイントの作品です.
お薦めします.
小説を紹介するとき、まずジャンルを示すのが普通でしょうか。
そういう意味で、この小説は間違いなくミステリーです。
ミステリーの中でも、「倒叙もの」と言われる構成を取っています。
「倒叙」とは、犯人は最初からわかっていて、探偵が、徐々に犯人を追い詰めるというものですね。
刑事コロンボや古畑任三郎がこれです。
しかし、この小説をミステリー、あるいは倒叙ものです,と紹介してしまうと、決定的な何かを伝え損ねてしまいます。
作者が伝えたいのは、謎ではなく、人間の業なのです。人が心の中に抱えたまま生まれてきて、抱えたまま死んでいく業です。
しかし,ある人は、暖かい家庭に恵まれて持って生まれた業からも逃れられる。
それが叶わず、失意のまま自ら死を選ぶ人もいる。
ミステリーという衣を着た,人間を描いた純文学作品だと思います。
美人画を得意とする絵師,茂次郎を主人公としつつ,業に苛まれる女性達(絵のモデルとなる)の生きざまが綴られる.
私としては,かなり高ポイントの作品です.
お薦めします.